JPS6353675B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、電力ケーブル用導体、特に、素線絶
縁導体の接続法に関するものである。

近年、送電容量の増加と共に電力ケーブルの導
体サイズは大型化の一途を辿つている。このよう
な中で分割導体は、導体における表皮効果を低減
できる一手段として盛んに採用されている。しか
しながら、導体の大型化が更に進むにつれ分割導
体においても分割されたセグメントにおける表皮
効果の問題が顕著となつて来た。

そこで、セグメント内の導体素線の一本一本を
絶縁素線、例えばエナメル線とする案が提案さ
れ、その実用化への研究が進んでいる。ところ
が、素線を絶縁素線とした場合、表皮効果の低減
は達成できるものの、導体の接続が面倒となつて
しまつた。ケーブル導体の接続に当つては、導体
接続部の抵抗を所定の許容値内に収める必要があ
る。このため、現在は、第１図に示すように接続
すべき各導体１，１′の素線２，２′の端部を一度
バラバラにし（イ図参照）、そして各素線２，
２′の絶縁被覆を完全に除去した後で所定の接続
スリーブ３を用いて両導体１，１′を圧縮接続す
る（ロ図参照）方法が採用されている。

しかしながら、以上の接続法においては、導体
素線２，２′の端部をバラバラにするのが面倒で
あり、また各素線２，２′の絶縁被覆を除去する
手段としてサンドブラスト吹付法（各素線２，
２′にサンドブラストを吹き付け、この時のサン
ドブラストの衝撃を利用して絶縁被覆を除去する
方法）があるが実線路での接続は洞道内で行なう
ことが多く、このような所でサンドブラスト吹付
法を行なう場合、サンドブラスト吹付用機器の搬
入、移動に関し、スペースの点で大きな問題があ
つた。

又、以上のサンドブラスト吹付法を採用した場
合、その作業時間が通常の電力ケーブル用裸導体
接続作業に比べて相当長くかかるばかりか、各素
線の絶縁被覆が厚くなつた場合に必ずしも十分な
効果を期待し得ない等の問題もあつた。

本発明の目的は、前記した従来技術の欠点を解
消し、接続部の抵抗を所定の許容値内に収めるこ
とができると共にその作業を簡単且つ短時間で遂
行し得る電力ケーブル用素線絶縁導体の接続法を
提供することにある。

即ち、本発明の要旨は、接続すべき電力ケーブ
ル用素線絶縁導体の端部に金属製中空圧縮スリー
ブを被せ、次いで上記スリーブを導体ごと圧縮
し、この時の導体の伸びを利用して各素線の絶縁
層を破壊させ、次いで伸ばした導体端部及び上記
スリーブを適正長だけ残して切断除去し、然る
後、圧縮された適正長の導体端部上に上記圧縮ス
リーブを介して金属製接続スリーブを固着させて
当該導体を所定の接続対象物に接続することにあ
る。

次に、添付図面の第２図を参照しながら本発明
の一実施例を説明する。

まず、イ図に示すように接続すべき各電力ケー
ブル用素線絶縁導体１，１′の端部に予じめ用意
した銅製中空圧縮スリーブ４，４′を被せる。次
いで、上記スリーブ４，４′をそれぞれロ図に示
すように所定の圧縮ダイス（特に図示しない。）
にて当該スリーブ長が原寸の1.5倍以上となるま
で圧縮する。ここで、各導体１，１′の絶縁素線
（例えばエナメル線）２，２′の絶縁層（例えばエ
ナメル層）は、この極度の圧縮力（例えば600〜
800Kg／cm²）と素線２，２′自身の極度の伸びによ
つて受ける延伸、摩擦によつてバラバラに破壊さ
れて素線表面より剥がされる。しかして、導体
１，１′とスリーブ４，４′間の接触抵抗は実質上
零に近い値となる。

次いで、圧縮によつて伸ばされた導体１，１′
及びスリーブ４，４′を接続するのに適当な長さ
だけ残して切断除去した後、ハ図に示すように予
め用意した銅製接続スリーブ５にて圧縮接続す
る。この時、好ましくは、上記スリーブ５はその
内径を圧縮スリーブ４，４′及び未圧縮の導体１，
１′の外径に対して各々公差約１mm程度で一致す
るような構造とするのが良い。こうすることによ
り次に述べるような問題を解消できる。

即ち、上記両導体１，１′の接続に単なる円筒
状の接続スリーブを用いた場合、これを圧縮した
時に圧縮スリーブ４，４′と未圧縮の導体１，
１′の間の傾斜部６，６′に空隙を生じ易く、この
ため接続部の電気的接続および機械的強度の点で
問題を残し易い。

尚、本実施例においては、電力ケーブル用素線
絶縁導体同志を接続する場合について述べたが、
本発明は電力ケーブル用素線絶縁導体を任意の接
続対象物に接続するに当つて当該導体端部に任意
の接続（乃至引出）部材を取付けようとする場合
のすべてに利用できる。又、本実施例においては
接続スリーブ５の固着に圧縮法を採用したが、半
田接続法を採用することも可能である。

更に、本実施例においては、絶縁素線として素
線上にエナメル層を形成してなる所謂エナメル線
を用いたものの場合について述べたが、絶縁素線
としてはこれに限定されるものではない。ここ
で、絶縁素線としては、素線上の絶縁層が、所定
の肉厚（通常１〜数10μm程度）で層形成可能な
ものであること、通常の状態下では素線を被覆す
る層としての形を維持できるだけの機械的強度を
有するものであること、所定の圧縮力と素線自身
の所定の伸びによつて受ける延伸、摩擦によつて
破壊されて素線表面より剥がされ得るものであれ
ば良い記であるが、これらの条件を満足するもの
としては、エナメル層の他には例えば素線上に酸
化被覆或いはホルマール樹脂、シリコン樹脂等の
熱硬化性樹脂の焼付皮膜を施したもの等がある。

以上のようにして遂行される本実施例電力ケー
ブル用素線絶縁導体の接続法によれば、接続すべ
き導体の絶縁素線の絶縁層の剥離および導体同志
の接続を圧縮作業によつて行なえると共に接続す
べき導体の端部の素線をいちいちバラバラにする
必要もなく、又接続に用いる工具も圧縮工具があ
れば良く、従つて全体を通してその作業はきわめ
て簡単に且つ短時間で行なえると共に、実線路で
のスペースの問題、更には安全性の面でも有効で
ある。

加えて、前述の通り、電力ケーブル用素線絶縁
導体と圧縮スリーブの接触抵抗は実質上零に近い
値となるので、従来の電力ケーブル用裸導体の接
続部と同等の接続部電気低抗値を得ることができ
る。

更に、接続部の径の縮小化が可能で、同径接続
とすることも出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図イ及びロは従来の電力ケーブル用素線絶
縁導体の接続法の説明図、第２図イ，ロ及びハは
本発明の電力ケーブル用素線絶縁導体の接続法の
一実施例説明図である。 １，１′：電力ケーブル用素線絶縁導体、２，
２′：素線、３，５：接続スリーブ、４，４′：圧
縮スリーブ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 複数本の絶縁素線を撚合（乃至集合）してな
   る電力ケーブル用素線導体の接続法において、 １ 接続すべき電力ケーブル用素線絶縁導体の端
   部に金属製中空圧縮スリーブを被せ、 ２ 次いで、上記スリーブを導体ごと圧縮し、こ
   の時の導体の伸びを利用して各素線の絶縁層を
   破壊させ、 ３ 次いで、伸ばした導体端部及び上記スリーブ
   を適正長だけ残して切断除去し、 ４ 然る後、圧縮された適正長の導体端部上に上
   記圧縮スリーブを介して金属製接続スリーブを
   固着させて当該導体を所定の接続対象物に接続
   する、 ことを特徴とする電力ケーブル用素線絶縁導体の
   接続法。