JPS6346939Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はアナログレコードを再生するために用
いるターンテーブル装置に関するものである。

従来技術 近年、レコード再生用ターンテーブル装置とし
ては、ターンテーブルに直接モータを組込んだ、
いわゆる直接駆動式（ダイレクトドライヴ式）の
ものと、モータの回転をベルトを介してターンテ
ーブルに伝えるベルト駆動式のものとが主として
用いられている。直接駆動式のターンテーブル装
置は電気的および機械的に測定される特性が優れ
ているため多く用いられているが、この種の装置
により得られる音は必ずしも音楽的に満足のいく
ものではない。そこで最近、比較的容易に音楽性
の豊かな再生音が得られるベルト駆動式のターン
テーブル装置が見直されるようになつてきてい
る。ベルト駆動式ターンテーブル装置の第１の利
点はターンテーブルの駆動トルクを大きくとれる
点であり、第２の利点はモータの振動をベルトに
より吸収できるため、モータの回転をターンテー
ブルに伝達する機構を通してモータの振動がター
ンテーブルに伝達されるのを防ぐことができる点
である。上記第２の利点を活かすためには、モー
タを支持するフレーム側からターンテーブルに振
動が伝達されるのを防止する必要があり、これを
実現した装置として、第１図に示したように、モ
ータ（図示せず。）を固定したシヤーシａと別個
にターンテーブル支持板ｂを設けて、該支持板ｂ
をばねｃを介してシヤーシａに支持したものがあ
る。この装置によれば、モータの振動をばねｃに
より吸収できるため、モータの振動が支持板に支
持されたターンテーブルに伝達されるのを防ぐこ
とができ、Ｓ／Ｎ比が極めて高いターンテーブル
装置を得ることができる。またターンテーブル支
持板がばねにより浮動状態で支持されているた
め、スピーカから再生される音による機械的振動
が床面や壁を通してターンテーブルにフイードバ
ツクされのを防いで、ハウリングを防止し、再生
音の質の低下を防ぐことができる。

上記のようにターンテーブル支持板をばねを介
してモータのシヤーシから浮かしたベルト駆動式
のターンテーブル装置は、数多くの利点を有し、
音楽の再生に優れているが、従来のこの種の装置
では、第１図のようにばねｃの下端がシヤーシａ
に固定され、ばねｃの上端がターンテーブル支持
板ｂに結合されていて、ばねが支える構造体がば
ねの支点（シヤーシとの結合点）よりも上方にあ
つて該構造体の荷重が上方からばねに加わるた
め、ばねに加わる力の方向がばねの中心軸線から
僅かでもずれるとばねは湾曲することになり、タ
ーンテーブル支持板の支持状態が不安定になりや
すい欠点があつた。特に装置が設置されている部
屋の床面が人の歩行等により揺れるような場合に
ターンテーブル支持板に大きな揺れが生じて再生
用の針が飛ぶことがある。

考案の目的 本考案の目的は、ターンテーブル支持板を安定
に支持することができるようにしたベルト駆動式
のレコード再生用ターンテーブル装置を提供する
ことにある。

考案の構成 本考案は、モータを固定したシヤーシと、前記
シヤーシの上方に配置されて少なくとも３点で弾
性支持機構を介して前記シヤーシに支持されたタ
ーンテーブル支持板と、前記ターンテーブル支持
板に固定された軸受に回転軸が支持されたターン
テーブルと、前記モータの回転をベルトを介して
前記ターンテーブルに伝達する回転伝達機構とを
備えたレコード再生用ターンテーブル装置にあつ
て、本考案においては、前記弾性支持機構が、前
記ターンテーブル支持板の下方に該支持板から間
隔を開けて配置されて下端が前記シヤーシに固定
され上端に第１のばね支持部を有する第１の支持
部材と、上端が前記ターンテーブル支持板に固定
され下端に前記第１のばね支持部と上下に対向す
る第２のばね支持部を有する第２の支持部材と、
上端が螺進式高さ調節機構を介して前記第１のば
ね支持部に結合され下端が前記第２のばね支持部
に結合されたコイルばねとを備えている。

弾性支持機構を上記のように構成すると、コイ
ルばねが支える構造体の荷重がばねの支点よりも
下方に加わることになるため、コイルばねが鉛直
方向に垂下した状態が最も安定な状態になる。従
つてコイルばねが湾曲した場合には該コイルばね
の湾曲を無くそうとする復元力が生じ、コイルば
ねは鉛直方向に垂下する状態に速やかに復帰す
る。従つて外力によりターンテーブル支持板が揺
れるのを抑制することができ、ターンテーブル支
持板の支持状態を安定にすることができる。

実施例 以下添附図面を参照して本考案の実施例を説明
する。

第２図及び第３図は本考案の一実施例の全体的
な構成を示したもので、第２図は平面図、第３図
は第２図の−線断面図である。これらの図に
おいて１は木材等により上下が開口した箱形に形
成されたキヤビネツトで、このキヤビネツトの内
側面の下部にはシヤーシ支持用の段部１０１が設
けられている。段部１０１の上には、鉄板等から
なるシヤーシ２が載置され、このシヤーシはビス
３により段部１０１に固定されている。シヤーシ
２の一端部にはモータ４がその出力軸４０１を垂
直上方に向けて固定されている。シヤーシ２には
またモータ４の電源回路や制御回路を構成する部
品が取付けられているが、これらについては図示
が省略されている。

シヤーシ２の上方にはアルミニユウム等の鋳造
品からなるターンテーブル支持板５が配置され、
このターンテーブル支持板５は３か所で弾性支持
機構６を介してシヤーシ２に対して支持されてい
る。ターンテーブル支持板の５の下面には軸受７
が取付けられ、この軸受にターンテーブル８の回
転軸８０１が支持されている。ターンテーブル支
持板５の一端には一定の深さだけ下方に落込んだ
凹所５０１が形成され、この凹所に木材等からな
るトーンアーム取付け板９がビス３により取付け
られている。前記モータ４の出力軸４０１はター
ンテーブル支持板５に設けられた孔５０２を通し
て上方に延び、この孔５０２を通して上方に突出
した出力軸４０１の端部にプーリ１０が取付けら
れている。プーリ１０とターンテーブル８の外周
とにゴムまたはポリウレタン等からなるベルト１
１が掛け渡され、プーリ１０およびベルト１１に
よりモータ４の回転をターンテーブル８に伝達す
る回転伝達機構が構成されている。キヤビネツト
１の下端開口部は底蓋１２により閉じられてい
る。

第４図を参照すると、上記実施例で用いられて
いる弾性支持機構６の構造が詳細に示されてい
る。第４図において、６０１はターンテーブル支
持板５の下方に該支持板５から間隔を開けて配置
された第１の支持部材で、この支持部材は、下端
に位置する板状の取付け部６０１ａと、該取付け
部から垂直に起立した板状の起立部６０１ｂと、
該起立部６０１ｂの上端から直角に折れ曲がつて
取付け部６０１ａと反対側にほぼ水平に延びる板
状の第１のばね支持部６０１ｃとを一体に有し、
取付け部６０１ａはビス３によりシヤーシ２に固
定されている。シヤーシ２の上記取付け部６０１
ａに隣接する領域には貫通孔２０１が設けられて
いる。６０２は第２の支持部材で、本実施例では
この第２の支持部材が２つの支持板６０２Ａ及び
６０２Ｂからなつており、これらの支持板６０２
Ａ及び６０２Ｂはそれぞれ短片部６０２ａ及び６
０２ｃと長片部６０２ｂ及び６０２ｄとからなる
Ｌ字形に形成されている。支持板６０２Ａの短片
部６０２ａはビス３によりターンテーブル支持板
５の下面に固定され、長片部６０２ｂは前記第１
の支持部材の起立部６０１ｂと平行に配置されて
その下端がシヤーシの貫通孔２０１内に挿入され
ている。支持板６０２Ｂの短片部６０２ｃはビス
３により上記支持板６０２Ａの長片部６０２ｂの
下端に固定されている。支持部６０２Ｂの長片部
６０２ｄは第２のばね支持部を構成するもので、
該長片部６０２ｄは前記第１のばね支持部６０１
ｃと上下に対向している。

上記第１の支持部材６０１の第１のばね支持部
６０１ｃには貫通孔６０１ｄが形成され、この貫
通孔に高さ調整用ボルト６０４の首下部が嵌合さ
れている。ボルト６０４の上部の、第１のばね支
持部６０１ｃの下面に近接した位置には該ボルト
の抜け止めを図るための鍔板６０５が固定され、
該鍔板６０５と第１のばね支持部６０１ｃの下面
との間にワツシヤ６０６が介在されている。これ
によりボルト６０４が第１のばね支持部６０１ｃ
に回転自在に支持されている。ボルト６０４の下
部にはばね支持リング６０７が遊嵌され、このリ
ング６０７から下方に突出したボルト６０４の下
端にコイルばね６０８の上端が嵌合されている。
このコイルばね６０８の上端に適宜の手段により
ばね支持リング６０７に固定されている。ボルト
６０４の下端にはまたナツト６０９が螺合され、
該ナツト６０９はばね６０８の上端に固定されて
いる。ばね支持リング６０７にはガイドピン６１
０が取付けられ、該ガイドピン６１０は、第１の
支持部材６０１の起立部６０１に設けられた上下
方向に長いガイド溝６０１ｅに摺動自在に嵌合さ
れている。ボルト６０４、ばね支持リング６０
７、ナツト６０９、ガイドピン６１０およぶガイ
ド溝６０１ｅによりばね６０８の高さを調節する
螺進式高さ調節機構が構成されており、ボルト６
０４の頭部６０４ａをドライバーにより回転させ
ることにより、ばね６０８の上下方向位置を任意
に調節できるようになつている。ターンテーブル
支持板５には、上記ボルト６０４の頭部にほぼ整
合する調整孔５０３が形成され、この調整孔を通
してドライバーによりボルト６０４を操作しうる
ようになつている。調整孔５０３の内周にはネジ
が刻設され、該ネジを利用して盲蓋１３が着脱自
在に取付けられている。

上記第２の支持部材６０２を構成する支持板６
０２Ｂの長片部６０２ｄ（第２のばね支持部）に
は孔６０２ｅが設けられていて、該孔６０２ｅに
ブチルゴム等の弾性材料からなるリング状のクツ
シヨン部材６１１が嵌着され、前記コイルばね６
０８の下部がクツシヨン部材６１１に嵌合されて
いる。コイルばね６０８の下端には拡大径部６０
８ａが形成され、該拡大径部６０８ａがクツシヨ
ン部材６１１の下面に当接されている。

コイルばね６０８の振動が再生に悪影響を及ぼ
さないようにするため、コイルばね６０８の外周
に振動減衰用の可撓套体６１２が嵌着されてい
る。この可撓套体は、可撓性および復元性を有し
ていてしかも弾力性が比較的弱い材料により筒状
に形成することが好ましく、この様な材料として
は例えば発泡ウレタンが適当である。このように
振動減衰用可撓套体６１２をコイルばね６０８に
嵌着すると、コイルばね６０８が振動した際に該
ばねと可撓套体との間に生じる摩擦により振動エ
ネルギを熱に変換した消失させることができるの
で、コイルばね６０８の振動を抑制することがで
き、コイルばねの振動がターンテーブルに伝達さ
れて再生音に悪影響が及ぶのを防ぐことができ
る。

上記実施例のように、本考案においてはコイル
ばね６０８の上端を支点とし、該コイルばねの下
端にターンテーブル支持板の荷重を加えるので、
まね６０８が鉛直方向に垂下した状態が最も安定
な状態となる。従つて例えばターンテーブル支持
板とシヤーシとの間に横方向の相対的な変位が生
じてばね６０８が湾曲したとしても、該ばねには
直ちに復元力が作用し、該ばねは速やかに鉛直方
向に垂下する安定状態に復帰する。従つて常にタ
ーンテーブル支持板を安定に支持することがで
き、装置を設置する部屋の床が揺れたような場合
にターンテーブル支持板が揺れるのを抑制するこ
とができる。

上記の実施例では、盲蓋１３をネジにより取付
けるようにしたが、盲蓋１３をゴムのような弾性
材料により形成して、該盲蓋を圧入により調整孔
５０３に取付けるようにしてもよい。

上記実施例において、トーンアーム支持板９に
は第２図に鎖線で示したようにトーンアーム１４
が取付けられるが、本考案が対象とするターンテ
ーブル装置には、トーンアームを工場で支持板９
に取付けて販売するアーム付のターンテーブル装
置および、トーンアームを取付けないで販売する
アームレスのターンテーブル装置のいずれもが包
含される。

なお使用するトーンアームが決まつている場合
には、トーンアーム支持板を省略して、ターンテ
ーブル支持板に直接トーンアームを取付けるよう
にすることができるのはもちろんである。

上記の例ではターンテーブル支持板を３か所で
弾性支持機構により支持したが、ターンテーブル
支持板を４か所以上で同様の弾性支持機構により
シヤーシに対して支持するようにしてもよい。

上記の説明では、ベルト１１としてゴムやポリ
ウレタンからなるものを用いたが、ベルト１１と
して糸を用いることができるのは勿論である。

上記の実施例では、第２の支持部材６０２を２
つの支持板により構成したが、この第２の支持板
材を一体物とすることもできる。

考案の効果 以上のように、本考案によれば、コイルばねが
支える構造体の荷重がばねの支点よりも下方に加
わることになるため、コイルばねが鉛直方向に垂
下した状態が最も安定な状態になる。従つてコイ
ルばねが湾曲した場合に該コイルばねの湾曲を無
くそうとする復元力を生じさせることができ、コ
イルばねを鉛直方向に垂下する安定状態に速やか
に復帰させることができる。従つて外力によりタ
ーンテーブル支持板が揺れるのを抑制することが
でき、ターンテーブル装置を設置した部屋の床が
揺れたような場合にレコード再生用の針が飛ぶの
を防ぐことができる。またターンテーブル支持板
の支持状態が安定になるので、再生音に有害な振
動の伝達を防止する効果を一層高めることができ
る利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の要部を示した断面図、第２図
は本考案の一実施例を示した平面図、第３図は第
２図の−線断面図、第４図は本考案で用いる
弾性支持機構の一構成例を示した断面図である。 １……キヤビネツト、２……シヤーシ、４……
モータ、５……ターンテーブル支持板、６……弾
性支持機構、６０１……第１の支持部材、６０１
ｃ……第１のばね支持部、６０２……第２の支持
部材、６０２ｄ……第２のばね支持部、６０４…
…高さ調節用ボルト、６０７……ばね支持リン
グ、６０８……コイルばね、６１０……ガイドピ
ン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. モータを固定したシヤーシと、前記シヤーシの
   上方に配置されて少なくとも３点で弾性支持機構
   を介して前記シヤーシに支持されたターンテーブ
   ル支持板と、前記ターンテーブル支持板に固定さ
   れた軸受に回転軸が支持されたターンテーブル
   と、前記モータの回転をベルトを介して前記ター
   ンテーブルに伝達する回転伝達機構とを備えたレ
   コード再生用ターンテーブル装置において、前記
   弾性支持機構は、前記ターンテーブル支持板の下
   方に該支持板から間隔を開けて配置されて下端が
   前記シヤーシに固定され上端に第１のばね支持部
   を有する第１の支持部材と、上端が前記ターンテ
   ーブル支持板に固定され下端に前記第１のばね支
   持部と上下に対向する第２のばね支持部を有する
   第２の支持部材と、上端が螺進式高さ調節機構を
   介して前記第１のばね支持部に結合され下端が前
   記第２のばね支持部に結合されたコイルばねとを
   備えてなるレコード再生用ターンテーブル装置。