JPS6357142B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は下スリーブ内の溶湯を下プランジヤで
キヤビテイ内に充填するようにした縦型鋳造機に
おいて、溶湯上面の浮遊酸化物等の不純物のキヤ
ビテイ内への侵入を防止し、鋳造欠陥のない鋳造
品を得るようにした溶湯の充填方法に関する。

キヤビテイより下のスリーブ内に溶湯を貯溜
し、該溶湯を下プランジヤの上動でキヤビテイ内
に充填する充填方法は、溶湯に圧力が働かず、溶
湯を静かに、円滑に充填することが可能で、鋳造
品の品質の向上を図ることができる。

ところでかかる溶湯充填方法において、第９図
に示される如くスリーブ１内の下位に嵌装された
プランジヤ２上に溶湯Ｍを貯溜し、プランジヤ２
を上動させて図示しないキヤビテイ内に溶湯を充
填するものであるが、溶湯Ｍのスリーブ１、プラ
ンジヤ２に接する表面には薄い殻状の早期凝固膜
M₁が生成されるとともに、溶湯Ｍの上面には酸
化物や混入異物、早期凝固分、スリーブ潤滑剤等
の軽量異物の如き不純物M₂が浮遊する。かかる
浮遊不純物は溶湯Ｍの充填時にキヤビテイ内に溶
湯とともに侵入し、鋳造品の外観品質、内部品
質、強度等の低下をもたらす等の鋳造欠陥が発生
する虞れがある等の問題がある。

本発明者等はこの種鋳造機の溶湯充填における
以上の如き問題点に鑑み、これを有効に解決すべ
く本発明をなしたもので、その目的とする処は、
下スリーブ上方の湯道連通部上壁に堰を垂下突設
して逆凹状空間部を形成し、溶湯のキヤビテイへ
の充填開始時に該空間内に上面の不純物を閉じ込
め、不純物のない清浄な溶湯をキヤビテイ内に供
給する如くし、外観、内部ともに品質良好で強度
低下等の鋳造欠陥のない鋳造品を得ることができ
るようにした縦型鋳造機の溶湯充填方法を提供す
るにある。

次に本発明の好適一実施例を添付図面に従つて
詳述する。

第１図は本発明の要旨にかかる部分の縦断面図
で、鋳造機１１は上型１２及び下型１３とからな
り、下型１３の偏した位置には射出スリーブ１４
が縦設され、射出スリーブ１４内にはプランジヤ
１５が摺動自在に嵌装され、プランジヤ１５は図
示しない昇降手段でスリーブ１４内を昇降摺動
し、プランジヤ１５のチツプ１５ａ内には水冷室
１５ｂが設けられている。スリーブ１４上端上で
下型１３の型合せ面１３ａには該スリーブ１４上
端と連続する凹部１６が形成され、一方、上型１
２内に縦設した注湯スリーブ１７の下端が射出ス
リーブ１４と同心的に凹部１６上端に開口し、該
スリーブ１７にはシールプランジヤ１８が昇降摺
動自在に嵌装され、これのチツプ１８ａ内には水
冷室１８ｂが形成され、スリーブ１７の上部には
注湯口１９が形成されている。

このシールプランジヤ１８の下面で凹部１６の
天井をシールするとともに、凹部１６の一部を型
１３の内方に延出して湯道部２０を形成し、湯道
部２０の端部を上型１２の型合せ面１２ａに折曲
垂下して開口したランナ２１下端に臨ませて連通
せしめ、ランナ２１は図示しないキヤビテイに連
通している。

以上の凹部１６と湯道部２０間の上部には堰２
２が垂下突設され、具体的には湯道部２０の上壁
をなすこの部分の上型型合せ面１２ａから一体に
堰２２を垂下突設し、堰２２の下端２２ａと射出
スリーブ１４上端間には凹部１６と湯道部２０と
を繋ぐ連通部２３を形成する。かくして射出スリ
ーブ１４上方には湯道部２０と下半部の連通部２
３で連通する逆凹状の空間２４が形成され、空間
２４を形成する凹部１６の周壁内には水冷室２５
…が設けられている。

以上において、第１図の状態からプランジヤ１
５を射出スリーブ１４の所定位置迄降下させ、シ
ールプランジヤ１８を上昇させて注湯口１９を開
き、溶湯Ｍを注湯スリーブ１７を介して注湯し、
溶湯Ｍはプランジヤ１５上の射出スリーブ１４内
に貯溜され、爾後シールプランジヤ１８を下動さ
せて注湯口１９を空間２４と絶縁し、且つシール
プランジヤ１８の下面を注湯スリーブ１７の下端
と同一位置に臨ませ、空間２４の天井部を閉塞す
る。この状態を第２図で示した。この状態で溶湯
Ｍの周面は射出スリーブ１４の内壁との接触で薄
い殻状の凝固膜M₁が形成されるとともに、溶湯
Ｍの底には射出プランジヤ１５の上面との接触で
凝固部M₃が発生され、凝固部M₃はプランジヤ１
５が冷却されていることから厚くなる。そして溶
湯Ｍの上面には酸化物、混入異物、早期凝固分、
スリーブ潤滑剤等の軽量な不純物M₂が集まり、
浮遊している。

次に射出プランジヤ１５を上昇させると溶湯Ｍ
も上昇し、溶湯Ｍの上面は連通部２３を通つて上
方に移動し、このさい溶湯Ｍの上部は連通部２３
に臨むが凝固膜M₁が生成されているためこれに
保持されて溶湯は流出せず、溶湯Ｍの上面は凹状
空間２４の天井部であるシールプランジヤ１８下
面等に当る。これを第３図で示した。

射出プランジヤ１５の上動の継続で溶湯Ｍには
圧力がかかり、溶湯凝固膜M₁の連通部２３に臨
む部分が圧力で破壊され、破壊された一部の凝固
膜M₄…を含んだ溶湯が連通部２３、湯道部２０
等を経て図示しないキヤビテイ内に供給、充填さ
れる。このさい、上面の不純物M₂は堰２２で囲
まれた空間２４の天井部近傍で保持され、且つ下
からの圧力でその位置に保持され、更に堰２２で
湯道部２０への移動、流入を阻止させることとな
る。従つて不純物M₂の溶湯への侵入は阻止され
る。これを第４図で示した。そして溶湯の供給充
填の中期及び完了時を第５図及び第６図で示し
た。又このさい空間に滞溜した不純物は冷却手段
で冷却され、凝固が促進されて溶湯内への混入が
阻止されるとともにこの溶湯の充填作動時堰２２
の反対側及び周辺部の凝固膜は周辺が冷却されて
いることから積極的に生成され、上面に突き当つ
て折れ、この折れはプランジヤ１５の上動に伴つ
て順次増え、折れ片M₅…は下からの圧力で押し
上げられ、不純物M₂の下に重なつて堆積し、堰
２２で湯道部２３への折れ片M₅…の侵入流入は
阻止されることとなる。これを第４図乃至第６図
で示した。

尚図面中２６は型合せ面に形成されたガス及び
空気抜きの通路である。

第７図及び第８図は変更実施例を示し、第７図
は上型１１２の型合せ面１１２ａで空間１２４の
天井部を形成し、この上に水冷室１１２ｂを形成
し、空間１２４の一部は堰１２２で中間迄規制さ
れ、空間１２４の堰１２２とは反対側に注湯スリ
ーブ１１７を横向きに配設し、シールプランジヤ
１１８をこれに臨ませ、プランジヤ１１８には水
冷室１１８ｂを形成した。又第８図は基本構造が
第７図と同様で、空間２２４の天井２２４ａを斜
面とし、垂直に上昇してくる凝固膜が折れ易く、
又堆積し易くしたものである。

以上図示実施例を詳述したが、冷却機構は任意
である。

以上で明らかな如く本発明によれば、溶湯上面
に浮遊する不純物は堰で囲まれた射出スリーブ上
方の空間に保持されて湯道部への侵入、流入を阻
止され、キヤビテイ内に供給される溶湯は酸化物
等の不純物の混入されていない清浄のものとな
り、得られた鋳造品は外観、内部ともに欠陥のな
い高品質のものとなり、且つ強度低下の原因とな
る不純物が混在せずに各部で均質なものが得ら
れ、耐圧性、高強度を要する鋳造品を高品質で得
ることができる。又空間に滞溜する不純物や上昇
してくる凝固膜は冷却手段で積極的に凝固が促進
され、溶湯への侵入、流入は阻止され、上記効果
の実効性を更に高め得る等多大の利点を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示すもので、第１図
は本発明を実施する縦型鋳造機の要部の縦断面
図、第２図乃至第６図は溶湯充填プロセスを説明
する縦断面図、第７図及び第８図は変更実施例
図、第９図は従来例である。 尚図面中、１１は縦型鋳造機、１４は下スリー
ブ、１５は下プランジヤ、２２は堰、２３は湯道
連通部、２４は空間である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 下スリーブ内に貯溜された溶湯をプランジヤ
   で上方に押し上げて移動させつつキヤビテイ内に
   充填するようにした縦型鋳造機において、スリー
   ブ上方の湯道連通部に下方に突出する堰を設けて
   スリーブ上方に逆凹状の空間を設け、該空間内に
   堰下方のスリーブ内の溶湯をプランジヤの上動に
   よりキヤビテイへの充填に先立ち該溶湯上面の浮
   遊不純物を閉じ込め、次いで清浄な溶湯を堰下の
   湯道連通部からキヤビテイ内に充填するようにし
   たことを特徴とする縦型鋳造機の溶湯充填方法。 ２ 前記逆凹状空間の周辺を冷却するようにした
   ことを特徴とする前記特許請求の範囲第１項記載
   の縦型鋳造機の溶湯充填方法。