JPS636995Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は給湯口をスプリングの付勢力によつて
閉鎖する給湯弁を有し、容器の開口部を密閉する
密栓に関するものである。

従来、この種の密栓を備えた容器では、給湯す
るとき誤つて給湯口を閉じたまま容器を傾けた場
合、あるいは湯沸し、保温中に転倒した場合、湯
が給湯弁を支持するロツドと栓本体のロツド挿通
用軸孔との隙間から栓本体内部に浸入し、そのた
め栓本体内部が不衛生になるという欠点があつ
た。

そこで、給湯弁ロツドにＯリングを取付けて、
湯が栓本体内部に浸入しないように上記軸孔をシ
ールする方法が考えられるが、これでは上記リン
グの反発力のために給湯弁が給湯口を閉鎖する効
果すなわち止水効果を損うという欠点がある。

本考案はかかる欠点に鑑みてなされたもので、
その目的は、湯が給湯弁支持用ロツドと栓本体の
軸孔との隙間から栓本体内部へ浸入するのを防止
すると共に、給湯弁の止水効果を損わない密栓を
提供することにある。

この目的を達成するため、本考案では給湯弁支
持用ロツドに、スプリングの付勢力より十分小さ
な弾性力を有するロツドシールパツキンを取付け
たのである。

以下、本考案を一実施例である添付図面にした
がつて説明する。

第１図において、１は容器の一例である電気ポ
ツトの本体で、この本体１の内部には下部にヒー
タ（図示せず）を備えた内容器２が収納固定さ
れ、本体１の上端部には注湯管４を一体に設けた
肩体３が載置固定されている。上記内容器２の上
端開口部は肩体３にパツキン５を介して密封固定
されている。なお、６はハンドルである。

７は上記肩体３の中央部に開閉自在に取付けら
れた密栓で、この密栓７は大略栓本体８と栓蓋１
９と栓下板２８とで構成されている。栓本体８は
注湯管４に連通する給湯口９と給湯路１０とを有
し、この給湯口９を開閉する給湯弁１１がロツド
１２により進退自在に支持されている。ロツド１
２は栓本体８内部と給湯路１０とを貫通する軸孔
１３に挿通されており、栓本体８内部に位置する
ロツド１２の端部には受金１４が取付けられ、こ
の受金にスプリング１５が圧接することによりロ
ツド１２は図中右方へ付勢され、給湯弁１１は常
時給湯口９を閉鎖している。ロツド１２の給湯路
１０内に位置する箇所には、第２図、第３図に示
す略椀形のロツドシールパツキン１６が取付けら
れており、このロツドシールパツキンは内周端部
１６ａがロツド１２に嵌着され、外周端部１６ｂ
が円筒状に形成され、その中間に柔軟な薄肉部１
６ｃを有している。給湯弁１１が給湯口９を閉鎖
している状態では、上記ロツドシールパツキン１
６が給湯路１０内壁に密接して軸孔１３の端部を
水密的にシールしている。したがつて、この状態
で誤つて容器本体１を傾けても、湯は軸孔１３を
介して栓本体８内部に流れ込む心配はない。この
ロツドシールパツキン１６の弾性復帰力は上記ス
プリング１５の付勢力に比べて十分小さく、その
ため、ロツドシールパツキン１６が給湯路１０内
壁に圧着しても給湯弁１１が給湯口９を閉鎖する
効果すなわち止水効果を何ら損うことがない。

栓本体８の後端部は肩体３のヒンジピン３ａに
より回動自在に支承されており、一方栓本体８の
前端部に設けたフツクレバー１７はスプリング１
８により前方へ付勢され、フツクレバー１７の先
端突起１７ａが肩体３の前端部内縁に係脱自在と
なつている。これによつて、密栓７は肩体３に対
し開閉自在に取付けられ、閉鎖状態において栓下
板２８の外周部に取付けたパツキン２９が内容器
２の上縁部に圧着し、内容器２内を密閉してい
る。

栓蓋１９には上記ロツド１２を操作する給湯レ
バー２０が前後方向に移動自在に取付けられてい
る。この給湯レバー２０は操作体２１と押圧体２
２とをネジ２３で一体化したもので、上記操作体
２１の下面には係合爪２１ａが突設されており、
押圧体２２の下部にはロツド１２の端部を押圧す
る突片２２ａが一体に設けられている。一方、栓
蓋１９の上面には、上記操作体２１がスライド自
在な凹所２４を有し、この凹所２４の中央部には
開口孔２５を有し、その前方側には係合突起２６
が、後方側には段差２７がそれぞれ設けられてい
る。上記操作体２１と押圧体２２とは、上記開口
孔２５を間にして嵌合され、かつネジ２３を締付
けることにより一体化される。

上記構成の給湯装置の作動を説明する。まず、
給湯レバー２０を第１図、第２図左方にスライド
させると、押圧体２２の突片２２ａがロツド１２
の端部を押圧し、給湯弁１１の給湯口９を開くと
共に、ロツドシールパツキン１６が給湯路１０内
壁から離れる（第２図中一点鎖線で示す）。そし
て、給湯レバー２０の係合爪２１ａが栓蓋１９の
係合突起２６に乗り上げ、かつこの係合爪２１ａ
と係合突起２６とがかみ合うことにより、給湯レ
バー２０はロツクされる。このとき、給湯弁１１
のスプリング１５により給湯レバー２０を押しも
どす方向の力が作用するため、給湯レバー２０に
は左回り方向のモーメントが働き、ロツクが外れ
ることがない。したがつて、給湯弁１１は給湯口
９を開いた状態で保持される。

ロツクを解除するときには、操作体２１の後端
を下方に押圧することにより、給湯レバー２０が
第１図右回り方向に揺動し、操作体２１の後端部
が栓蓋１９の段差２７に落ち込む。そのため、係
合爪２１ａと係合突起２６とのかみ合いが外れ、
給湯弁１１のスプリング１５により給湯レバー２
０は元の位置に自動的に復帰するとともに、給湯
弁１１は給湯口９を閉鎖する。そしてロツドシー
ルパツキン１６は再び給湯路１０内壁に密着し、
軸孔１３の端部をシールする。

このように、ロツク時には給湯レバー２０を前
方へスライドさせ、ロツク解除時は操作体２１の
後端部を押すだけで、給湯弁１１を簡単に開閉で
きる。

なお、上記実施例では、ロツドシールパツキン
として略椀形状のものを示したが、これのみに限
らず、外端部を薄肉としたものや、中空のリング
状パツキンでもよい。

以上のように、本考案によれば、給湯弁が給湯
口を閉鎖すると同時にロツドシールパツキンが軸
孔をシールするため、給湯口を閉鎖した状態で誤
つて容器を傾けても、湯は軸孔を介して栓本体内
部に流れ込む心配はない。しかもロツドシールパ
ツキンの弾性力はスプリングに比べて十分小さい
ので、給湯弁の止水効果を何ら損う心配がないと
いう効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかる密栓を備えた容器の上
部断面図、第２図は密栓の一部拡大断面図、第３
図はロツドシールパツキンの拡大断面図である。 ７……密栓、８……栓本体、９……給湯口、１
０……給湯路、１１……給湯弁、１２……ロツ
ド、１３……軸孔、１５……スプリング、１６…
…ロツドシールパツキン。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 給湯口をスプリングの付勢力により閉鎖する
   進退自在な給湯弁を有し、容器の開口部を密閉
   してなる密栓において、上記給湯口へ通じる給
   湯路と栓本体内部とを貫通する軸孔に上記給湯
   弁を支持するロツドを挿通すると共に、上記ロ
   ツドの給湯路内に位置する箇所に上記スプリン
   グの付勢力より十分小さな弾性力を有するロツ
   ドシールパツキンを取付け、上記給湯弁が給湯
   口を閉鎖すると同時に上記ロツドシールパツキ
   ンが給湯路内壁に弾性的に密接し、上記軸孔を
   水密的にシールするように構成した密栓。 (2) 上記ロツドシールパツキンは、内周端部がロ
   ツドに嵌着され、外周端部が円筒形に形成さ
   れ、その中間に柔軟な薄肉部を有する略椀形状
   であることを特徴とする実用新案登録請求の範
   囲第１項記載の密栓。