JPS6365627B2 - - Google Patents

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JPS6365627B2
JPS6365627B2 JP51009223A JP922376A JPS6365627B2 JP S6365627 B2 JPS6365627 B2 JP S6365627B2 JP 51009223 A JP51009223 A JP 51009223A JP 922376 A JP922376 A JP 922376A JP S6365627 B2 JPS6365627 B2 JP S6365627B2
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JP
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hydroxylapatite
porcelain
approximately
calcium
phase
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JP51009223A
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JPS5294309A (en
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Jaacho Maikeru
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Sterling Drug Inc
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Publication date
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Publication of JPS5294309A publication Critical patent/JPS5294309A/ja
Publication of JPS6365627B2 publication Critical patent/JPS6365627B2/ja
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  • Dental Tools And Instruments Or Auxiliary Dental Instruments (AREA)
  • Dental Preparations (AREA)
  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は陶材に関し、詳細には歯科医術、歯科
矯正で使用される陶材に関する。 現在の多くの歯科的研究は、充填材、かぶせ物
及び歯冠用歯補強材として、或は骨の人工充填材
として使用できる物質の製造に焦点が置かれてい
る。歯科的研究は歯垢形成の阻止、虫歯と歯根膜
疾患との治療剤にも向けられている。 現在、歯補強組成物として使用されている石
英、アルミナ、シリケート、ガラスビーズ等の充
填剤は歯のエナメル質と化学的又は物理的類似性
をほとんどもたない。これら材料の特有の欠点は
歯の線膨張係数と一致しないことであり、これは
結果として歯との境がむき出しになり、新しい虫
歯が形成される原因となる。 更に、外科の人工器官(現在は高強度非腐蝕性
合金が主流を占めている)の分野においては、組
織受容性と密着性とが未だ完全には解決されてい
ないので生成硬組織に一層良く似た材料に対する
一般的必要性が存在する〔Hulbert等著、Ma
terials Science Research5417(1971)〕。 有効な抗歯垢化学療法剤の発見に向けられてい
る研究においては、歯垢形成と化学剤の実質との
両方に関し歯に似た表面を持つ標準テスト物質に
対する必要が存在する。天然の歯がこの目的で使
用されてはいるが変わりやすい、比較的大量入手
が困難という欠点があり、また使用前面倒な洗浄
を必要とする。従つて、歯垢が蓄積する粉末ヒド
ロキシルアパタイト、アクリル歯、ガラス、ワイ
ヤーなどの他材料が使用されている。歯垢形成自
体に対する研究はおそらく十分になされているが
これら材料は天然の歯の表面にほとんど似ておら
ず、それゆえ有効な抗歯垢剤を発見する場合に使
用するのには完全には適していない。例えば、歯
での歯垢形成を阻止する化学剤がガラス、ワイヤ
ーでは必ずしも同一効果を持たないことが知られ
ている〔Turesky等著、J.Periodontology43
263(1972)〕。それゆえ化学的に歯のエナメル質に
似ており、堅く、密で、高度に光沢された安価で
容易に入手できる物質に対する必要性がある。 塩基性オルトリン酸カルシウムとしても知られ
るヒドロキシルアパタイトCa10(PO46(OH)2(歯
と骨の無機相)が上に略述した様々な目的に適す
ることが提案されており、事実アメリカ特許
2508816号明細書には歯のエナメル質のヒドロキ
シルアパタイトを得る方法、合成樹脂と混合して
の義歯組成物としての用途が開示されている。こ
の方法は長時間を要しかつ面倒であり、細割ヒド
ロキシルアパタイトの製造に限定されている。そ
の上、この方法はもちろん天然歯の供給源の入手
性に左右される。 Kuttx〔Indian J.Chem.11、695(1973)は、粉
末ヒドロキシルアパタイトを様々な温度で分解し
て生成されるヒドロキシルアパタイトとウイトロ
ツク石(whi tlocki te)との混合物を開示した。 Bett等〔J.Amer.Chem.Soc.89、5535(1967)〕
は、化学量論でCa/Pが1.67から1.57に変わる粒
状ヒドロキシルアパタイトの製造を記述した。こ
のようにして製造された物質は大きな結晶間孔を
含んでいた。1000℃にまで加熱するとカルシウム
欠乏ヒドロキシルアパタイトが一部ウイトロツク
石相に変わるということも報告された。 アメリカ特許3787900号明細書には耐火性化合
物とリン酸カルシウム化合物(例ウイトロツク
石)とからなる骨と歯の補強材が開示されてい
る。 ヒドロキシルアパタイトの堅くて強いミクロ体
を供給するための幾つかの試みがなされてきた。
しかし、ヒドロキシルアパタイトの今迄知られて
いるいずれの形も充分に満足できるものではない
ことがわかつている。例えばRoyとLinehan
〔Nature、247、220(1974)〕は、さんごの骨格炭
酸カルシウムをヒドロキシルアパタイトに変える
精巧な熱水交換法を記述した。そのようにして製
造された物質は必然的にさんごの高多孔性特性を
保持しており、更に約270〜470psiという比較的
低い引張度を持つていた(人工材料としては重大
な欠点)。 Monroe等〔Journal of Dental Research50
860(1971)〕は、ヒドロキシルアパタイトの圧縮
錠剤を焼結することにより陶材を製造することを
報告した。このようにして製造された材料は実際
には多面晶子の整理されたモザイク配列としての
ヒドロキシルアパタイトと約30%のα−ウイトロ
ツク石〔Ca3(PO42又はリン酸三カルシウム〕と
の混合物であり、余りに多孔性のため歯科材料と
して使用するには適当でないと思われた。 RaoとBoehm〔Jounal of Dental Research53、
1351(1974)〕は、粉末ヒドロキシルアパタイトを
型の中で均衡を保ちながら圧縮し、成形体を等温
的に焼結することにより製造されたヒドロキシル
アパタイトの多晶体を開示した。得られた陶材は
多孔であり、約17000psiの最大圧縮強度を持つて
いた。 Bhasker等〔Oral Surgery32、336(1971)〕は
生物学的に減少するリン酸カルシウム陶材を使つ
て骨欠損部を充填することを記述した。この材料
は庫度に多孔性であり、注入部品から再吸収さ
れ、金属又は非減成陶材注入物が持つ強度に欠け
ている。 本発明により多晶質焼結陶材を製造する方法が
提供される。この方法はカルシウムイオンとホス
フエートイオンとを、水性媒質中、約10〜12のPH
で反応させて、カルシウムとリンとのモル比がヒ
ドロキシルアパタイトにおける概算モル比とウイ
トロツク石における概算モル比との間にあるカル
シウムホスフエートのゼラチン状沈殿物を生成
し、この沈殿物を溶液から分離し、少なくとも
1000℃までの温度でしかもヒドロキシルアパタイ
トのかなりの分解が起こることのない温度以下で
加熱し、この温度を焼結を達成し、かつ生成物の
実質上最大緻密化を達成するのに充分な時間維持
することからなる。 本発明の一面により、堅くて、密で、光沢を有
し、事実上純粋なヒドロキシルアパタイトからな
るヒドロキシルアパタイトの新規な陶材が提供さ
れる。これは化学的に歯のエナメル質に非常に似
ている。更にこの新規な材料は比較的簡単な方法
で安価な出発物質から製造でき、均質で得られ、
これにより天然の歯に固有の望ましくない変化を
避けられる。 ヒドロキシルアパタイトの新規陶材体を歯補強
組成物に配合すれば、天然の歯のエナメル質と事
実上等しい膨張係数を持つ密な充填材が得られ
る。 本発明の歯科用及び外科用注入物質は堅くて、
強く、かつ完全に生物適合性であり、高圧その他
の面到な技術を用いる必要なくいかなる望みの形
にでも組成できる。その上、追つて詳述するよう
に、いかなる程度の多孔性も望み通りに当該材料
に与えることができ、これにより組織の内方成長
を可能にする。 明らかな通り、本発明の新規製品はその特徴に
より、歯の抗歯垢剤のテストで使用する円盤、平
板、棒等を作るに理想的に適している。 本発明の他一面により、ヒドロキシルアパタイ
トとウイトロツク石とからなる新規な二相系陶材
が提供される。追つて更に完全に記述する通り、
この二相系陶材は堅く、密で、無孔性で、生物適
合性で、いかなる望みの形にでも容易に組み立て
られ、かつウイトロツク石の既知の再吸収性によ
り強くて、部分的に再吸収できる外科用注入物と
して役立つ。 体液の循環と組織の内方成長を可能にするのに
は外科用注入物がある程度の多孔性を持つことが
有利ではあるが、この多孔性は注入物の機械的強
度を必然的に下げる。本発明の二相系陶材は密で
機械的に強くかつ事実上無孔性ではあるが体液の
循環と組織の内方成長とを可能にする。含有され
ているウイトロツク石相が注入物からゆつくりと
再吸収され、天然の生物硬組織にかわることによ
る。 本発明の第1の特徴によるヒドロキシルアパタ
イトのこの新規な物理体は生物体及び地質体か
ら、そして後述する従来知られている全ての合成
体から区別されるものであり、平均結晶サイズが
ほぼ0.2〜3ミクロンの範囲にあり、密度がほぼ
3.10〜3.14g/cm3であり、更に35000〜125000psi
の圧縮強度、470〜500のクヌープ硬度を持ち、事
実上孔がなく、裂け目が滑らかな曲面となること
を特徴とする、事実上純粋なヒドロキシルアパタ
イトからなる強くて、堅く、密で、白色で、半透
明で、等方性で、多晶質の焼結陶材からなる。そ
の上、通常に製造される時には上記材料はほぼ
35000〜125000psiの圧縮強度、ほぼ3000〜
30000psiの引張強度、ほぼ10〜12ppm/℃の線熱
膨張係数、ほぼ470〜500のクヌープ(Knoop)
硬度、ほぼ6×106psiの弾性係数を持ち、偏光下
で複屈折しない。この新規なヒドロキシルアパタ
イト陶材の初期測定値は、それがランダム・等方
配置にある事実上純粋な微晶ヒドロキシルアパタ
イトからなり、ほぼ35000〜75000psiの圧縮強度、
ほぼ3000〜50000psiの引張強度、ほぼ10〜
12ppm/℃の線熱膨張係数、ほぼ470〜500クヌー
プ硬度及びほぼ6×106psiの弾性係数を持ち、な
めらかな曲面にそつた割れ目の存在、及び偏光下
での複屈折の不存在を特徴とする、強くて、堅
く、密で、白色で、半透明な陶材であることを示
した。 本明細書で使用する“密な”とは、粒子が高度
にぎつしりつまり、空間即ち未充填部分が事実上
ないことを示す。 ヒドロキシルアパタイトの上記形とは対照的に
地質学的なヒドロキシルアパタイトと熱水方法に
より製造される合成ヒドロキシルアパタイトとは
巨大晶であり、平面にそつて割れ目があり、又複
屈折する。生物学的ヒドロキシルアパタイトは、
アパタイト格子にその最精製状態(即ち歯のエナ
メル質)でかなりの量のカーボネートイオンを一
般に含み、渦巻き形の射出柱の形に不等方形に配
置され、それゆえこれらエナメル柱の界面にそつ
た直線中で砕け、1500psiという比較的低い引張
強度を持つことで区別される。 本発明により提供されるヒドロキシルアパタイ
トの新規陶材の上述特性に加え、この材料は完全
に生物適合性であり、それゆえ歯科及び外科の人
工材料として特に適している。即ち、本発明の陶
材は歯冠、義歯、人工骨、人工関節、カニユー
レ、骨に結合し肌を突き通すことのできる義手義
足取付装置、歯垢、虫歯形成、関節炎その他歯及
び骨に影響を及ぼす疾患を研究するためのテスト
表面に鋳造し又は機械工作できる。適当に粉砕す
れば、本発明の新規陶材は骨欠損部を補修するた
めに合成キヤンセルス(canncellus)骨として、
あるいは研摩剤として、そして標準の樹脂と組合
せたときには後述する通り歯補強組成物として使
用できる。 歯垢阻止剤評価のためのテスト表面としては、
本発明の陶材は適当なサイズと形(好ましくは標
準試験管に容易に挿入できるサイズと形)とを持
つたものに組成できる。 これは、乾燥過ケーキの大きな板状片を適当
なサイズに切断又は機械処理し、ついで焼結する
ことにより便利に達成される。この焼結生成物は
標準のみがき技術を使つて高度に光沢を付与で
き、ついでTuresky等の前述の方法により歯垢阻
止剤の評価で基質として使用される。使用後、こ
の陶材体は簡単に再光沢され、新しいテスト面と
なる。 通常通り製造されるとき、本発明の陶材は密で
あるばかりでなく非孔性であり、又、無孔である
ことが歯科向けでは必須であるが、注入物にある
程度の孔があることが体液の循環と組織の内方成
長を可能にする点において有利である。Monroe
等により記述された方法(前出)に似た方法で本
発明の陶材に様々な程度の有孔性を付与できる。
例えば、約5〜25重量%の量のスターチ、セルロ
ース、コツトン、コラーゲンなどの有機材料をヒ
ドロキシルアパタイトのゼラチン状沈殿物と混合
する。次の焼結工程中にこの有機材料は燃えつ
き、これによりかかる処理がなければ無孔性の陶
製品に穴及び溝が作りだされる。別法として、無
孔陶材にドリル又は機械で穴及び開口をあけるこ
とにより孔は製造できる。 このような方法で、本発明のこの一面を持つた
陶材でできた義歯は注入点で有孔性にできる。一
方むき出しの歯表面は無孔性のままである。注入
は、Hodosh等〔Jounal of American Dental
Association70362(1965)〕により報告された方法
で達成できる。別法として、本発明の陶材は重合
性又は重合された結合剤と後述通りに組成し、こ
の組成物をアメリカ特許3609867号(1971年10月
5日公布)明細書記載の方法で金属注入物の被膜
として使用できる。 本発明の二番目の特徴は、第一相としての約14
〜98重量%のヒドロキシルアパタイトと第二相と
しての約2〜86重量%のウイトロツク石とからな
り、孔がなく、またなめらかな曲面にそつて裂け
目があることを特徴とする強くて、堅くて、密
で、白色で、等方性で、多晶質の焼結陶製品にあ
る。 リン酸三カルシウムとしても知られるウイトロ
ツク石は化学式Ca3(PO42を持つ無機物であり、
α又はβ結晶相のいずれかで存在する。本明細書
で“ウイトロツク石”はα又はβ相のいずれか、
或はその二相の混合物をさす。 本発明の二相系陶材は含有するヒドロキシルア
パタイトとウイトロツク石との相対濃度にかかわ
りなく無孔多晶物質である。しかし、ヒドロキシ
ルアパタイトとウイトロツク石とは異なつた物性
を持つので、この二相系陶材の物性、例えば密度
と光学的特性、はヒドロキシルアパタイトとウイ
トロツク石との相対量に左右されると思われる。
例えば、ウイトロツク石の理論密度はヒドロキシ
ルアパタイトのそれよりも低いので、約40%のヒ
ドロキシルアパタイトと60%のウイトロツク石と
を含む二相性陶材のサンプルの観察密度は2.98
g/cm3であり、ヒドロキシルアパタイトだけの陶
材のサンプルの場合は3.10g/cm3だつた。 上記二相系陶材は生物と適合しており、それゆ
え外科の人工材料として適している。即ち、この
材料は人工骨又は人工関節、あるいは骨の空間即
ち欠損部を次填するに適した所望の形に鋳造又は
機械加工できる。本発明の二相性陶材から組成さ
れた人工製品に含有されるウイトロツク石は結局
は再吸収され、天然の生物硬組織の内方成長に取
つて替えられる。もちろん、組織の内方成分の程
度は陶材に含まれ再吸収されるウイトロツク石の
量に左右される。 通常通り製造されるとき、本発明の二相系陶材
は無孔性である。しかし、所望ならばヒドロキシ
ルアパタイトの新規陶材体のところで前述した通
り様々な程度の有孔性を陶材に与えることができ
る。 陶材ヒドロキシルアパタイトについて後述する
ようにフツ素化によつてその二相系陶材を耐酸性
にすることもできる。 ヒドロキシルアパタイトの上述した新規陶材体
は、PHが約10〜12の水性媒体から、カルシウムと
リンとのモル比がほぼ1.62〜1.72であるヒドロキ
シルアパタイトを沈殿させ、この沈殿ヒドロキシ
ルアパタイトを溶液から分離し、かくて得たヒド
ロキシルアパタイトを、本質的に分解させること
なくその焼結と最大緻密化を達成するのに充分な
温度で充分な時間加熱することにより製造でき
る。 例えばヒドロキシルアパタイトは約10〜12のPH
でカルシウムイオンとホスフエートイオンとを反
応させることにより水性媒体から沈殿させる。水
性媒体中にカルシウム及びホスフエートイオンを
供給するカルシウム−又はホスフエート−含有化
合物は、それぞれの対イオンがヒドロキシルアパ
タイト生成物から容易に分離され、それ自体がヒ
ドロキシルアパタイト格子中に配合されることは
なく、又もしそうでなければ事実上純粋なヒドロ
キシルアパタイトの沈殿又は単離を妨害するとい
う条件付きでいずれも適当である。カルシウムイ
オンを供給する化合物は例えば硝酸カルシウム、
水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等である。ホ
スフエートイオンはリン酸水素二アンモニウム、
リン酸アンモニウム、リン酸等により供給され
る。本発明の方法では硝酸カルシウムとリン酸水
素二アンモニウムがカルシウムイオン、ホスフエ
ートイオンのそれぞれ好ましい給源である。 特許請求されているヒドロキシルアパタイトの
新規体の製造は次の通り便利に実施される。 まず硝酸カルシウムとリン酸水素二アンモニウ
ムとを1.67〜1のモル比でPHが約10〜12の水溶液
中で相互作用させてヒドロキシルアパタイトのゼ
ラチン状沈殿物を生成する。Hayek等により記
述された方法〔Inorganic Syntheses 63
(1963)〕はこの目的に合致する。かくて得たヒド
ロキシルアパタイトのゼラチン状サスペンシヨン
を、懸濁ヒドロキシルアパタイトのカルシウムと
リンとの比を約1.62〜1.72の価にするのに充分な
時間原溶液と接触させたまま放置する。これは、
サスペンシヨンを室温で24時間以上撹拌するか、
10〜90分沸騰するか、或は沸騰とその後の室温放
置とを組合せることにより便利に達成される。好
ましくはサスペンシヨンを10分沸騰し、ついで室
温で15〜20時間放置する。ついでヒドロキシルア
パタイトを適当な手段(例えば遠心分離、真空
過)により溶液から分離する。このようにして収
集されるゼラチン状生成物は多量の吸収水を含
み、その多くは加圧により除去できる。所望なら
ば、得られた湿つた粘土状物質は便利な形に切断
し又は成形でき、或いは別法として適当な金型で
鋳造できる。湿つたヒドロキシルアパタイトを乾
燥する時には普通ほぼ25%の収縮を生じ、後述す
る焼結中に更に約25%の収縮が起ることを特記す
る。この事実は材料を形作り又は成形するとき当
然考慮すべきことである。湿つた生成物をゆつく
りと加熱して1000゜〜1250℃の焼結温度にするこ
とができる。この温度ですべての残留水がなくな
るであろう。1000゜〜1250℃の温度にほぼ20分〜
3時間維持すれば生成物の焼結と最大緻密化が達
成される。普通には焼結に先き立つて乾燥生成物
を単離することが好ましい。例えば湿つた生成物
を約90゜〜900℃でほぼ3〜24時間又はその水分量
が0〜約2%に下がるまで乾燥できる。ほぼ90゜
〜95℃の乾燥条件を約15時間、又はその水分量が
約1〜2%に下がるまで使用することが一般に好
ましい。この方法で得られたヒドロキシルアパタ
イトはもろくかつ有孔性だがかなりの機械的強度
を持つ。(乾燥に際して厚い過ケーキを使う時
は特に)粘土状物質の分離又は砕けが幾分生ずる
ことがある。しかし、100cm2、厚さ3mmの片が容
易に得られる。乾燥中の分離又は砕けは沈殿した
てのヒドロキシルアパタイトのサスペンシヨンに
約0.4〜0.6重量%の有機結合剤(例えばコラーゲ
ン、粉末セルロース又はコツトン)を加えること
により最小にするか防止できる。約0.5%のコラ
ーゲンが好ましい。その次の焼結工程中にこの有
機結合剤は揮発し、陶製品の物理特性はかかる結
合剤の不存在下で生成した製品の物理特性と事実
上変つていないと思われる。もちろん、事実上多
量の有機結合剤を使えば前述の多孔陶製品が得ら
れるだろう。陶業界で知られている他の常とう的
有機及び無機結合剤も又使用できる。 焼結に際し生ずる前記収縮を考慮しながら更に
この段階で乾燥ヒドロキシルアパタイトを最終製
品として望ましい形に大ざつぱに切断又は形作る
ことが普通便利である。 ヒドロキシルアパタイト本体は焼結に先き立ち
均一でかつ欠損部がないものでなければならな
い。割れ目又は裂け目の存在は片が焼結過程中に
破砕する原因となることがある。ついで生成物を
約1000゜〜1250℃でほぼ20分〜3時間焼結する
(温度と時間とは逆の相関々係にある)。焼結は
1100゜〜1200℃でほぼ0.5〜1時間行なうことが好
ましい。かくて製造された堅くて密な陶製品をつ
いで常法によりみがき又は機械処理できる。 上記方法ではヒドロキシルアパタイトを水溶液
からのゼラチン状沈殿物として製造することが絶
対要件である。というのは、ヒドロキシルアパタ
イトを形作り又は成形し、ついで乾燥・焼結して
マクロフオームの陶製品を生成できるのはこの粘
着性ゼラチン状態にあるときのみであるから、乾
燥粒状又は顆粒状ヒドロキシルアパタイトはこの
ゼラチン状態に再構成できない。例えば、粉末ヒ
ドロキシルアパタイトを水に懸濁し、過するな
らば非粘着性の粒状過ケーキが得られ、これは
簡単に乾燥し、ぼろぼろに砕け、マクロフオーム
の陶製品に形作り、成形し、或は変えることがで
きない。その上、粉末ヒドロキシルアパタイトは
機械的に圧縮して成形体(例えば錠剤)にできる
が、本発明の方法によつて焼結した時に得られる
製品は高度に有孔性であり、なめらかな平面にそ
つて割れず、単に粗片に砕けるだけである。 水性媒体中で形成されるヒドロキシルアパタイ
トは錯体であり、そのプロセスは完全にはわかつ
ていないが、カルシウムイオンとホスフエートイ
オンとがまず結合してカルシウムとリンとの比が
約1.5であるカルシウム欠乏ヒドロキシルアパタ
イトを形成するものと一般に信じられている。カ
ルシウムイオンが存在するとこれはカルシウムと
リンの比が1.67であるヒドロキシルアパタイトに
ゆつくりと変わる。〔Eanes等著、Nature208
365(1965)及びBett等著、J.Amer.Chem.Soc.89
5535(1967)〕即ち、事実上純粋なヒドロキシルア
パタイトからなる陶製品を得るためには、ヒドロ
キシルアパタイトの初めのゼラチン沈殿物をその
カルシウム対リンの比が約1.62〜1.72になるまで
充分な時間原容液と接触させておくことが本発明
の方法では肝要である。この範囲(1.62〜1.72)
からかなり偏たると半透明性が低下した陶製品が
得られる。例えば、ヒドロキシルアパタイトを室
温で沈殿させ、沈殿後2時間以内に集めるときに
はそのカルシウム対リンの比は約1.55〜1.57であ
り、それから最終的に製造される陶製品は不透明
であり、X線回折によればヒドロキシルアパタイ
トとウイトロツク石とを含む混合物であることが
わかる。事実、後に更に詳しく述べる通り、カル
シウムとリンの比が約1.44〜1.60である物質が上
述した二相系陶製品の製造に役立つ。即ち、本発
明の方法により事実上純粋なヒドロキシルアパタ
イトからなる半透明陶製品が得られるが、水性媒
質におけるヒドロキシルアパタイトの形成方法が
完全にはわかつていないことを考慮すると、カル
シウムとリンとの望ましい化学量論が達成され、
焼結した時に生成物は事実上純粋なヒドロキシル
アパタイトからなることを確認するためにはヒド
ロキシルアパタイトの形成をモニターすることが
恐らくは有益であろう。これは、ヒドロキシルア
パタイトのサスペンシヨンの一部を取り出し、生
成物を分離し、前述通り乾燥・焼結し、かくて生
成された陶製品を元素分析、X線分析にかけるこ
とにより容易に達成される。 焼結の温度と時間も又本発明の方法の絶対条件
である。即ち、1.62〜1.72の望ましいカルシウム
対リンの比を持つ未焼結ヒドロキシルアパタイト
は、少なくとも1000℃の温度で加熱することによ
り本発明の陶製品に変えることができる。1000℃
では完全な焼結と最大緻密化とに2〜3時間を要
し、一方1200℃ではプロセスは20〜30分後に完了
する。温度が1000℃より事実上低いと加熱時間に
関係なく焼固は不完全となり、1時間以上1250℃
以上で加熱するとヒドロキシアパタイトの一部が
分離してウイトロツク石になるであろう。 第一相のヒドロキシルアパタイトと第二相のウ
イトロツク石からなる上述した二相系陶製品は、
PHが約10〜12の水溶液からほぼ1.44〜1.60好まし
くは1.46〜1.57のカルシウム対リンモル比を持つ
リン酸カルシウム化合物を沈殿させ、この沈殿物
を溶液から分離させ、かくて得た固体をその焼結
と最大緻密化を行なうのに充分な温度と時間で加
熱することにより製造できる。 必要な化学量論値、即ちCa/P=1.44〜1.60を
持つリン酸カルシウム化合物は、PHが10〜12の水
性媒体中で、単相系ヒドロキシルアパタイトの製
造の所で述べたと同一のカルシウムイオン源、ホ
スフエートイオン源を用いてカルシウムイオンと
ホスフエートイオンとを相互作用させることによ
り得られる。硝酸カルシウムとリン酸水素二アン
モニウムとが好ましい薬剤である。 例えば、二相系陶製品は硝酸カルシウムとリン
酸水素二アンモニウムとを1.67〜1のモル比で、
単相系陶製品ヒドロキシルアパタイトの製造のと
ころで述べた通り初めのゼラチン沈殿物を加熱せ
ず、かつ約4時間を越えない期間原溶液と接触さ
せたままにしておくか、或は沈殿物のカルシウム
対リンのモル比が約1.60を越えないものとすると
いう条件で相互作用させることにより製造でき
る。 単相陶製品ヒドロキシルアパタイトの製造の所
で述べた様に、リン酸カルシウム沈殿物を溶液か
ら分離し、洗い、所望により便利な形に形作るか
成形され、そして所望ならば焼結に先立つて乾
燥・単離する。 沈殿したてのリン酸カルシウムのサスペンシヨ
ンを、単相ヒドロキシルアパタイトの所で述べた
様に有機結合剤又はフルオリドイオンで処理する
こともできる。 焼結は約1000%〜1350℃で約20分〜3時間加熱
することにより行なう。 かくて製造された陶製品中に含まれるウイトロ
ツク石の量は、沈殿物が原溶液から分離される時
に左右され、約2〜83%である。例えば、生成物
を沈殿後5分に単離するときにはそのカルシウム
対リンの比は1.55であり、それから究極的に製造
される陶製品は約83%のウイトロツク石を含む。
生成物を沈殿後2時間目に単離するならばそのカ
ルシウム対リンの比は1.57であり、得られる陶製
品は約61%のウイトロツク石を含む。沈殿後4.5
時間目に生成物を単離すると約2%のウイトロツ
ク石を含む陶製品が究極的には得られ、この量は
最小濃度感度が2〜3%であるX線回折ではほと
んど検出できない。もちろん、生成物を原溶液と
約7時間以上接触させ続けるならば、最終的に得
られる陶製品は事実上単相ヒドロキシルアパタイ
トである。 別法として、本発明により得られる二相系陶製
品はカルシウムイオンとホスフエートイオンとを
ほぼ1.50〜1.60対1のモル比で反応させることに
より製造できる。この方法では、リン酸カルシウ
ム沈殿物中のカルシウム対リンのモル比は沈殿物
を原溶液と接触させておく時間に関係なく約1.60
の値を越えることはできない。 即ち、本発明の二相系陶製品の製造は、反応体
即ち硝酸カルシウムとリン酸水素二アンモニウム
とをほぼ1.50〜1.60対1のモル比で相互作用させ
て約30〜50%のヒドロキシルアパタイトと約50〜
70%のウイトロツク石とからなる陶製品を製造す
る点を除けば、単相陶製品ヒドロキシルアパタイ
トの製造のところで述べた様にして便利に実施さ
れる。 本発明の陶製品は、上述した2つの方法の特徴
を組み合わせることにより、即ちカルシウムイオ
ンをほぼ1.50〜1.60対1のモル比でホスフエート
イオンと相互作用させ、沈殿したリン酸カルシウ
ム化合物を短時間内(好ましくは沈殿後約5分〜
4時間)に単離することによりウイトロツク石相
を更に富ませることができる。かくて製造された
陶製品は約10〜30%のヒドロキシルアパタイトと
70〜90%のウイトロツク石からなる。 ヒドロキシルアパタイトは約1250℃で分解して
ウイトロツク石を生成することが知られており、
それゆえ本発明の単相陶製品ヒドロキシルアパタ
イトを約1250℃もしくはそれ以上で長期加熱する
とヒドロキシルアパタイトが一部分解してウイト
ロツク石が生じ、これにより本発明の二相系陶製
品を製造するための別法が提供される。 本発明は又、本発面の陶材ヒドロキシルアパタ
イトと、口腔条件と合致する重合性又は重合体結
合材とのブレンドからなる歯補強組成物に関す
る。本発明の歯補強組成物は約10〜90重量%(好
ましくは60〜80重量%)の細割陶材ヒドロキシル
アパタイトを含み、残りは約10〜90重量%の、歯
科的に許容される重合性又は重合体結合材と既知
の適当な重合触媒(例えば脂肪族ケトン過酸化
物、過酸化ベンゾイル等)、ジ−、トリ−及びテ
トラエチレングリコールジメタクリレートなどの
反応性希釈剤、アメリカ特許3277056号(1966年
10月4日付与)明細書に記述されているようなN
−3−オキソヒドロカーボン−アクリルアミドな
どの硬化剤、金属アセチルアセトネート、第三ア
ミン〔N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)
p−トルイジン等〕などの促進剤又は加速剤、又
は酸化亜鉛等の架橋剤(組成物全体の約0.01〜45
重量%量で存在する)を組み合わせたものであ
る。必須ではないが界面活性コーモノマー又は鍵
かけ剤(keying agent)例えばアメリカ特許
3200142号(1965年8月10日付与)明細書に記述
されているN−フエニルグリシンとグリシジルメ
タクリレートとの反応生成物、メタクリルオキシ
プロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシ
シクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリクロルシラン等を組成物全体の0.05〜10重
量%の量で組成物に加えることができる。この結
合剤又は鍵かけ剤は陶材の樹脂への、そして歯充
填用組成物の天然歯への結合を促進する。例え
ば、本発明の陶材ヒドロキシルアパタイトを通常
の粉砕技術を使つて約5〜100ミクロンの適当な
粒径に分割し、ついで歯補強分野で知られている
適量の標準樹脂、例えばヒドロキシエチルメタク
リレート、ポリメチルメタクリレート、ポリマク
リル酸、プロピレングリコールフマレートフタレ
ート不飽和ポリエステル(例えばAllied
Chemical Co.で販売されている23LS8275、
Pittsburgh Plate Glassで販売されている
Selectron580001)、スチレン変性不飽和ポリエス
テル(例えばGlidden Glidpol1008、G−136、
4CS50)、エポキシ樹脂(例えばCiba
Araldite6020、Union Carbide ERL2774)、及び
アメリカ特許3066112号(1962年11月27日付与)
明細書に示されている、グリシジルメタクリレー
トとビスフエノールAとから製造されるビスアク
リレートモノマーと混合する。この樹脂は単一モ
ノマーか、あるいは2もしくはそれ以上のコーモ
ノマーの混合物からなる。所望ならば染料、無機
顔料、螢光剤などの添加物をそれら材料業界で知
られている原理により上記組成物に加えることが
できる。樹脂、陶材ヒドロキシルアパタイト、及
び任意成分(例えばシラン結合剤、染料、無機顔
料又は螢光剤)を触剤、硬化剤、架橋剤、促進剤
又は加速剤の添加に先き立つてブレンドすると便
利である。しかし、成分のこの混合順位は絶対的
なものではなく、上記成分を同時にブレンドする
こともできる。このようにして製造した組成物を
通常の技術を使つて歯充填材、歯のエナメル質、
窩洞詰め物、覆髄剤として使用でき、又適当な型
で鋳造して義歯又はそのセツトを作ることができ
る。 口腔で使用される材料が耐蝕性(caries
resistance)であることはもちろん大きな利点で
ある。この目的は、約0.01〜1%のフルオリドイ
オン(例えばアンモニウムフルオリド又はスタナ
スフルオリド)を沈殿したてのヒドロキシルアパ
タイトのサスペンシヨンに加えることにより、本
発明の実施において容易に達成される。生じた生
成物を焼固することにより製造される陶材は乳
酸、酢酸又はクエン酸の攻撃に、あるいは耐蝕性
を測定するための標準のin vitro方法で良く耐え
る。別法としては、耐蝕性は最終陶材をフツ化ナ
トリウムの0.5〜5%水溶液に約12〜5日さらす
ことにより付与することができる。好ましくは、
陶材本体をフツ化ナトリウムの約5%水溶液中に
はほぼ4日放置する。 本発明の陶材が有機及び無機結合剤及びフルオ
リドイオンの他に小量の他要素(陶材の本質的性
質を変えることはないがそれに有用な特性を付与
できる)を含むことができるのはもちろん陶材業
界の当業者に明らかな所である。例えば、バリウ
ム及びストロンチウムをアパタイト結晶格子に配
合すること、及びこれら元素がX−線に対しカル
シウムよりもかなり不透明であることが知られて
いる。それゆえ、ホスフエートイオンとの反応に
先き立つてカルシウムイオンに小量のバリウム又
はストロンチウムイオンを添加すれば、前述通り
に歯補強用組成物で使用する時にX−線を充分吸
収する原因となり、これにより充填歯の検出が容
易になるバリウム又はストロンチウム処理ヒドロ
キシルアパタイト陶材が結果して得られる。 マグネシウム(これも又アパタイト結晶格子中
に配合される)はウイトロツク石の結晶化を促進
する一方ヒドロキシルアパタイトの結晶化を遅ら
せることが知られている〔Eanes等著、Calc.
Tiss.Res.2、32(1968)〕。例えばホスフエートイ
オンとの反応に先立つてカルシウムイオンに小量
のマグネシウムイオンを加えればウイトロツク石
の形成を促進し、このため結果としてはウイトロ
ツク石に富んだ二相系陶材が得られる。 以上述べた様にして得られた陶材は次の1つも
しくはそれ以上に基づき特性づけた。 元素分析、密度、X−線回折、透過式電子顕微
鏡、偏光顕微鏡及び物理的特性。 本発明を以下の実施例および参考例により更に
詳細に説明する。本発明はこれら実施例に限定さ
れない。 実施例 1 130mlの1.63N硝酸カルシウム(0.212モル)と
125mlの濃アンモニアとを含む撹拌混合物に、
16.75g(0.127モル)のリン酸水素二アンモニウ
ム、400mlの蒸留水及び150mlの濃アンモニアを含
む混合物を約20分かけて滴下した。生じたサスペ
ンシヨンを10分間沸騰させ、氷浴で冷却し、過
した。過ケーキをダム(rubber dam)で加圧
し、ついで95℃で一夜乾燥した。得られた堅くて
多孔性でもろいケーキのサンプルを電気炉で115
分加熱して終温を1230℃とし、ついで室温にまで
冷却して、強くて、堅く、白色の半透明陶製品を
得た。 この最終陶製品及び焼結前の乾燥ヒドロキシル
アパタイトの標準元素分析によりCa10(PO46
(OH)2に基づく次の結果を得た。
【表】 この陶製品の薄断面を偏光顕微鏡により130X
と352Xで調べたら事実上ウイトロツク石を含ま
ないことが示された。複屈折の不存在、及び晶子
形、配向、界面等の識別できる構造特性は微晶構
造を示した。Monroeにより報告されている焼結
圧縮錠剤の薄断面の光学顕微鏡観察の結果(前
出)との比較により、2つの物質が構造的に非類
似であることを示した。 X線回折測定を常法で実施した。平面間間隔を
計算し、Donnay等〔Crystal Date、ACA
Monogram No.5668(1963)〕によつて与えられ
たヒドロキシルアパタイトの値と事実上同一であ
ることがわかつた。 上記X線データは、ウイトロツク石が約2〜3
%(回折計の最小濃度感度)を越える値で存在し
ないことを更に示した。 実施例 2 79.2g(0.60モル)のリン酸水素二アンモニウ
ムを1500mlの蒸留水に溶解し、ほぼ750mlの濃ア
ンモニアでPHを11〜12に調整した。更に蒸留水を
加えて沈殿リン酸アンモニウムを溶解して全量を
3200mlとした。必要に応じてPHを再び11〜12に調
整した。この溶液を、ほぼ30mlの濃アンモニア水
溶液で前もつてPHを12に調整してある900mlの蒸
留水に1モルの硝酸カルシウムを含め激しく撹拌
した溶液に30〜40分かけて滴下し、ついで全量が
1800mlになるまで蒸留水で希釈した。添加完了後
生成したゼラチン状サスペンシヨンを更に10分間
撹拌し、ついで10分間沸騰させ、熱源からはず
し、被覆し、室温で15〜20時間放置した。上澄み
液をデカンテーシヨンで除き、残留サスペンシヨ
ンを2000rpmで10分間遠心分離した。得たスラツ
ジを800mlの蒸留水に再懸濁させ、2000rpmで10
分間再び遠心分離した。残留固体に蒸留水を加え
て全量を900mlとした。激しく振とうして、大き
な破片又は集合体を事実上含まない均質サスペン
シヨンを得た。このサスペンシヨン全てを一時に
ブツフネル斗に注ぎ入れ、弱い真空下で過し
た。過ケーキが砕け始めた時にダムを使用し、
真空度を高めた。一時間後にダムを除き、割れ目
のない完全な過ケーキを平らな表面に移し、90
〜95℃で15時間乾燥して90〜100gの白色で、多
孔性で、もろいヒドロキシルアパタイト片を得
た。1〜4cm2の、割れ目、裂け目のない波片を電
気炉に入れ、100分かけて温度を1200℃に上げ、
その後炉とその内容物を室温にまで放冷した。か
くて堅くて、密で、無孔性で、白色で、半透明の
陶材が得られた。
【表】 上記分析を実施した後に、使用した分析技術で
はサンプルを完全に溶解できず、それゆえ結果は
不正確であり、大いに変わりうるということが発
見された。上記分析データにもかかわらず、この
サンプルの実質的均質性は、次の電子顕微鏡デー
タにより確認された。その上、実施例2の方法に
事実上同一の方法により製造された実施例3の生
成物は予想された分析値を持つており、またX線
回折と電子顕微鏡とにより均質ヒドロキシルアパ
タイトとして更に特徴づけられた。 2工程レプリカサンプルを、サンプル表面のコ
ロジオンレプリカをクロミウムで増影し、ついで
炭素で被覆することにより作つた。このレプリカ
サンプルの透過式電子顕微鏡検査により、孔のな
いかなり均一な粒径、あるいは約0.5%(電子顕
微鏡の最小濃度感度)を越える量で粒の界面又は
粒内に存在する第二相沈殿物が明らかにされた。
陶材サンプルをついでSiC紙でみがいて600グリ
ツトにし、ついで繊細なナイロン布で被覆された
金属組織ホイール上でみがいて3ミクロメーター
ダイヤモンドペーストにした。このサンプルをつ
いで4%フツ化水素酸で30秒間エツチングした。
ついでこのみがかれ、エツチングされた表面から
レプリカを作り、ついで電子顕微鏡で観察した。
しかし、再び、粒界面には第二相は観察されず、
粒塊中に小さな第二相粒子があることが幾分示さ
れた。 圧縮強度と弾性係数を常法で測定し、各々
56462psi±16733psi及び6.3×106psiであることが
わかつた。 引張強度を標準の三点曲げテストで測定し、
9650psi±3320psiであることがわかつた。 熱膨張係数は25℃と225℃との間では一次直線
であり、価が11×10-6/℃±10%であることがわ
かつた。 標準のクヌープ法を使つて硬度が480であるこ
とがわかつた。これと同一の値が加える力の方向
にはかかわりなく得られ、これにより物質が等方
性であることが示された。 テスト物質をフクシン染料中に15分浸け、水で
洗い、乾燥し、ついで痕跡量の残留染料を調べて
有孔性を定性測定した。このテストを、本発明の
無孔性陶材、ヒドロキシルアパタイトの焼結圧縮
錠剤及び天然の歯で同時に行なつた。焼結圧縮錠
剤は染料をかなり保持することを示し、一方本発
明の新規陶材と天然の歯とは染料の目に見える保
持は示さなかつた。別の方法で、テスト物質を
6N水性アンモニアに浸漬し、ついで水で洗い、
乾燥し、湿つたリトマス紙に包んだ。表面の孔に
捕われて残つているアンモニアは、周囲のリトマ
ス紙を青に変える原因となる。このテストを、本
発明の陶材、ヒドロキシルアパタイトの焼結圧縮
錠剤及び天然の歯で同時に行なつた時、焼結圧縮
錠剤と接触しているリトマス紙は青に変わり、こ
れにより錠剤中に捕われたアンモニアが存在する
ことが示された。本発明の新規陶材あるいは天然
の歯に接触しているリトマス紙では色変化は観察
されなかつた。 実施例 3 実施例2に記載された方法で3モルの硝酸カル
シウムと1.8モルのリン残水素二アンモニウムと
を出発物質として304gの白くて、もろく、有孔
性のヒドロキシルアパタイトを得た。
【表】 1100℃で1時間焼結して堅くて白色の密度が
3.10g/cm3の半透明陶材が生成された。X線回折
はこの物質が均質なヒドロキシルアパタイトであ
ることを示した。電子顕微鏡検査により、粒径分
布が0.7〜3ミクロンにあり、孔の不存在又は第
二相沈殿物が明らかにされた。 参考例 1 A 実施例2の方法でその半量を用いて約50gの
ヒドロキシルアパタイトを水溶液から沈殿させ
た。遠心分離・デカンテーシヨン後に残留無機
スラツジを全量を1にするのに充分な量の水
に再懸濁させ、ワーリングブレンダー中で均質
化した。 B 200mlの水に0.5gの粉末セルロース(<
0.5μ)を含め、ワーリングブレンダーで3分間
ブレンドした。ヒドロキシルアパタイト均質水
性サスペンシヨンの100mlをついで加え、得ら
れた混合物を更に5分ブレンドした。生じたサ
スペンシヨンをついで過し、過ケーキを実
施例2の方法で乾燥し、焼結した。この過ケ
ーキは乾燥後まつたく砕けを示さず、又焼結に
より製造された陶製品は前述のフクシン染料テ
ストにより示される通りわずかに有孔性だつ
た。 C 0.5gの寸断した外科用コツトンを200mlの水
に含めて混合物を得、ワーリングブレンダー中
で45分又はほぼ均質のサスペンシヨンが得られ
るまでブレンドした。実施例4Aに述べたヒド
ロキシルアパタイトの均質水性サスペンシヨン
の100mlをついで加え、ブレンドを更に15分続
けた。生じたサスペンシヨンを過し、過ケ
ーキを実施例2の方法により乾窓焼結した。得
られた陶製品は完全であり、目に見えて有孔性
だつた。 実施例 4 A 300mlの水中に5gのコラーゲン(牛のアキ
レス腱)を含む混合物をワーリングブレンダー
中で5分ブレンドした。このコラーゲンは多量
の水を吸蔵して厚いゼラチン状塊を形成してい
た。小量の細割コラーゲン(20〜30mg)はサス
ペンシヨン中に留まつた。 B この細割コラーゲンのサスペンシヨン(250
ml)をデカンテーシヨンし、実施例4Aに述べ
たヒドロキシルアパタイトの均質水性サスペン
シヨンの100mlと5分間ワーリングブレンダー
中でブレンドした。得られた混合物を過し、
実施例2により過ケーキを乾燥・焼結した。
得られた陶製品は完全であり、また事実上無孔
性だつた。 参考例 2 約20%の濃厚ゼラチン状コラーゲンをワーリン
グブレンダー中で6分間、実施例4Aに述べたヒ
ドロキシルアパタイト均質水性サスペンシヨンの
150mlとブレンドした。生じた混合物を過し、
過ケーキを実施例2の方法で乾燥・焼結した。
焼結前の乾燥ケーキは完全であり、かなりの機械
的強度を持つていた。焼結により得られた陶材は
堅く、強く、又目に見えて有孔性だつた。 実施例 5 実施例2により製造した陶製品サンプルをフツ
化ナトリウム1%水溶液中に12時間放置した。こ
れら物質を未処理陶材及び天然歯と共に10%乳酸
にさらした。3日後にフルオリド処理陶材は未処
理陶材あるいは天然の歯のエナメル質よりも、乳
酸による被害が事実上少ないことが示された。フ
ツ化ナトリウム1%水溶液中に3日放置した時、
3日後における乳酸の攻撃による被害は目に見え
るほどではなく、1月後にほんのわずかに分解し
た。一方未処理サンプルは非常に分解した。 実施例 6 実施例2の方法で半分の量を使つて約50gのヒ
ドロキシルアパタイトを水溶液から沈殿させた。
遠心分離後に無機スラツジを全量を500mlとする
のに充分な量の水に懸濁した。得たサスペンシヨ
ンを10個の均等部分に分け、その各々を50mlの水
で希釈し、フツ化アンモニウムで次の通りに処理
した。 サンプル1、2、3、4及び5には0.00085g
のF/mlを含むフツ化アンモニウム水溶液をそ
れぞれ0、0.1、0.5、1.0及び2.0ml加えた。サン
プル9と10には、0.045gのF/mlを含むフツ化
アンモニウム水溶液をそれぞれ2.0、4.0ml加え
た。ついでサスペンシヨンを回転シエーカーで
1.5時間振とうし、過した。過ケーキをダム
で15分圧し、95℃で2日乾燥し、ついで電気炉で
熱して1200℃の温度にした。得られた陶材を細か
い粉砕し、No.325メツシユスクリーンで篩分けし
た。各粉末サンプルの80mgを23℃のPHが4.1の乳
酸ナトリウム緩衝溶液(0.4M)の80mlと混合し、
ブレル(Burrell)手首作動シエーカーで振とう
した。混合後2、9、25及び40分後に各サンプル
混合物から3mlずつを取り出し、直ちに過して
未溶解サンプルを除き、比色分析法によつて溶解
された陶材の量を測定した。結果を表Aに示す。
比較目的でサンプル1の焼結部分を1mlの5%フ
ツ化ナトリウム中に4日間放置した。固体を分離
し、完全に水で洗い、乾燥し、ついでサンプル
1Aのように上述の溶解分析にかけた。その結果
は表Aに含まれる。上述の実験条件がin viv.条
件に近くないことはもちろんではあるが、一定時
間内にサンプルを充分に溶解させるように選択す
ればフルオリドイオン濃度の相対効果の正確な評
価ができる。例えば陶材ヒドロキシルアパタイト
のインヴイヴオ溶解速度は、強乳酸塩緩衝液にお
ける上記観察速度よりかなり低いことが予想され
る。
【表】 実施例 7 実施例2により作つた約3〜4mm厚でCa/P
が1.64〜1.66である乾燥過ケーキの大きな破片
の評価を行ない、約14〜15mm長、7〜8mm幅の長
方形平板に砕き、一端から小さな穴をあけた。こ
れら平板1000枚をついで実施例2の方法で焼結
し、標準の玉みがき技術を使つて高光沢にみがき
上げた。3.12〜3.14g/cm3の密度を持つ陶材本体
は、ほぼ10〜11mm長、4〜5mm幅、2〜3mm厚で
その一端に穴を持ちその一端を通じて一定長のワ
イヤーが取り付けられている長方形平板の形をし
ていた。この平板はそれゆえ試験管中いかなる所
望の深さにも懸濁できるものであり、前述通り、
歯垢阻止剤評価でのテスト表面として使用され
た。 実施例 8 600mlの蒸留水に0.24モルのリン酸水素二アン
モニウムを含めた溶液を340mlの濃アンモニアで
PH11.4に調整し、蒸留水で最終量を1280mlとし
た。得た溶液を、濃アンモニアでPH11に前もつて
調整した360mlの蒸留水中に0.4モルの硝酸カルシ
ウムを含め激しく撹拌した溶液に30分かけて滴下
し、蒸留水で希釈して720mlとした。生じたサス
ペンシヨンを沸騰させることなく撹拌し、250ml
ずつを定期的に取り出し、生成物を単離し、実施
例2に述べられているように洗いかつ乾燥した。
ついで全てのサンプルを1100℃で1時間加熱し、
得られた陶製品の組成をX線回折により測定し
た。結果を表Bに示す。
【表】 実施例 9 A 実施例2の方法で0.3モルの硝酸カルシウム
と0.2モルのリン酸水素二アンモニウムを使つ
て、次の元素組成を持つ堅く、もちろん、多孔
質の製品を得た。 Ca=38.85%;P=19.77%;Ca/P=1.52 この物質を1200℃で1時間加熱して、X線回
折により示される所によればほぼ40%のヒドロ
キシルアパタイトと60%のウイトロツク石とか
らなる、強く、堅く、無孔性で、白色で、幾分
不透明の陶材を得た。 B上記反応を出発物質の添加順序を逆にして実施
したとき、約40%のヒドロキシルアパタイトと
60%のウイトロツク石とからなり、1.52のCa/
Pと2982g/cm3の密度とを持つ製品を得た。 実施例 10 150mlの蒸留水に0.0625モルのリン酸水素二ア
ンモニウムを含めた溶液を95mlの濃アンモニアで
処理し、蒸留水で最終量を320mlとした。得た溶
液を、180mlの蒸留水に0.1モルの硝酸カルシウム
と2.5mlの濃アンモニアとを含む激しく撹拌した
溶液に30分かけて滴下した。得られたサスペンシ
ヨンを5分撹拌し、ついで氷中で45分間冷却し、
懸濁固体を単離し、実施例2に述べられているよ
うにして洗い、乾燥して、次の元素組成を持つ、
堅くて、もろく、多孔性で白色の固体を得た。 Ca=35.4%;P=18.59%;Ca/P=1.46 この物質を1350℃で1時間加熱して、X線回折
により示されたところによればほぼ14%のヒドロ
キシルアパタイトと86%のウイトロツク石とから
なり、強く、堅く、無孔性で、幾分不透明な陶製
品を得た。 実施例1〜10の製品は本発明の製品に対応し、
前述通りその物理特性を持つ。 実施例1、2、3、4B及び5〜7により製造
された製品は強く、堅く、密で、白色の半透明陶
材であり、事実上純粋で孔のない等方性多晶ヒド
ロキシルアパタイトからなり、ほぼ35.000〜
125.000psiの圧縮強度、ほぼ3000〜30000psiの引
張強度、ほぼ10〜12ppm/℃の線熱膨張係数、ほ
ぼ470〜500のクヌープ硬度及びほぼ6×106psiの
弾性係数を持ち、なめらかな曲線にそつた割れ目
の存在、および偏光下での複屈折の不存在を特徴
とする。 参考例1と2により製造された製品は、実施例
1、2、3、4B及び5〜7により製造されたと
同一の材料からなるにもかかわらず、様々な数と
サイズの空間即ち孔を導入している。かかる製品
に孔を導入すればその物理特性、例えば圧縮強
度、引長強度、弾性及び硬度、が低下することは
もちろん明白である。 参考例 3 歯のエナメル質及び充填剤として適当な組成物
を次の通りにして製造した。 A 7mlのエタノールに20gの、N−フエニルグ
リシンとグリシジンメタクリレートとの縮合生
成物(アメリカ特許3200142号明細書に記載さ
れており、そこではNPG−GMAと呼ばれてい
る)を含めた溶液に2.0gの粉末陶材ヒドロキ
シルアパタイトを加えた。5分間渦巻撹拌した
後にエタノールを室温で真空蒸発させ、残留固
体を1mmHgで2時間乾燥した。 B 上記物質の80mgサンプルを0.4mgの過酸化ベ
ンジル、及びヒドロキシエチルメタクリレート
と、ビスフエノールAとグリシジルメタクリレ
ートとの反応生成物(アメリカ特許3066112号
明細書に記載されており、そこではBis−
GMAと呼ばれている)との1:2混合物の30
mgを混合した。生じた混合物を円筒状スチール
金型に入れたら3〜5分で硬化した。圧縮強度
を、このようにして作つた4個の円筒栓で測定
した。平均値は24350psiだつた。 参考例 4 60部の粉末陶材ヒドロキシルアパタイト、13部
のヒドロキシエチルメタクリレート、27部のビス
フエノールAとグリシジルメタクリレートとの縮
合生成物、0.3部のN,N−ビス(2−ヒドロキ
シエチル)−p−トルイジン及び0.8部の過酸化ベ
ンゾイルからなる混合物を完全にブレンドして、
歯の穴および裂け目のシーランドとして役立つ、
薄くて自由流動性の処分物を得た。これを円筒状
スチール金型に注入したら約3分後に硬化した。
このようにして製造した7個の円筒栓の圧縮強度
を測定した。平均値は20400psiだつた。 参考例 5 以下は歯の充填剤として役立つ処方物の一例で
ある。 5mlの2−プロパノールに0.5gの粉末陶材ヒ
ドロキシルアパタイトを加えた。陶材の表面から
すべての水和水を除くために2−プロパノールを
室温で真空蒸発した。このように処理した120mg
の粉末ヒドロキシルアパタイトに0.3mgの過酸化
ベンゾイル、ついで40mgの混合物〔ビスフエノー
ルAとグリシジルメタクリレートとの縮合生成
物、トリエチレングリコールジメタクリレート及
びN,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−p−
トルイジンからなる商品名EpoxyliteHL−72
でLee Pharmaceuticalsより販売されている〕を
加えた。得た混合物をのばしてなめらかなペース
トとし、円筒形のスチール金型に入れ、4時間放
置した。円筒栓を金型から取り出し、3体をテス
トし、平均の圧縮強度が22300psiであることを発
見した。 参考例 6 7mlのエタノールに30mgのN−フエニルグリシ
ンとグリシジンメタクリレートとの縮合生成物を
含めた溶液に渦巻撹拌しながら1gの粉末陶材ヒ
ドロキシルアパタイトを加えた。エタノールを室
温で真空蒸発した。このように処理した180mgの
粉末陶材ヒドロキシルアパタイトと3.0mgの過酸
化ベンゾイルとを含む混合物に、60部のビスフエ
ノールAとグリシジルメタクリレートとの縮合生
成物と40部のトリエチレングリコールジメタクリ
レートとを含む74mgの混合物を加え、得られた集
合体をへらでのばしてなめらかなペーストとし、
これを円筒形のスチール金型に入れ、3時間放置
した。円筒形栓を金型から取り出し、4体をテス
トしたら22300psiの平均圧縮強度を持つことがわ
かつた。 参考例 7 歯及び歯列矯正用セメントとして、あるいは一
時的な歯充填剤として役立つ組成物を、100mgの
粉末陶材ヒドロキシルアパタイト、300mgの酸化
亜鉛及び300mgのポリアクリル酸40%水溶液を混
合して作つた。生じた混合物を円筒形スチール金
型に入れたら約3〜5分で硬化した。円筒栓を金
型から取り出し、4体をテストしたら、12400psi
の平均圧縮強度を持つことがわかつた。他の5体
は1630psiの平均径方向引張強度を持つことがわ
かつた。40%水性ポリアクリル酸と酸化亜鉛と
は、西ドイツのESPE G.m.b.H.から商品名
Durelonで入手できる市販のポリカルボキシレ
ートセメントのそれぞれ液体成分、固体成分とし
て得た。 実施例 8 歯のセメント及び充填剤として適当な組成物
を、6重量部の40%水性ポリアクリル酸と、6重
量部の粉末陶材ヒドロキシルアパタイトと4重量
部の酸化亜鉛とを含む混合物を混合することによ
り製造した。得られた組成物は約5〜10分の硬化
時間を有した。40%水性ポリアクリル酸と酸化亜
鉛とは、西ドイツのESPE G.m.b.H.から商品名
Durelonで入手できる市販のポリカルボキシレ
ートセメントのそれぞれ液体成分、固体成分とし
て得た。 参考例 9 次は、歯の充填組成物の一例である。 成 分 重量% スチレン変性ポリエステル樹脂(Glidden
Glidpol G−136) 29.2 過酸化ベンゾイル 0.7 スチレン 0.6 メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン
1.5 陶材ヒドロキシルアパタイト 68.0 参考例 10 次は、歯のセメント、窩詰め物及び覆髄剤とし
て役立つ組成物の一例である。 成 分 重量% エポキシ樹脂(Union Carbide ERL2774) 67 N−3−オキソ−1,1−ジメチルブチルアクリ
ルアミド 23 陶材ヒドロキシルアパタイト 10 参考例 11 次は、義歯又はそのセツトの構成に適当な組成
物の一例である。 ほぼ150〜200メツシユの60重量部の陶材ヒドロ
キシルアパタイトと40重量部の粉末ポリメチルメ
タクリレートとを含む混合物をほぼ15重量部の液
体モノマーメチルメタクリレートとブレンドし、
得た混合物を、密閉容器中室温で、容器の壁にも
はや付着せず又非粘着性プラスチツク稠度を持つ
迄放置した。ついで適当な金型に詰め、金型とそ
の内容物を水に漬け、約1時間かけて加熱沸騰さ
せ、その温度に30分間維持した。ついで金型を約
15分放冷し、最後に冷水道水(tap water)で冷
却した。 本発明の新規陶材体ヒドロキシルアパタイトの
生物学的和合性を移植研究により確認した。実施
例1の方法により製造した陶材の破片をラツトに
腹腔内注入した時、あるいはラビツトの背に皮下
挿入した時炎症はまつたく生ぜず、また陶材の再
吸収は28日後まつたく示されなかつた。 実施例3に述べた方法に似た方法で製造した陶
材ヒドロキシルアパタイトペレツトを犬の大腿骨
に外科的に移植した。移植物を周期的にX線でin
vivo観察した。1月後、6月後に動物を殺し、移
植物の入つた大腿骨を切り離した。大腿骨をその
移植部位で切断し、光学顕微鏡と走査電子顕微鏡
とで検査した。1月後、6月後の植殖物は、正常
治癒、新しい骨の移殖物表面への強い結合(中間
に繊維組織がない)、炎症又は異物反応がないこ
と、移植物質の再吸収がないことにより特徴づけ
られた。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 約0.2〜3ミクロンの平均結晶サイズを持つ
    事実上純粋なヒドロキシルアパタイトから構成さ
    れ、約3.10〜3.14g/cm3の密度、35000〜
    125000psiの圧縮強度、470〜500のクヌープ硬度
    を持ち、事実上孔がなく、裂け目が滑らかな曲面
    となる、半透明で等方性の歯科用の多晶質焼結陶
    材。 2 乳酸による該陶材の分解速度を実質上低下さ
    せるのに有効量のフツ素イオンを配合させる、特
    許請求の範囲第1項記載の陶材。 3 第一相としての約14〜98重量%のヒドロキシ
    ルアパタイトと第二相としての約2〜86重量%の
    ウイトロツク石からなり、35000〜125000psiの圧
    縮強度、470〜500のクヌープ硬度を持ち、事実上
    孔がなく、そして裂け目が滑らかな曲面となる、
    密で等方性の歯科用の多晶質焼結二相系陶材。 4 乳酸による該陶材の分解速度を実質上低下さ
    せるのに有効量のフツ素イオンを配合させる、特
    許請求の範囲第3項記載の陶材。
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