JP4437630B2 - 開閉装置のばね蓄勢機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、開閉装置の操作機構に関するものであり、特に、ばね蓄勢機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は、従来の開閉装置のばね蓄勢機構の構成を示す概略図である。なお、図7は、開閉装置が閉路状態にあり、また開路状態から閉路する準備が完了した状態を示している。図7において、開閉装置のばね蓄勢機構1は、図示しない電動機の回転動力を出力する出力歯車2と、この出力歯車2に歯合された動力伝達歯車3と、この動力伝達歯車3が支持固定されている回転軸4と、動力伝達歯車3に回転自在に接続され、閉路時に図示しない投入ばねの弾性エネルギを動力伝達歯車3に伝達して動力伝達歯車3を時計方向に回転させるリンク機構部5と、回転軸4に固定され、閉路時に動力伝達歯車3とともに時計方向に回転するカム6と、閉路時にカム6が時計方向に回転して衝突することにより回動し、連動した可動接点7を移動させて固定接点8に当接させるレバー9とを備えている。
【0003】
リンク機構5は、動力伝達歯車3の一面に設けられた連結ピン10に一端部が回転自在に設けられたリンク11と、このリンク11の他端部に一端部が回転自在に設けられ、他端部が投入レバー軸12に支持固定された投入レバー13とを有している。投入レバー軸12は図示しない投入ばねに接続されており、投入ばねが投入レバー軸12に回転力を与えるように構成されている。ここで、図7に示すような投入ばねに弾性エネルギが蓄積されているときは、投入レバー軸12は反時計方向に付勢されており、また、投入レバー13が反時計周りに回転したときに、連結ピン10が回転軸4を中心に時計周りに回転するように連結ピン10は上死点から少しずれた位置に設けられている。
【0004】
カム6は、側面にカム係止ピン14が設けられており、投入ラッチ軸15に支持固定された投入ラッチ16の係止部16aにカム係止ピン14が係止されている。投入ラッチ軸15は時計周りに回転するよう付勢されており、カム係止ピン14との係止が外れないように構成されている。投入ラッチ16に連動している投入トリガ機構17は、閉路時に投入ラッチ軸15の時計周りの付勢力に抗して投入ラッチ軸15を中心に投入ラッチ16を反時計周りに回動させて投入ラッチ16のカム係止ピン14への係止を外すものである。
【0005】
レバー9は、レバー軸18に回動自在に設けられ、このレバー9の側面端部にレバー係止ピン19が設けられている。このレバー係止ピン19は引き外しラッチ軸20に支持固定された引き外しラッチ21の係止部21aに係止されている。レバー9は図示しないレバーばねによって反時計周りに回動するように付勢され、また、引き外しラッチ軸20は時計周りに回動するよう付勢されており、レバー係止ピン19との係止が外れないように構成されている。引き外しラッチ21に連動している引き外しトリガ機構22は、開路時に引き外しラッチ軸20の時計周りの付勢力に抗して引き外しラッチ21を引き外しラッチ軸20を中心に反時計周りに回動させて引き外しラッチ21のレバー係止ピン19への係止を外すものである。
【0006】
動力伝達歯車3は、投入レバー軸を反時計周りに回転させる投入ばねの弾性エネルギが蓄積されて投入ラッチ16の係止部16aがカム係止ピン14に係止された状態、即ち図7に示す状態で出力歯車2に噛み合う部分にくるようなクラッチ機構部23を有している。
図8は、クラッチ機構部23が出力歯車2に歯合した状態を示す要部断面図である。図8において、クラッチ機構部23は、動力伝達歯車3の周縁部分に設けられた凹部24と、この凹部24に固定されたピン25と、ピン25に回動自在に設けられた同期片26と、同期片26及び凹部24の底部の間に縮められて介在し、同期片26が凹部24の底部から離れる向きに付勢されている圧縮ばね27とを有している。同期片26は2つの爪を有しており、図8に示す状態から反時計周りに回動しないようになっている。従って、出力歯車2が反時計周りに回転すると、同期片26は圧縮ばね27の弾性反発力に抗してピン25を中心に時計周りに回動し、出力歯車2と動力伝達歯車3との噛み合いが外れ、動力伝達歯車3は回転しないようになっている。一方、動力伝達歯車3が時計周りに回転すると、同期片26はピン25を中心に時計周りには回動せず、動力伝達歯車3と出力歯車2とは噛み合った状態のままで、出力歯車2を反時計周りに回転させるようになっている。
【0007】
このような構成の開閉装置のばね蓄勢機構1は、以下のような動作を行う。即ち、まず、図7に示す閉路状態から開路動作を行う場合、引き外しトリガ機構22が引き外しラッチ21を引き外しラッチ軸20を中心に反時計周りに回動させ、係止部21aがレバー係止ピン19から外れる。引き外しラッチ21の係止が外れたレバー9は、レバー軸18を中心に付勢されている反時計周りに回動する。この回動によりレバー9に連結された可動接点7が固定接点8から離れる向きに移動し、開路動作が完了する。
【0008】
次に、開路状態から閉路動作を行う場合、投入トリガ機構17が投入ラッチ16を投入ラッチ軸15を中心に反時計周りに回動させ、係止部16aがカム係止ピン14から外れる。カム6は、回転軸4に動力伝達歯車3とともに固定され、動力伝達歯車3はリンク機構部5により時計周りに回転するように付勢されているので、投入ラッチ16の係止が外れると、投入レバー13が投入レバー軸12を中心に反時計周りに回動し、この回動力がリンク11を介して動力伝達歯車3を時計周りに回転させ、それとともにカム6も回転軸4を中心に時計周りに回転する。時計周りに回転したカム6は、開路状態の位置にあるレバー9に衝突し、更にカム6は回転し続けレバーばねによる付勢に抗してレバー9をレバー軸18を中心に時計周りに回動させる。このレバー9の回動によりレバー9に連結された可動接点7が固定接点8に向かって移動し当接する。
【0009】
その後、電動機に連結された出力歯車2が電動機の駆動により反時計周りに回転し、動力伝達歯車3を時計周りに回転させる。動力伝達歯車3の時計周りの回転に伴って、投入レバー13は投入レバー軸12を中心に時計周りに回動し、投入レバー軸12に接続された投入ばねに投入レバー13を反時計周りに回動させる弾性エネルギが蓄積されていく。この弾性エネルギが蓄積されたところで、カム6のカム係止ピン14が投入ラッチ16の係止部16aに係止され、また、動力伝達歯車3のクラッチ機構部23が出力歯車2と噛み合う位置に到達し、図7に示す状態にもどる。このとき、出力歯車2は慣性の影響でその後も回転し続けるが、クラッチ機構23の同期片26がピン25を中心に揺動することにより出力歯車2の回転力を吸収し、出力歯車2の回転力を動力伝達歯車3に伝達しない。従って、動力伝達歯車3は常に同一位置に停止して投入ばねに同一量の弾性エネルギを蓄積し、また、動力伝達歯車3の強制的な停止により出力歯車2の回転力が動力伝達歯車3及び投入ラッチ16等に破損を与えることを回避する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、出力歯車2の回転が停止するまでは、同期片26が揺動することにより出力歯車2と同期片26とが繰り返し衝突し、騒音が発生するとともに、出力歯車2及び同期片26が破損する可能性がある。これを防止するための一例として出力歯車2及び同期片26の材質及び加工方法等により頼る場合もあるが、この場合には、出力歯車2及び同期片26が高価になるという問題点があった。
【0011】
そこでこの発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするもので、騒音及び破損の発生を防止するとともに安価な開閉装置のばね蓄勢機構を得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る開閉装置のばね蓄勢機構は、ばねに蓄積された弾性エネルギを放出することにより開路又は閉路動作を行う開閉装置のばね蓄勢機構であって、前記ばねに前記弾性エネルギを蓄積するための動力を伝達する出力歯車を有した動力発生手段と、前記動力発生手段が回転自在に支持された支持軸と、前記出力歯車に歯合された動力伝達歯車と、前記動力伝達歯車が支持固定された回転軸と、前記回転軸側面に設けられ、前記回転軸から外側に向かって突出した突出部材と、前記回転軸に固定されているとともに前記ばねに連動し、前記ばねが前記弾性エネルギを放出することにより前記回転軸を中心に回転するカムと、前記カムが回転して衝突することにより回動し、連動した可動接点を固定接点から離間させ、又は前記固定接点に当接させて前記開路又は閉路動作を完了させるレバーとを備え、前記回転軸とともに回転する前記突出部材が前記動力発生手段に接触し前記動力発生手段を押すことにより前記動力発生手段が前記支持軸を中心に回動し、前記ばねに前記弾性エネルギが蓄積された時に前記出力歯車は前記動力伝達歯車から完全に離れるようになっている。
【0013】
また、前記動力発生手段は、電動機と、前記電動機が発生する回転動力を前記出力歯車に伝達する減速機とを有したものである。
【0014】
また、前記動力発生手段の近傍に前記電動機に電気的に接続された検出スイッチが設けられ、前記検出スイッチは、前記出力歯車が移動して前記動力伝達歯車から離れたときに前記電動機を停止させ、前記出力歯車が前記動力伝達歯車側に移動するときに前記電動機を駆動させるようになっている。
【0015】
また、前記減速機は、複数の歯車が歯合されて構成されており、前記歯車の軸の少なくとも1つをハンドルが係合できるような形状としたものである。
【0016】
また、前記ばねに前記弾性エネルギが蓄積された時に、前記出力歯車及び前記動力伝達歯車が互いに歯合する歯面の圧力角が前記支持軸からずれており、前記出力歯車が前記動力伝達歯車に押圧されて前記出力歯車及び前記動力伝達歯車の歯合が外れないようになっている。
【0017】
また、前記カムが前記ばねに対して上死点近傍又は下死点近傍にあるときに、前記出力歯車が前記動力伝達歯車から離れるようになっている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の実施の形態について説明するが、従来例のものと同一又は同等部材、部位は、同一符号を付して説明する。
【0019】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る開閉装置のばね蓄勢機構の構成を示す概略図である。図2は、図1のII−II線に沿った矢視断面の概略図である。
図3は、図1の矢印IIIの向きからの視図である。これら図において、開閉装置のばね蓄勢機構1は、ばねに蓄積された弾性エネルギを放出することによって開路又は閉路動作を行うものであって、投入ばね30に弾性エネルギを蓄積するための回転動力を伝達する出力歯車2を有した動力伝達手段である電動機ユニット31と、この電動機ユニット31が回転自在に支持された支持軸50と、出力歯車2に歯合される動力伝達歯車3と、この動力伝達歯車3が支持固定された回転軸4と、この回転軸4側面に設けられ、回転軸4から外側に向かって突出した突出部材32と、回転軸4に固定されているとともに投入ばね30に接続され、投入ばね30の弾性エネルギが放出されることにより回転軸4を中心に回転するカム6と、このカム6が回転して衝突することにより回動し、連動した可動接点7を移動させるレバー9とを備えている。
【0020】
電動機ユニット31は、電動機33と、電動機33の駆動軸に設けられてこの電動機33の回転力を複数の歯車を介して出力歯車2に伝達する減速機(図示しない)と、この減速機を覆ったケース35とを有している。この電動機ユニット31が回動自在に設けられた支持軸50は、出力歯車2の出力軸37と平行になっており、電動機ユニット31が一体となって、支持軸50を中心に回動するようになっている。図2に示すように、電動機ユニット31の両側面に隙間を介して支持構造体である第1フレーム36a及び第2フレーム36bが設けられており、第1フレーム36a及び第2フレーム36bは出力軸37の移動を案内する案内穴38を有している。この案内穴38は、電動機ユニット31が支持軸50を中心に回動したときに、出力軸37の移動を案内するとともに制限するもので、出力軸37はこの案内穴38内を往復移動できるようになっている。また、ケース35は、回転軸4の突出部材32に接触する接触部39を有している。さらに、ケース35には表面に押し圧ばね40が接触しており、この押し圧ばね40は常に出力歯車2が動力伝達歯車3側に押し当てられるように、ケース35を弾力的に押圧している。
【0021】
動力伝達歯車3は、図1において、投入ばね30に弾性エネルギを蓄積するときに、出力歯車2が時計周りに回転することによって、反時計周りに回転するものである。この動力伝達歯車3と出力歯車2との噛み合い部分において、互いの歯面が押し合う力の方向線A、即ち互いに歯合する歯面の圧力角が支持軸50から時計周りに回転した方向に少しずれており、これにより電動機33により駆動された出力歯車2が時計周りに回転すると、この回転力により出力歯車2が動力伝達歯車3側に押圧される向きに力が働くようになっている。
【0022】
回転軸4は、動力伝達歯車3及びカム6を支持固定するとともに支持軸50と平行に第1フレーム36a及び第2フレーム36bに設けられており、動力伝達歯車3及びカム6とともにこの回転軸4の軸線を中心に回転するようになっている。この回転軸4の突出部材32も回転軸4に固定されているので回転軸4が軸周りに回転すると突出部材32も回転し、ケース35の接触部39に接触するようになっている。
【0023】
突出部材32は、回転軸4がさらに反時計周りに回転してケース35を押しのけて出力歯車2が動力伝達歯車3から完全に離れるように突出部材32の突出長さが十分長くなっている。また、突出部材32は、投入ばね30に接続されたカム6が上死点より少し反時計周りに回転したところで出力歯車2が動力伝達歯車3から完全に離れるように形成されている。さらに、突出部材32は、出力歯車2が動力伝達歯車3から離れた状態から出力歯車2が動力伝達歯車3に互いに衝撃を受けないようなタイミングで歯合するように形状が設定されている。
【0024】
カム6の側面には、係止ボルト41が螺着されており、この係止ボルト41により投入ばね30の一端部がカム6に固定されている。投入ばね30は、他端部が図示しない支持構造に固定されている。係止ボルト41は、投入ばね30が伸びて弾性エネルギが蓄積された状態で、投入ラッチ16に係止されるようになっており、この係止ボルト41が投入ラッチ16に係止される直前で突出部材32により出力歯車2が動力伝達歯車3から完全に離れるようになっている。投入ラッチ16は、ラッチ軸42に回動自在に設けられており、時計周りに回動する向きに付勢されているが、従来例と同様の構成の図示しない投入トリガ機構に連動しており、閉路動作を行うときに、この投入トリガ機構により投入ラッチ16が時計周りの付勢力に抗してラッチ軸42を中心に反時計周りに回動するようになっている。
【0025】
レバー9は、レバー軸18に回動自在に設けられており、端部に閉路状態で引き外しラッチ21に係止される係止部材43を有している。レバー9は、レバー軸18を中心に反時計周りに回動する向きに付勢されており、閉路状態では引き外しラッチ21が係止部材43に係止することによって、レバー9は回動せず保持されている。この保持によりレバー9に連動した可動接点7は固定接点8に当接した状態を保持している。引き外しラッチ21は、ラッチ軸42に回動自在に設けられており、反時計周りに回動する方向に付勢されているが、従来例と同様の構成の図示しない引き外しトリガ機構に連動しており、開路動作を行うときに、この引き外しトリガ機構により引き外しラッチ21が反時計周りの付勢力に抗してラッチ軸42を中心に時計周りに回動するようになっている。
【0026】
次に、上記構成の開閉装置のばね蓄勢機構1の動作について説明する。
図1において、閉路状態から開路動作を行う場合、まず、図示しない引き外しトリガ機構によって引き外しラッチ21がラッチ軸42を中心に時計周りに回動し、引き外しラッチ21とレバー9の係止部材43との係止が外れる。引き外しラッチ21の係止が外れたレバー9はレバー軸18を中心に反時計周りに回動する。レバー9が反時計周りに回動すると、連動する可動接点7が固定接点8から離れる向きに移動して開路動作が完了する。
【0027】
開路状態から閉路動作を行う場合、まず、図示しない投入トリガ機構によって投入ラッチ16がラッチ軸42を中心に反時計周りに回動し、投入ラッチ16とカム6に固定された係止ボルト41との係止が外れる。カム16は、上死点より少し反時計周りに回転したところで投入ラッチ16で係止されていたので、投入ばね30の弾性引張り力により、投入ラッチ16の係止が外れたカム6は回転軸4を中心に反時計周りに回転する。カム6が反時計周りに回転すると、開路状態の位置にあるレバー9にカム6が衝突し、その後もカム6は、反時計周りにレバー9を押しながら回転し続け、レバー9の反時計周りの向きの付勢力に抗してレバー9をレバー軸18を中心に時計周りの向きに回動させる。時計周りに回動したレバー9は、連動した可動接点7を固定接点8に当接させ、ラッチ軸42を中心に反時計周りに付勢されている引き外しラッチ21が係止部材43に係止することによりレバー9が保持される。
【0028】
カム6が回転して投入ばね30の弾性エネルギが放出されると、この投入ばね30に弾性エネルギを蓄積するために電動機33が駆動し始め、出力歯車2が時計周りに回転する。出力歯車2が回転すると、出力歯車2に歯合している動力伝達歯車3が反時計周りに回転し、それとともにカム6も反時計周りに回転する。このとき、係止ボルト41も回転軸4を中心に反時計周りに回転し、係止ボルト41によってカム6に一端部が固定されている投入ばね30は伸びて弾性エネルギが蓄積されていく。
【0029】
図4は、突出部材32、出力歯車2及び動力伝達歯車3の動作関連を説明する模式図であり、図4(a)は突出部材32が接触部39に接触する直前の図、図4(b)は出力歯車2が動力伝達歯車3から離れる直前の図、図4(c)は出力歯車が動力伝達歯車3から完全に離れた図である。カム6が上死点より少し反時計周りに回転したところで、カム6とともに回転している突出部材32は、ケース35の接触部39に接触し、出力歯車2が動力伝達歯車3から離れ始める。このとき、カム6は投入ばね30の弾性引張り力により回転軸4を中心に反時計周りに回転する向きに付勢されているので、突出部材32は完全に出力歯車2が動力伝達歯車3から離れるまでケース35の接触部39を押して出力歯車2を移動させる(図4(a)、図4(b))。出力歯車2が動力伝達歯車3から完全に離れたところで、カム6に固定された係止ボルト41が投入ラッチ16に係止され、投入ばね30の弾性エネルギが蓄積された状態を保持し、次の閉路動作の準備が完了する(図4(c))。
【0030】
従って、投入ばね30の弾性エネルギが蓄積され係止ボルト41が投入ラッチ16に係止された状態になったときに動力伝達歯車3から出力歯車2が完全に離れているので、電動機33からの慣性による回転力が出力歯車2を介して動力伝達歯車3に伝達されることはなく、カム6を所定の位置に保持することができ、しかも、投入ラッチ16がカム6を強制的に停止させたときに電動機33からの慣性による回転力が出力歯車2を伝達して投入ラッチ16あるいは動力伝達歯車3等を破損させることを防止できる。このため、出力歯車2及び動力伝達歯車3の材質も特殊なものとする必要はなく、安価に出力歯車2及び動力伝達歯車3を作製できる。
【0031】
また、カム6が上死点から少し反時計周りに回転した上死点近傍で、出力歯車2が動力伝達歯車3から離れるようになっているので、出力歯車2と動力伝達歯車3とが互いに歯合する歯面の接触面圧が小さくなっており、容易にこれら出力歯車2と動力伝達歯車3との歯合が外れる。
【0032】
また、出力歯車2及び動力伝達歯車3の互いの歯面が押し合う力の方向が支持軸50より出力歯車2側にずれているので、出力歯車2が時計周りに回転することによって出力歯車2を動力伝達歯車3側に押す力が生じ、出力歯車2と動力伝達歯車3との歯合状態が向上する。
【0033】
また、押し圧ばね40によって出力歯車2が動力伝達歯車3側に弾性的に押圧されているので、一旦突出部材32により出力歯車2が動力伝達歯車3から離れても、再び速やかに、かつ、確実に出力歯車2及び動力伝達歯車3が歯合することができる。
【0034】
なお、上記実施の形態ではカム6は上死点近傍で投入ラッチ16に係止される形態であるが、下死点近傍で投入ラッチ16に係止されても構わない。この場合、投入ばね30に蓄積される弾性エネルギは投入ばね30を圧縮することにより蓄積され、カム6が下死点から少し反時計周りに回転したところで投入ラッチ16に係止されるようになる。
【0035】
また、上記実施の形態ではカム6は閉路動作の場合のみ動作するが、カム6がレバー9を移動させて可動接点7を固定接点8から離れるようにすれば開路動作にも適用できる。
【0036】
また、カム6は、投入ばね30が直接係止ボルト41によって固定されているが、投入ばね30の代わりに、従来例と同様に動力伝達歯車3に連結ピン10を固定し、この連結ピン10にリンク機構部5のリンク11を回動自在に設ける構成としても同様の効果を奏する。
【0037】
実施の形態2.
図5は、この発明の実施の形態2に係る開閉装置のばね蓄勢機構の構成を示す概略図である。図6は、図5の電動機ユニットの矢印VIの向きからの視図である。図5及び図6において、開閉装置のばね蓄勢機構1は、電動機ユニット31の近傍に設けられた検出スイッチである電気スイッチ44を備えている。電気スイッチ44は、電動機33に電気的に接続されており、出力歯車2が動力伝達歯車3から離れると、電動機ユニット31のケース35が電気スイッチ44に接触し、この電気スイッチ44がオン動作し、出力歯車2が動力伝達歯車3側に向かって移動すると、電動機ユニット31のケース35が電気スイッチ44から離れ、電気スイッチ44がオフ動作するようになっている。電動機33は、電気スイッチ44のオン動作により停止し、オフ動作により駆動するようになっている。また、電動機ユニット31は第1フレーム36a及び第2フレーム36bに回転自在に設けられた支持軸であるハンドル係合軸46に回転自在に設けられている。ハンドル係合軸46は、減速機における複数の歯車軸の内1本が延出されてケース35から露出されたものであり、その端部にはハンドルが係合できる突出ピン45が固着されている。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0038】
従って、ハンドル係合軸46は、実施の形態1における支持軸50と同様の働きをするとともに、ハンドルを係合させることによって手動でハンドル係合軸46を回転させてさせて出力歯車2を回転させることができるので、停電等により電力供給が遮断された場合でも、閉路動作あるいは開路動作を手動により行うことができる。
【0039】
また、ハンドル係合軸46は、減速機内の歯車軸を延出させたものであるので、ハンドル係合軸46を減速機内の歯車軸と兼用させて部品点数を増加させずに手動による開路動作あるいは閉路動作を行うことができる。
【0040】
また、電動機33による開路動作あるいは閉路動作の場合、出力歯車2を駆動する電動機33は、出力歯車2が動力伝達歯車3から離れると、電気スイッチ44がケース35の接触によりオン動作し電動機33を停止させ、出力歯車2が動力伝達歯車3側に向かって移動すると、電気スイッチ44がオフ動作して電動機33が駆動するので、電動機33の駆動動力を必要なときに自動的に供給でき、無駄な電力消費がなくなり、電動機ユニット31の寿命も長くなる。
【0041】
なお、ハンドル係合軸46は、ハンドルが係合できればどの様な形状でもよく、また、どの様な長さでもよい。従って、例えば、ハンドル係合軸46の端部に突出ピン45を設けなくても、軸断面形状を四角形にして、これに係合するハンドルを用いてもよいし、ハンドル係合軸46が延出してケース35から露出していなくても、ハンドルがケース35の内部に挿入できる形状であれば、ハンドル係合軸46は延出してケース35から露出していなくてもよい。
【0042】
また、減速機の歯車軸を2本以上をハンドル係合軸としてもよく、この場合は、支持軸としてのハンドル係合軸46は1本で、その他のハンドル係合軸は電動機ユニット31を支持していない構成となっている。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、この発明に係る開閉装置のばね蓄勢機構は、ばねに蓄積された弾性エネルギを放出することにより開路又は閉路動作を行う開閉装置のばね蓄勢機構であって、前記ばねに前記弾性エネルギを蓄積するための動力を伝達する出力歯車を有した動力発生手段と、前記動力発生手段が回転自在に支持された支持軸と、前記出力歯車に歯合された動力伝達歯車と、前記動力伝達歯車が支持固定された回転軸と、前記回転軸側面に設けられ、前記回転軸から外側に向かって突出した突出部材と、前記回転軸に固定されているとともに前記ばねに連動し、前記ばねが前記弾性エネルギを放出することにより前記回転軸を中心に回転するカムと、前記カムが回転して衝突することにより回動し、連動した可動接点を固定接点から離間させ、又は前記固定接点に当接させて前記開路又は閉路動作を完了させるレバーとを備え、前記回転軸とともに回転する前記突出部材が前記動力発生手段に接触し前記動力発生手段を押すことにより前記動力発生手段が前記支持軸を中心に回動し、前記ばねに前記弾性エネルギが蓄積された時に前記出力歯車は前記動力伝達歯車から完全に離れるようになっているので、前記弾性エネルギが蓄積された後に前記動力発生手段から前記動力伝達歯車に余分な動力を伝達することはなく、また、このときは前記出力歯車及び前記動力発生手段は互いに離れているので、騒音となることもないし、さらに、前記出力歯車及び前記動力伝達歯車は特殊な材質とすることなく安価に作製できる。
【0044】
また、前記動力発生手段は、電動機と、前記電動機が発生する回転動力を前記出力歯車に伝達する減速機とを有したので、容易に前記回転動力を発生することができ、前記出力歯車の所定の回転速度及び回転トルクを設定できる。
【0045】
また、前記動力発生手段の近傍に前記電動機に電気的に接続された検出スイッチが設けられ、前記検出スイッチは、前記出力歯車が移動して前記動力伝達歯車から離れたときに前記電動機を停止させ、前記出力歯車が前記動力伝達歯車側に移動するときに前記電動機を駆動させるようになっているので、自動的に前記電動機の駆動及び停止ができ、電力消費を低減するとともに前記動力発生手段の寿命を延ばすことができる。
【0046】
また、前記減速機は、複数の歯車が歯合されて構成されており、前記歯車の軸の少なくとも1つをハンドルが係合できるような形状としたので、停電等の電力供給が遮断された場合でも、前記ハンドルを前記歯車の軸に係合して、手動により閉路動作あるいは開路動作を行うことができる。
【0047】
また、前記ばねに前記弾性エネルギが蓄積された時に、前記出力歯車及び前記動力伝達歯車が互いに歯合する歯面の圧力角が前記支持軸からずれており、前記出力歯車が前記動力伝達歯車に押圧されて前記出力歯車及び前記動力伝達歯車の歯合が外れないようになっているので、前記ばねに前記弾性エネルギが蓄積されている途中で、前記出力歯車が前記動力伝達歯車から離れることはなく、確実に前記動力を前記ばねに前記弾性エネルギとして伝達することができる。
【0048】
また、前記カムが前記ばねに対して上死点近傍又は下死点近傍にあるときに、前記出力歯車が前記動力伝達歯車から離れるようになっているので、前記出力歯車と前記動力伝達歯車とが歯合する歯面の面圧が小さく、容易に前記出力歯車が前記動力伝達歯車から離れることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る開閉装置のばね蓄勢機構の構成を示す概略図である。
【図2】 図1のII−II線に沿った矢視断面の概略図である。
【図3】 図1の矢印IIIの向きからの視図である。
【図4】 突出部材、出力歯車及び動力伝達歯車の動作関連を説明する模式図であり、図4(a)は突出部材が接触部に接触する直前の図、図4(b)は出力歯車が動力伝達歯車から離れる直前の図、図4(c)は出力歯車が動力伝達歯車から完全に離れた図である。
【図5】 この発明の実施の形態2に係る開閉装置のばね蓄勢機構の構成を示す概略図である。
【図6】 図5の電動機ユニットの矢印VIの向きからの視図である。
【図7】 従来の開閉装置のばね蓄勢機構の構成を示す概略図である。
【図8】 図7のクラッチ機構部が出力歯車に歯合した状態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1 開閉装置のばね蓄勢機構、2 出力歯車、3 動力伝達歯車、4 回転軸、6 カム、7 可動接点、8 固定接点、9 レバー、30 投入ばね、31電動機ユニット(動力発生手段)、32 突出部材、33 電動機、44 電気スイッチ(検出スイッチ)、46 ハンドル係合軸。
Claims (6)
- ばねに蓄積された弾性エネルギを放出することにより開路又は閉路動作を行う開閉装置のばね蓄勢機構であって、
前記ばねに前記弾性エネルギを蓄積するための動力を伝達する出力歯車を有した動力発生手段と、
前記動力発生手段が回転自在に支持された支持軸と、
前記出力歯車に歯合された動力伝達歯車と、
前記動力伝達歯車が支持固定された回転軸と、
前記回転軸側面に設けられ、前記回転軸から外側に向かって突出した突出部材と、
前記回転軸に固定されているとともに前記ばねに連動し、前記ばねが前記弾性エネルギを放出することにより前記回転軸を中心に回転するカムと、
前記カムが回転して衝突することにより回動し、連動した可動接点を固定接点から離間させ、又は前記固定接点に当接させて前記開路又は閉路動作を完了させるレバーとを備え、
前記回転軸とともに回転する前記突出部材が前記動力発生手段に接触し前記動力発生手段を押すことにより前記動力発生手段が前記支持軸を中心に回動し、前記ばねに前記弾性エネルギが蓄積された時に前記出力歯車は前記動力伝達歯車から完全に離れるようになっていることを特徴とする開閉装置のばね蓄勢機構。 - 前記動力発生手段は、電動機と、前記電動機が発生する回転動力を前記出力歯車に伝達する減速機とを有したことを特徴とする請求項1に記載の開閉装置のばね蓄勢機構。
- 前記動力発生手段の近傍に前記電動機に電気的に接続された検出スイッチが設けられ、前記検出スイッチは、前記出力歯車が移動して前記動力伝達歯車から離れたときに前記電動機を停止させ、前記出力歯車が前記動力伝達歯車側に移動するときに前記電動機を駆動させるようになっていることを特徴とする請求項2に記載の開閉装置のばね蓄勢機構。
- 前記減速機は、複数の歯車が歯合されて構成されており、前記歯車の軸の少なくとも1つをハンドルが係合できるような形状としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の開閉装置のばね蓄勢機構。
- 前記ばねに前記弾性エネルギが蓄積された時に、前記出力歯車及び前記動力伝達歯車が互いに歯合する歯面の圧力角が前記支持軸からずれており、前記出力歯車が前記動力伝達歯車に押圧されて前記出力歯車及び前記動力伝達歯車の歯合が外れないようになっていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の開閉装置のばね蓄勢機構。
- 前記カムが前記ばねに対して上死点近傍又は下死点近傍にあるときに、前記出力歯車が前記動力伝達歯車から離れるようになっていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の開閉装置のばね蓄勢機構。
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