JPH0459989B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は鋼の連続鋳造において浸漬ノズルか
らの溶鋼流に制動を加えることにより、溶鋼中に
含まれる介在物の侵入深さを減じて鋳片の介在物
の低減を図るのに有利な電磁ブレーキ装置に関す
るものである。

（従来の技術） 連鋳鋳片の介在物を低減する試みとして例えば
特開昭57−17356号公報には連鋳鋳型に電磁ブレ
ーキ装置を適用する技術が提案されている。この
技術は浸漬ノズルからの溶鋼注入流を、電磁ブレ
ーキによつて減速することにより溶鋼中に含まれ
る介在物がストランド内の深くまで浸入し、凝固
シエル界面にトラツプされるの防止するもので鋳
片の介在物を極力低減しようとするものである。

（発明が解決しようとする問題点） 電磁ブレーキ装置を連鋳鋳型に適用することは
前述のように連鋳鋳片の介在物を低減するのに非
常に有利であるが、実際に電磁ブレーキ装置を連
鋳用のモールドに組込むに当つては設置スペース
がある程度限定されるので所定の減速能力をもつ
た装置を取付けるには連続鋳造装置の付帯設備を
大きくしなければならず設備費がかかり、またメ
ンテナンスにおいても手間のかかる不利があつ
た。

この発明の目的は電磁ブレーキ装置を連続鋳造
装置にコンパクトに収めることが可能でかつメン
テナンス等における取付や取外しに便利な電磁ブ
レーキ装置を提案するところにある。

（問題点を解決するための手段） この発明は鋳型銅板で鋳片の横断面輪郭を囲い
該鋳型銅板の背面に沿うバツクアツププレートを
区画壁の要部とする冷却箱を鋳型銅板と組合わせ
た連続鋳造鋳型の電磁ブレーキ装置において、冷
却箱に、連続鋳造鋳型のまわりを取り囲んで配置
した鋳型支持枠に面して開口し、バツクアツププ
レートを開口の底とする前後各一対の区画凹所を
設け、各区画凹所内にコア入り電磁コイルを収容
して、対をなす区画凹所内の電磁コイルのコア相
互間にわたる磁路を形成し、かつ磁路を横切る向
きの縦横比が８以下の縦長の断面寸法を有するヨ
ークを、各コアとともにそれぞれバツクアツププ
レートにねじ止めする貫通ボルトにより固定して
なることを特徴とする連続鋳造用鋳型の電磁ブレ
ーキ装置である。

第１図ａ，ｂ及びｃにこの発明に従う電磁ブレ
ーキ装置の好適例を組込んだ連続鋳造装置をその
平面、正面及び側面で示す。図において１は鋳片
の横断面輪郭を囲う鋳型銅板、２は鋳型銅板１を
固定しバツクアツププレート２ａを区画壁の要部
とした冷却箱、３は鋳型銅板１および冷却箱２よ
りなる連続鋳造鋳型を保持する鋳型支持枠、４は
連続鋳造鋳型を鋳型支持枠３に固定する支持軸、
５はオシレーシヨンテーブル、６は浸漬ノズルで
あり、冷却箱２には鋳型支持枠３に面して開口し
バツクアツププレート２ａを開口の底とした前後
各一対の区画凹所２ｂを設けてある。また７はコ
ア入電磁コイル、８は電磁コイル７相互間にわた
る磁路を形成するヨーク、９はヨーク８を各電磁
コイル７のコアとともに区画凹所２ｂのバツクア
ツププレート２ａにねじ止めする貫通ボルトであ
る。

（作用） 通常、電磁ブレーキ装置は第２図に示すように
冷却箱２と鋳型支持枠３との空間にメンテナンス
に必要な隙間δを確保した上で寸法ｂ内に取付け
る必要があるが、電磁ブレーキ装置の設置スペー
スにはある程度限度があるので所定の減速能力を
有する装置を設置することができない場合があ
る。また電磁ブレーキ装置のコアが一体のもので
あるのが普通で、とくにメンテナンスを行う場合
には鋳造鋳型を含めて分解する必要がある。

この発明の電磁ブレーキ装置はコア入電磁コイ
ル７とヨーク８との組合せ構造にて構成し、この
うちコア入電磁コイル７は冷却箱２の区画凹所２
ｂに収容し、電磁コイル７のコア端面から鋳型支
持枠３に至るまでの間には装置の組込みやメンテ
ナンス上必要な隙間δを確保できるような形状に
成形したヨーク８を配設し、これらを、バツクア
ツププレート２ａにねじ止めする貫通ボルト９を
用いて固定してある。ここで電磁ブレーキ装置に
おける電磁コイル７のコア部で発生させた磁界を
飽和させないためにヨーク８の断面積はコアと同
等以上にするのが普通で、通常が正方形に近い形
状で構成するが、前述したとおり設置スペースに
制約があるため、この発明ではヨーク８を縦長の
断面形状（ｊ＜ｋ）とし必要な断面積はスペース
に余裕のある縦方向の寸法（ｋ）で確保するよう
にした。ヨーク８をこのような形状に構成したコ
ア入電磁コイル７と組合せることでコンパクトで
しかもメンテナンス等において分解、組込みに便
利な電磁ブレーキ装置を得ることができる。

とくにヨーク８の断面形状についてその縦横比
（ｋ／ｊ）を８以下とする理由は縦横比が８を超
えると磁路抵抗が大きくなり電磁ブレーキ装置の
効率が著しく低下するからである。従つてヨーク
８は縦横比（ｋ／ｊ）が８以下になる縦長の断面
寸法を有する形状にする必要がある。

この発明の装置は第１図において示したように
バツクアツププレート２ａでねじ止めする貫通ボ
ルト９により固定する構造としたが、連続鋳造時
におけるオシレーシヨン等の動荷重を考えるとね
じ止めによる固定のみでは不十分であり、補助固
定装置を設けるのが望ましい。補助固定装置とし
て第１図には電磁コイル７のコア部に固定フラン
ジ１０を設け冷却箱２に固定フランジ１０を介し
て固定する例を示した。このような補助固定手段
を設けることで貫通ボルト９およびバツクアツプ
プレート２ａのねじ込み部における荷重負担を軽
減できるのでオシレーシヨン等により動荷重に対
しても安定した支持が実現できる。

また第３図には電磁ブレーキ装置を電磁コイル
７の下面に位置する冷却箱２の側壁にブラケツト
１１を設けて保持する形式の補助固定装置の他の
例を示すが、このようなブラケツト１１により固
定する場合でも電磁ブレーキ装置の自重を支持で
きるので貫通ボルト９への荷重負担が軽減できる
し、とくに固定フランジ１０を用いる場合に比べ
電磁ブレーキ装置の設置スペース（寸法ｂ）の拡
大を図るのにも有利である。ブラケツト１１の構
造は張り出し部の強度を確保するのに補強リブ１
２を設けるのが望ましい。

なお、説明上、連続鋳造用鋳型の構造を、鋳型
は支持軸を介してその回りを取り囲む鋳型支持枠
に固定し、鋳型支持枠をオシレーシヨン発生装置
の支持架台であるオシレーシヨンテーブル上に設
置したものとして説明したが前記鋳型支持枠がオ
シレーシヨンテーブルと一体化した支持架台とし
て、鋳型が設置される場合、あるいは鋳型、前記
支持枠を個別にオシレーシヨンテーブル上に保持
した構造を採る場合のいずれにおいても、本発明
になる構造を用いることができる。

（発明の効果） この発明によれば電磁ブレーキ装置の所要設置
スペースが少なくてよいので連続鋳造鋳型をコン
パクトに設計でき設備コストが低減できること
で、既設の連鋳機に適用する場合でも所要設置ス
ペースを有効に利用できるので小規模の改造で所
定の能力を有する電磁ブレーキ装置の設置が可能
であること、また電磁ブレーキ装置を分割構造と
したので簡単に組込み分解ができるのでメンテナ
ンス性が良くその効果は極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂ，ｃはこの発明に従う電磁ブレー
キ装置の平面、正面および側面を示す図、第２図
は電磁ブレーキ装置の設置説明図、第３図は補助
固定装置の説明図である。 １……鋳型銅板、２……冷却箱、３……鋳型支
持枠、４……支持軸、５……オシレーシヨンテー
ブル、６……浸漬ノズル、７……電磁コイル、８
……ヨーク、９……貫通ボルト、１０……固定フ
ランジ、１１……ブラケツト、１２……補強リ
ブ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 鋳型銅板で鋳片の横断面輪郭を囲い、該鋳型
   銅板の背面に沿うバツクアツププレートを区画壁
   の要部とする冷却箱を鋳型銅板と組合せた連続鋳
   造鋳型の電磁ブレーキ装置において、 冷却箱に、連続鋳造鋳型のまわりを取り囲んで
   配置した鋳型支持枠に面して開口しバツクアツプ
   プレートを開口の底とする前後各一対の区画凹所
   を設け、各区画凹所内にコア入り電磁コイルを収
   容して、対をなす区画凹所内の電磁コイルのコア
   相互間にわたる磁路を形成し、かつ磁路を横切る
   向きの縦横比が８以下の縦長の断面寸法を有する
   ヨークを、各コアとともにそれぞれバツクアツプ
   プレートにねじ止めする貫通ボルトにより固定し
   てなることを特徴とする連続鋳造鋳型の電磁ブレ
   ーキ装置。