JPS6355390B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、ブルーム連鋳用電磁撹拌鋳型に関
し、とくに、該鋳型内における電磁撹拌を、有利
に強化するための改良を提案しようとするもので
ある。

連鋳用水冷鋳型内溶鋼の電磁撹拌は、鋳片表層
部におけるピンホール、ブローホールなどの気泡
欠陥の防止および等軸晶率の増大による鋳片品質
の改善を目指して、適用される。撹拌方式は一定
していないが、ブルーム連鋳の場合、撹拌効率と
効果の点で一般に回転磁界方式の水平旋回流の撹
拌が行われる。

その一般的な構成を第１図および第２図に示
し、図中１は溶鋼、２は銅板よりなるを例とする
水冷鋳型、３はバツクアツプフレーム、４は鋳型
フレーム、５，５′は通水ヘツダ、６は冷却水通
路、７，７′は通水ダクト、８は電磁コイル、９
は鉄芯枠、１０はフツトロール、１１は撹拌流動
の向き、１２はオツシレーシヨンテーブルを示
す。

水平旋回流撹拌の場合、電磁装置は電磁コイル
８と鉄芯枠９とで構成され、バツクアツプフレー
ム３の背後に設置される。磁場は回転磁場が構成
され鋳型内の溶鋼１を矢印１１の方向に旋回運動
させる。

電磁コイル８の電磁力は、水冷鋳型２の銅板お
よびバツクアツプフレーム３で減衰するので、こ
れらの厚さは出来るだけ薄くするのが望ましく、
また、撹拌力を上げるには、電磁装置のスペース
を大きくとり、コイル容量を上げる必要がある。

通常のブルーム連鋳用鋳型は第２図に示すよう
に、鋳型フレーム４内に冷却水７を通し水冷鋳型
２の冷却を行つている。したがつて、この鋳型に
対して撹拌用の電磁装置を組込む場合、図示のよ
うに鋳型フレーム４の上下に分岐する通水ダクト
７′，７に挾まれた狭い空間１３内での配置とな
る。

しかし、通常この程度の空間に納まる電磁装置
では、所要の撹拌流速（0.5m／ｓ〜1m／ｓ）を
得るのは困難な場合が多いけれどもコイルスペー
スを広げるには鋳型の高さを高くするか、または
鋳型フレーム４を外側に延ばし大型化するかにな
る。

しかし、ブルームの場合、スラブに比べサイズ
が小さいので凝固シエルの剛性が高く、鋳型を高
くしても鋳型下部ではエヤーギヤツプを形成し、
鋳込条件の変動に対して凝固シエルが鋳型に追従
しない問題があつて、鋳型高さは通常700mm程度
が限度である。また鋳型フレーム４を外側に延ば
すのは、新作連鋳機にあつてはある程度可能とし
ても既設連鋳機に組込むような場合にはオツシレ
ーシヨンテーブル１２などの周囲の制約を受けあ
まり広げられない。

その他の手段としてチユーブラ鋳型にし、銅板
バツクアツプフレームを極端に薄肉化し、電磁コ
イルの所要容量を小さくし、小型化することも考
えられるが、チユーブラ鋳型は、小型サイズ
（φ150mm以下程度）のものでは可能だがφ200mmを
超えるサイズでは鋳型の変形が大きくなり、鋳片
品質と鋳型寿命の点で問題が多い。

以上のような事情から特に既設の連鋳鋳型に、
電磁撹拌装置を設置するような場合、その構造上
所要能力を有する装置の設計が難しかつたのであ
る。

そこでこの発明は上記撹拌用電磁装置のための
スペースを最大限に確保し、十分な撹拌能力を得
るための鋳型構造を提案するものである。

すなわちこの発明は、ブルーム連鋳用の水冷鋳
型を取囲むバツクアツプフレームの背後に、電磁
コイルを方形の鉄芯枠と一体化して水冷鋳型内注
入溶鋼の撹拌流動に供する電磁装置をそなえ、上
記水冷鋳型とバツクアツプフレームとの間の冷却
水通路への給水と排水を司る通水ダクトを兼ねる
鋳型フレームを介して上記水冷鋳型を、バツクア
ツププレート及び電磁装置と一緒にして、オツシ
レーシヨンテーブル上に載架したブルーム連鋳用
電磁撹拌装置において、鋳型フレームの通水ダク
トをまとめてバツクアツプフレームの上方側に片
寄つて形成するとともに、これら通水ダクトの下
方側にてバツクアツプフレームの背面に面する電
磁装置を載置固定した下部フランジを、鋳型フレ
ームに脱着可能としてねじ止めして成ることを上
記課題の解決手段とするものである。

第３図〜第５図にこの発明の実施例を示し、溶
鋼１を矢印１１の向きに附勢して水平旋回撹拌を
起させる。この場合、湯面付近を強撹拌するとパ
ウダーを巻込み、欠陥を生ずるおそれがあるので
電磁コイル８は第４図に示すように湯面部は避
け、鋳型下部に寄せて設置するのが良い。したが
つて鋳型上部は、鋳型フレーム４の溶鋼スペース
として有効に利用し、そして鋳型下部は、コイル
８のスペースとして出来るだけあけた方がよい。
また鉄芯枠９は回転磁界方式の旋回型コイルを用
いる場合、第１図でのべたと同様に方形枠状を呈
し、この鉄芯は分割構造とすることはできても鋳
型の組込みの難易と実操業におけるメンテナンス
の観点では、電磁コイル８と一体構造として鋳型
に対し組込むのが良い。

したがつてこの発明では鋳型下部を開放構造に
し、電磁コイル８と鉄芯枠９とを一体として鋳型
下部より挿入し、あらかじめ第４図のように鉄芯
枠９の下部にボルト１４で固定しておいた下部フ
ランジ１５により、固定ボルト１６を介して鋳型
フレーム４に固定するようにしている。これによ
り電磁装置の取付スペースとして鋳型下面および
オツシレーシヨンテーブル１２の内側いつぱいま
で有効に利用することができる。なお鋳型下部を
開放構造にすることによる鋳型剛性の低下は、フ
レーム４の上部における剛性アツプにより補われ
るが、下部もフランジ１５で固定しているので、
それ程剛性は低下しない。

さてこの構造で問題になるのが、鋳型２への冷
却水の通路６への給排水である。こゝに排水用通
水ダクト７′は従来通り鋳型フレーム４の内部が
使えるので問題ないが、入側の通路は鋳型フレー
ム４の下方分岐をなしているので、給水通路が確
保できないところこの問題に対し、この発明で
は、第８図、第５図に示すような張出し１７をバ
ツクアツプフレーム３の両端で延長形成し、この
部分に面する通水接続部としての、給水用の通水
ダクト７″を排水用の通水ダクト７′とともに鋳型
フレーム４に並設し、給水用の通水ダクト７″を
バツクアツプフレーム３の下方ヘツダー５に連通
させる。

すなわち、鋳型フレーム４に通水ダクト７′と
ともに並設した通水ダクト７″を通して導いた冷
却水を第３図のように一たん上部ヘツダー５′と
同軸の横孔に導入し、盲プラグ１８および１９に
よる密封下に、これらの間に穿つた垂直方向のた
て孔２０を通して下部のヘツダ５に導くのであ
る。冷却水は、銅板２の裏側の冷却水通路６を通
つて上昇し、上部ヘツダー５′から、従来と同様
のルートでオツシレーシヨンテーブル１２内の配
管に戻される。

このようにして鋳型下部には鋳型フレーム４を
利用した冷却通路を設ける必要なしに水冷鋳型２
の銅板の冷却が可能となり、また、張出し１７は
鋳型の両端部であるので、電磁コイル８と干渉す
ることもなく、これにより電磁コイル８が鋳片か
ら遠ざけられることもない。

この発明では鋳型の基本構造自体は従来型を踏
襲しているので、既設連鋳機に適用する場合にも
無理なく、最大限に電磁装置の取付スペースを確
保できる。

なお、実施例で説明したように撹拌用電磁装置
として、回転磁界方式の旋回型コイルを用いる場
合はとくに効果的であるがリニアモータ型コイル
を使用する場合も、同様の構造にて利用できる。
また、第３図において、電磁装置の固定を取付ボ
ルト１６で下部フランジ１５に固定する構造とし
ているが、変形例として、電磁装置の上部を鋳型
フレーム４から吊り下げ固定する方式により下部
フランジ１５への荷重負担を軽減してもよい。

この発明による効果は次のように要約される。

(1) 撹拌用電磁装置のスペースが十分とれるの
で、スペースに余裕のない連鋳鋳型にあつて
も、従来方式に比べて溶鋼撹拌能力が大きくと
れる。

(2) 鋳型はプレート型の一体構造として、フレー
ム構造も基本的には従来型を基本としているの
で既設連鋳機への適用も容易である。

(3) 鋳型本体の機械構造と電磁装置の電気品構造
を分離して、組込む構造としているので、組立
てが容易であり、メンテナンス性に優れてい
る。

(4) 鋳型下部へのはみ出しがほとんどなく、既設
連鋳機を改造する場合も、鋳型下部の鋳片支持
機構をほとんど改造する必要はない。

適用鋳片は角ブルームに限らず、極端な扁平形
状でない限り、丸ブルームその他異形断面のブル
ームの鋳型内電磁撹拌装置として利用することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来タイプの鋳型内電磁撹拌装置の平
面図、第２図は第１図のＡ―Ａ断面図であり、第
３図はこの発明の実施例を要部の断面で示す正面
図、第４図は第３図のＢ―Ｂ断面図、第５図は第
４図のＣ―Ｃ矢視で示すバツクアツプフレームの
側面図である。 １…溶鋼、２…鋳型、３…バツクアツプフレー
ム、４…鋳型フレーム、５…上部ヘツダ、５′…
下部ヘツダ、６…冷却通路、７′，７″…通水ダク
ト、８…電磁コイル、９…鉄芯枠、１２…オシレ
ーシヨンテーブル。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ブルーム連鋳用の水冷鋳型２を取囲むバツク
   アツプフレーム３の背後に、電磁コイル８を方形
   の鉄芯枠９と一体化して水冷鋳型２内注入溶鋼１
   の撹拌流動に供する電磁装置をそなえ、上記水冷
   鋳型２とバツクアツプフレーム３との間の冷却水
   通路６への給水と排水を司る通水ダクト７′，
   ７″を兼ねる鋳型フレーム４を介して上記水冷鋳
   型１を、バツクアツププレート３及び電磁装置と
   一緒にして、オツシレーシヨンテーブル１２上に
   載架したブルーム連鋳用電磁撹拌装置において、 鋳型フレーム４の通水ダクト７′，７″をまとめ
   てバツクアツプフレーム３の上方側に片寄つて形
   成するとともに、これら通水ダクト７′，７″の下
   方側にてバツクアツプフレーム３の背面に面する
   電磁装置を載置固定した下部フランジ１５を、鋳
   型フレーム４に脱着可能としてねじ止めして成る
   ことを特徴とする、ブルーム連鋳用電磁撹拌鋳
   型。 ２ バツクアツプフレーム３がそのコーナー端部
   に張出し部を有し、この張出し端部に水冷鋳型２
   との間の冷却水通路下方へ給水するたて孔をそな
   える特許請求の範囲１に記載した鋳型。