JPS64266B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、自動車の安全ベルト装置のベルトに
かかる力を吸収する装置であつて、摩擦ブレーキ
が設けられていて、該摩擦ブレーキにベルトが少
なくとも部分的に巻き掛けられている形式のもの
に関する。

自動車安全ベルト装置のベルトにかかる力を吸
収する装置においては大きく分けて２つの形式の
ものが公知である。第１の形式の装置では、ブレ
ーキ装置の作動によつてベルトが複数のクランプ
ジヨーの間で機械的に挟み付けられ、これによつ
てベルトがさらに引き出されることが阻止される
ようになつている。この場合クランプ過程におい
てベルトは数箇所で極めて強く押しつぶされ、こ
の結果長期にわたつて使用した場合又は極めて大
きな力が負荷された場合にベルトがクランプジヨ
ーに緊定されている箇所で損傷し、これによつて
ベルトが過度の負荷にもはや耐えられないという
危険が生じる。また安全ベルト用の別の公知のブ
レーキ装置では、ベルトは何回もブレーキローラ
の回りに部分的に巻き掛けられ、作用時につまり
大きな負荷が生じた場合にベルトにはベルト表面
とローラ表面との間の静止摩擦によつてブレーキ
がかけられるようになつている。この場合、ベル
トをスリツプしないように止めるためには相前後
して配置された幾つものブレーキローラが必要で
あり、このためには極めて大きなケーシングと高
い製作費が必要である。

ゆえに本発明の課題は、自動車の安全ベルト装
置のベルトにかかる力を吸収する冒頭に述べた形
式の装置を改良して、ベルトの損傷を回避しかつ
コンパクトな構造形式並びに正確に所定されたブ
レーキ力を有する装置を提供することである。

この課題を解決するために本発明の構成では、
装置ケーシング回動不能に取り付けられているベ
ルトが少なくとも部分的に巻き掛けられている少
なくとも１つの摩擦ローラと、装置ケーシングに
回転可能に支承されていてベルト端部を保持して
いるベルト巻取り機構と、ベルト巻取り方向で見
て最後の摩擦ローラの摩擦面とベルト巻取り機構
との間に、所定のばね力で常にベルトを挟み付け
るベルトクランプ機構とが設けられている。

本発明のように構成されていると、ベルトには
摩擦ローラによる摩擦ブレーキ効果とベルトクラ
ンプ機構によるクランプ力とが共に作用するの
で、所望のブレーキ効果を得るのに従来のように
多数の摩擦ローラを必要とせず、従つて装置全体
を小型化することができ、しかも多数のクランプ
ジヨーだけを用いた場合におけるようなベルトの
損傷を回避することができる。またブレーキ力
は、摩擦ローラ及びベルトの摩擦係数と摩擦ロー
ラにおけるベルトの巻掛け角度並びにベルトクラ
ンプ機構によるクランプ力とに基づいて所望のよ
うに正確に規定することができる。従つて例えば
緊急的にベルトに大きな負荷が作用すると、所定
の引出し力が克服された後でベルトは常に一定の
引出し力によつて本発明の装置から引き出される
ことになる。ベルト巻取り機構の貯え容量が使い
尽されると、有利には巻付けローラに止められて
いるベルト端部によつてベルトがさらに引き出さ
れることは阻止される。

本発明の有利な実施態様によれば、ベルトクラ
ンプ機構がばね力を調節可能なばね部材として構
成されている。ばね部材としては、装置本体に支
持されている成形ばねか又は移動可能な摩擦ロー
ラに直接的に作用するばね装置が用いられ得る。
後者の場合には摩擦ローラは同時にベルトクラン
プ機構として働く。

またベルトによつてそれぞれ部分的に巻き掛け
られている少なくとも２つの摩擦ローラが相前後
して配置されていると、本発明による装置の極め
て好都合な寸法並びに極めて良好なブレーキ効果
を得ることができる。

次に図面につき本発明の実施例を説明する。

図面に示されている力を吸収する装置を保持す
る構成部材は、取付け金具として構成された装置
ケーシング１である。この装置ケーシング１は、
固定孔３を備えた取付け付加部４を有する基板２
と直角に折り曲げられた側壁５とから成つてい
る。この側壁５には、間隔をおいて隣合つている
２つの摩擦ローラ７，８が四角形付加部６によつ
て回動不能に固定されている。両摩擦ローラ７，
８のそれぞれは摩擦係数の高に表面層を有してい
る。側壁５にはさらに巻取りローラ９が回転可能
に支承され、この巻取りローラ９にはフレキシブ
ルなベルト例えば織物ベルトの形で構成されたベ
ルト１０の貯え容量ないしは最大引出し長さが巻
き付けられている。ベルト端部１１は巻取りロー
ラ９に固定されている（詳示せず）。巻取りロー
ラ９は引戻しばね装置と結合されていてもよい。
ベルト１０は前後に接続されている摩擦ローラ
７，８に巻掛け角度α１及びα２で部分的に巻き
掛けられている（第１図並びに第２図参照）。ベ
ルト巻取り機構（巻取りローラ９）と摩擦ローラ
７との間においてベルトクランプ機構が装置本体
１に配置されている。ベルトクランプ機構はこの
実施例では成形ばね１２として構成されている
（第３図参照）。この成形ばね１２はクランプウエ
ブ１３と、装置ケーシング１において支持されて
いる側方の２つのばねアーム１４とを有してい
る。クランプウエブ１３は装置ケーシング１の押
圧し変形部１５のクランプ面に所定のばね力又は
押圧力で常に押し付けられている。調節機構又は
ロツク機構（図示せず）によつてベルトクランプ
機構を装置ケーシング１に対して調節し、これに
よつて前記ばね力を規定して変化させることがで
きる。成形ばね１２は装置ケーシング１と共働し
て所定のばね力でシートベルト１０をはさむ。ベ
ルトとしてロープが用いられる場合には押出し変
形部１５とクランプウエブ１３とが凹面状に構成
されていると有利である。限界負荷が規定されて
いると、シートベルトクランプ機構の挟付け箇所
におけるクランプ力が克服された場合に、ベルト
１０が引出し力を示す矢印１６の方向に引出され
る。この引出し力は正確に所定されることができ
る。巻掛け角度α1及びα2と固有の摩擦係数とに
応じて極めて一定の保持力（矢印１７参照）が生
ぜしめられる。この保持力はベルトクランプ機構
の寸法を相応に選択すること及びベルトクランプ
機構を調節することによつて調節されかつ正確に
規定されることができる。保持力（矢印１７）が
克服されると、ブレーキ装置が働き、これによつ
て正確に一定な引出し力が生ぜしめられ、この一
定な引出し力はベルト１０がベルト巻取り機構か
ら完全に引き出されるまで持続する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の力を吸収する装置の斜視図、
第２図は第１図に示した装置の縦断面図、第３図
は第１図並びに第２図に示した装置に用いられる
単体としてのベルトクランプ機構の斜視図であ
る。 １……装置ケーシング、２……基板、３……固
定孔、４……取付け付加部、５……側壁、６……
四角形付加部、７，８……摩擦ローラ、９……巻
取りローラ、１０……ベルト、１１……ベルト端
部、１２……成形ばね、１３……クランプウエ
ブ、１４……ばねアーム、１５……押出し変形
部、１６，１７……矢印。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 自動車の安全ベルト装置のベルトにかかる力
   を吸収する装置であつて、摩擦ブレーキが設けら
   れていて、該摩擦ブレーキにベルトが少なくとも
   部分的に巻き掛けられている形式のものにおい
   て、 装置ケーシング１に回動不能に取り付けられて
   いてベルト１０が少なくとも部分的に巻き掛けら
   れている少なくとも１つの摩擦ローラ７，８と、 装置ケーシング１に回転可能に支承されていて
   ベルト端部１１を保持しているベルト巻取り機構
   と、 ベルト巻取り方向で見て最後の摩擦ローラ７の
   摩擦面とベルト巻取り機構との間に、所定のばね
   力で常にベルト１０を挟み付けるベルトクランプ
   機構とが設けられていることを特徴とする、自動
   車の安全ベルト装置のベルトにかかる力を吸収す
   る装置。 ２ ベルトクランプ機構がばね力を調節可能なば
   ね部材として構成されている、特許請求の範囲第
   １項記載の装置。 ３ ベルトクランプ機構が成形ばね１２として構
   成され、この成形ばね１２がベルト１０を装置ケ
   ーシング１に向かつて押し付けている、特許請求
   の範囲第２項記載の装置。 ４ 装置ケーシング１に対して緊締される摩擦ロ
   ーラ７がベルトブレーキ機構として働いている、
   特許請求の範囲第１項記載の装置。 ５ ベルト１０がそれぞれ部分的に巻き掛けられ
   ている少なくとも２つの摩擦ローラ７，８が相前
   後して配置されている、特許請求の範囲第１項記
   載の装置。 ６ 単数又は複数の摩擦ローラ７，８が摩擦係数
   の高い表面層を有している、特許請求の範囲第１
   項記載の装置。 ７ ベルト巻取り機構として巻取りローラ９が設
   けられ、この巻取りローラ９にベルト端部１１が
   固定されている、特許請求の範囲第１項記載の装
   置。