JPS642590Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、作物を刈取り一定量の束に結束した
上で機体側方の既刈地に放出させるためのバイン
ダーに関するものである。

この種バインダーにあつては、刈取位置から結
束位置を経て放出位置に至る作物の搬送通路の巾
はこれが搬送板の配設位置によつて決定されてい
るのであり、従来のバインダーにおいては、稲の
みを刈取結束することを前提として、搬送板を搬
送通路が稲に最適する巾となるような位置に一定
不変に固定しているのである。

したがつて、従来のバインダーによれば、稲又
はこれに類する形状の作物はこれを良好に刈取結
束し得るが、稲よりもボリユームのある作物例え
ば分枝が大きく広がつている大豆・麦・ソバ・ス
テビアといつた作物は、搬送通路の巾がこれらの
作物にとつて狭すぎることから、裂莢といつたよ
うに不測に作物を損傷させる虞れがあつて、これ
を良好に刈取結束し得ないのであつた。

本考案は、上記の実情に鑑み、作物の搬送通路
の巾を作物に合せて変更調節しうるバインダーを
提供し、もつて一台のバインダーでもつて稲のみ
ならず大豆等のボリユームある作物をも良好に刈
取結束しうるよう図つたものである。

この課題を解決した本考案のバインダーは、特
に、搬送板を機体の適所に適宜の取付手段を介し
て機体の前後且つ左右方向に移動調節可能に取付
けたものである。

次に実施例を図について説明すると、図におい
て、１は、植立せる作物を、引起装置２のタイン
３の作用により引起した上刈刃装置４により刈取
り、刈取つた作物を、後方へと若干傾斜状の搬送
板５でもつて案内させながら、刈取装置から結束
装置６に至る作物の搬送通路１６をパツカー７の
作用によりドア８方向へ移送させ、該ドア８に一
定量の作物が詰込まれると、この集束された作物
をニードル９及び結節部１０の協働作用により結
束し、しかる後結束された作物を、ドア８の開動
により開放された搬送通路１６の終端位置つまり
放出位置から放出アーム１１の作用により機体側
方の既刈地に放出させるよう、通例のものと同様
構造に構成されたバインダーであるが、このバイ
ンダー１にあつては、特に本考案に従つて、前記
搬送板５を、機体の適所に適宜の取付手段１２を
介して機体の前後方向且つ左右方向に移動調節可
能に取付けてあるのである。

すなわち、この実施例のものでは、前記取付手
段１２が、第４図に示す如く、段差間隔を₁と
する下段の第１取付部１３ａと上段の第２取付部
１３ｂとを有する階段形状に金属平板を折曲成形
すると共に、適当間隔₂を隔てて両取付部１３
ａ，１３ｂの裏面部に各第１ナツト１４ａ第２ナ
ツト１４ｂを溶着してなる取付金具１３を、第
１，２図に示した如く、引起装置２の未刈地側の
引起ケース１５の裏面部１５ａに適当間隔を隔て
た複数箇所（実施例では三箇所）に位置せしめて
溶着固定して、構成されている。

そして、前記搬送板５が、該搬送板５の未刈地
側の側端縁部５ａを、前記各第１ナツト１４ａ又
は各第２ナツト１４ｂにボルト１７，１７，１７
を螺着して、前記各取付金具１３の第１取付部１
３ａ又は第２取付部１３ｂに固定することによつ
て、第２図位置又は該位置から後方向へ距離₁
且つ未刈地方向へ距離₂だけ平行移動された第
３図位置に選択的に位置されるようなされている
のである。

なお、前記各取付金具１３の引起ケース１５へ
の取付位置は、第１取付部１３ａにその側端縁部
５ａを取付けたときにおける搬送板５でもつて形
成された搬送通路１６の巾が、通例のものにおけ
ると同様に稲を刈取結束するに最適となるよう
に、設定しておくものであり、前記取付金具１３
の第１取付部１３ａと第２取付部１３ｂとの間隔
₁及び第１ナツト１４ａと第２ナツト１４ｂと
の間隔₂は、第２取付部１３ｂに取付けたとき
における搬送板５でもつて形成された搬送通路１
６の巾が、分枝が大きく広がつている大豆・麦等
の作物を良好に移動せしめうる程度となるよう、
設定してる。

したがつて、本考案に従つて以上のように構成
されたバインダー１によれば、搬送板５を、その
側端縁部５ａを各取付金具１３の第１取付部１３
ａに取付けて、第２図位置に位置せしめておく
と、搬送通路１６が通例のものと同様とされるの
で、通例のものと同様に稲を良好に刈取結束しう
るのである。

そして、大豆・麦・ソバ・ステビア等のボリユ
ームある作物を刈取結束する場合には、搬送板５
を前記各取付金具１３の第２取付部１３ｂに取付
けて第３図位置に位置せしめておくと、搬送通路
１６の巾が上記の場合よりも₁だけ拡張され、
さらに搬送通路１６の入口部１６ａの巾も₂だ
け拡張されることになるので、大豆等の作物をも
良好に刈取結束しうるのである。

すなわち、搬送通路１６の巾が₁だけ拡張さ
れたことによつて、パツカー７の作用による作物
の移送が円滑に行われると共に、放出アーム１１
の作用によつて結束作物に与えられる衝撃力が緩
和され、且つ、搬送通路１６の巾が₁だけ拡張
された上に該搬送通路１６の入口部１６ａの巾も
₂だけ拡張されたことによつて、刈刃装置４に
より刈取られた直後に前記入口部１６ａの搬送板
５に受止められた作物が、引起し作用終了後引起
ケース１５に没入しようとするタイン３によつて
扱かれる虞れがないので、従来のバインダーを用
いて刈取結束を行つた場合に比して、作物の損傷
が極めて少なくなるのである。

なお、上記実施例においては、取付手段１２
を、第１取付部１３ａ及び第２取付部１３ｂを備
えた階段形状の取付金具１３を引起ケース１５の
裏面部１５ａに溶着固定して構成した例を示した
が、他の実施例においては、図示していないが、
稲を刈取結束するときには、搬送板５を直接引起
ケース１５に着脱自在に取付けて第２図位置に固
定し、大豆等のボリユームある作物を刈取結束す
るときには、搬送板５を、第３図位置の如き通路
１６巾を拡張しうる位置に位置せしめるべく、引
起ケース１５に着脱自在とされた適当形状の取付
金具を介在させて、引起ケース１５に間接的に取
付けうるよう構成しても良く、この場合、形状の
異なつた取付金具を数種類用意しておくならば、
搬送板５の位置したがつて搬送通路１６の巾を数
段階に亘つて変更調節でき、刈取結束しようとす
る作物に最適する搬送通路１６を形成し得て有利
である。また、搬送板５は、これを上記実施例の
如く引起ケース１５のみに取付けただけでも、強
度的に充分であり所定の位置に固定されうるもの
であるが、引起ケース１５の他の機体部分にも取
付けるよう構成することも勿論可能である。

何れにしても、以上の説明からも明らかなよう
に、本考案のバインダーは、搬送板を機体の前後
方向且つ左右方向に移動調節可能に取付けて、作
物の種類に応じて搬送通路を拡張調節しうるよう
構成してあるので、稲のみならず大豆・麦・ソ
バ・ステビアといつたボリユームのある作物を
も、良好に刈取結束しうる極めて実用性に富むも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のバインダーの一実施例を示し
た側面図、第２，３図はバインダーの前部のみを
取出して示した一部縦断拡大平面図（断面は第１
図の−線に沿う。）、第４図は要部の斜視図で
ある。 １…バインダー、５…搬送板、１２…取付手
段、１５…引起ケース（機体）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前部に引起装置、その後方下部に刈取刃装置、
   前記引起装置から後方へ機体長手方向に搬送され
   た作物を放出方向の横方向へ略Ｌ字状に案内する
   平面視略Ｌ字状の搬送板を有するバインダーにお
   いて、搬送板を、その前方に形成される搬送通路
   における引起装置例で平面視略機体長手方向の搬
   送面を有するその始端部を、機体の前後方向且つ
   左右方向に取付位置を移動調整可能とする取付手
   段を介して機体の適所に取付けたことを特徴とす
   るバインダー。