JPS637388Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 トライプレス装置はプレス型を製作した後試し
打ちを行ない、プレス型の不良部分を手直しする
ものである。ところで、従来のトライプレス装置
は、型の修正をプレス装置に固定したままで行な
うため、多大の時間を要する修正作業中ラムはク
レーンとしての役目しか果さず、プレス装置本来
の機能を発揮していないので、プレス装置として
の稼働率は著しく低いものである。また、修正作
業に多大の時間を要するので、多数の型を能率良
く修正することができない不具合を有している。

本願考案は上記不具合を解消するために創案し
たもので、上型及び下型を装着してトライプレス
を行うプレス装置、同プレス装置と連結し上記上
型の修正作業を行う上型修正区画と同上型修正区
画に続き上記下型の修正作業を行う下型修正区画
とを有した複数の修正ライン、上記上型を載置し
た下型を固定し上記修正ライン上を自走する複数
のムービングボルスタ、上記上型修正区画に設け
られ上記上型を持ち上げ任意の位置に傾動させる
傾動動力装置を備えたダイセツタで構成され、上
記プレス装置によりトライプレスを行つた上記上
型及び下型は上記ムービングボルスタにより上記
上型修正区画へ搬送され、上記ダイセツタにより
上記上型は上記下型から離脱され、上記下型は上
記ムービングボルスタにより上記下型修正区画へ
搬送されることを特徴とするトライプレス装置を
要旨とするものである。

本願によれば、上型及び下型の修正作業は上型
修正区画および下型修正区画において行なわれる
ので、修正作業中プレス装置において他の上型及
び下型のトライプレスを行なうことができ、トラ
イプレス作業の能率が極めて良いものである。ま
た、修正ラインが複数あるため、数組の上型及び
下型の修正作業が同時にでき、特にモデルチエン
ジが頻繁で短期間に多くのプレス型を製作しなけ
ればならない自動車産業等においてはトライプレ
ス機の設置費及び設置面積等において大きな効果
を奏するものである。更に上型の修正作業は型を
任意の角度（作業のしやすい角度）に傾動させて
行なわれるので、従来の上型修正作業がラムに上
型を装着したまま上向きの姿勢で行なわれるのに
比べ、作業疲労が極めて少なくする等の効果を奏
している。

以下、本考案の一実施例について具体的に説明
する。

第１図〜第６図において、トライプレス装置は
第１図に示すようにプレス装置１、同プレス装置
１の後方および左右にそれぞれ設けられた上型修
正区画２，２′２″と同修正区画２，２′２″に続い
て設けられた下型修正区画３，３′，３″とプレス
装置１とをレール５で連結した修正ライン、上型
修正区画２，２′，２″および下型修正区画３，
３′，３″の間を自走するムービングボルスタ４，
４′，４″、第１図に図示されていないが第３図及
び第４図に示したダイセツタ２０からなつてい
る。

プレス装置１は第２図に示すようにフレーム１
０とラム１１とラム１１に対向した下方停止位置
１２にムービングボルスタ４を停止させるもので
フロア０に出没自在に設けられた４本のクランプ
１３とを有している。上型修正区画２は第３図お
よび第４図に示すようにダイセツタ２０とストツ
パ２１とを有し、ダイセツタ２０は４本の柱２２
に沿つてねじ棒２３を有し、このねじ棒２３は下
端をフロア０内に埋設されたフレーム２００に、
また上端を柱２２の上端に固定された板２４に固
定されている。ダイセツタ２０の２つの枠棒２５
は両端にねじ棒２３のねじに噛み合うねじ部２５
１と上記柱２２上を上下方向に摺動する当接部２
５２とを有し、また両枠棒２５の中央空間には枠
２５に枢支された２本の軸２５３によりプレート
２６が回転自在に配設されている。枠２５に設け
られたモータ２５５はその回転軸を介して連結さ
れた歯車２５６を一方の軸２５３の端部に固着さ
れた歯車２５４に噛み合せ、プレート２６の回転
位置を規制している。また、このプレート２６は
第５図に示すようにエアーにより作動するクラン
プ２６１を有している。さらに、プレート２６に
は第４図に示すように、右端に係止部２６２が設
けられている。上記ストツパ２１は上型修正区画
２のフロア０に出没自在に設けられている。下型
修正区画３は第１図に示すように上型修正区画２
の左方に位置し、ストツパ３１とダイピンリフタ
３２とを有している。ストツパ３１はフロア０に
設けられムービングボルスタ４の左方への移動を
禁止するものであり、ダイピンリフタ３２はフロ
ア０に出没自在に設けられ、ムービングボルスタ
４の図示しないプレートを上下動させるものであ
る。ムービングボルスタ４はプレス装置の下方停
止位置１２から上型修正区画２を通り下型修正区
画３へ延びるレール５上を移動するもので、第２
図に示すように電動機により駆動される走行輪４
１を有し、上面に下側アダプタプレート４２を備
えている。また、レール５は第２図に示すように
下方停止位置１２からさらに上型修正区画２′を
通り下型修正区画３′へ延び、ムービングボルス
タ４′を載置している。さらに、レール５′は下方
停止位置１２から上型修正区画２″を通り下型修
正区画３″へ延びている。このレール５′上にはム
ービングボルスタ４″を載置している。なお、上
型修正区画２′，２″は上型修正区画２と同一に形
成され、また下型修正区画３′，３″も下型修正区
画３と同一に形成されている。さらにムービング
ボルスタ４′，４″はムービングボルスタ４と同様
に形成されている。上記ムービングボルスタ４は
第２図に示すように下側アダプタプレート４２に
下型６をボルト等で固定し、この下型６に載置さ
れた上型７は上側アダプタプレート７１を固定し
ている。この上側アダプタプレート７１は第６図
に示すようにプレス装置１のクランプ１４および
ダイセツタ２０のクランプ２６１に係合する切欠
き７１１を有している。

上記構造により、ムービングボルスタ４の下側
アダプタプレート４２に下型６を固定し、またこ
の下型６には上側アダプタプレート７１を固定し
た上型７が載置されている。そして、ムービング
ボルスタ４をその電動機を回転させることにより
走行させてプレス装置１の下方停止位置１２に自
動的に停止させる。すると、フロア０からクラン
プ１３が自動的に上昇して、ムービングボルスタ
４に係合し、同ボルスタ４をフロア０に固定す
る。そして、作業員がプレス装置１のラム１１を
ゆつくりと下降させ、ラム１１の下面が上側アダ
プタプレート７１に当接し、ラム１１の下降は停
止する。そして、作業員が操作しクランプ２６１
が作動してラム１１に上側アダプタプレート７１
を固定する。つづいて、ラム１１を上昇させ、上
型７をラム１１の上死点に位置させる。ここで、
作業員が被加工物、例えば板金を下型６上にセツ
トする。そして、作業員がプレス装置１を作動さ
せて、トライプレスを行なう。ラム１１が上死点
に達するとプレス装置１は停止する。ここで作業
員が加工物を目視することにより、上型７および
下型６の不具合個所を発見したならば、ラム１１
をゆつくりと下降させ、その下死点付近で停止さ
せ、上型７を下型６に載置させる。そして、クラ
ンプ２６１を解除してラム１１から上側アダプタ
プレート７１を離脱させ、ラム１１を上昇させ
る。次に、作業員が操作することによりクランプ
１３が下降し、ムービングボルスタ４は自走して
上型修正区画２に移動し、停止する。すると、フ
ロア０からストツパ２１が上昇して、ムービング
ボルスタ４を固定する。次いで、作業員が操作す
ることによりねじ棒２３が回転し、当接部２５２
が柱２２にガイドされて枠２５は下降してプレー
ト２６が上側アダプタプレート７１に接触する
と、ねじ棒２３の回転は自動的に停止する。する
と、第５図に示した位置にあるクランプ２６１は
図示しない駆動装置により時計方向に回動し、上
側アダプタプレート７１に設けられた切欠き７１
１に係合し、上側アダプタプレート７１をプレー
ト２６に固定する。そして、ねじ棒２３を上記逆
方向に回転させて枠２５を上昇させ、自動的に枠
２５は停止する。これにより、上型７は下型６よ
り離脱して持上げられる。次に、ストツパ２１を
降下させ、ムービングボルスタ４を下型修正区画
３に移動させ、ストツパ３１により移動を停止さ
れる。

次に、上型７を修正するときには、ねじ棒２３
を回転させて枠２５を下降させながら、同時に作
業員が操作してモータ２５５を駆動させる。する
と歯車２５６が回転して歯車２５４、軸２５３を
回転させ、プレート２６を第３図反時計方向に回
転させ、プレート２６が反転した位置、すなわち
上型７が上方を向いた位置で上記モータ２５５の
回転は停止する。又、上型修正作業が上型の形状
により上型が傾斜していた方が作業しやすい場合
は作業員がモータ２５５の駆動操作を中止すれば
よい。なお、このとき係止部２６２は上側アダプ
タプレート７１の第３図左側面に当接し、プレー
ト２６の回転中上側アダプタプレート７１が下方
へずり落るのを防止している。そして、上記プレ
ート２６の反転が終り、しばらくさらに枠２５が
降下すると自動的に、枠２５は停止する。この状
態で作業員は上型７を修正する。また、下型６は
下型修正区画３においてムービングボルスタ４上
に載置されたまま修正作業が行なわれる。

次に、修正作業の終つた上型及び下型７，６を
再びプレス装置１に装着してトライプレスを行な
うときは上述と逆の手順で行なう。

また、上型修正区画２′，２″および下型修正区
画３′，３″の作動は上記上型修正区画２および下
型修正区画３の作動と同様であり、さらにムービ
ングボルスタ４，４′，４″はプレス装置１の下方
停止位置１２に１つだけしか侵入することはでき
ず、他のムービングボルスタは上型及び下型修正
区画に位置するものであり、ムービングボルスタ
４′，４″はムービングボルスタ４と同様に形成さ
れている。なお、型が複動型（クツシヨン絞り
型）のときには、下型をなすパンチとブランクホ
ルダと上型をなすダイとからなり、このとき下型
修正区画３，３′，３″のダイピンリフタ３２を上
昇させるとムービングボルスタ４内の図示しない
プレートを押し上げ、これにより、同ボルスタ４
内の図示しないダイピンが上昇してブランクホル
ダを上昇させ、パンチとブランクホルダとを分離
させるものである。

したがつて、例えばムービングボルスタ４に載
置された上型及び下型７，６を上下型修正区画
２，３で修正しているときにはムービングボルス
タ４′，４″の一方をプレス装置１の下方停止位置
１２に侵入させ、同ボルスタ上の型によりトライ
プレスを行なうので、極めて高価なプレス装置１
を効率良く使用することができ、またトライプレ
ス作業も能率よく行なわれるものである。さら
に、上型７を修正するときに、同型７の加工面を
上向きにしているので、作業員は下向きの姿勢で
作業でき、作業時の疲労が少ないものであると共
にプレス装置より十分離れた位置で型修正作業が
できるので作業員の安全性も向上する。加えて、
ダイセツタ２０は単に上型７と上側アダプタプレ
ート７１を持ち上げる機構をモータとねじ棒２３
とねじ部２５１とより構成しているので、簡単で
コストが安いものである。

なお、上記実施例ではダイセツタ２０における
上側アダプタプレート７１を持ち上げる機構とし
てモータでねじ棒２３を回転する構成にしている
が、油圧、空圧等を利用するものでもよく、その
他適宜な昇降機構であればよいものである。

また、上記実施例においては上型及び下型修正
区画をプレス装置１の３方に設けた。これは公知
の通りトライプレス装置を使用して製作されたプ
レス型により製作される大きな板金部品の場合に
は少なくともブランク型（材料取り）、フオーム
型（成形）及びトリム型（ふち取り）の３種類が
必要である。本願実施例は一個の板金部品を作る
ために必要なプレス型全数を同一区域で同時にか
つそれぞれのプレス型製作作業者が容易に連絡と
りながら作れるようにしたものである。又板金部
品の形状によつては４方に設けることもできる。

さらに、プレス装置１と上型修正区画との間隔
を広くし、この空間においてムービングボルスタ
に型を着脱するようにすると、型を搬送するクレ
ーンはプレス装置１の周囲と型の保管場所を移動
するだけでよくなり、クレーンの移動範囲を小さ
くでき、したがつてクレーンの走行用レールの敷
設長さを小さくできてコストが安くなるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す平面図、第２
図は本考案の一実施例のプレス装置１を示す正面
図、第３図は本考案の一実施例のダイセツタ２０
の側面図、第４図は本考案の一実施例のダイセツ
タ２０の正面図、第５図は本考案の一実施例のダ
イセツタ２０に設けられたクランプ２６１の拡大
図、第６図は本考案の一実施例の上側アダプタプ
レート７１の正面図である。 １……プレス装置、２，２′，２″……上型修正
区画、３，３′，３″……下型修正区画、４，４′，
４″……ムービングボルスタ、１１……ラム、１
２……下方停止位置、２０……ダイセツタ、２３
……ねじ棒、２５……枠、２５３……軸、２５４
……歯車、２５６……歯車、２６……プレート、
６……下型、７……上型。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上型及び下型を装着してトライプレスを行うプ
   レス装置、同プレス装置と連結し上記上型の修正
   作業を行う上型修正区画と同上型修正区画に続き
   上記下型の修正作業を行う下型修正区画とを有し
   た複数の修正ライン、上記上型を載置した下型を
   固定し上記修正ライン上を自走する複数のムービ
   ングボルスタ、上記上型修正区画に設けられ上記
   上型を持ち上げ任意の位置に傾動させる傾動動力
   装置を備えたダイセツタで構成され、上記プレス
   装置によりトライプレスを行つた上記上型及び下
   型は上記ムービングボルスタにより上記上型修正
   区画へ搬送され、上記ダイセツタにより上記上型
   は上記下型から離脱され、上記下型は上記ムービ
   ングボルスタにより上記下型修正区画へ搬送され
   ることを特徴とするトライプレス装置。