JPS643300B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の属する技術分野〕 この発明は、蓄勢軸と、この軸に間欠結合によ
つて連結される爪車とを、往復運動する駆動爪に
よつて歩進運動させて蓄勢ばねを蓄勢する形の、
しや断器操作用蓄勢器の駆動装置に関する。

この種の駆動装置は、少なくとも電力しや断器
の閉成に必要な機械的エネルギを何時でも指令に
応じて供給しうるように急速に用意するという機
能をその目的としている。そしてこのような駆動
装置は動作が確実で経済性も良好であることが要
求される。

爪車を使用する方式のこの種の駆動装置は、比
較的大きな駆動エネルギを小さな力で供給しよう
とする場合に有利である。この際爪車は、その歯
に係合する駆動爪の往復運動によつて歩進的に回
動される。そして爪車が蓄勢ばねを完全に蓄勢し
た状態に達すると駆動爪およびそれを動かす電動
機の駆動が解消するようにされなければならな
い。さらに爪車の歯の著しい負荷およびその歯に
係合している爪が爪車の急激な運動によつて著し
く負荷されることやしや断器の閉成に十分な蓄勢
ばねの最終状態以上に爪車を歩進するのを回避す
ることが望ましい。

従来のしや断器操作用蓄勢器のこの種の電動機
駆動装置の一例を第１図ないし第４図に示す。第
１図において、１は回転蓄勢軸であつて、軸受
２，３によつて回動可能に支持されている。この
蓄勢軸１の図示右端にはクランク腕４が取付けら
れ、これに対してクランクピン５を介して連結棒
６が取付けられている。そしてこの連結棒６の上
端には可動ばね受け７が取付けられ、それと固定
ばね受１０との間にしや断器閉成用の蓄勢ばね８
が装着されている。また蓄勢軸１には爪車１１が
回動可能に装着されており、そのボス１２には第
２図に示すように約270゜の範囲にわたつて円弧状
切欠部１３が設けられ、この切欠部１３に軸１に
嵌められたキー１４が係合して、切欠部１３とキ
ー１４とは特定の間欠結合を形成している。爪車
１１は外周に歯１５を有し、この歯１５は一定の
欠落部１６を除く全周に設けられている。

爪車１１は、次のような駆動部１７によつて歩
進駆動される。すなわち、爪車１１を挟むように
その両側に駆動レバー１８が回動可能に設けら
れ、このレバー１８の間にまたがつて設けられた
リンク軸１９に駆動爪２０が回動可能に装着さ
れ、さらにこのリンク軸１９に連結された駆動棒
２１が第４図に概念的に示す電動機２２によつて
偏心輪を介して往復運動する。駆動爪２０は、ば
ね２３によつて歯１５の方向に押圧され、歯１５
に作用する。摩擦片２４は、レバー１８に装着さ
れ、第３図に示すように摩擦片２４を爪車１１の
両側の摩擦面２５に押圧するように設けられた押
圧ばね２６とともに共通のケース２７内に保持さ
れねじ２８によつて押圧力が調整される。

二つの支持爪３２は、蓄勢軸１に回動可能に装
着された支持レバー３１のリンク軸３３に爪車１
１の周辺に対向して取付けられ、ばね３４によつ
て歯１５の方向に押圧されそれぞれ歯１５に作用
して爪車１１の逆転を阻止する。

蓄勢ばね８が最大エネルギを蓄えたときに蓄勢
軸１を鎖錠するために、鎖錠装置が設けられてい
る。この鎖錠装置１１は、第１図左方と第４図に
示すようにローラ３６を有し蓄勢軸１に固定され
たレバー３５と、回動可能に支持され、鎖錠状態
において、その端面３８がローラ３６に当接し、
レバー３５を介して蓄勢軸１の回動を阻止する鎖
錠レバー３７とを備え、レバー３５がこの位置に
あるとき、電動機２２の電源開閉器３９を開いて
いる。なお、この状態においては、クランク腕４
は第２図に示すように僅かに下方の死点を越えた
位置にあり、駆動爪２０は歯１５の欠落部１６に
達しているように設定されている。

ここで第４図に概念的に示されたしや断器の電
極９を閉成する場合には、鎖錠レバー３７がたと
えば電磁石装置４０によつて矢印４１の方向に引
張られる。するとレバー３７の端面３８はローラ
３６から外れ、蓄勢軸１の時計方向の回動を自由
にする。また、このとき蓄勢軸１はキー１４が切
欠部１３における位置から出発して180゜以上の角
度を爪車１１とは無関係に回動できる。こうして
蓄勢ばね８は連結棒６とクランク腕４とを介して
蓄勢軸１を約180゜回動させ、しや断器を閉成させ
る。そして同時に蓄勢軸１に固定されたレバー３
５のローラ３６が第４図の位置から時計方向に回
動すると、開閉器３９は閉成されて電動機２２が
始動する。したがつて駆動棒２１を介してレバー
１８の往復運動が次の蓄勢のために開始される。
しかしその際、駆動爪２０は爪車１１の歯１５の
欠落部１６にあるので爪車１１には使用しない。
その代りに、第３図に示すようにレバー１８に設
けられた摩擦片２４が駆動棒６の往復運動に応じ
て方向の変換する駆動モーメントを摩擦結合によ
つて爪車１１に与える。そして支持片３２が爪車
１１における反時計方向の回動を阻止するので時
計方向の駆動モーメントだけが有効となつて、爪
車１１は時計方向に歩進させられる。したがつて
駆動爪２０が爪車１１の歯１５に係合するように
なり、次にはこの歯１５を介して爪車１１が回動
されるようになる。なお、この場合、キー１４は
蓄勢ばね８が蓄勢された状態の第２図の位置から
時計方向に180゜変位しているので、爪車１１は、
その切欠部１３の端面がキー１４に当接するまで
歩進空転しうる。そしてこの当接したときから蓄
勢軸１は爪車１１に追動してクランク腕４および
連結棒６を駆動し、次第に蓄勢ばね８を蓄勢して
遂に第１図および第２図に示す位置に達する。

このような構成にすると、電動機は、駆動棒、
駆動レバー、駆動爪などを動かすだけのほとんど
無負荷状態で始動することができ、装置に衝撃を
与えることがない。しかしながらこの装置では、
駆動爪が爪車の歯の欠落部にあるとき、爪車の輪
体側面を摩擦面として、この面に摩擦片をばねに
より押圧して爪車を摩擦歩進させるようにしてお
り、このようなすべり摩擦だけでは摩擦面の接触
状態により摩擦力が変化し、動作の確実性が乏し
いという欠点がある。また、このような構成では
摩擦歩進させる部分の構成が複雑で部品数が多く
高価になるという欠点がある。

〔発明の目的〕

この発明は上記の欠点に鑑み安価で確実なしや
断器操作蓄勢器の駆動装置を提供することを目的
とする。

〔発明の要点〕

この目的を達成するためにこの発明は、蓄勢ば
ね蓄勢する蓄勢軸と、この軸に間欠結合され周囲
に一部が欠落した歯を有する爪車と、先端がこの
爪車の歯に作用し電動機により往復運動させられ
て爪車を歩進運動させる駆動爪を有する駆動部
と、前記爪車の逆転を阻止する支持爪とを備え、
前記蓄勢ばねの蓄勢終了時に前記爪車に対する作
用を消滅させるため前記駆動爪を前記爪車の歯の
欠落部の位置におくようにしたものにおいて、前
記駆動部に、先端が前記爪車を歩進運動させるよ
うにこの爪車の歯に前記駆動爪と間隔をおいて作
用する補助爪を設け、この補助爪を前記駆動爪と
共通に前記電動機により往復運動させるようにし
ている。なおこの装置では、支持爪がこのしや断
器の開閉軸により回動範囲を規制され、かつ蓄勢
軸に対して回動自在な支持レバーに取付けられる
とともに、この支持爪を駆動部として支持レバー
により爪車を手動で駆動するようにもできる。

〔発明の実施例〕

以下この発明の実施例を第５図および第６図に
示す図面に基づいて詳細に説明する。第５図およ
び第６図において、しや断器操作用蓄勢器の蓄勢
軸１は第１図および第２図に示す従来のものと同
様に軸受２，３により回動可能に支持され、クラ
ンク腕４、クランクピン５および連結棒６を介し
てしや断器閉成用の蓄勢ばね８を蓄勢するように
されている。爪車１１は従来のものと同様に一部
の欠落部１６を除きその全外周に歯１５が設けら
れ、蓄勢軸１に回動可能に装着されている。ただ
しこの実施例では、ボス１２にピン２９を植え立
てた簡単な構成で蓄勢軸１に嵌め込まれたキー１
４と当接させて間欠結合とされている。

この爪車１１を駆動する駆動部１７も、従来の
ものと同様に爪車１１を両側面から挟むように回
動可能に設けられた駆動レバー１８にこの間を連
結するリンク軸１９が設けられ、リンク軸１９
は、電動機２２の回動運動を偏心輪４２によつて
変換されて往復運動する連結棒２１と連結されて
運動する。しかしこのリンク軸１９には駆動爪２
０とともに従来の摩擦片に代る補助爪３０が装着
されている点が従来のものと異なる。すなわち駆
動爪２０は第７図ａないしｃに詳細を示すように
Ｕ字状に形成され、Ｕ字の両脚を連結する部分２
０ａに爪が形成されている。補助爪３０は、第８
図ａに詳細に示すように、その一端が駆動爪２０
のＵ字脚の開口に挿入され、この両脚と補助爪３
０の一端とを貫通するリンク軸１９で連結して一
体とし、爪車１１の周辺を拘くようにく字状に配
置されている。そしてリンク軸１９に巻き付けら
れたねじりばね２３の両端がそれぞれ駆動爪２０
と補助爪３０を押圧し（第８図ｂ参照）、駆動爪
２０の爪と補助爪３０の他端とを歯１５に押付け
ている。

支持片３２は従来のものと同様にその２組が、
蓄勢軸１に回動可能に装着された一つの支持レバ
ー３１の両端に取付けられたリンク軸３３に爪車
１１を挟んで爪車１１の周辺に対向して装着さ
れ、ばね３４によつて歯１５の方向に押圧されて
いる。この発明ではレバー３１に切欠き４３を設
け、この切欠き４３の端面がこのしや断器の開閉
軸４４に当接するようにして、レバー３１の回動
運動の範囲を規制するとともにレバー３１の一端
にパイプ４５を固定してある。したがつてこのパ
イプ４５にハンドルを挿入すれば、このハンドル
によりレバー３１を手動で往復運動させ、支持爪
３２を駆動爪とし、本来の駆動爪２０を支持爪と
して手動駆動することもできる。

蓄勢軸１の蓄勢ばね８を最大蓄勢状態において
鎖錠するための鎖錠装置は、従来の第４図に概念
的に示す状態（ただし蓄勢軸１の回動方向は逆で
ある）と全く同様に、ローラ３６を有し、蓄熱軸
１に固定されたレバー３５と端面３８を有する鎖
錠レバー３７を備え、レバー３５のローラ３６は
鎖錠レバー３７の端面３８に当接し、蓄勢軸１は
鎖錠されている。このとき電源開閉器３９は開い
て電動機２２を停止させている。

次にこの操置の動作は既に述べた状来のものと
ほぼ同様であるからその異なる部分を主として説
明すると、第５図および第６図において、蓄勢ば
ね８は蓄勢された状態でクランク腕４は上方の僅
かに死点を越えた位置にあり、蓄勢軸１は第４図
に示すように鎖錠されている。ここでしや断器の
電極９を閉成するには、電磁石装置４０によつて
鎖錠レバー３７を矢印４１の方向に引張るとロー
ラ３６は鎖錠レバー３７から外れ、蓄勢軸１は蓄
勢ばね８の付勢によつて約180゜回動し、電極９を
閉成させる。このときレバー３５が蓄勢軸１とと
もに回動して開閉器３９が閉じ、電動機２２が始
動する。すると駆動棒２１、したがつてレバー１
８が往復運動をはじめて次の蓄勢動作が開始され
る。しかしこのとき駆動爪２０は爪車１１の歯１
５の欠落部にあるので爪車１１に作用せず代りに
駆動爪２０とともに装着された補助爪３０が往復
運動をして爪車１１を往復回動させようとする。
このとき補助爪３０は、その形状により、時計方
向には小さな駆動モーメントを作用させ、反時計
方向には大きな駆動モーメントを作用させる。し
かし時計方向の回動は支持爪３２によつて阻止さ
れるので反時計方向の駆動モーメントだけが有効
となつて、爪車１１は反時計方向に歩進される。
すると駆動爪２０が歯１５に係合するようにな
り、以後爪車１１は、駆動爪２０により回動され
る。しかし爪車１１は、そのピン２９がキー１４
に当接するまで歩進空転する。そしてピン２９が
キー１４に当接してはじめて蓄勢軸１は、爪車１
１に追動して、クランク腕４、連結棒６および蓄
勢ばね８を第５図および第６図に示す位置まで駆
動する。ここでレバー３５が鎖錠レバー３７によ
つて鎖錠される。このときクランク腕４は上方の
死点を僅かに越え、駆動爪２０が歯１５の欠落部
１６に達し、開閉器３９が開き電動機２２が停止
する。

なお、この装置は制御電源の停電や電動機回路
が故障した場合は、パイプ４５にハンドルを挿入
して、手動で爪車１１を回動させ、支持爪３２を
駆動爪とし、駆動爪２０を支持爪として作用させ
手動操作により蓄勢ばね８を蓄勢することもでき
る。この場合、支持爪３２は、レバー３１の切欠
き４３の端面がしや断器の開閉軸４４の当接する
範囲内で移動するように規制されている。

〔発明の効果〕

以上述べたようにこの発明によれば、爪車を蓄
勢初期に回動させる駆動部が補助爪で構成され、
駆動爪と一体にリンク軸に装着され、補助爪は駆
動爪を爪車方向に押付けるねじりばねによつてと
もに爪車の歯に押付けるようにされているので駆
動部の構成が簡単である。しかも補助爪は爪車の
歯に押付けられるから摩擦力は強く、かつ補助爪
の回動半径が長いから小さい力でも動作は拡大さ
れ爪車に強く作用し、十分その目的を達すること
ができる。また、電動操作も手動操作も自在にで
きるという優れた装置である。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は従来のしや断器操作用蓄
勢器の駆動装置の一例を示し、第１図は一部切欠
き側面図、第２図は第１図の正面図、第３図は第
２図におけるＸ−Ｘ線に沿う拡大断面図、第４図
は作動状態を示すための略構成配置結線図、第５
図および第６図は本発明によるしや断器操作用蓄
勢器の駆動装置の一実施例を示し、第５図は側面
図、第６図は第５図におけるＹ−Ｙ線に沿う正面
断面図、第７図ａ，ｂおよびｃは、それぞれ本発
明に使用する駆動爪の実施例を示す平面図、正面
図および側面図、第８図ａおよび第８図ｂは本発
明の実施例における駆動爪と補助爪との結合関係
を拡大して示す側面図および正面図である。 １……蓄勢軸、８……蓄勢ばね、１１……爪
車、１５……爪車の歯、１６……爪車の歯の欠落
部、１７……駆動部、１９……リンク軸、２０…
…駆動爪、２２……駆動電動機、２３……ばね、
２４……摩擦片、２９……ピン、３０……補助
爪、３１……支持レバー、３２……支持爪、４４
……しや断器の開閉軸。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 蓄勢ばねを蓄勢する蓄勢軸と、この軸に間欠
   結合され周囲に一部が欠落した歯を有する爪車
   と、先端がこの爪車の歯に作用し電動機により往
   復運動させられて爪車を歩進運動させる駆動爪を
   有する駆動部と、前記爪車の逆転を阻止する支持
   爪とを備え、前記蓄勢ばねの蓄勢終了時に前記爪
   車に対する作用を消滅させるため前記駆動爪を前
   記爪車の歯の欠落部の位置におくようにしたもの
   において、前記駆動部に、先端が前記爪車を歩進
   運動させるようにこの爪車の歯に前記駆動爪と間
   隔をおいて作用する補助爪を設け、この補助爪を
   前記駆動爪と共通に前記電動機により往復運動さ
   せるようにしてなることを特徴とするしや断器操
   作用蓄勢器の駆動装置。 ２ 特許請求の範囲第１項に記載のものにおい
   て、支持爪がこのしや断器の開閉軸により回動範
   囲を規制され、かつ蓄勢軸に対して回動自在な支
   持レバーに取付けられるとともに、この支持爪を
   駆動部として前記支持レバーにより爪車を手動で
   駆動するようにしたことを特徴とするしや断器操
   作用蓄勢器の駆動装置。