JPS643411Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、車両用座席に関するものである。詳
しく述べると、耐久性およびクツシヨン性が良好
で、かつ通風機能を備えた車両用座席に関するも
のである。

（従来の技術） 従来、自動車等の車両に使用される座席として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のテープの
平織物層の上にパームロツク材等のクツシヨン受
材および該受材上にポリウレタンフオームを載置
し、かつ該ポリウレタンフオームの表面を表皮材
で覆つてなる座席体を、フレームに張設されたス
プリング上に載置されたものが主として使用され
ている。しかしながら、このような座席は、これ
らを構成する各材料がいずれも通気性を有してい
ないので、通気性が悪く、座乗者の耐熱あるいは
外気の熱を発散することができず、座乗者に不快
感を与えていた。また、前記座席体のクツシヨン
材とてのポリウレタンフオームが使用されていた
ので、前記スプリング上に直接載置すると長期間
の使用によりポリウレタンフオームがスプリング
との接触面において切断されることになる。この
ため、ポリウレタンフオームとスプリングの直接
接触を避けてパームロツク材等のクツシヨン受材
を介して使用されている。しかしながら、このよ
うなクツシヨン受材を使用することは、コスト高
となるだけでなく、クツシヨン性をも低下させる
ことになる。また、ポリウレタンは当該繊維クツ
シヨン材より耐圧弾性が悪いので良好なクツシヨ
ン性を保つには前記ポリウレタンフオーム層の厚
さを大きくとる必要があり、ばね受材の厚みと重
なつて座席全体が高くなり、これが車体全体を高
くするという欠点があつた。

一方、座席のパイプ製のフレームに取付けたク
ツシヨン材受体の身体が接する側に通気性のクツ
シヨン材を配置しそれらを身体が接する側が通気
性で他の部分は通気性がない表皮により包被して
内方に密閉室を形成し、該空室に可撓給気管を連
結してなる通気性座席は知られている（特公昭50
−64072号）。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、このような通気性座席において
は、空気は可撓性給気管から直接密閉空室に導入
されているので、空気の分散が極めて悪く、給気
管付近のクツシヨン材のみを主として通過すると
いう欠点があつた。また、車内空間の関係ならび
に車両の軽量化の点から座席の高さには自ら限界
があるので、クツシヨン材内に前記のごとき空室
を設ければ必然的にクツシヨン材層の厚みが薄く
なり、このためクツシヨン性が極めて悪くなると
いう欠点があつた。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、前記のごとき従来品の諸欠点を解消
するためになされたもので、立体カールを有する
ポリエステル繊維フイラメント短繊維を所定形状
に圧縮成形したのちニードリングを行なつて得ら
れるフイラメント成形体に接着剤を施して該フイ
ラメント相互の各接融点を結合してなる粗クツシ
ヨン材を水蒸気の存在下に加圧してなるフイラメ
ントクツシヨン材内、該クツシヨン材の内奥側に
面する位置に多数の吐出孔を備えた空気供給管を
少なくとも相対する二辺においてその周縁部付近
に埋設し、かつ該フイラメントクツシヨン材を通
気性表皮体で覆うことを特徴とする車両用座席で
ある。

（作用および実施例） つぎに、図面を参照しつつ本考案の一実施例を
説明する。すなわち、第１〜２図に示すように、
フイラメントクツシヨン材１内に、該クツシヨン
材の内奥側に面する位置に多数の空気吐出孔２を
１列または複数列にわたつて穿設されてなる空気
供給管３をロ字状に埋設し、かつ前記フイラメン
トクツシヨン材１の表面を、不織布、フエルト等
のウオーデング４で覆い、その表面を織布、編布
等の通気性表皮体５で覆つてなる座席である。こ
の座席は着座部６および背もたれ部７のいずれか
一方、またはその両方に使用でき、着座部６の場
合には、フレーム８間に張設したスプリング（例
えばジグザグスプリング）９上に載置して使用さ
れる。また、背もたれ部７の場合には裏カバー１
０内にスプリング１１が内蔵されている。空気供
給管３は金属製でもよいが可撓性あるプラスチツ
ク製でもよく、空気調和装置等の空気供給源（図
示せず）に連結されて、温風または冷風が供給さ
れて前記空気吐出孔２からクツシヨン材１中にそ
の内奥部に向つて吐出される。空気吐出孔２は、
クツシヨン材１中で分散を良くするために水平方
向に空気が吐出するように穿設することが望まし
い。着座部６および背もたれ部７の両方に本考案
の座席を使用する場合には、第２図に示すように
空気供給管３同士を可撓性管１２で連結すること
もできる。

また、空気供給管３の配管は、第１〜２図に示
すように、その周縁部にロ字状に埋設する他にも
う少し内奥部にロ字状に配設してもよいし、また
Ｈ字状、コ字状、王字状等任意に行なうことがで
きるが、少なくとも相対する二辺においてその周
縁部付近に埋設すべきである。

本考案において使用されるフイラメントクツシ
ヨン材１は、例えば特開昭54−138662号に示すよ
うに、製綿された立体カールを有するポリエステ
ル繊維フイラメントの集合体のフイラメント相互
の各接触点が接着剤で結合され構成のクツシヨン
材であつて、該クツシヨン材のフイラメントのカ
ール形状が部分的に方向性を有してそれぞれ伸縮
変形して成形される種々の形状の該カールフイラ
メントの部分的に密に絡合う部分を荷重強さを出
そうとする方向に形成させ、かつ該絡合い部を所
要荷重強さに応じて分布させてなるフイラメント
ロツク材があり、これはまた例えば特願昭55−
112664号に示すように、立体カールを有するフイ
ラメント短繊維の集合体を搬送装置に供給し、該
搬送装置を移動させながら、多数の針状物を立設
してなる回転体を回転さ、前記針状物をフイラメ
ント短繊維集合体に接触させて所定部分掻取るこ
とにより所定の形状に予備成形し、これをエンド
レスベルトおよび／またはローラまたはその他の
手段により圧縮して所定の嵩密度を有するフイラ
メント集合体ブロツクに形成し、この成形体にバ
ーブを備えた針により所定の針密度となるように
ニードリングを施したのち（場合によつては圧縮
成形の前にラビングを施してもよい。）、ほぼ水平
方向に走行するエンドレスベルト上のフイラメン
ト成形体にその上部より接着剤を噴霧するか、あ
るいはフイラメント成形体を接着剤液に含浸した
のち該液より引上げ、加熱乾燥することにより製
造される。このクツシヨン材は通常１〜100本／
100cm²、好ましくは４〜50本／100cm²の針密度であ
り、水蒸気の存在下に加圧して元の厚さに対して
５〜40％、好ましくは10〜30％圧縮してなるもの
であり、必要によりさらに接着剤を施して加熱乾
燥したものであり、この圧縮により「へたり」が
生じなくなる。接着剤塗布後の嵩密度は0.01〜
0.5g／cm³好ましくは0.03〜0.2g／cm³である。この
クツシヨン材は、難燃剤で処理して難燃化するこ
ともできる。

本考案において使用されるポリエステル繊維フ
イラメントは、その太さはモノフイラメントとし
て50〜1000デニール、好ましくは100〜600デニー
ル、最も好ましくは200〜400デニールで立体カー
ルを有するフイラメントである。ここで立体カー
ルとは、二方向性および三方向性カール等広義の
立体カールを意味するが、好ましくは三方向性立
体カールフイラメントであり、例えば同一発明者
により特開昭52−144448号公報に開示されている
方法および装置により第３図に示すような二重撚
りフイラメントＤをつくり、ついで所定の寸法に
切断しかつ解撚して第４図に示すような三方向性
立体カールフイラメントＦが得られる。製綿後の
フイラメントの長さは25〜200mmが好ましく、特
に60〜150mmが好ましい。かくして、該フイラメ
ントの部分は、ａ部においてｂ部を越えてコイル
し、ｃの部分はｄの部分を越えてコイルする。し
かしながら、ｅの部分はｆの部分を越えてコイル
するのではなくその下にコイルする。かくして、
ｅからｄのフイラメントのセクシヨンはらせんの
二つの絡みないしコイルある。これは正しくは無
方向性らせんとも呼ばれ得るものであり、またそ
のコイルの一が他に対し無方向性になつた時は調
子が悪くなつたらせん状の電話コードに非常に似
ている。

（考案の効果） 以上述べたように、本考案による車両用座席
は、立体カールを有するポリエステル繊維フイラ
メント短繊維を所定形状に圧縮成形したのちニー
トリングを行なつて得られるフイラメント成形体
に接着剤を施して該フイラメント相互の各接触点
を結合してなる粗クツシヨン材を水蒸気の存在下
に加圧してなるフイラメントクツシヨン材内に、
該クツシヨン材の内奥側に面する位置に多数の吐
出孔を備えた空気供給管を少なくとも相対する二
辺においてその周縁部付近に埋設し、かつ該フイ
ラメントクツシヨン材を通気性表皮体で覆つてな
るものであるからクツシヨン性が極めて良好であ
るばかりでなく、通気性および空気の分散性が極
めて良好である。

すなわち、前記位置から吐出される空気はクツ
シヨン材の内奥部へ向つて、しかも多数の吐出孔
から吐出されるので、直ちに表皮体側へ流通せ
ず、ある程度クツシヨン材内部を流通してから表
皮体を通過して外部へ放出されることになる。し
たがつてクツシヨン材内における空気の分散が極
めて良好となる。このため、空気調和装置等の空
気供給源から夏期に冷風、また冬期に温風を空気
供給管を通じて吐出孔より供給すれば、着座者の
腰部または背部もしくはその両者に常に所望の温
度で供給し、常に快適な温度を保持することがで
きるのである。また、フイラメントクツシヨン材
の針密度および／または嵩密度を部分的に変える
ことにより適切な耐圧分布が確保でき、かつ振動
減衰性も小さいので、長距離運転によつても運転
者の疲労が少なくという利点がある。さらに、ク
ツシヨン層を薄くできるので、座席全体を低くで
き、これが車体全体を低くすることができ、軽量
化につながるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による車両用座席の一実施例を
示す斜視図、第２図は第１図の−線に沿う断
面図、第３図は二重撚りをかけれたフイラメント
の部分的斜視図であり、また第４図は三方向性立
体カールフイラメントの正面図である。 １……フイラメントクツシヨン材、２……吐出
孔、３……空気供給管、４……ウオーデイング、
５……通気性表皮体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 立体カールを有するポリエステル繊維フイラ
   メント短繊維を所定形状に圧縮成形したのちニ
   ードリングを行なつて得られるフイラメント成
   形体に接着剤を施して該フイラメント相互の各
   接触点を結合してなる粗クツシヨン材を水蒸気
   の存在下に加圧してなるフイラメントクツシヨ
   ン材内に該クツシヨン材の内奥側に面する位置
   に多数の吐出孔を備えた空気供給管を少なくと
   も相対する二辺においてその周縁部付近に埋設
   し、かつ該フイラメントクツシヨン材を通気性
   表皮体で覆うことを特徴とする車両用座席。 ２ 水蒸気存在下に加圧するときの圧縮率は元の
   厚みに対して５〜40％である実用新案登録請求
   の範囲第１項に記載の車両用座席。