JPS638483B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 従来、ダイヤフラム式圧力調整弁においては、
ダイヤフラムの径を大きくして感圧時の撓み量を
拡大させて弁子の開度を拡大させることができ
た。これに対し、ベローズ式圧力調整弁において
は、ダイヤフラム式のものと異なり、ベローズの
一段当りの伸縮量として弾性限度内の撓み量が規
制されているので、段数を増せばダイヤフラムに
比べて弁子開度に必要な撓み量が比較的取り易い
という利点があつた。しかし、ベローズの段数を
増してその自由長を伸ばし撓み量を取れば取るほ
どベローズ内部の感圧室容積が増し、入口室また
は出口室の室内圧力の変動に対する感知能力が鈍
くなり、正確な圧力調整の即時性が損なわれる欠
点があつた。また、ベローズ式圧力調整弁として
は、例えば実公昭26−12464号公報の構造が知ら
れているが、ベローズに内装固着された皿形のベ
ローズ感圧室減積材の肉厚は薄いため、弁棒と減
積材との間には当板を介装させねばならず、部品
点数が増して高価となり、また減積材の中央凹部
の内周面は調整ばねのコイル外周に比して極めて
大きいため調整ばねは座屈し易い欠点があつた。

そこで、本発明は上記欠点を除去することを目
的としてなされたもので、ベローズの受圧面積を
変化させることなくベローズ内部の感圧室の容積
を大きく減少させて圧力変動に対する感知能力を
高め得、しかも部品点数が少なくて安価でありか
つ調整ばねが座屈することがないので常に高性能
を維持できる圧力調整弁を提供しようとするもの
である。

以下、本発明の実施例を第１，２図に基いて説
明する。なお、本実施例はそのベローズが出口
室々内圧力（２次側圧力）を感知する型式であ
る。図において１は弁筐、２は入口３に連なる入
口室、４は出口５に連なる出口室、６は両室２，
４の仕切壁７に螺嵌された弁座で、その中央には
弁孔８が穿設される。９は弁孔８の入口側着座端
面８ａに離着座自在に当接された球形弁子で、ス
トレーナ１０内の復帰ばね１１により着座されて
いる。１２は肉薄金属製ベローズであり、出口室
４の室内圧力を下端開口１２ａを通して感知して
伸縮するもので、その大径の下端鍔１２ｂは、胴
部より著しく大径で断面が横倒Ｖ字形とされ、こ
の下端鍔１２ｂはガスケツト１３，１４を介して
弁筐１の上部と下記支持体２２の下ねじ部の下端
間に挟まれて固定され、またベローズ１２の上端
部１２ｃは下記の減積材１５に溶着により閉塞さ
れている。そして１６は弁棒で、その下端は弁孔
８を貫通して弁子９に当接され、またその上端は
減積材１５に当接され、該減積材１５を介してベ
ローズ１２の上端部１２ｃに連係される。１７は
弁棒１６の上端部に弾着されたＥリングである。

前記減積材１５は、ベローズ１２の受圧面積を
変化させることなくベローズ内部の感圧室Ａの容
積を大きく減少させるためにベローズ内に挿入さ
れたもので、本実施例では皿形状に形成されてい
る。そしてこの減積材１５は、その皿形状の下端
側中央凹部１５ａの下面が弁棒１６の上端に当接
され、また上端側外周鍔１５ｂがベローズ１２の
上端部１２ｃに溶着等で固定される。

また前記出口室４と感圧室Ａとを仕切るオリフ
イスプレート１８がＣリング状ロツク部材１９に
より着脱自在に弁筐１の出口室４の上壁に固定さ
れ、該プレート１８には前記出口室４と感圧室Ａ
とを連通するオリフイス２０が穿設され、かつ該
プレート１８にはガイド孔２１が穿設されて該ガ
イド孔２１に前記弁棒１６が摺動自在に内嵌され
ている。また弁筐１に突設された支持体２２に弁
子ストローク調整ボルト２３が回転自在に支持さ
れ、該ボルト２３のねじ部２３ａに中央壁が螺嵌
されたばね座２４の外周壁２４ａの外面が多角形
に形成され、該外周壁にその回転を阻止するよう
に外嵌された前記支持体２２の外周壁２２ａの内
面も多角形に形成され、前記ばね座２４と、ベロ
ーズ１２の上端部に固定された減積材１５の中央
凹部１５ａとの間に調整ばね２５が介設されてい
る。前記調整ばね２５のコイル外面と前記中央凹
部１５ａの内周面との隙間は可及的小さくされ、
これにより中央凹部１５ａは調整ばね２５のガイ
ドの役目を果たしてばね２５の座屈が防止されて
いる。２６は調整ボルト２３の上端部にピン２７
で固定された調整ハンドル、２８は、弁筐１に下
端部２２ｂは螺嵌された筒形支持体２２の周壁に
穿設された大気連通孔である。

次に作用を説明する。入口室２には蒸気、空気
等の制御すべき流体の１次圧が作用する。そこで
弁子ストローク調整ハンドル２６を回転させるこ
とによりばね座２４を回転させずに下動して調整
ばね２５を圧縮してばね力を生じさせ、減積材１
５、弁棒１６を介して弁子９を押し下げるので、
該ばね力が弁子９に作用する上向閉弁力より大き
くなれば開弁状態となり、出口室４に流体が流入
して２次圧が作用する。更に出口室４に流入した
流体はオリフイスプレート１８のオリフイス２０
よりベローズ１２内部の感圧室Ａへ流入し、ベロ
ーズ１２の上端閉塞面を形成する減積材１５の大
気と２次圧の差圧が、調整ばね２５に対する上向
反力として働き、これがばね力と釣合つた点で弁
子９のストロークが決定され、出口室４に流体の
所定の２次圧が発生する。更に２次側の流体の消
費が大になつた時は、それに応じ感圧室Ａの圧力
も下がるので、ベローズ１２が収縮し、弁子９が
下がり弁開度が増し、１次側流体が弁孔８から流
入して２次側が所定の２次圧力に復帰しようとす
る。

そして、ここで感圧室Ａの容積が大きければ、
出口室４の室内に対するオリフイス２０を通して
の感圧室Ａの室圧の応答が遅れぎみとなり、ベロ
ーズ１２の収縮または伸長による弁子９の下動ま
たは上動による弁開度の制御の応答性が悪くな
る。しかし、感圧室Ａの容積は減積材１５で大き
く減少されているので、オリフイス２０を通した
少量の流体の移動により感圧室Ａの室圧は出口室
４に応答できかつベローズ１２は伸縮でき、弁開
度の制御の応答性は極めて良い。

なお、上記においては感圧室Ａを出口室４に連
通させた例を説明したが、感圧室Ａを入口室２に
連通させた構造においても、２次圧の代りに１次
圧の変動に応答した同様のベローズ１２の伸縮が
可能である。

以上の説明から明らかな通り、本発明では、ベ
ローズにその内部の感圧室の容積を大きく減少さ
せる減積材が挿入されているので、入口室または
出口室の圧力変動に対する感圧室及びベローズの
感知能力が極めて良くなり、応答性の良い圧力調
整弁を提供できる。

また、本発明では、調整ばねのコイル外面と前
記中央凹部の内周面との隙間は可及的小さくされ
ているので、中央凹部は調整ばねのガイドの役目
を果たしばねの座屈を防止できる。さらに、皿形
減積材は肉厚板材で形成されているので、その中
央凹部に調整ばねを直接的に内嵌でき、かつ、弁
棒と減積材との間には当板を介装する必要がな
く、またベローズはその大径鍔を用いて弁筐との
取付けを簡単に行えるので、部品点数を減少して
安価にできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明実施例の縦断面図、第２図はそ
のベローズと減積材との分解斜視図である。 Ａ：感圧室、１：弁筐、２：入口室、４：出口
室、６：弁座、８：弁孔、９：弁子、１２：ベロ
ーズ、１２ａ：その下端開口、１５：減積材、１
５ａ：中央凹部、１５ｂ：外周鍔、１６：弁棒、
１８：オリフイスプレート、１９：ロツク部材、
２０：オリフイス、２１：ガイド孔、２２：支持
体、２２ａ：その外周壁、２３：調整ボルト、２
３ａ：そのねじ部、２４：ばね座、２４ａ：その
外周壁、２５：調整ばね、１２ｂ：ベローズの下
端鍔（大径鍔）。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 弁筐の入口室と出口室の間に形成された弁孔
   を開閉する弁子と、前記入口室または出口室の室
   内圧力を一端開口を通して感知し伸縮する他端閉
   塞形ベローズと、該ベローズにその内部の感圧室
   の容積を大きく減少させるように挿入され該ベロ
   ーズの他端に固定された皿形減積材と、該減積材
   をベローズの短縮側へ付勢するコイル状調整ばね
   と、前記減積材と前記弁子との間に介装された弁
   棒とを有する圧力調整弁において、前記皿形減積
   材は肉厚板材で形成されるとともにその中央凹部
   に前記調整ばねが直接的に内嵌され、この調整ば
   ねのコイル外面と前記中央凹部の内周面との隙間
   は可及的小さくされ、また前記ベローズの一端部
   は大径鍔に形成され、該大径鍔の外周部はガスケ
   ツトを介して弁筐の上部に固定されたことを特徴
   とする圧力調整弁。