JPS639381Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ワイヤカツト放電加工に供される被
加工部材の装着治具に関し、詳しくは、ワイヤカ
ツト放電加工機の被加工部材装着部位への被加工
部材の装着に際し、同時に複数の被加工部材の固
定及び被加工部材のワイヤ通し孔の配置位置設定
及び芯出を容易とするワイヤカツト放電加工用被
加工部材装着治具にかかる。

〔従来の技術〕

ワイヤカツト放電加工とは、垂直に配設したワ
イヤに放電加工液を流しつつ高電流を通電した状
態で被加工部材を固定し、上下部に連結されたワ
イヤを上部に移送されながらプログラムに沿つて
移動させることによつて、ワイヤ周辺部の金属を
放電作用により加工切除して所定の形状とする電
気加工技術である。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ワイヤカツト放電加工に際して、ワイヤカツト
放電加工機の被加工部材装着部位に被加工部材を
固定する場合、被加工部材の平行度、垂直度、移
動ガイドの移動範囲等を調整した上で固定する必
要があり、また、被加工部材のワイヤ通し孔の配
置位置設定及び芯出を行う必要があることから、
被加工部材をワイヤカツト放電加工機の被加工部
材装着部位に装着するためには、多くの時間を要
するという問題点があつた。

とりわけ、小物被加工部材をワイヤカツト放電
加工する場合には、加工時間が短いことから作業
者はワイヤカツト放電加工機を常に監視している
必要があり、無人稼働とすることができないとい
う問題点があつた。

また、複数の被加工部材をワイヤカツト放電加
工する場合、小物被加工部材においては被加工部
材をワイヤカツト放電加工するための移動ガイド
の移動量が限定されることから、ワイヤカツト放
電加工が困難となるという問題点があつた。

本考案は、上述のような従来技術の問題点を解
決するためになされたもので、ワイヤカツト放電
加工において、ワイヤカツト放電加工機の被加工
部材装着部位に対して、複数の被加工部材を容易
に装着可能とするとともに、被加工部材のワイヤ
通し孔の配置位置設定及び芯出を容易としたワイ
ヤカツト放電加工用被加工部材装着治具を提供す
ることを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

このような目的は、本考案によれば、ワイヤカ
ツト放電加工する被加工部材を少なくとも１つ以
上装着するための、隣接した枠部材と平行状をな
し対向する枠部材を連結する連結部材を有する方
形形状をなすとともに、連結部材及びそれと平行
な枠部材に設けられたＴ溝には、前記対向する枠
部材に対し平行摺動自在であり、Ｔナツト等の固
定手段により固定可能に配置されたスライド板
と、前記対向する枠部材を貫通して外側部から内
側部方向に移動自在に螺合されたボルト等の押圧
手段により方形形状枠部材内に配置された被加工
部材を固定することを特徴とするワイヤカツト放
電加工用被加工部材装着治具によつて達成され
る。

〔作用〕

ワイヤカツト放電加工用被加工部材装着治具へ
の被加工部材の装着に際しては、まず、別途設け
られている位置決めガイド板上にワイヤカツト放
電加工用被加工部材装着治具を載置して、被加工
部材のワイヤ通し孔のＸ−Ｙ座標を決める。これ
によつて被加工部材のワイヤ通し孔の配置位置の
決定と芯出が行なわれる。

次に、スライド板を摺動移動させて被加工部材
に平行に当接させた状態で、ボルト等の押圧手段
によつて被加工部材をワイヤカツト放電加工用被
加工部材装着治具に固定する。

上述のようにして全ての被加工部材をワイヤカ
ツト放電加工用被加工部材装着治具に装着した
後、被加工部材付きのワイヤカツト放電加工用被
加工部材装着治具を位置決めガイド板から取り外
して、それをワイヤカツト放電加工機の被加工部
材装着部位に配置し固定する。

先にワイヤカツト放電加工用被加工部材装着治
具と位置決めガイド板を合わせた時点で被加工部
材のワイヤ通し孔の配置位置を位置決めガイド板
のＸ−Ｙ座標にて容易に把握することができてお
り、被加工部材はワイヤカツト放電加工用被加工
部材装着治具に固定されているから、位置決めガ
イド板から被加工部材付きのワイヤカツト放電加
工用被加工部材装着治具を取り外しても、ワイヤ
カツト放電加工用被加工部材装着治具に対する複
数の被加工部材の各位置は確定されている。従つ
て、位置決めガイド板における被加工部材のワイ
ヤ通し孔の配置位置を予めワイヤカツト放電加工
プログラムに入力して、被加工部材付きのワイヤ
カツト放電加工用被加工部材装着治具をワイヤカ
ツト放電加工機の被加工部材装着部位に配置すれ
ば、複数の被加工部材を連続的に（自動的に）ワ
イヤカツト放電加工することが可能となる。

〔実施例〕

以下、添付図面に基づいて本考案の一実施例を
説明する。

この実施例のワイヤカツト放電加工用被加工部
材装着治具１（以下、単に装着治具１と言う）
は、第１図に示すように４方を枠部材１ａ，１
ｂ，１ｃ，１ｄにより囲まれた方形形状をしてお
り、隣接した枠部材１ａ，１ｃと平行状をなし、
対向する枠部材１ｂ，１ｄを連結する連結部材１
ｅを有している。

連結部材１ｅ及びそれと平行をなしている枠部
材１ａ，１ｃには第２図に示されるように、断面
形状がＴ形のＴ溝４が形成されている。Ｔ溝４に
は、前記対向する枠部材１ｂ，１ｄに対し平行摺
動移動自在とすべく、第３図に示すようにＴナツ
ト５とボルト３により固定可能に配置されたスラ
イド板２が設けられている。

対向する枠部材１ｂ，１ｄには、外側部から内
側部方向に貫通して螺合されたボルト８が取付け
られている。

スライド板２とボルト８等によつて方形形状の
枠部材１ａ，１ｂ，１ｃ，１ｄにより囲まれた部
位に配置された被加工部材１０を固定可能として
いる。

装着治具１に固定された被加工部材１０の位置
決めを行うための位置決めガイド板６が別途装備
されている。位置決めガイド板６には第４図ｂに
示すようにＸ−Ｙ座標状に等間隔に配置された穿
設孔９が設けられている。

装着治具１への被加工部材１０の装着に際して
は、まず、位置決めガイド板６上に装着治具１を
載置して、被加工部材１０のワイヤ通し孔１１に
対応する位置決めガイド板６の穿設孔９に基準ピ
ン７を嵌合し、この基準ピン７に被加工部材１０
のワイヤ通し孔１１を適合させることにより被加
工部材１０のワイヤ通し孔１１の配置位置の決定
と芯出が行われる。

次に、第４図ａに示すようにスライド板２を摺
動移動させて被加工部材１０に平行に当接させた
状態で、左右のボルト８を締付けることによつて
被加工部材１０を装着治具１に固定する。

上述のようにして全ての被加工部材１０を装着
治具１に装着した後、被加工部材１０付きの装着
治具１を位置決めガイド板６から取り外して、第
５図に示されるように、被加工部材１０付きの装
着治具１をワイヤカツト放電加工機の被加工部材
装着部位１２に配置し、Ｕ字状固定治具１３によ
り被加工部材１０付きの装着治具１を固定する。

先に装着治具１と位置決めガイド板６を合わせ
た時点で被加工部材１０のワイヤ通し孔１１の配
置位置を位置決めガイド板６のＸ−Ｙ座標にて容
易に把握することができており、被加工部材１０
は装着治具１に固定されているから、位置決めガ
イド板６から被加工部材１０付きの装着治具１を
取り外しても、装着治具１に対する複数の被加工
部材１０の各位置は確定されている。従つて、位
置決めガイド板６における被加工部材１０のワイ
ヤ通し孔１１の配置位置を予めワイヤカツト放電
加工プログラムに入力しておげば、第５図に示さ
れるように、被加工部材１０付きの装着治具１を
ワイヤカツト放電加工機の被加工部材装着部位１
２に配置して、複数の被加工部材１０を連続的に
（自動的に）ワイヤカツト放電加工することが可
能となる。

〔考案の効果〕

以上により明らかなように、本考案にかかる装
着治具によれば、ワイヤカツト放電加工におい
て、ワイヤカツト放電加工機の被加工部材装着部
位に対して、被加工部材を容易に装着可能とする
とともに、被加工部材のワイヤ通し孔の配置位置
設定及び芯出を容易とすることができる効果を奏
する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案のワイヤカツト放電加工用被
加工部材装着治具及び位置決めガイド板を示す斜
視図、第２図は、第１図のＡ−Ａ断面図、第３図
は、第１図のＢ−Ｂ断面図、第４図ａは、被加工
部材を装着したワイヤカツト放電加工用被加工部
材装着治具の斜視図、第４図ｂは、位置決めガイ
ド板の斜視図、第５図は、本考案のワイヤカツト
放電加工用被加工部材装着治具をワイヤカツト放
電加工機の被加工部材装着部位に装着した状態を
示す斜視図である。 １……ワイヤカツト放電加工用被加工部材装着
治具、１ａ，１ｂ，１ｃ，１ｄ……枠部材、１ｅ
……連結部材、２……スライド板、３……ボル
ト、４……Ｔ溝、５……Ｔナツト、６……位置決
めガイド板、７……基準ピン、８……ボルト、９
……穿設孔、１０……被加工部材、１１……ワイ
ヤ通し孔、１２……被加工部材装着部位、１３…
…Ｕ字状固定治具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ワイヤカツト放電加工する被加工部材を少なく
   とも１つ以上装着するための、隣接した枠部材と
   平行状をなし対向する枠部材を連結する連結部材
   を有する方形形状をなすとともに、連結部材及び
   それと平行な枠部材に設けられたＴ溝には、前記
   対向する枠部材に対し平行摺動自在であり、Ｔナ
   ツト等の固定手段により固定可能に配置されたス
   ライド板と、前記対向する枠部材を貫通して外側
   部から内側部方向に移動自在に螺合されたボルト
   等の押圧手段により方形形状枠部材内に配置され
   た被加工部材を固定することを特徴とするワイヤ
   カツト放電加工用被加工部材装着治具。