【発明の詳細な説明】
焼結性強化酸化マグネシウムセラミック材料発明の背景
分野
本発明は酸化マグネシウム組成物に関するものであり、より詳細には強度と焼結
性が改善された酸化マグネシウム組成物に関するものである。
九丘皮権
酸化マグネシウムによるセラミック粒の製造は長期に亘って実施されて来ている
。一般に酸化マグネシウムセラミック体の焼結は熱間プレス法または熱間静水圧
プレス法のいずれかによって行われている。これら技術はいずれも、酸化マグネ
シウムを適当な密度にして比較的強いセラミック体を得るため、高温での加圧が
必要である。
しかし加圧焼結条件によっても、一般に酸化マグネシウムは、アルミナ、炭化ケ
イ素、窒化ケイ素などのような公知の他のセラミック材料の強度が得られなかっ
た。
酸化マグネシウムのセラミック体は、一般にががるセラミック体の強度が特に強
くなくても酸化マグネシウムの特性がとくに有用な場合に採用されている。この
ような特性としては、低熱伝導性、高熱膨張係数、高融点が挙げられる。加圧焼
結法によって得られたものを含む酸化マグネシウムの全般的強度ならびに破砕靭
性がやや低いため、酸化マグネシウムセラミック体は十分活用されていない。
酸化マグネシウムセラミック体を加圧せずに焼結する試みがなされているが、こ
の場合は一般にかなりの高焼結温度、すなわち1400℃より十分高い焼結温度
が必要となる。焼結温度がこのような範囲になるとセラミック粒子内の結晶粒子
の成長を促進するようになる。この結果得られたセラミック体の全般に亘る強度
ならびに破壊靭性が一般に低下するようになる。
加圧焼結法の利点の一つは、希望する圧縮度が焼結中の必然的な加圧によって成
程度達成されることである。
従って加圧焼結にあっては、焼結温度は低くがっ短時間の焼結でよいことになる
。有害な結晶粒子成長が滞留する時間と温度に依存するため、このことは望まし
いことである。
アルミナ、β−アルミナ、窒化ケイ素などのような各種セラミック体の強度を改
善するための技術として、正方晶系結晶から単斜晶系結晶に転移して強じんな物
質となる酸化ジルコニウムを介在させるものがある。このような組成物に関する
米国特許としては、 C1aussenらの米国特許第4,298,385号お
よび第4,322,249号、 Langeの米国特許第4,184,882号
および第4.187,116号、 Dwarokらの米国特許第4,218,2
53号が挙げられる。
1985年に出版された論文、rZro□強じん化MgOとジルコニアを混合す
ることによるセラミック材料強じん化における必須因子(ZrO,−Tough
ened MgOandCritical Factors in Tough
ening Ceramic mate−rials by Incorpor
ating Zirconia) J Journal ofMaterial
s 5cience Letters 4 (1985) 63−66、゛で著
書I kumaらは、セラミックの転移強じん化について全般的に論議し、とく
に酸化ジルコニウムを含む酸化マグネシウム体に関する彼等の研究を論議してい
る。
且里立互!
本発明は、焼結補助材料として金属酸化物を含有する酸化マグネシウムセラミッ
ク体を含むものである。ここで酸化物の金属部分は、マグネシウムとほぼ類似の
イオン半径を有し、かつ価電子状態が+2より大であり、とくに価電子状態が+
3.+4またはそれ以上のものである0本発明においてとくに有効な焼結補助材
料として、酸化マンガン、酸化鉄などが見出された。このような焼結補助材料は
、ごく少量、すなわち存在する酸化マグネシウムの重量に対して、焼結補助材料
が約5重量%以下という量を含有させた時有効であることが見出された。
とくに良い結果は、焼結補助材料が約2重量%以下存在する場合に得られた。
また本発明は、酸化マグネシウム体を強じん化する作用を有する酸化ジルコニウ
ム、酸化ハフニウム等を酸化マグネシウム体に混合することをも含むものである
。酸化ジルコニウムまたは酸化ハフニウムは、セラミック体中に存在する酸化マ
グネシウムの50容量%以下、一般には約40容量%以下、とくに約30容量%
以下存在する。
ジルコニアまたはハフニア強じん化酸化マグネシウムセラミック体は、規定した
種類の適当な焼結補助材料を介在させて、加圧焼結法、すなわち熱間プレス法ま
たは熱間静水圧プレス法、あるいは通常の焼結法によって得ることができる。
本発明の焼結セラミック体は、酸化マグネシウムおよびごく少量の一般式AOx
(ここでAは価電子状態が+2より大きく、マグネシウムイオンとほぼ同様の
イオン半径を有する金属であり、XはAの価電子状態の1/2より大きい値をと
る数である。)を有する金属酸化物を含むものである。
図面の簡単な説明
第1図は、強じん化複合材料マグネシア−ジルコニアの加工工程を示した作業工
程図である。
第2図は、マグネシア−ジルコニア複合材料を成形するためのスリップ成形工程
を示す作業工程図である。
第3図は、マグネシア−ジルコニア複合材料と純粋のマグネシアセラミックの高
密度化を比較したグラフである。
第4図は、少量の酸化マンガンを含有するマグネシア−ジルコニア複合材料の高
密度化を比較したグラフである。
第5図は、マグネシア−ジルコニア−酸化マンガン複合材料とマグネシア−ジル
コニア−酸化鉄複合材料の高密度化を比較したグラフである。
第6図は、異った量の酸化マンガンを含有するマグネシア−ジルコニア複合材料
の高密度化を比較したグラフである。
発明の説明
本発明は、加圧することなく比較的低温度で焼結して。
極めて密度が高く、かつ強度の高いセラミック体を成形加工することができる酸
化マグネシウムセラミック体を含むものである。かかる酸化マグネシウム組成物
は、酸化マンガン、酸化鉄等のような焼結補助材料を含有し、加圧することなく
一般に約1400℃以下の焼結温度で焼結され、とくに約1300℃以下の12
50’Cのような低い温度で焼結して良い結果が得られるものである。
かかる組成物は、セラミック体の強じん化の目的で、セラミック体全体にジルコ
ニアまたはハフニア粒子を分散介在させることによって強じん化することができ
る。
ハフニアまたはジルコニアによる強じん化の場合、ジルコニアまたはハフニアの
結晶形が正方晶系を保持するような範囲の焼結温度を維持することが大切である
。酸化マグネシウム強じん化セラミック体には、セラミック体基質の形成に寄与
する有力な材料として酸化マグネシウムが含まれている。
本発明の組成物は、高密度化セラミック体を得るための加工が5通常のセラミッ
ク加工技術によって行われるためとくに独得のものである。
酸化マグネシウムの高密度化セラミック体は、微砕粒子の酸化マグネシウムと、
酸化マンガン、酸化鉄などのような焼結補助材料とを十分な時間混合して、はぼ
均一な混合物にすることにより製造することができる。この混合は乾式、もしく
は水酸化アンモニウム2%を含有する脱イオン水の存在下による湿式により行な
うことができる。湿式状態で行なう場合は、混合物は引続いて適当な温度1例え
ば約200℃で十分な時間乾燥して水を除は、一般に約50メツシユ以下、好ま
しくは約100メツシユ以下の粒度になるよう十分な時間乾式粉砕される。
粉砕された材料は、アセトン中でポリビニルブチラールの2%溶液のようなバイ
ンダー溶液と混合する。
再度上記材料をっぎの加工ができるために、十分な温度と時間で乾燥する。必要
があれば、材料が100メツシユのふるいを通過するよう、引続いて再度粉砕し
ても良い、材料が乾燥状態になれば、ついで機械的プレスにより適当な形状に成
形し、さらに一般に約1400℃以下の温度において通常の条件で十分な時間焼
結して所要の密度にする。一般的な時間は、セラミック体の大きさに依存するが
約3時間以下で十分であり、2時間またはそれ以下で十分なことも屡々である。
本発明がとくに有利な点は、セラミック体を特定の形状または形態にするために
、スリップ成形、押出成形、機械的プレス成形、その他通常のセラミック加工技
術が使用できることである。複雑な形状のセラミック体は一般に熱間プレス法ま
たは熱間静水圧プレス法で焼結するのは容易ではない。複雑な形状のものを熱間
静水圧プレスすることはできるが、高密度体を得るにはその形状は比較的非多孔
体のものでなければならない。
本技術で製造されるセラミック体は、焼結補助材料は勿論酸化ジルコニウムまた
は酸化ハフニウムを介在させることができる。組成物中に酸化ジルコニウムまた
は酸化ハフニウムを介在させるために異なる加工技術を必要とするものではない
。しかしながら、酸化マンガン、酸化鉄のような焼結補助材料を含有せずにハフ
ニアまたはジルコニアを含有する組成物にあっては、熱間プレス法または熱間静
水圧プレス法によって、高強度で強じんな高密度のセラミック体を得ることがで
きる。かがるセラミック体は、約4000psi以上の圧力で約1300”Cま
たはそれ以下の温度において短時間、例えば約1o分間位熱間プレスすることに
より、はぼ完全に高密度化を達成することができる。
ジルコニアまたはハフニア改質酸化マグネシウム組成物は、加圧焼結技術により
焼結補助材料なしで容易に焼結することができるが、本発明の焼結補助材料を存
在させれば、このような加圧焼結がより容易に行なえることを注目すべきである
。
本発明に使用される特定の焼結補助材料は、価電子状態が+2以上の金属の酸化
物である。また、焼結補助材料の金属イオンは、マグネシウムイオンのイオン半
径とほぼ同一のイオン半径を有する必要がある。酸化マンガン、酸化鉄、二酸化
チタン、アルミナ、クロミア等のような焼結補助材料を利用することができる。
酸化マンガンおよび酸化鉄はとくに有効であって、酸化マンガンにおいてとくに
良好な結果が得られる。かかる焼結補助材料はごく少量存在させることにより顕
著な結果が得られるが、その量としては存在する酸化マグネシウムの重量に対し
焼結補助材料は一般に数1710重量%であり、約2重量%までが好ましい。
焼結補助材料を約2重量%を超えて介在させた場合、約3重量%もしくはそれ以
上存在していると高密度化が′いくらか減少することが見出されており、とくに
焼結補助材料が°約5重量%またはそれ以上になると、それより少量の場合より
も効果が劣るようになる。しかし、焼結補助材料の量が多い場合でも、通常の技
術で焼結できる酸化マグネシウム体が生成し、その理論的密度は、上記のような
焼結補助材料が完全に存在しない状態で酸化マグネシウムを通常の方法で焼結し
て得られた理論的密度よりも一般に高くなっている。
上記のように1強じん化の目的のためにジルコニアまたはハフニアを酸化マグネ
シアセラミック体に介在させることができる。かかるセラミック体は、焼結補助
材料を含有している場合には通常の焼結技術で加工することができ、本発明の補
助材料の一つを含まない場合には加圧焼結法で加工することができる。ジルコニ
アまたはハフニアの混入量としては一般に、酸化マグネシウムに対し約5容量%
から約50容量%までであり、 とくに約10容量%ないし約4o容量%の範囲
である。とくに望ましい結果は、ジルコニアまたはハフニアが約15容量%ない
し約30容量%の範囲のときに得られる。本発明をより理解し易いように以下に
実施例を掲げる。
実施例 I
粧未に盃
試料を調製するために、市販のMgOとZrO,を使用した。水性媒体を用いて
MgOとZrO2を湿式混和したところ、pHが12より大であるときに良好な
分散が得られることを見出した。恐らく、MgOと ZrO,のζ(ゼータ)電
位がこのpHで反対の符号になるに違いない。
アルカリ溶液中で混合された材料を熱間プレスで得たディスクは、酸性領域で混
合された材料のものと比較すると遥かに均一であることが実験で示されている。
従って、MgOとZrO□の分散のために、NH,OHの脱イオン水の2%溶液
を用いた。MnOでドープした試料として、市販のMn0(またはM n O、
)を機械的に混入させるか、M n (N 0a)zをマンガン源として用いた
。酸化ジルコニウムミリング媒体を粉末混合用に使用した。粉末混合物を24時
時間式混合した。最終混合物を200℃で24時間乾燥し、500℃で4時間焼
成してM n Oを析出させた。第1図および第2図に示したフローチャートは
本加工工程を図で説明したものである。
焼結したセラミック体が高い強靭性と強度を得るためには、ZrO,が室温で正
方晶系形態を保持していることが必須である。この正方晶系ZrO,は、粉砕に
よって粒子が単斜晶系の同質多形に転移するような転移寸前のものでなければな
らない。単斜晶系同質多形は低密度形態であるため、圧縮状態によって強度およ
び強じん性が効果的に与えられる0粒度分布が狭いのが望ましい。これは混合と
焼成作業を繰り返すことにより達成できる。
成−ルー
成形は単軸熱間プレス法または焼結法によって行うことができた。車軸熱間プレ
ス法は、温度1300℃、圧力4000psiで10分間黒鉛型内で行った。熱
間プレス法で得られた密度は、代表的には理論値の少なくとも約99%であった
。
本実施例のM g O−M n OセラミックおよびMgO−Mn0−ZrO,
セラミックの焼結は、常法により温度1400℃で開放空気中で行った。しかし
かかる組成物の通常の焼結は、1275℃という低い温度でも行なうことができ
る。
純粋のMgOセラミックとM g O/ Z r Ozセラミックを熱′r5プ
レスして得た高密度化曲線を第3図に示す。第3図のデータでは、1100℃以
上の焼結温度では、高密度化に対しZrO,の添加が有効であることを示してい
る。
第4図はMgO−M n OセラミックにおけるM n O濃度に対する密度の
依存性を示しており、第1表は個々の試料の関連データを示すものである。Mg
0−ZrO,−M n Oセラミックの場合に、代表的なM n O濃度は2%
から5%の間である。直接関係のあるデータを第■表に掲げである。
第 1 表
種々のMgO含有量を有するMgO−Mn0試料における密 の 験データ
A 70/30 3.946 89.5A 90/10 3.690 94.0
B 85/15 3.749 91.1B 90/10 3.690 91.7
B 95105 3.634 93.8C70/30 3.946 92.7
C951053,63493,1
C971033,61293,0
C991013,59197,6
D 85/15 3.749 93.0D 97103 3.612 94.4
− 同一実験番号を付した試料は同時に焼結した。すべての実験は、加圧せずに
開放空気中で温度1400℃、2時間焼結した。
拳−ρ理論値=lr Mg(l N MgO+ /) Mn(l N MnO(
りだしN MgOおよびN MnOは、それぞれMgOおよびMnOのモルパー
セントである。
see p標準化値=ρ実験値/ρ理論値[ただし実験値=乾燥重量/(乾燥重
量−水中の重量)]第 ■ 表
Mg0−ZrO,−MnO試料の標準化された密度MgO/ZrO,/MnOp
理論値 ρ標準比値モル比 −ムム亘り一 −00−
86,8/8.2015 3.962 97.082.2/7.80/10 3
.879 98.589.9/6.55/3.55 3.811 98.382
.2/7.80/10 3.962 98.582.2/7.80/10 3.
962 99.6− すべての試料は1400℃、2時間、空気中で焼結した。
市販の異った品種の酸化ジルコニウムを20容量%含有するマグネシアの試料、
試料番号105ないし106(第■表)を1300℃で熱間プレスした。 1個
の試料を後アニールした。酸化マンガンを添加した他の試料。
試料番号5101および5102は、通常通り、すなわち加圧なしで焼結した。
ZrO,とMnO,を含有しない純粋の酸化マグネシウムの試料は、比較のため
熱間プレスした。焼結ならびに焼結後処理した試料組成物に関するデータを第■
表に示す。
第■表
拳ZircarProducts、Inc*gNewYork、U、S、A、品
拳* The Harshaw Chemical Co、、0hio、U、S
、A、品第■表には、第■表に掲げた条件で焼結した組成物の試料の高密度化、
強度および強じん性を一覧にしたものである。全ての試料が理論値の少なくとも
98%の高密度化を示した。これらのデータはいくつかの点で意義深いものであ
る。すなわち(1) M g O/ ZrO,/M n O試料では熱間プレス
焼結を行なうことなく傷ムだ高密度化が得られた。(2)熱間プレスしたM g
O/ ZrO,試料の平均曲げ強さは、やはり熱間プレス焼結した純粋のM
n Oよりも十分大きい値を示した。(3)通常の焼結を行なったM g O/
Z r O□/ M n O試料の強度は、熱間プレスしたMgO/ZrO,
試料の強度とほぼ同等であった。
械的特性および物性
破壊強さはインストロン機(Instron Machine)で、空気中で4
点の曲げにより決定した。破壊靭性KICはビッカース試験機(Vickers
1ndentor)により押込み技術を用いて決定した。加工法(試料番号と
ともに)および機械的特性に関連する詳細を第■表ならびに第■表にそれぞれ掲
げた。
第■表
MgO−20容量%ZrO,複合
材料の曲げ強さと破壊靭性
105 98.5 257 37,000 3.3105□、 98.5 13
9 20,000 −−−106 99.0 360 52,000 3.9S
IOI 98.0 246 35,000 −−−3102 98.0 298
43,000 −一−M100 99.6 21’2 31,000 −−−
第7表
単軸熱間プレスしたMg0−ZrO。
セラミックの曲げ強さ
MgO+20%ZrO,1300’C/3500psi/10m1n、 99.
0 320 46,000Mg0+40%ZrO,1400℃/3500psi
/20m1n、 97.6 483 70.000Mg0+60%ZrO,14
00℃/3500psi/30m1n、 95.6 422 61.000Mg
0+80%Zr0. 1400℃/3500psi/40m1n、95.’4
561 81.000M 0 1400℃/4000 si/10m1n、 9
9.6 212 31,000Z r O,−Daiichi
第7表にデータを掲げである試料は、第1図に記載した方法と同様の方法で調製
した。ただし第v表の試料は熱間プレスしたものである。MgO二Zr○2比の
種々のものを焼結温度および焼結時間を変化させて試験した。
純粋のMgOの試料を、比較の目的のために同様に調製した。
第7表のデータは、一般的にMgO/Zr0zセラミツクの破壊強さは、ジルコ
ニアの混合量が増加するとともに大きくなり、例えば81,000のような高い
強さになる。しかしMgO/ZrO,の、容tが60%/40%のセラミックの
強さは、容量%が20%/80%のMgO/ Z r O□セラミックの強さと
ほとんど同じような大きさを示すことは重要な意味を有している。いずれの場合
ZrO2の容量%が20%のような低いものであっても、熱間プレスした純粋の
MgOセラミックの強さより顕著に大きかった。第7表のデータを評価する場合
、焼結温度が高くなり、焼結時間が長くなることによって、通常は強さに対して
不利になる結晶粒子が成長するため、焼結に際し採用しているそれぞれの温度と
時間に対して考慮する必要がある。
第■表に掲げた試料6aおよび6bは、第1図の方法によって調製され、試料6
cは第2図の方法によって調製されたものである。2%のM n Oを含有する
試料6bの密度と°強さは、1%のM n Oの試料のそれより大であった。
3%のMnO,を含有するスリップ成形試料は優れた密度と強度が得られた。
マグネシア−ジルコニア複合材料を、おおよそ第1図および第2図に示した加工
技術に従って調製した。使用したMgOは微粒子として入手しうるエレクトロニ
ック用品位のものであった。ZrO□粉末は高純度を有し、粒度分布が狭いもの
であった。
第■表
MO−ZrOセラミックの曲げ強さ
ZrO,−Zircar
第3図には、純粋MgO試料と、80Mg0−20ZrO。
試料についての高密度化曲線が示されている。Mg0−ZrO2試料が全般的に
高い密度を達成しており、低温においてもより密度が高くなっている。
第4図では、80Mg0−20ZrO,試料と、酸化マンガンを2容量%含有す
る80Mg0/20ZrO2試料とが通常の方法で焼結された。酸化マンガン含
有試料の方が高密度が得られた。酸化マンガン含有試料にとって最適の高密度化
温度は約1250℃ないし1350℃であるように思われ、これより高い温度で
焼結したMgO−ZrO2より良い結果が得られた。
酸化マンガンを 2容量%含有する 80Mg0−20ZrO2試料と、酸化鉄
を2容量%含有する80Mg0−20ZrO2試料を焼結した。第5図に密度一
温度相関曲線の比較を示した。概して、M n O、含有試料の方が、酸化鉄含
有試料より僅かながら良い結果が得られているように思われる。しかし焼結曲線
は全く平行であった。酸化鉄で処理した試料を、純粋のMgOと、MgO−Zr
O2の試料と比較したものを第3図および第4図に掲げたが、酸化鉄混合により
改善されることが示されている。
第6図は、M n Oを2容量%含有したM g O−ZrO。
試料と、M n Oを3容量%含有したMg0−ZrOz試料とを比較したもの
である。概して、2%M n O試料は、3%M n O含有試料よりも低温に
おいてより高密度化されているように思われた。しかしながら、約1300℃以
上の温度における3%Mn試料は非常によく高密度化されている。
本発明の焼結補助材料の作用に対する正確な機構は十分判明していないが、焼結
補助材料の金属イオン、例えばマンガンイオン、が格子構造中のマグネシウムイ
オンと置換されるものと仮定される。マグネシウムイオンは焼結中に生ずる質量
拡散過程において移動の遅いイオンと仮定される。このために、純粋の酸化マグ
ネシウムの質量拡散に必要な時間が焼結温度においては余りにも長すぎて、好ま
しくない結晶粒子の成長が起ることになり。
加圧しない焼結条件では有効な焼結が行なわれないことが考えられる。従っても
しも格子構造中にマグネシウムイオンの空位が生じたならば、マグネシウムの質
量イオン拡散が高められることになる。従って酸化マンガンのような焼結補助材
料を存在せしめることは、酸化マグネシウム中に存在する酸素よりもマンガンイ
オンに対する酸素がより多く存在しており(酸化マグネシウム中では。
マグネシウム対酸素イオン比は1:1である)、格子構造中で過剰の酸素イオン
位が生じることができ、ついで金属酸化物イオンに対する空位が生じて、マグネ
シウムイオンがこのような空位により迅速に移動することができる。
上記試料において、酸化マンガンの代替としての酸化鉄は、同様の方法で加工し
た場合、同様の結果を与えるセラミック組成物を供給するものである。
酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化クロムなどのような他の焼結補助材料は、
マグネシウムと同様の金属イオン半径を有しており、かつ価電子状態の少なくと
も一つが2より大であるという多価電子状態であるため、これらを含有せしめる
ことも本発明において有効である。
浄書(内容に変更なし)
FIG、1
浄書(内容に変更なし)
FIG、2
相対密度(%)
相対密度(%)
相対密度(%)
相対密度(%)