JPS642020B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、スロツトを有する環状鉄心の一部又
は全部のスロツト毎の継鉄部に、いわゆるトロイ
ダル状巻線を施してなる回転電機の固定子に関
し、中でも巻線をトロイダル巻線機によらずに行
なう為に鉄心を直径を含む面で２分割して用い
る、分割鉄心に関するものである。

電動機固定子の巻線は、一般に環状鉄心の内側
に設けたスロツトからスロツトへ、予め型巻した
巻線を、その両端部を鉄心端面から軸線方向外側
へ突出させて挿入している。しかし、この方法で
は、鉄心積厚に比し大きなコイルエンド部が生
じ、電動機出力の割に軸方向に長い電動機となつ
ている。これを鉄心のスロツト毎の継鉄部に直接
巻線を巻装するいわゆるトロイダル状巻線にする
と、コイルエンド高さは大巾に短縮でき、その分
扁平な電動機を得る事ができる。

通常、環状の被巻線体にトロイダル巻線を施す
には、トロイダル巻線機が必要である。この巻線
機は、その貯線環を環状の被巻線体と交差する様
にセツトした後、所要の電線を貯線環に一担巻き
とり、次いで貯線環を逆転させ、貯線した電線を
はき出しつつ前記被巻線体に巻線をしてゆくので
あるが、作業性が極めて悪く、巻線速度も小さい
ため多数回の巻回を必要とする電動機等の回転電
機の巻線には適していない。

トロイダル巻線機に代わる方法として、被巻線
体である鉄心を分割して、各分割鉄心のスロツト
毎に通常行なうフライヤー巻線を施すことが特願
昭51−98031号等により提案されている。この方
法によれば、分割鉄心を接合する点を除けば、従
来困難であつたトロイダル状巻線を、簡単にかつ
高速で行なう事ができ有用である。

ところが、この鉄心の接合については種々の問
題が発生する。まず通常考えられるのが第１図の
如く、分割鉄心１，１′の接合部に凹凸部２を設
けてかみ合せる方法であるが、これは両者をかみ
合せる為に必ず隙間が必要で、この隙間が磁気抵
抗となつて電動機特性に影響を与える。更に両者
の寸法精度の管理に注意を払わないと品質にバラ
ツキを生じるなどの重要な問題を含んでいた。

次に考えられる方法は第２，３図の如く分割面
外側に突起３を設け、この部分の先端部３ａを溶
接するなどして接合すると共に分割面は平坦にす
ることである。しかし、この方法では、前述の問
題点はある程度改善されるが、今度は分割面外側
に設けた突起３のために、鉄心のクランプ後の搬
送時等に環状体として扱えず工夫を必要とする。
又、巻線完了後の搬送についても同様のことが考
えられ、自動供給、搬送、ハンドリング、組立ラ
インを設ける場合に、突起３のあることが障害に
なるという別の問題が発生する。又この突起３が
別の巻線部に接触して、その巻線を損傷するなど
の品質上の問題をも抱えている。

又、鉄心の製作上、打抜金型の形状が複雑にな
り、高価で、保守に手間がかかる。

本発明はこれら諸点の改善のためになされたも
のである。

本発明の実施例の平面図を第４図に、斜視図を
第５図に示す。第４図において、分割鉄心４及び
４′は接合すると、Ｏを中心として内径は真円を
形成する様に作られている。そして、この時、外
周は、中心Ｏより両側にＡだけ離れた点Ｐ，P′を
中心として、半径Ｒの半円を描き、分割面５と直
角の位置で両半円を直線で滑かに結んだ長円を形
成している。従つて、継鉄部の巾は分割面５と直
角方向のＸに対して分割面近傍ではＹ≒Ｘ＋Ａと
なり、およそＡだけ広く構成される。

又、分割面近傍には凹部６が形成され、これに
よつて分割面側に生じる凸部７は、第６図に示す
如くその先端部の巾Ｂより根元部の巾Ｃの方が大
きくなる様に、すなわち平坦な分割面５に対して
勾配をもつように形成されている。

第７図〜第１２図は本発明の他の実施例を示す
もので、第７図においては、鉄心の外周形状を第
４図の如く長円形状から楕円形状としたものであ
る。

すなわち、鉄心の内径中心Ｏから分割面と直角
方向外周までの距離をＲ、前記中心から分割面外
周までの距離をR′とし、R′−Ｒ＝Ｚとした時、
鉄心の外周形状が、前記中心Ｏから分割方向両側
へ等距離Ａだけ離した点Ｐ，P′を中心として
〔（Ｒ＋Ｚ）−Ａ〕を半径とする円弧とＯを中心と
してＲを半径とする円弧を接線で結ぶか、円弧で
滑かに結んで形成している。

第８図、第９図は、分割面近傍に形成する凹部
６を、半円あるいはＵ字状に形成したものであ
る。又、第１０図は凹部６を設けたことにより形
成される凸部７の根元部に分割面と直角方向の溝
を設けたものであり、第１１図は凹部６を形成す
る分割面から遠い側の壁面に溝を設けたものであ
り、さらに第１２図は凹部６を形成する壁面に段
部を設けたものである。

なお、本発明はトロイダル巻線を施す電動機用
であるから、Ｘに対するＹの値を必要以上に大き
くとるならば、その部分の巻線長が長くなり銅量
増を招いて、トロイダル巻線のメリツトを相殺す
る事になる。従つてＹとＸの差すなわちＡは必要
最少限に止める事が重要である。

分割鉄心の形状を以上の如くすることで次の様
な効果が生しる。

１ トロイダル巻線機によらずにトロイダル巻線
が行なえる。

２ 分割面接合時の磁気抵抗の増加を分割部断面
積増により低減できる。

３ 鉄心外周に不要な突起がないので、環状鉄心
として取扱える。

４ 凹部を利用して自動搬送時やハンドリング時
等にチヤツキング位置決め等ができる。

５ 外周に突起がないので、巻線終了後の他の巻
線を傷つけたりしない。

６ 外周に突起を設けるものに比べ、鉄心打抜き
型の形状が簡単になり、型代が安価で、かつ補
修が容易に行なえる。

７ クランプ用の溶接部を凹部内に設ける事で、
溶接歪による鉄心変形や溶接ビードのみ外周へ
の盛上りを防止でき、溶接クランプがやり易く
なる。

８ 分割面両側の凹部を利用して簡単な部品で仮
接合が出来、巻線等の作業性が向上する。

９ 巻線時に分割面の凸部を利用して巻線機にチ
ヤツキングすると、より強固で安定なチヤツク
が可能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の分割鉄心の接合例を示す説明
図、第２図は別の従来の接合例を示す説明図、第
３図は第２図に示す鉄心の斜視図、第４図は本発
明の実施例にかかる鉄心の平面図、第５図は同鉄
心の斜視図、第６図は第４図の分割部の拡大平面
図、第７図は本発明の別の実施例にかかる鉄心の
外周形状を示す凹部を省略した平面図、第８図〜
第１２図は本発明の他の実施例における分割部の
部分平面図である。 ４，４′……分割鉄心、５……分割面、６……
凹部、７……凸部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 歯部を有する環状鉄心を直径を含む面で２分
   割し、この鉄心の外周を、分割鉄心の分割方向の
   外径が分割面と直角方向の外径より大きい非円形
   に形成し、前記分割鉄心の外周の分割面近傍にチ
   ヤツキング用の凹部を設けた回転電機の固定子鉄
   心。 ２ 鉄心内径中心から凹部底までの距離を、分割
   面と直角方向の半径以上としてなる特許請求の範
   囲第１項記載の回転電機の固定子鉄心。 ３ 鉄心外周を、鉄心の内径中心Ｏから分割面と
   直角方向外周までの距離をＲ、前記中心Ｏから分
   割面外周までの距離をR′とし、R′−Ｒ＝Ｚとし
   た時、鉄心の外周形状が、前記中心Ｏから分割方
   向両側へ等距離Ａだけ離した点Ｐ，P′を中心とし
   て〔（Ｒ＋Ｚ）−Ａ〕を半径とする円弧とＯを中心
   としてＲを半径とする円弧を接線で結ぶか、円弧
   で滑かに結んで形成してなる特許請求の範囲第１
   項記載の回転電機の固定子鉄心。 ４ Ｚ＝Ａに設定してなる特許請求の範囲第３項
   記載の回転電機の固定子鉄心。