JPS6357649B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、デイスクブレーキのキヤリパー、詳
しくは、鋼板製のキヤリパーに関するものであ
る。

車両に使用されている従来のデイスクブレーキ
のキヤリパーは、一般にダクタイル鋳鉄製である
ために重量が重く、材料費が高いのみならずシリ
ンダに作用する液圧に対する剛性が低いなどの欠
点を有している。

本発明は、キヤリパーの前記鋳鉄に基因した欠
点を解消するために、鋼板によりキヤリパーの前
腕、頭、後腕とシリンダとを別体として製作し、
シリンダを後腕に摩擦溶接等により固着一体化し
たキヤリパーを提供することにその目的がある。

本発明に係るデイスクブレーキのキヤリパーの
一実施例について、以下に図面を参照しつつ説明
する。

第１図に於て、１はキヤリパーのシリンダであ
り、キヤリパー後腕２との当接部に於て溶接固着
されている。第２図乃至第４図に於て、キヤリパ
ー本体、すなわちキヤリパーの前腕４、頭３、後
腕２は、鋼板にほぼコ形となるように曲げ加工を
施したもので、前腕４と後腕２は対向する平行平
面を形成し、頭３によつて連結されている。図外
のアウターパツドの当接する前腕４には、その中
央下部に切欠４ａを有し、後腕２には、そのほぼ
中央にシリンダ１を溶接により冠着すべき円形に
閉鎖された貫通孔からなるシリンダ用孔５が穿設
されている。

第５図及び第６図に示すシリンダ１，１′は、
鋼板を絞り加工により、又は棒材を押出し成形に
よつて予め作成される。シリンダ１，１′の内周
には、パツドとロータとの間隙を一定に保持する
弾性シールを環装すべきシール溝６及び油道７が
機械加工されている。なお油道７の機械加工は、
シリンダ１，１′をキヤリパー本体に固着後が好
ましい。

次に、シリンダ１，１′のキヤリパー後腕２へ
の溶接は、摩擦溶接であつては、第５図に示す如
きシリンダ１を用いて行なう。すなわち、シリン
ダ１の開口側端部にシリンダ１の外径より小径
D₂の突出した案内部１ｂを設け、シリンダ１の
外径端部に環状側面１ａを形成してある。案内部
１ｂの外径D₂はシリンダ用孔５の内径D₁より若
干小に形成され摩擦溶接時の接触が防止されてい
る。後腕２のシリンダ用孔５に外側よりシリンダ
１の案内部１ｂを遊合し、シリンダ用孔５の周縁
にシリンダ１の環状側面１ａを当接せしめて、例
えばキヤリパー本体を固定し、シリンダ１を高速
回転させ、シリンダ１を環状側面１ａに於てシリ
ンダ用孔５の周縁の全周に亘つて溶接して固着す
る。

なお、第６図に示すシリンダ１′の開口側面
１′ａをシリンダ用孔５の周縁に当接せしめて、
抵抗溶接、又は電子ビーム溶接によつてシリンダ
１′を後腕２に全周に亘つて固着してもよいが、
電子ビーム溶接による場合には、シリンダ用孔５
の周縁に取付座を設けておくことが好ましい。

本発明に係るデイスクブレーキのキヤリパー
は、上記の如く、鋼材により製作されているので
鋳鉄製に比し、剛性が強く、又鋳巣、砂傷等の材
料欠陥の虞れが無いので、肉厚の薄い軽量な、か
つ信頼性の高いキヤリパーが提供され、又価格面
でも低廉となる。更に、キヤリパーの前・後腕及
び頭並びにシリンダの材料として、共に鋼を選択
したので、良好な溶接強度が得られ、デイスクブ
レーキとしての所要強度が確保された。加えて、
シリンダの開口側端部は、後腕の貫通孔の全周縁
に亘つて溶接固着されているので、ブレーキ反力
に対して全周を取り囲む大きな後腕が強度部材と
して作用し、キヤリパーに制動時の反りを生じ難
く、キヤリパーの耐久性が良好であり、かつブレ
ーキパツドに偏摩耗を生じ難い。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に係るデイスクブレーキのキ
ヤリパーの側面図で、第２図は、本発明に係るデ
イスクブレーキのキヤリパーに使用されるキヤリ
パー本体の断面図で、第３図は、第２図のＡ−Ａ
線断面図で、第４図は、第２図のＢ−Ｂ線断面図
で、第５図は、本発明に係るデイスクブレーキの
キヤリパーに使用される一例を示すシリンダの断
面図で、第６図は、他の例を示すシリンダの断面
図である。 １……シリンダ、２……後腕、３……頭、４…
…前腕、５……シリンダ用孔（貫通孔）。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ キヤリパーの前腕と、この前腕に対向する平
   行平面よりなる後腕と、該前腕と後腕とを連結す
   る頭とを鋼板によりほぼコ形に形成し、前記後腕
   は閉鎖された貫通孔を有し、一端部開口を有する
   鋼製のシリンダの開口側端部を前記孔の全周縁に
   亘つて溶接固着したことを特徴とするデイスクブ
   レーキのキヤリパー。