JPS643320Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自走形乗用移植機における苗送り装置
に関し、苗の植付ピツチのバラつき及び欠株を無
くすと共に、苗の植付ピツチの調整も容易に行
え、しかも、オペレータが移送装置への苗の供給
と並行して他の作業や操作を行えるようにするこ
とを目的とする。

従来、自走形乗用移植機においては、移植装置
の下方側の移送路により苗を移送装置に供給する
ようにしており、移植作業時においては、移植機
上のオペレータが上記移送路に苗を供給すること
で移植作業を行つている。然り乍ら、上記のよう
な形式では、移送路へ苗を供給する時間間隔の大
小によつて苗の植付ピツチを所望に設定するよう
にしているため、苗の植付ピツチがバラついて所
望の一定ピツチとならないと共に、欠株も発生し
易すいと云う問題があつた。また、上記のような
形式では、オペレータは移送路に苗を休みなく供
給しなければならず、他の作業を並行して行う時
間的余裕がなかつたのが実情である。

本考案は上記実情に鑑み考案されたものであつ
て、その特徴とする処は、載置される苗５８を横
方向に移送するコンベア５９と、該コンベア５９
から移送される苗５８を受取つて挟持した状態で
下方に移送する一対のコンベア６０，６１、６
２，６３と、該一対のコンベア６０，６１、６
２，６３から苗５８を受取つて一対の挟持円板１
００，１００により挟持しかつ該挟持円板１０
０，１００の回転による苗５８を植付ける植付装
置４７とを備え、前記横方向に移送するコンベア
５９の苗移送速度を調整自在とすると共に、この
コンベア５９の移送面に周方向一定間隔で苗載置
間隔設定手段７５を設けた点にある。

以下、本考案の一実施例を第１図乃至第５図に
図面に基き説明すれば、第１図及び第２図におい
て、移植機１は、走行車体２と、左右一対宛の
前・後輪３，４と、エンジン５と、伝動装置６
と、移植装置７と、座席８と、ハンドル９等から
成る。

走行車体２は、前後方向に横設された左右一対
の主フレーム１１，１１と、主フレーム１１，１
１の前端、後部側及び後端を夫々連結する前フレ
ーム１２、連結フレーム１３、後フレーム１４等
から成る。両主フレーム１１，１１の後端から
は、平面視コ型の支持枠１５が後方斜め上方に突
設されている。

伝動装置６は主伝動ケース１６と、その両側に
配置される一対の副伝動ケース１７，１７とを有
し、主伝動ケース１６は後フレーム１４の幅方向
中央部に後上り状に固設されている。主伝動ケー
ス１６にはその後方でサポート部材８を介してエ
ンジン５が固設され、エンジン５と、主伝動ケー
ス１６内の伝動機構とは、テンシヨンクラツチ１
９を備える巻掛伝動機構２０により連動連結され
ている。クラツチ１９は主伝動ケース１６外部に
クラツチレバー２１を備えている。主伝動ケース
１６内の伝動機構にはブレーキ装置２２が備えら
れ、該装置２２は、主伝動ケース１６外部にブレ
ーキカムレバー２３を備えている。副伝動ケース
１７はその前端部で主伝動ケース１６下部に上下
方向に揺動自在に枢支されると共に、その後端部
側に後輪４を備え、該後輪４が副伝動ケース１７
内の巻掛伝動機構２４を介して主伝動ケース１６
内の伝動機構に連動連結されている。２５は両副
伝動ケース１７，１７の操作機構であつて、支持
枠１５後部下方側で横設状とされる横軸２６を有
し、該横軸２６は支持枠１５に回動自在に支持さ
れている。横軸２６の両側部には、相互に逆方向
として前方又は後方に突出する一対の連動レバー
２７，２７が備えられ、これら連動レバー２７，
２７は、伸縮調整自在な連結ロツド２８，２８を
介して、両副伝動ケース１７，１７の後端部に連
結されている。また、横軸２６の一側には操作レ
バー２９が上方突出状に備えられ、操作レバー２
９は、支持枠１５に固設された固定板３０に係脱
自在に係止固定されている。従つて、操作レバー
２９を前方又は後方側に回動操作することによ
り、横軸２６、連動レバー２７，２７、連結ロツ
ド２８，２８を介して、両副伝動ケース１７，１
７が上下方向に関して相互に逆方向に同一量揺動
し、これによつて、傾斜地に対応できるようにさ
れている。

左右の前輪３，３は操向輪とされるもので、前
フレーム１２の前方の左右両側に配置されてい
る。前輪３は上下方向に移動調整自在なキヤスタ
ー式とされ、支持軸３１廻りに回動自在とされ
て、連結部材３２両側に備えられ、該連結部材３
２は取付枠３３を介して前フレーム１２に備えら
れている。両前輪３，３の支持軸３１，３１はタ
イロツド３４により連結されると共に、両支持軸
３１，３１は左右一対の踏込式操向機構３５，３
５により回動自在とされ、これにより両前輪３，
３が操向される。

なお、一方の操向機構３５には、ボーデンワイ
ヤ３６を介してテンシヨンクラツチ１９のクラツ
チレバー２１に連繋されるクラツチ操作杆３７が
備えられ、また、他方の操向機構３５には、ボー
デンワイヤ３８を介してブレーキ装置２２のブレ
ーキカムレバー２３に連繋されるブレーキ操作杆
３９が備えられている。

ハンドル９は前方に開口する平面視Ｕ形状であ
つて、その後部側が連結部材３２又は車体２側に
固設されている。ハンドル９の両自由端部は把持
部４０，４０とされ、これら把持部４０，４０に
は、ボーデンワイヤ４１等を介してテンシヨンク
ラツチ１９のクラツチレバー２１に連繋されるク
ラツチ操作レバー４２等が備えられている。

移植装置７は、第３図乃至第５図にも示すよう
に、車体２に対し上下方向に移動調整自在に備え
られる移植フレーム４３と、苗載せ台４４と、移
植フレーム４３の前部から後部にかけて順次設け
られる作溝器４５、移送装置４６、植付装置４７
及び左右一対の覆土輪４８，４８等で主構成さ
れ、該移植装置７は車体２に対し一体的に上下方
向に移動調整自在に備えられている。

移植フレーム４３は、主フレーム１１，１１間
の前部で上下方向に移動自在とされる縦向の板状
可動フレーム４９と、該フレーム４９下端に横軸
５０により上下方向に揺動自在に前端で枢支され
且つ後端で主フレーム１１との間に介装されたコ
イルバネ５１により下向きに付勢される揺動フレ
ーム５２とで構成されている。可動フレーム４９
はその左右両端に夫々上下一対の案内輪５３，５
３を横軸廻りに回転自在に具備し、これら案内輪
５３，５３は、主フレーム１１の前部内側に夫々
固着された縦向案内レール５４に転動自在に内嵌
されている。また、可動フレーム４９と前フレー
ム１２間には、縦向きで伸縮自在な調整部材５５
が介設され、該調整部材５５の伸縮により可動フ
レーム４９が昇降する。なお、調整部材５５とし
ては流体圧シリンダ、螺子式ジヤツキ等が用いら
れる。

作溝器４５は板材を後方開口の平面くの字状に
折曲形成したもので、揺動フレーム５２の前部に
着脱自在に固着され、その進行に伴い畝５６に溝
５７を形成する。

移送装置４６は、前後方向に横設された苗５８
を車体２の上方から下方の植付装置４７へ移送す
るものであつて、可動フレーム４９の後方側に配
設されている。移送装置４６は、上部の前後一対
の第１コンベア５９，５９と、その左側に配設さ
れた第２・第３コンベア６０，６１と、これらの
下方側に配設された第４・第５コンベア６２，６
３とから成る。

第１コンベア５９，５９は横方向に配設され
て、その上面側が苗５８の横方向移送路６４とさ
れるものであつて、左右に一対の前後方向の支軸
６５，６５を有し、これら支軸６５，６５は、可
動フレーム４９上端に横方向に配設された装着枠
６６に支架されている。右側支軸６５の両端部に
は一対のプーリー６７，６７が回転自在に備えら
れると共に、中央部がハンドル６８付きの調整ボ
ルト６９に保持されて、調整ボルト６９が装着枠
６６の右端部に進退自在に螺挿されており、調整
ボルト６９の回動により右側支軸６５は装着枠６
６の移動溝７０，７０内を横方向に移動する。一
方、左側支軸６５の中央部にはプーリー７１が回
転自在に備えられると共に、その両端部には一対
の円盤体７２，７２がプーリー７１に対して進退
自在に備えられ、しかも、これら円盤体７２，７
２はコイルバネ７３，７３によりプーリー７１側
に付勢されている。そして、プーリー７１各側と
円盤体７２両者の円錐台部との間と、各プーリー
６７との間にＶベルト７４が巻掛けられることで
第１コンベア５９が構成されている。Ｖベルト７
４は移送面側に三角形状の突起（苗載置間隔設定
手段）７５を長手方向に所定間隔で多数有する。
なお、両第１コンベア５９，５９の上面側間に
は、これらと略面一で苗５８が滑る滑り板７６が
横方向に配設され、該滑り板７６は装着枠６６に
固設されている。

第２コンベア６０は上記両支軸６５，６５間の
中央部下方に支軸７７を有し、該支軸７７に固設
されたプーリー７１と上記プーリー７１とに平ベ
ルト７８が巻掛けられることで第２コンベア６０
が傾斜状に配設されている。第３コンベア６１は
第２コンベア６０に平行としてその左側方で傾斜
状に配設され、上下一対のプーリー７９，７９に
平ベルト８０を巻掛けることで構成されており、
これら第２・第３コンベア６０，６１の対面部間
が苗５８の傾斜移送路８１とされている。なお、
第３コンベア６１の前後両側には、苗５８の葉部
や根部の垂れ下がりを防止して苗５８を適正姿勢
に維持するための一対の苗案内棒８２，８２がそ
の長手方向に沿つて配設されている。第４コンベ
ア６２は支軸７７に固設されたプーリー８３とそ
の下方側のプーリー８３とに平ベルト８４を巻掛
けることで縦方向に構成されている。また、第５
コンベア６３は第４コンベア６２の左側で平行に
縦方向に配設されるもので、上下一対のプーリー
８５，８５に平ベルト８６を巻掛けることで構成
されており、第４・第５コンベア６２，６３の対
面部間に苗５８の縦方向移送路８７が構成されて
いる。なお、プーリー８５は、プーリー７９と同
一の支軸８８に固設されている。また、８９，９
０は第４・第５コンベア６２，６３のテンシヨン
プーリーである。更に、第４・第５コンベア６
２，６３の後方側には左右一対の横方向の揺動レ
バー９１，９１が配設されている。揺動レバー９
１はその外側端部で支軸９２により可動フレーム
４９に上下揺動自在に枢支されると共に、コイル
バネ９３により略水平姿勢を維持するようにされ
ており、縦方向移送路８７下部側の苗５８の葉部
を両揺動レバー９１，９１が揺動しながら支持す
ることにより、葉部の垂れが防止されて、苗５８
が適正姿勢に維持される。ところで、第４・第５
コンベア６２，６３の下側プーリー８３，８５が
固設された支軸９４，８８は可動フレーム４９前
方側に突出され、これら突出端部には夫々ベベル
ピニオン９５が固着され、該ピニオン９５と咬合
うベベルギヤー９６は可動フレーム４９に横架さ
れた連動軸９７に固着されている。連動軸９７は
上記横軸５０と同一軸心上に配設されている。

苗載せ台４４は受皿状として可動フレーム４９
上部に取着され、その底面は両第１コンベア５
９，５９上面と略面一となるように配設されてい
る。

植付装置４７は、植付装置本体部を有し、該本
体部は、揺動フレーム５２の前後中途部に軸受９
８，９８を介して軸架された軸心横向の本体軸９
９と、該本体軸９９に左右離間し対面状に取着さ
れた一対のゴム材、樹脂材等の可撓性弾性挾持円
板１００，１００と、を具備し、これら挾持円板
１００，１００の前部から下部に到る円弧部外側
には、本体軸９９を中心とした放射状の軸心回り
に遊転自在の押圧輪１０１が複数設けられ、各押
圧輪１０１を遊転自在に支持する押圧輪軸１０２
は揺動フレーム５２に着脱自在に取着された円弧
状ブラケツト１０３に固着されている。そして、
挾持円板１００の前部前方近傍に第４・第５コン
ベア６２，６３の下部側が位置せしめられ、両コ
ンベア６２，６３で下方に移送された苗５８がそ
の姿勢のままで両挾持円板１００間に案内される
と共に、左右の押圧輪１０１，１０１で接近せし
められた挾持円板１００，１００間に挾持され、
次に、苗５８は挾持円板１００，１００によつて
挾持されて後下方に約90゜の円弧を描いて移送さ
れ、下端の押圧輪１０１から後方で、根部を下端
とした縦向姿勢でその挾持を解除され溝５７内に
自立せしめられる。なお、挾持円板１００の周速
は傾斜移送路８１及び縦方向移送路８７の苗５８
の移送速度と略同一若しくは若干小さ目とされて
いる。

覆土輪４８，４８は揺動フレーム５２の後端に
軸支された傾斜軸１０４，１０４により支持され
て回転自在とされ、両覆土輪４８，４８は上方及
び若しくは前方に進むに従い漸次離反するよう傾
斜姿勢とされている。そして、車体２の進行に伴
い覆土輪４８，４８は地面上をその抵抗により転
動し、畝５６の土を両覆土輪４８，４８間に掻き
寄せてこの土を溝５７内に供給し、苗５８の根部
を畝５６内に埋入させると共に、苗５８の両側を
鎮圧する。

上記傾斜軸１０４と本体軸９９及び本体軸９９
と連動軸９７は夫々チエーンホイール１０５及び
チエーン１０６巻装を介して夫々連動連結され、
覆土輪４８の地面上の転動により、本体軸９９が
駆動されて、前記の如く挾持円板１００が回転
し、また、連動軸９７の回転によつて、ベベルギ
ヤー９６及びベベルピニオン９５を介して移送装
置４６が駆動される。

座席８は車体２の前後方向中途部にその上方側
で連結フレーム１３等を介して配設されている。
一側の主フレーム１１における座席８外側方側に
は安全枠１０７が上方突出状に備えられ、該安全
枠１０７にボーデンワイヤ１０８等を介してテン
シヨンクラツチ１９のクラツチレバー２１に連繋
されたクラツチ操作レバー１０９が備えられてい
る。

上記のように構成した実施例によれば、移植作
業時には、移植装置７を所定の高さに固定して両
後輪４，４をエンジン５により駆動して、移植機
１を走行させるのである。すると、作溝器４５が
畝５６に沿つて溝５７を形成すると共に、覆土輪
４８，４８が地面上を転動して、この回転が移植
装置７における移送装置４６及び植付装置４７を
駆動せしめる。この状態で座席８上のオペレータ
が苗載せ台４４上の苗５８を前後方向を長手方向
として且つ手前を葉部として、横方向移送路６４
を構成する両第１コンベア５９，５９上面側の各
突起７５間に一株宛載置するのであり、この載置
された苗５８は滑り板７６上を滑りながら横方向
移送路６４を左方向に移送される。そして、この
移送された苗５８が第２・第３コンベア６０，６
１により挾持され且つ両苗案内棒８２，８２の案
内を受けた状態で傾斜移送路８１を移送され、そ
の後に、第４及び第５コンベア６２，６３により
挾持された状態で縦方向移送路８７を移送され
て、その下部側で両揺動レバー９１，９１の案内
を受け、而る後に植付装置４７の両挾持円板１０
０，１００間に供給される。この供給された苗５
８は両挾持円板１００，１００によつて溝５７内
に順次移送されると共に縦向姿勢に角度変更され
て解放される。そして、苗５８の溝５７内の根部
は両覆土輪４８，４８により覆土されると共に、
覆土が両覆土輪４８，４８により鎮圧されるので
ある。

上記のように、横方向移送路６４を構成する両
第１コンベア５９，５９上面側の各突起７５間に
苗５８を載置するようにしているので、横方向移
送路６４に数株の苗５８を略等間隔で載置するこ
とができ、従つて、苗５８の植付ピツチをバラつ
きなく略一定とできると共に、欠株の惧れもな
く、しかも、オペレータは横方向移送路６４へ苗
５８の供給と並行して他の作業や操作を行うこと
も容易に行える。

なお、苗５８の植付ピツチを変更する際には、
ハンドル６８により調整ボルト６９を回動させて
第１コンベア５９，５９の両支軸６５，６５間の
距離を調整するのであり、これにより、コイルバ
ネ７３の弾発力によつて各Ｖベルト７４の左端側
が、駆動側とされるプーリー７１と円盤体７２の
両円錐台部間で径方向に移動して、両第１コンベ
ア５９，５９の移送速度が無段階に調整されるの
であり、これによつて、苗５８の植付ピツチも無
段階で所望に設定できる。

以上詳述したように、本考案は、自走形乗用移
植機において、載置される苗５８を横方向に移送
するコンベア５９と、該コンベア５９から移送さ
れる苗５８を受取つて挟持した状態で下方に移送
する一対のコンベア６０，６１、６２，６３と、
該一対のコンベア６０，６１、６２，６３から苗
５８を受取つて一対の挟持円板１００，１００に
より挟持しかつ該挟持円板１００，１００の回転
により苗５８を植付ける植付装置４７とを備えて
いるので、コンベア５９上に数株の苗５８を載置
することができ、さらに、このコンベア５９の移
送面に苗載置間隔設定手段７５を設けることで、
このコンベア５９に略等間隔で苗５８を載置する
際の作業が容易になり、苗５８の植付ピツチのバ
ラツキ及び欠株の発生を防止できる。またコンベ
ア５９上に数株の苗５８を載置できるので、コン
ベア５９上への苗５８の供給と並行して、オペレ
ータは他の作業や操作を行うことができる。更に
コンベア５９の苗移送速度を調整自在とすると共
に、このコンベア５９から移送される苗５８を一
対のコンベア６０，６１、６２，６３で挟持して
下方に移送した後、植付装置４７の一対の挟持円
板１００，１００で苗５８を挟んで植付けるよう
にしているので、コンベア５９の苗移送速度を調
整することにより苗５８の植付ピツチも容易に調
整変更できる。本考案は上記各種の利点を有し、
実益大である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は側面
図、第２図乃至第４図の各図は第１図のＡ−Ａ
線、Ｂ−Ｂ線、Ｃ−Ｃ線各矢視断面図、第５図は
第３図のＤ−Ｄ線矢視断面図である。 １……移植機、７……移植装置、４６……移送
装置、４７……植付装置、５８……苗、６４……
横方向移送路、８１……傾斜移送路、８７……縦
方向移送路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 載置される苗５８を横方向に移送するコンベア
   ５９と、該コンベア５９から移送される苗５８を
   受取つて挟持した状態で下方に移送する一対のコ
   ンベア６０，６１、６２，６３と、該一対のコン
   ベア６０，６１、６２，６３から苗５８を受取つ
   て一対の挟持円板１００，１００により挟持しか
   つ該挟持円板１００，１００の回転による苗５８
   を植付ける植付装置４７とを備え、前記横方向に
   移送するコンベア５９の苗移送速度を調整自在と
   すると共に、このコンベア５９の移送面に周方向
   一定間隔で苗載置間隔設定手段７５を設けたこと
   を特徴とする自走形乗用移植機における苗送り装
   置。