JPS634947Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は合金鉄製錬用電気炉等の原料ビンの構
造に関するものである。

一般に、フエロニツケル等の合金鉄を製錬する
大型の電気炉を、第１図を参照に説明する。電気
炉１の上方に複数の原料ビン２が配設されてお
り、各原料ビン２の底部開口には１本又は複数の
管３が、前記電気炉１の炉蓋４を貫通して接続さ
れている。そして製錬用原料はコンテナ５でクレ
ーン６により搬送し、この原料ビン２に装入さ
れ、管３を介して電気炉１に供給される。また、
この原料は管３の下端近辺に設けられた図示しな
いバルブ等で間欠的に炉内に供給するか、又は電
気炉１内の原料自身で塞流されることにより連続
的に供給されるようになつている。

何れの場合でも管３と原料ビン２の中には常時
原料が貯溜されており、ビン２内の原料の減量を
測定して、原料を追加装入することにより、電気
炉１内の熱ガスが原料ビン２の方へ流れないよう
になつている。更に、電気エネルギーを節約する
ために装入原料は700〜900℃に予熱或は予備還元
されている場合が多い。この場合は原料ビン２や
管３は断熱材で保温され、熱放散を防止してい
る。

しかし、従来のこの種原料ビンの上端は原料装
入のため開口されているので、原料装入の際の発
塵が著しく、作業環境の悪化と、歩留り低下の原
因となる他、熱放散や、予備還元された原料の再
酸化等のため、エネルギーの損失を生じる問題が
あつた。この対策として、原料装入時以外は開口
部を移動蓋で掩う構造のものもあるが、作業環境
が悪いので保守上の問題がある他、原料装入の際
の発塵は防止できないという欠点があつた。

本考案は、このような従来の欠点を防止する目
的で開発されたもので、開口部が小さく、断熱性
の中蓋を設け、更に、原料装入時には、この中蓋
と原料ビン上端の装入シユートとの空隙から粉塵
を吸引するようにしたものである。以下本考案の
一実施例を図面により詳細に説明する。

第１図は電気炉設備における本考案原料ビンの
正面一部断面図、第２図は本考案原料ビンの縦断
面図、第３図はその平面図、第４図は原料ビンに
原料を挿入している状況を示す説明図である。

図に示すように、各原料ビン２は略垂直な円筒
状で上面が開放され、底面の開口部には原料を電
気炉１に供給する１本又は複数の管３が接続され
ている。そして内面全面には耐火断熱性のライニ
ング２ａが施されている。また、ビン２の上端近
くの内側には中央部が上方に開口し、内面に耐
火・断熱材をライニングした截頭円錐状の中蓋７
が固着されている。そして、この中蓋７の開口部
の寸法はその上方に配設されたシユート８の下端
開口部の寸法より稍大きく、何れも中心軸はビン
２と同心になつている。更に、原料ビン２の上方
には前記シユート８の外側面とビン２の上面全周
を覆う集塵フード９が設けられており、そのシユ
ート８と中蓋７との空隙に向つて開口している。
またこのフード９の一方の端部には図示されない
集塵装置に連結するダクト１０が接続されてお
り、接続部に近いダクト１０内にはダンパー１１
が開閉可能に配設されている。さらに、シユート
８の上方には、このシユート８の上面開口部を覆
う上蓋１２が集塵フード９の上面に配設された水
平なレール１３に沿つて往復可能に設けられてい
る。また集塵フード９の外部にはビン２内の原料
レベルを検出するレベル計１４が設けられてお
り、そのセンサー１５が中蓋７を貫通してビン２
内の原料１６に接触するようになつている。

このように構成された本考案の作用を次に説明
する。

第２図に示すように、原料ビン２内に原料１６
が満たされている状態では、上蓋１２はシユート
８の上方に位置して開口部を覆つている。また、
ダクト１０内のダンパー１１は閉じており、フー
ド９内を吸引しないようになつている。原料が管
３を通つて電気炉１に供給され、その量が次第に
減少して下限に達するとレベル計１４が信号を発
し、原料１６の入つたコンテナ５をクレーン６
で、そのビン２の直上に搬送する。すると図示さ
れていない駆動装置によつて上蓋１２はレール１
３に沿つて移動し、シユート８の上面が開口す
る。同時に集塵装置に接続されたダクト１０のダ
ンパー１１が開き、フード９内の吸引を開始する
ので、フード９内は負圧になる。そこで、コンテ
ナー５をフード９の上に降ろすと、下端のベル１
７が降下し、コンテナ５内の原料はシユート８を
介してビン２内に流下する。この時、発生する原
料粉等の粉塵は中蓋７とシユート８との空隙から
フード９に吸入され、ダクト１０を介して集塵装
置で捕集される。コンテナ５が空になつたらクレ
ーン６で引き揚げ、原料を充填する場所等へ搬出
する。すると、上蓋１２が移動してシユート８の
開口部を覆い、また、ダンパー１１が閉じて集塵
を中止する。複数個ある各ビン２の動作も同様に
して行われる。

以上詳細に説明したように、本考案は原料ビン
の上方を覆う集塵フードを設けたので、原料ビン
に原料を装入する際の発塵が集塵されるので環境
汚染を防止し、電気炉の上方での電極継ぎ作業や
クレーン、その他機器の保守等作業環境を良好に
保つことができるほか、捕集した原料粉を回収し
て再使用することができ、有価成分の歩留りが向
上する。更に、原料装入時のみ集塵すれば、原料
ビンの全数を常時吸引する場合に比し、集塵機の
容量を小さく、動力も小さくすることができ経済
的である。また、断熱性中蓋を設けたので、ビン
内の予熱された原料からの熱放散を小さくするこ
とができる。この中蓋の開口面積を小さくすれば
上蓋はなくてもよく、中蓋のない場合に比し、放
散熱量を40〜50％減少させることが判つた。なお
本考案は電気炉ばかりでなく、他の製錬用炉、そ
の他上方から発塵し易い原料を装入するあらゆる
ビンに適用できることは勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は電気炉設備における本考案原料ビンの
正面一部断面図、第２図は本考案原料ビンの縦断
面図、第３図はその平面図、第４図は原料ビンに
原料を挿入している状況を示す説明図である。 １……電気炉、２……原料ビン、３……管、４
……炉蓋、５……コンテナ、６……クレーン、７
……中蓋、８……シユート、９……集塵フード、
１０……ダクト、１１……ダンパー、１２……上
蓋、１３……レール、１４……レベル計、１５…
…センサー、１６……原料、１７……ベル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 製錬用炉の上方に配設され、原料を一旦貯留
   し、底部開口に接続された管を介して前記製錬用
   炉に供給する原料ビンにおいて、該原料ビンの上
   端に設けられた原料装入用シユートの下端近辺の
   ビン内には、該シユートの下端開口により稍大き
   い寸法の開口部を有する中蓋が固着され、該中蓋
   と前記シユートとの空隙から原料装入時に生ずる
   粉塵を吸引する集塵フードを備えたことを特徴と
   する製錬用炉の原料ビン。