JPS6366996B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、トンネル工事において、トンネルの
一次覆工、二次覆工でコンクリートをトンネルの
地山などに吹き付ける際に、コンクリートのはね
返りを防ぐコンクリート吹付用型枠装置に関する
ものである。なお、本明細書において、コンクリ
ートの吹き付けとは、コンクリートをエアで吹き
付ける場合、またはコンクリートをポンプでで圧
送する場合のことを言う。

従来、トンネル工事において、コンクリートを
地山に吹き付ける場合は、コンクリート吹付用の
ノズルをトンネルの地山に向け、コンクリートを
圧送ポンプなどにより圧送してノズルから地山に
吹き付けていた。このために、コンクリートが地
山に吹き付けられる際に、コンクリートを圧送す
る圧力によりコンクリートが地山に強く当つては
ね返ることがある。この結果、コンクリートのは
ね返り分だけ多くコンクリートを供給する必要が
あり、そのはね返つた分だけコンクリートが無駄
となり不経済的である。

本発明は、上述の諸点に鑑み、コンクリートの
はね返りを防ぎ、コンクリートのはね返りの無駄
をなくしたコンクリート吹付用型枠装置を提供せ
んとするものである。

本発明は、台車に枠組本体を枠組し、その枠組
本体に複数枚の押え枠を、トンネルの径方向に進
退可能に、かつトンネルの断面形状に近似した形
状に配置し、その押え枠と枠組本体との間に押え
枠進退手段を介装し、押え枠を下位のものから上
位のものへと順次前進させ、コンクリートを地山
に吹付け、その押え板によりコンクリートのはね
返りを防ぐように構成したことを特徴とする。

以下、本発明のトンネル工事におけるコンクリ
ート吹付用型枠装置の一実施例を添付図面を参照
して説明する。

この実施例における本発明のコンクリート吹付
用型枠装置は、台車１と、枠組本体２と、押え枠
３と、押え枠進退手段４とを備える。

前記台車１は、２組の門型部材１０と、その２
組の門型部材１０に前端部と後端を固定した上下
の横架部材１１と、その上下の横架部材１１に両
端を固定した補強部材１２と、前記２組の門型部
材１０の両脚部の下端に固定した取付部材１３と
からなる。前記取付部材１３に走行輪１４を２個
づつ軸承すると共に、その取付部材１３に台車１
をトンネル内に固定させるアウトリガー１５を２
個づつ設ける。前記取付部材１３の内の前方側の
取付部材１３に駆動モータ１６および減速機１７
を搭載し、その駆動モータ１６と減速機１７とを
連係し、かつその減速機１７と前記走行輪１４の
内の駆動走行輪１４′とをチエーンやスプロケツ
トなどの動力伝達手段１８により連係する。この
結果、駆動モータ１６を駆動させることにより、
台車１は前進後退と走行し、アウトリガー１５を
作動させることにより台車１をトンネル内におい
て停止固定させることができる。

前記枠組本体２は、トンネルの断面形状と近似
した形状のアーチ状のものを３つに分割してなる
第１アーチ部材２１と、第２アーチ部材２２と、
第３アーチ部材２３と、その第１アーチ部材２
１、第２アーチ部材２２および第３アーチ部材２
３に固定してそれら第１乃至第３アーチ部材２
１，２２，２３を補強する補強部材２０とからな
る。前記第１アーチ部材２１と第２アーチ部材２
２とをヒンジ機構２４により回動可能に取付け、
一方第２アーチ部材２２と第３アーチ部材２３と
を同じくヒンジ機構２４により回動可能に取付け
る。かくしてなる枠組本体２の第１アーチ部材２
１の下端と第３アーチ部材２３の下端とを前記台
車１の門型部材１０の下端に両ねじターンバツク
ル２５を介して取付けると共に、枠組本体２の第
２アーチ部材２２の両端を前記台車１の門型部材
１０に油圧ジヤツキ２６および梁部材２７を介し
て取付ける。前記ターンバツクル２５および油圧
ジヤツキ２６を伸縮することにより、枠組本体２
をコンクリート吹付け準備にセツトしたり脱型し
たりすることができる。

前記押え枠３は、長方形状の平板もしくはトン
ネルの断面形状に近似したアーチ形状と同一曲率
の曲板からなる。この押え板３の背面に６本の丸
棒３０の基端をピン３２により、トンネルの断面
平面上において回動可能に取付け、前記枠組本体
２の第１アーチ部材２１、第２アーチ部材２２、
第３アーチ部材２３に丸棒支持用の短管３３を、
短管３３の孔方向（軸方向）とトンネルの径方向
とを合致させて固定し、その第１アーチ部材２
１、第２アーチ部材２２、第３アーチ部材２３に
前記短管３３と連通する透孔３４をトンネルの径
方向に穿設する。前記丸棒３０の先端を前記短管
３３および第１乃至第３ビーム部材２１，２２，
２３の透孔３４に挿通し、その丸棒３０の先端の
ねじ部３５にナツト３６を螺合し、押え枠３をト
ンネルの径方向に進退可能に支持する。このよう
にして、押え枠３を枠組本体２に複数枚、例えば
27枚トンネルの径方向に進退可能に取付けると共
に、下位の押え枠３の上縁を上位の押え枠３の下
縁上に順次オーバラツプさせる。この27枚の押え
枠３の内の最頂部の押え枠３の後端部を内側に折
り曲げて折曲部３１をを設ける。

前記押え枠進退手段４は、上面を開口した箱形
形状をなす収納箱４０を枠組本体２の第１アーム
部材２１、第２アーム部材２２、第３アーム部材
２３に、前記押え枠３に対応させて固定し、その
収納箱４０内に長方体形状のエアチユーブ４１の
底部を収納し、そのエアチユーブ４１の上面を押
え枠３の内側面に当接させる。前記エアチユーブ
４１にコンプレツサーなどの圧気供給部からのエ
アホースを切替バルブを介して接続し、そのエア
チユーブ４１に圧力空気を供給したり抜いたりす
ることにより、エアチユーブ４１が伸縮し、押え
枠３が前進後退するように構成する。

この実施例における本発明のコンクリート吹付
用型枠装置は、以上の如き構成よりなり、以下そ
のコンクリート吹付作業について説明する。

まず、押え枠３が次のコンクリート吹付箇所に
対向するまで台車１を走行させ、押え枠３がその
箇所に達したところで台車１を停止させてトンネ
ルに固定させる。次に、最下位の押え枠進退手段
４を作動させて最下位の押え枠３を前進させる。
それから、コンクリート吹付ノズルを最下位の押
え枠３と対向する地山に向け、そのコンクリート
吹付ノズルからコンクリートを地山に吹付ける。
このとき、吹付けられたコンクリートが地山に当
つてはね返つたとしても、その地山と対向する押
え枠３により捕捉されるので、コンクリートがは
ね返つて無駄となるような虞れはない。次に、最
下位から次位の押え枠進退手段４を作動させて最
下位から次位の押え枠３を前進させ、その押え枠
３と対向する地山にコンクリートを吹付ける。以
下、押え枠３を下位から上位へと順次前進させて
その押え枠３と対向する地山にコンクリートを下
方から上方へと順次吹付ける。そして、上述のよ
うにしてコンクリートを所定の厚さに吹付けて巻
上げ、コンクリートが固化したところで、押え枠
進退手段４を作動させて押え枠３を後退させ、押
え枠３をコンクリート覆工５から脱型する。も
し、これでも脱型が不十分であれば、ターンバツ
クル２５、ジヤツキ２６を縮めて第１アーチ部材
２１、第２アーチ部材２２、第３アーチ部材２３
をつぼめ、さらに押え枠３をコンクリート覆工５
から脱型することができる。また、この実施例に
おいては、複数枚の押え枠３を個々に進退させる
ことができるので、地山の表面に凹凸があつても
押え枠３の進退を調整することにより、地山の表
面の凹凸を吸収することができる。さらに、コン
クリートの巻上厚さを調整することができる。

以上の実施例からも明らかなように、本発明の
トンネル工事におけるコンクリート吹付用型枠装
置は、台車に枠組本体を枠組し、その枠組本体に
複数枚の押え枠を、トンネルの径方向に進退可能
に、かつトンネルの断面形状に近似した形状に配
置し、その押え枠と枠組本体との間に押え枠進退
手段を介装したものであるから、押え枠を前進さ
せることにより、地山などに吹付けたコンクリー
トがはね返るのを防ぐことができ、このはね返り
分のコンクリートを無駄にすることなく有効に使
用でき経済的である。また、個々の押え枠を進退
させることにより、地山などの表面の凹凸を吸収
することができる。さらに、吹付コンクリートの
巻上厚さを自由に調整することもできる。

なお、当然のことながら本発明のコンクリート
吹付用型枠装置は、上述の実施例にのみ限定され
るものではない。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本発明のトンネル工事におけるコン
クリート吹付用型枠装置の一実施例を示し、第１
図は正面図、第２図は一部破断側面図、第３図は
第１図における部拡大図、第４図は第３図にお
ける矢視図である。 １……台車、２……枠組本体、３……押え枠、
４……押え枠進退手段。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ トンネル内を走行し得る台車に枠組本体を枠
   組し、その枠組本体に複数枚の押え枠を、トンネ
   ルの径方向に進退可能に、かつトンネルの断面形
   状に近似した形状に配置し、その押え枠と枠組本
   体との間に押え枠進退手段を介装し、前記押え枠
   をコンクリートの吹付部分毎に個々に進退させる
   ことができるように構成したことを特徴とするト
   ンネル工事におけるコンクリート吹付用型枠装
   置。