JPS6348712Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は筬を載置したスレイを支持するスレイ
ソードをカムにより筬打ち揺動運動させる織機に
おける筬打ち装置に関するものである。

一般に、スレイソードをカムにより筬打ち揺動
運動させる場合、スレイソードには二つのカムフ
オロアが設けられ、両カムフオロアが回転するカ
ム面上を転動するようになつている。この場合、
両カムフオロアはカム面に常時接していることが
重要であるが、カム軸の自重により撓み、スレイ
ソード等の荷重によるスレイソード支持軸の撓
み、あるいは組付誤差等によつて、カム軸と支持
軸との位置関係が狂い、従つて、カムとカムフオ
ロアとの間に遊びが生じ、カムフオロアがカム面
から離間する虞が生じる。

そこで、カム軸の軸心に対するスレイソード支
持軸の軸心の適切な位置、すなわちカムフオロア
とカム面との間に遊びの生じない位置を探し出す
（以下、芯出しという）手段が必要となる。とこ
ろが、従来、前記支持軸の精密な芯出し手段が設
けられていなかつたため、カムとカムフオロアと
の間に遊びが生じ、その結果、カム及びカムフオ
ロアの摩滅が激しくなり、カム及びカムフオロア
の使用期間が短くなるという欠陥があつた。又、
前記遊びの発生に伴う不規則な機械振動により緯
糸の緯入れミスが誘発されるという虞があつた。

本考案は前記事実を考慮しつつなされたもので
あつて、その目的は、カムに接触する一方のカム
フオロアをスレイソードに対して固定位置にもう
けるとともにスレイソードに対して固定位置の調
整可能に取り付けたリンクに他方のカムフオロア
を設け、各スレイソードを回動可能に支持する各
支持軸のスレイソード支持部を偏芯形成すること
により、スレイソード支持軸の精密な芯出しを行
うことができる構造の簡単な織機における筬打ち
装置を提供することにある。

以下、本考案を具体化した一実施例を図面に基
づいて説明すると、織機のサイドフレーム１の内
側面には円筒状の第１ブラケツト２がボルト３固
定されており、ミドルフレーム４には割込み５ａ
を有する環状の第２ブラケツト５がボルト６固定
されている。両ブラケツト２，５間にはミドルフ
レーム４を貫通して支持軸７が固定装着されてい
る。サイドフレーム１とミドルフレーム４との間
の支持軸７には筬８を載置したスレイ９を固定支
持するスレイソード１０が回動可能に支持されて
いる。なお、１１はスレイソード１０の軸方向へ
の動きを規制するワツシヤである。

スレイソード支持軸７の上方には、一対のサイ
ドフレーム１（図面においては他方のサイドフレ
ームを省略している）間に回動可能に支持された
軸１２が設けられている。同軸１２のスレイソー
ド１０付近には第１カム板１３ａと第２カム板１
３ｂとからなるダブルカム板１３が固着されてい
る。第１カム板１３ａのカム面にはスレイソード
１０に設けられたカムフオロア１４が当接されて
いる。スレイソード１０に一体形成された腕１０
ａの先端部とスレイソード１０の基端部との間に
はリンク１５が取付けられており、同リンク１５
に設けられた第２カムフオロア１６が第２カム板
１３ｂのカム面に当接されている。リンク１５は
ボルト１９，２０により取付固定されており、ボ
ルト２０側の端部が腕１０ａに設けられた長孔１
０ｂに沿つて取付位置調節可能である。

なお、前記他方のサイドフレーム側にも前述し
た筬打ち機構と同様の機構が対称的に設けられて
いる。

そして、軸１２が織機の織成動作に同期して回
転されると、第１カムフオロア１４が第１カム板
１３ａのカム面上を転動されるとともに、第２カ
ムフオロア１６が第２カム板１３ｂのカム面上を
転動してスレイソード１０が支持軸７を中心とし
て揺動され、経糸Ｙにより形成される開口Ｓ内へ
緯入された緯糸を織布Ｗの織前に打ち込むという
筬打ち動作が繰返される。

さて、支持軸７は第１ブラケツト２に嵌合され
る小径部７ａと、スレイソード１０が取付けられ
る中径部７ｂと、第２ブラケツト５に嵌合される
大径部７ｃとからなつている。小径部７ａ及び大
径部７ｃは第３，４図に示すように、共通の軸心
Ｃ１を有するように形成されており、中径部７ｂ
はその軸心Ｃ２が前記軸心Ｃ１と一致しないよう
に偏芯形成されている。

次に、支持軸７の芯出し方法を説明する。

まず、サイドフレーム１に固定された第１ブラ
ケツト２（この位置決めはサイドフレーム１に設
けられた図示しない位置決め孔に対し、第１ブラ
ケツト２に設けられた同じく図示しないボスを嵌
合することにより行われる）に対してスレイソー
ド１０、ワツシヤ１１及びミドルフレーム４を通
して支持軸７の小径部７ａを嵌合する。次に、大
径部７ｃに第２ブラケツト５を嵌合し、ミドルフ
レーム４に対し、同ブラケツト５を支持軸７が軽
く回転可能な位置に固定する。すなわち、この状
態においては、支持軸７の大体の芯出しがなされ
ている。

続いて、支持軸７に設けられた凹孔７ｄに操作
棒（図示しない）を差込み、同操作棒により支持
軸７を回転させる。すると、スレイソード１０支
持部としての中径部７ｂの軸心Ｃ２が軸心Ｃ１を
中心として同軸心Ｃ１の回りを回転し、スレイソ
ード１０の揺動中心が位置調節される。そして、
両カムフオロア１４，１６が両カム板１３ａ，１
３ｂのカム面上を常時離間することなく転動する
ことができる軸心Ｃ２の位置を確認した後、第１
ブラケツト２に取付けられたボルト１８により支
持軸７を仮り固定する。そして、ボルト１７によ
り割込み５ａを締め、支持軸７を完全に固定すれ
ば支持軸７の芯出し作業は完了する。

このように、本実施例ではカムフオロア１６を
設けたリンク１５をスレイソード１０に取付位置
調節可能とするとともに、支持軸７のスレイソー
ド支持部（中径部７ｂ）を偏芯形成したことによ
り、支持軸７の精密な芯出しを行うことができ、
カムフオロア１４，１６とダブルカム板１３との
間に遊びが生ずることを防止することができる。
又、本実施例ではカムフオロア１６を設けたリン
ク１５をスレイソード１０に取付位置調節可能と
するとともに、支持軸７に偏芯部（中径部７ｂ）
を設けただけなので、従来と変らない簡素な構成
となつている。

又、本実施例では精密な芯出しが行われるの
で、複数のスレイソードを支持する複数の支持軸
に対し、それぞれ独立に芯出しを行つてもスレイ
９にねじれ力が作用するという虞はない。

以上詳述したように、本考案は、カムに接触す
る一方のカムフオロアをスレイソードに対して固
定位置にもうけるとともにスレイソードに対して
固定位置の調整可能に取り付けたリンクに他方の
カムフオロアを設け、各スレイソードを回動可能
に支持する各支持軸のスレイソード支持部を偏芯
形成したことにより、簡素な構造にもかかわら
ず、支持軸の精密な芯出しを行うことができる優
れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を具体化した一実施例を示す要
部正面図、第２図は同じく要部側面図、第３図は
第１図のＡ−Ａ線拡大断面図、第４図は第１図の
Ｂ−Ｂ線拡大断面図である。 支持軸７、筬８、スレイ９、スレイソード１
０、軸１２、ダブルカム板１３、カムフオロア１
４，１６、軸心Ｃ１，Ｃ２。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 筬を載置したスレイを支持する複数のスレイソ
   ードをカムにより筬打ち揺動運動させる筬打ち装
   置において、前記カムに接触する一方のカムフオ
   ロアをスレイソードに対して固定位置にもうける
   とともにスレイソードに対して固定位置の調整可
   能に取り付けたリンクに他方のカムフオロアを設
   け、前記スレイソードを回動可能に支持する各支
   持軸のスレイソード支持部を偏芯形成したことを
   特徴とする織機における筬打ち装置。