JPS635222B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、駆動ユニツトにて主軸線上に支持さ
れた状態で回転される環状被加工物の内周面（軌
道面）に砥石を接触させるとともに、この砥石を
前記主軸線と直交する水平な第１軸芯周りに揺
動、あるいは該第１軸芯と直交する第２軸芯方向
に一定の振幅で振動させることにより、環状被加
工物の内周面を超仕上するところの環状被加工物
の内周面加工用超仕上加工装置に関する。環状被
加工物としては、円錐ころ軸受、円筒ころ軸受、
玉軸受、自動調心ころ軸受等の外輪が適用でき
る。

（従来の技術） かかる超仕上加工装置は環状被加工物に対して
砥石を上記の如く揺動振動して超仕上加工を行う
ものであるから、次のような構成要素からなつて
いる。すなわち、環状被加工物をシユーセンター
レス方式によつて主軸線上に支持した状態で回転
する駆動ユニツトと、前記環状被加工物の内周面
（軌道面）に接触する砥石と、該砥石を保持する
ホルダーアームと、このホルダーアームを介して
砥石を環状被加工物の内周面に押圧する加圧ブロ
ツクと、砥石上で前記主軸線と直交する水平軸芯
上に設けられ、加圧ブロツク、ホルダーアームを
介して砥石を前記水平軸芯周りに揺動させ、ある
いは水平軸芯と直交する方向に振動させる揺振部
とからなつている。

ところで、環状被加工物、特にベヤリングはそ
の精度に年々高度性を要求され、そのための対策
としてベヤリング業界では荒砥石を装着した荒加
工装置と仕上砥石を装着した仕上加工装置の２つ
の装置を用意し、荒砥石による加工を終えると環
状被加工物を仕上砥石を装着した仕上加工装置に
装着換えするようにしている。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながらこのようにすると、環状被加工物
の加工仕上に２つの装置が必要であるし、また環
状被加工物を装着換えする関係上、位置ズレ、芯
ズレを起こし、このため加工精度が悪くなるとい
う欠点がある。特に仕上砥石で加工する場合は、
10万分の１mm単位の精度が要求されるので、位置
ズレ、芯ズレを起こすことは加工精度に重大な影
響を及ぼすのである。

（問題点を解決するための手段） 本発明に係る環状被加工物の内周面加工用超仕
上加工装置は、環状被加工物をその主軸線周りに
回転させる駆動ユニツトと、該環状被加工物の内
周面に接触される粒度の異なる２本の砥石を前記
主軸線と直交する水平な第１軸芯方向に所定間隔
を隔てて保持し、これら砥石を前記環状被加工物
の内部空間に位置させるホルダーアームと、この
ホルダーアームを前記第１軸芯周りに揺動し又は
該第１軸芯と直交する第２軸芯に沿つて一定振幅
で振動させる砥石揺振手段と、この砥石揺振手段
と前記ホルダーアームとの間に介在され、該ホル
ダーアームを昇降動可能に支持するホルダーアー
ム支持ユニツトと、このホルダーアーム支持ユニ
ツトに設けられ、前記２本の砥石のいずれか一方
を選択して該選択した砥石を前記環状被加工物の
内周面に押圧する砥石押出手段と、前記砥石揺振
手段を前記２本の砥石の間隔と等しいピツチで前
記第１軸芯方向に移動させる砥石選択手段と、前
記ホルダーアームの砥石を環状被加工物の内部空
間から離脱および該内部空間に挿入させるべく前
記砥石揺振手段を前記主軸線と平行な方向に移動
させる移動手段とを具備してなるものである。

（作用） 一つのホルダーアームに粒度の異なる２本の砥
石を保持させ、いずれか一方の砥石を選択して環
状被加工物の内周面に接触、押圧し、荒加工また
は仕上加工を行わせるようにしたから、環状被加
工物を装着換えすることなく荒加工と仕上加工の
両方の加工を１台の装置で行えることとなる。こ
れにより、装着換えに伴う環状被加工物の位置ズ
レ、芯ズレの発生が防止される。

（実施例） 以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明
する。

第１図は、本発明の一実施例として砥石を揺動
させることによつて環状被加工物の内周面（軌道
面）を超仕上するようにした超仕上加工装置の正
面図、第２図は第１図のＡ−Ａ線断面図である。

これらの図において、符号１は主軸先端にバツ
キングプレート２を取り付けた駆動ユニツトで、
環状被加工物Ｗはプレツシヤーローラ３にてバツ
キングプレート２に押圧され、且つ第５図に示す
ようにシユー４に外周を支持された状態で主軸線
ａ周りに回転する。５は前記環状被加工物Ｗの内
周面（軌道面）Wiに接触する砥石で、本発明で
は粒度の異なる２種の砥石５ａ（荒加工用）、５ｂ
（仕上加工用）を使用している。６は該砥石５ａ，
５ｂを保持するホルダーアーム、７は砥石揺振手
段の一例として砥石５ａ，５ｂを主軸線ａと直交
する水平な第１軸芯（揺動軸芯）ｂ周りに揺動さ
せる砥石揺動ユニツトである。

この砥石揺動ユニツト７は、第２図に示すよう
に、揺動軸８と、該揺動軸８の一端に接続されて
揺動軸８を揺動駆動する揺動アーム９とから構成
されている。この砥石揺動ユニツト７の揺動によ
つて、砥石５は、第６図に示すように、揺動軸芯
ｂを中心に揺動するから、環状被加工物Ｗの内周
面Wiは、同図に示すように、円弧状曲面に加工
されるのである。このように内周面Wiが円弧状
曲面をした環状被加工物Ｗは玉軸受の外輪として
用いられる。但し、本発明装置は玉軸受の外輪の
超仕上加工のみでなく、スライド玉軸受、円錘コ
ロ軸受、自動調芯コロ軸受等の外輪の超仕上加工
にも適用できるものである。その場合は、砥石揺
動ユニツト７の揺動軸８に替えて、前記第１軸芯
と直交する第２軸芯に沿う方向に単振動する振動
機構を用いればよい。

前記揺動軸８は、ベヤリング１１を介して筒体
１２内に支承されている。筒体１２は、摺動ブロ
ツク１３にその軸芯方向にスライド可能に保持さ
れており、また摺動ブロツク１３の上面に設けら
れた砥石シフト用シリンダ（砥石選択手段）１４
に連結杆１５を介して連結されている。

砥石シフト用シリンダ１４は、前記ホルダーア
ーム６に保持された２本の砥石５ａ，５ｂの間隔
と等しいピツチだけ移動するストロークをもつて
おり、従つて、この砥石シフト用シリンダ１４を
駆動することにより、筒体１２に支承された砥石
揺動ユニツト７全体がスライドされ、もつてホル
ダーアーム６に保持された砥石５ａ，５ｂをその
並設ピツチだけ並設方向（前記第１軸芯ｂ方向）
に移動することができるのである。第５図Ａ，Ｂ
はこの移動の前後における砥石５ａ，５ｂの位置
を示している。

前記摺動ブロツク１３は、静止ブロツク１６上
に蟻嵌合させて搭載されるとともに、インデツク
スシリンダ（移動手段）１７によつて主軸線ａと
並行する方向に所定量摺動移動できるようにして
ある。これにより、ホルダーアーム６の砥石５が
環状被加工物Ｗの内部空間から離脱および該内部
空間に挿入されるのである。このような移動は、
環状被加工物を駆動ユニツト１に着脱する際に行
われる。

前記ホルダーアーム支持ユニツト１０は、第３
図に示すように、支持ユニツト外筒１８と、この
外筒１８内に収納された内筒１９と、内筒１９内
に収納されたピストン体２０とから構成されてい
る。内筒１９は、支持ユニツト外筒１８の側壁に
設けられたポート２１，２２からエヤーまたは圧
油を注入することにより、支持ユニツト外筒１８
に対して上下動可能とされている。また、ピスト
ン体２０は、内筒１９内においてピストン体２０
に外嵌されたスプリング２３によつて上方に付勢
されているとともに、内筒１９の上端に設けられ
たポート２４からエヤー等を注入することにより
下方動するようにされている。そして、内筒１９
の下端部にはホルダーアーム６の基端部が接続さ
れていて、エヤー等を前記ポート２１，２２から
注入、注出することにより、砥石５を砥石揺動ユ
ニツト７に対して上下動、すなわち砥石５を環状
被加工物Ｗの内周面Wiに接触、離脱させること
ができるようにしている。一方、ピストン体２０
の下端部には砥石押圧レバー２５の基端部が接続
され、ピストン体２０の下降によつて砥石押圧レ
バー２５が砥石５ａもしくは５ｂを環状被加工物
Ｗの内周面Wiに押圧するようにしている。

また、砥石押圧レバー２５は、第４図に示すよ
うに、内筒１９の側壁に設けられたレバー旋回用
ピストン２６とスプリング２７とで両側方から挾
持されていて、レバー旋回用ピストン２６の前
進・後退に伴つてピストン体２０周りに旋回する
ようにしてある。この旋回量は、砥石押圧レバー
２５の先端が砥石５ａと５ｂの間隔に等しい量だ
け動く量としてある。従つて、この旋回によつて
砥石押圧レバー２５は２本の砥石５ａ，５ｂを選
択的に押圧することができるのである。以上述べ
たピストン体２０、スプリング２３、砥石押圧レ
バー２５、レバー旋回用ピストン２６、およびス
プリング２７により砥石押圧手段が構成されてい
る。

上記構成によれば、環状被加工物Ｗの内周面
Wiの超仕上加工は次の順序で行うことができる。

(a) 環状被加工物Ｗを駆動ユニツト１に装着す
る。

(b) インデツクスシリンダ１７を駆動して摺動ブ
ロツク１３を前進させ、砥石５を環状被加工物
Ｗの内部空間に挿入せしめる。

(c) ホルダーアーム支持ユニツト１０のポート２
１にエヤー等を注入してホルダーアーム６を下
降させる。これによつて砥石５ａが環状被加工
物Ｗの内周面Wiに接触する。

(d) ホルダーアーム支持ユニツト１０の上端のポ
ート２４にエヤー等を注入して砥石押圧レバー
２５を下降させ、荒加工用砥石５ａを環状被加
工物Ｗの内周面Wiに押圧する。

(e) 上記工程を完了すると、砥石揺動ユニツト７
を駆動して荒加工用砥石５ａによる荒加工を開
始する。

(f) 荒加工を完了すれば、砥石揺動ユニツト７を
停止し、ポート２４からエヤー等を抜き、スプ
リング２３の復帰力により砥石押圧レバー２５
を上昇させ、荒加工用砥石５ａの押圧を解除す
る。

(g) ポート２２からエヤー等を注入してホルダー
アーム６を上昇させる。これによつて砥石５
ａ，５ｂは環状被加工物Ｗの内周面Wiから離
脱する。

(h) 砥石シフト用シリンダ１４を駆動して砥石揺
動ユニツト７を砥石５ａ，５ｂの間隔と等しい
ピツチだけ揺動軸芯ｂ方向に移動させる。

(i) レバー旋回用ピストン２６を駆動して砥石押
圧レバー２５を荒加工用砥石５ａから仕上加工
用砥石５ｂの上方に旋回させる。

(j) 次に、上記(c)と(d)で述べたのと同様の工程を
行い、仕上加工を開始する。

(k) 仕上加工を終えると、(f)と(g)で述べたのと同
様の工程を行い、続いて砥石シフト用シリンダ
１４を復帰させ、更にインデツクスシリンダ１
７を駆動して摺動ブロツク１３を後退（第１図
において右方に移動）させ、砥石５を環状被加
工物Ｗの内部空間から離脱させる。そして、環
状被加工物Ｗを駆動ユニツト１から排出する。

以後再び(a)の作業に戻り、次の環状被加工物
の加工を行う。

（発明の効果） 本発明は以上説明した如く構成されたものであ
るから、環状被加工物の内周面の荒加工と仕上加
工とをこの装置１台で行うことができるととも
に、荒加工から仕上加工への移行に際し環状被加
工物を装着換えする必要がないので、装着換えに
伴う環状被加工物の位置ズレや芯ズレが発生せ
ず、したがつて超精密級の仕上げを短時間に行う
ことができるという顕著な効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図は本発明に係る環状被加工物の内周面加工用
超仕上加工装置の一実施例を示し、第１図は本発
明の一実施例として砥石を揺動させることによつ
て環状被加工物の内周面（軌道面）を超仕上する
ようにした超仕上加工装置の正面図、第２図は第
１図のＡ−Ａ線断面図、第３図は第１図のＢ−Ｂ
線断面図、第４図は第３図のＣ−Ｃ線断面図、第
５図Ａ，Ｂは砥石の移動状態を示す正面図、第６
図Ａ，Ｂは環状被加工物の内周面の加工状態を示
す断面図である。 １……駆動ユニツト、５……砥石、５ａ……荒
加工用砥石、５ｂ……仕上加工用砥石、６……ホ
ルダーアーム、７……砥石揺振手段（砥石揺動ユ
ニツト）、１０……ホルダーアーム支持ユニツト、
１３……摺動ブロツク、１４……砥石選択手段
（砥石シフト用シリンダ）、１７……移動手段（イ
ンデツクスシリンダ）、２０……ピストン体、２
３……スプリング、２５……砥石押圧レバー、２
６……レバー旋回用ピストン、２７……スプリン
グ、Ｗ……環状被加工物、Wi……内周面（軌道
面）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 環状被加工物をその主軸線周りに回転させる
   駆動ユニツトと、 該環状被加工物の内周面に接触される粒度の異
   なる２本の砥石を前記主軸線と直交する水平な第
   １軸芯方向に所定間隔を隔てて保持し、これら砥
   石を前記環状被加工物の内部空間に位置させるホ
   ルダーアームと、 このホルダーアームを前記第１軸芯周りに揺動
   し又は該第１軸芯と直交する第２軸芯に沿つて一
   定振幅で振動させる砥石揺振手段と、 この砥石揺振手段と前記ホルダーアームとの間
   に介在され、該ホルダーアームを昇降動可能に支
   持するホルダーアーム支持ユニツトと、 このホルダーアーム支持ユニツトに設けられ、
   前記２本の砥石のいずれか一方を選択して該選択
   した砥石を前記環状被加工物の内周面に押圧する
   砥石押出手段と、 前記砥石揺振手段を前記２本の砥石の間隔と等
   しいピツチで前記第１軸芯方向に移動させる砥石
   選択手段と、 前記ホルダーアームの砥石を環状被加工物の内
   部空間から離脱および該内部空間に挿入させるべ
   く前記砥石揺振手段を前記主軸線と平行な方向に
   移動させる移動手段とを具備してなる環状被加工
   物の内周面加工用超仕上加工装置。