JPS6346879Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は、制御棒が原子炉の炉心に挿入され、或
いは炉心から引抜かれるための各動作を、水圧に
よるピストン駆動により行う制御棒駆動機構（以
上CRDと略す）に関し、より詳しくは定期点検
又整備等のため該CRDを原子炉から取り外して
分解洗浄用水槽に収納し、該CRDのフイルタを
効率よく完全に洗浄すると共に、該フイルタから
流出するクラツドにより水槽の水を汚染させない
ものに関する。

CRDは第１図の略図に示す如く、多重筒体か
らなり、その軸線方向を垂直にして炉内の下部に
立設される。そして、CRDのアウターチユーブ
１０に内装されたインデツクスチユーブ１１が駆
動される。その最先端にはカツプリングスパツド
１２が螺着され、該スパツド１２が図外の制御棒
の後端に嵌着して制御棒の出入操作をなすもので
ある。なお、該スパツド１２の軸心にはアンカツ
プルロツド貫通孔１３が穿設されている。そし
て、アウターチユーブ１０先端にはアウターフイ
ルタ８がコレツトハウジング１４、ガイドキヤツ
プ１５を介してボルトにより取付けられている。
又、インデツクスチユーブ１１の筒内には、アウ
ターチユーブ１０と同様に炉底に固定されるピス
トンチユーブ１６が内装されている。そのピスト
ンチユーブ１６の先端にはインナーフイルタ４が
ストツプピストン１７を介して取付けられてい
る。これらアウターフイルタ８及びインナーフイ
ルタ４は、CRDの駆動部内へ炉水中のクラツド
等が流入することを阻止するためのものである。

従つて、各フイルタ４，８にはCRD内で最も
高い放射線量を有するクラツドが付着している。
殊に、インナーフイルタ４の取付けられたインデ
ツクスチユーブ１１内の空間は、インデツクスチ
ユーブ１１の出入に伴つて拡大及び縮小するた
め、炉水の出入がしばしば存在する。そのため、
インナーフイルタ４内には多くのクラツドが蓄積
されている。なお、該クラツドは、微小金属片、
錆、水垢、その他からなるものである。そこで、
フイルタの分解洗浄作業は、クラツドによる作業
員の放射線被ばく防止のため、水の充満した分解
洗浄用水槽内で行なわれる。即ち、CRDの全長
より長い水の充満した溝状の分解洗浄用水槽に該
CRDを横架し、先ず該フイルタを洗浄する。そ
してCRDの各部を順次分解洗浄していた。とこ
ろがフイルタの洗浄に伴つて該フイルタから流出
した高放射線量を有するクラツドが水槽内に拡散
し、水槽内の比較的大量の水が該クラツドで汚染
される。そのため、該水で洗浄されるCRD各部
の除染効果を減ずると共に、作業員の放射線被ば
く線量を増大される虞れがある。そこで従来、特
開昭58−89097号公報記載の如く、密閉構造のア
ダプタノズルユニツトを用いて洗浄するものが存
在した。がそれはアウターフイルタ及びインナー
フイルタの粗洗を単に行う構造のものであり、該
フイルタを完全に洗浄できるものではなかつた。
そして、特に汚染の大なるインナーフイルタ及び
その周囲の洗浄が困難なものであり且つ、ユニツ
ト内で洗浄水の淀みが生ずる虞れがあつた。その
ため、該フイルタの分解の際に、水槽内を著しく
汚染する虞れが依然として存在していた。又、密
閉構造であるため、該ユニツトをCRDの外周面
に正確に取付ける必要があり、その取付作業が面
倒であると共に、該取付作業の際に作業者が比較
的高い線量の放射線被ばくを受ける虞れがあつ
た。

そこで本案は、上記の問題点を解決したフイル
タ洗浄装置を提供する。

本洗浄装置は、一端閉塞の筒状の洗浄装置本体
３を具備し、該本体３の内径がCRDの先端部外
径より大に形成されている。そのため、該本体３
をCRD先端部外周に装着した際に、該本体３の
開口端とCRD外周面との間に吸水用小隙２が生
じ、そこから分解洗浄用水槽１内の水を吸水し得
るものである。そして、該本体３にはインナーフ
イルタ洗浄ノズル５とアウターフイルタ洗浄ノズ
ル９とが内装されている。さらに、該本体３の閉
塞端にサクシヨン管６が開口し、該サクシヨン管
６が図示せぬ集塵装置を介してポンプに連結され
ている。又、該本体３は分解洗浄用水槽の一端部
に取付けられ、水圧ピストン等からなる駆動装置
７により、該本体３がCRDの先端部に着脱自在
に被蔽し得るように構成されている。

次に、本案の一実施例につき詳細に説明する。

本装置は、第２図に示す如く分解洗浄用水槽１
に可動自在に取付けられる洗浄装置本体３と、そ
の軸線上に該本体３に設けられたインナーフイル
タ洗浄ノズル５と、該ノズル５に平行して本体３
に設けられた二本のアウターフイルタ洗浄ノズル
９，９とを有する。そして、洗浄装置本体３は、
透明プラスチツクの筒体部１８とその一端が閉塞
する基部２０とからなる。その筒体部１８の内半
径はCRDのコレツトハウジング１４の外半径よ
り７mm〜14mm程大に形成される。又、該基部２０
は、水圧駆動の軸方向シリンダ２１と幅方向シリ
ンダ２２とが介されて分解洗浄用水槽１に取付け
られる。そして、これらのシリンダ２１，２２が
洗浄装置本体３の駆動装置７を構成する。そし
て、本装置を使用しないときには、本装置は分解
洗浄用水槽１の一端隅部に置かれ、CRDの分解
作業（特にカツプリングスパツド１２等の取外し
作業）その他に邪魔にならないように位置されて
いる。又、基部２０の下部の開口１９にフレキシ
ブルのサクシヨン管６が接続されている。さら
に、基部２０の中間部には筒体部１８の軸線上に
位置してインナーフイルタ洗浄ノズル５を取付け
ると共に、CRDのアウターフイルタ８の内外面
に夫々近接対向して一対のアウターフイルタ洗浄
ノズル９，９を取付ける。なお、前者のインナー
フイルタ洗浄ノズル５はその先端がCRDのイン
ナーフイルタ４内に達し得る長さを有すると共
に、該先端から放射状に圧力水が噴出し得るよう
に、複数の噴出孔が該先端に穿設されている。
又、後者のアウタフイルタ洗浄ノズル９，９はイ
ンナーフイルタ洗浄ノズルに平行して設けられ、
その長手方向に沿つて互いに離間した複数の噴射
孔が、アウターフイルタ８に対向して穿設されて
いる。そして、各ノズル５，９には夫々独立に図
示せぬ弁が設けられている。

次に、本実施例の作用につき説明する。

先ず、CRDを水の満たされた分解洗浄用水槽
１に横架し、その軸線回りに回転自在に支持す
る。次に、本装置の幅方向シリンダ２２を水圧に
より駆動し、筒体部１８の軸線をCRDの軸線に
一致させる。次に、軸方向シリンダ２１を水圧駆
動し、CRDの先端部外周に前記筒体部１８を被
蔽させる。このとき、インナーフイルタ洗浄ノズ
ル５の先端はカツプリングスパツド１２のアンカ
ツプルロツド貫通孔１３を遊嵌してインナーフイ
ルタ４内に達する。又、一方のアウターフイルタ
洗浄ノズル９はインデツクスチユーブ１１外周面
とアウターフイルタ８内周面との間に位置し、他
方のアウターフイルタ洗浄ノズル９はアウターフ
イルタ８外周面に近接して位置する。次に、図示
せぬ吸引用ポンプを駆動し、サクシヨン管６を介
し開口１９から洗浄水を吸引し、それを図示せぬ
集塵装置に導く。なお、吸引用ポンプの流量は、
各ノズル５，９から流出する総流量の２倍程度と
する。次に、図示せぬ回転支持体を駆動して
CRDをその軸線回りにゆつくりと回転させると
共に、各ノズル５，９から圧力水を噴出させ各フ
イルタ４，８を洗浄する。なお、各ノズル５，９
の夫々の弁を開閉して常に一のノズルのみからよ
り高圧の圧力水を順次噴出させてもよい。以上の
ようにして、各ノズル５，９から噴出した圧力水
は、各フイルタ４，８を洗浄する。そして、該水
は洗浄の後にサクシヨン管６の負圧により、吸水
用小隙２からの吸水と共にサクシヨン管６に吸引
される。従つて、各フイルタ４，８を洗浄して汚
染された水が分解洗浄用水槽１内に拡散する虞れ
はない。又、筒体部１８開口から吸水された水
は、その水流により洗浄装置本体３内の水の淀み
を除去し、汚水を速やかにサクシヨン管６に導く
と共に、さらに進んで前記水流によりアウターフ
イルタ８の洗浄効果を増大する。このようにし
て、サクシヨン管６に導かれた汚水は、図示せぬ
集塵装置により放射性物質を含むクラツドが取除
かれて分解洗浄用水槽１内に還流する。又、上記
したフイルタ洗浄時の状態は、透明プラスチツク
の筒体部１８を透視してテレビジヨンカメラによ
り又は直接監視し得る。それにより、各フイルタ
４，８が完全に洗浄されたことを確認し洗浄作業
を完了する。

以上の実施例から明らかなように、本案のフイ
ルタ洗浄装置の構成は、分解洗浄用水槽１に横架
されたCRDの先端部外周面を被蔽し且つ、開口
端と前記外周面との間に吸水用小隙２を保有し得
るように形成された筒状の洗浄装置本体３を具備
する。そして、該本体３に少なくともインナーフ
イルタ洗浄ノズル５を内装し、該ノズル５の先端
がCRDのインナーフイルタ４内に達し得るもの
とする。さらに、前記本体３の閉塞部にサクシヨ
ン管６を連通し、該サクシヨン管６を吸引装置に
導くものである。

さらに、上記構成に加えて洗浄装置本体３にア
ウターフイルタ洗浄ノズル９を内装してもよく、
さらには該本体３自体をフイルタ部可視用透明体
で構成してもよい。

本案のフイルタ洗浄装置は以上のような構成か
らなり、少なくともインナーフイルタ洗浄ノズル
５を本体３に有し、その先端がインナーフイルタ
４内に達し得るものであるから、該インナーフイ
ルタ４を完全に洗浄し得る。さらに、アウターフ
イルタ８の内外周面にアウターフイルタ洗浄ノズ
ル９が対向するように本体３にそれを設けること
により、アウターフイルタ８を完全に洗浄し得
る。それと共に、CRDの先端部外周面を被蔽し
得る洗浄装置本体３を有し、その開口端とCRD
外周面との間に吸水用小隙２を保有すると共に、
該本体３の閉塞部にサクシヨン管６を有する。そ
のため、各ノズル５，９から噴出して各フイルタ
４，８を洗浄した汚染水は、吸水用小隙２から流
入した水に導かれサクシヨン管６に極めて円滑に
吸水される。従つて、放射性物質を含む汚染水が
分解洗浄用水槽１の水を汚染することを防止し得
る。而して、汚染されていない該水槽１の水によ
りCRD各部を洗浄すれば、その洗浄効果をあげ
ることができる。さらに、洗浄装置本体３の先端
から吸水された水の水流によりアウターフイルタ
８等の洗浄効果を向上し得る。それと共に、前記
水流が汚染水の淀みをなくし、フイルタを迅速に
洗浄し得る。又、洗浄装置本体３自体にフイルタ
部可視用透明体で構成すれば、フイルタが完全に
洗浄されたことを確認し得る。そのため、必要最
小限の洗浄水の使用ですみ、汚染水処理を迅速に
なし得る。さらに、洗浄具本体３に水圧シリンダ
等の駆動装置７を設け、該本体３を水槽１の長手
方向及び幅方向に移動自在に構成させれば、遠隔
操作により該本体３をCRD先端に着脱し得るか
らフイルタ洗浄作業に伴う作業員の放射線被ばく
を防止し得る。それと共に、本装置の不使用時に
は該装置を分解洗浄用水槽の隅部に位置させるこ
とにより、CRDの分解作業（特にカツプリング
スパツド１２の取外し作業その他）の邪魔になら
ないようにすることができる。なお、洗浄装置本
体３の開口はCRDの先端部外径より大に形成さ
れているから、前記本体３をCRD先端に容易に
着脱し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案の制御棒駆動機構の縦断面図、第
２図は本案の洗浄装置の一実施例を示す一部破断
斜視図。 １……分解洗浄用水槽、２……吸水用小隙、３
……洗浄装置本体、４……インナーフイルタ、５
……インナーフイルタ洗浄ノズル、６……サクシ
ヨン管、７……駆動装置、８……アウターフイル
タ、９……アウターフイルタ洗浄ノズル、１０…
…アウターチユーブ、１１……インデツクスチユ
ーブ、１２……カツプリングスパツド、１３……
アンカツプルロツド貫通孔、１４……コレツトハ
ウジング、１５……ガイドキヤツブ、１６……ピ
ストンチユーブ、１７……ストツプピストン、１
８……筒体部、１９……開口、２０……基部、２
１……軸方向シリンダ、２２……幅方向シリン
ダ、CRD……制御棒駆動機構。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 分解洗浄用水槽１に横架された制御棒駆動機
   構CRDの洗端部外周面を被蔽し且つ、開口端
   と前記外周面との間に吸水用小隙２を保有し得
   るように形成された筒状の洗浄装置本体３と、
   該本体３に内装され前記CRDのインナーフイ
   ルタ４内に先端が達するインナーフイルタ洗浄
   ノズル５と、前記本体の閉塞部に連通すると共
   に、吸引装置に導かれるサクシヨン管６と、を
   具備する制御棒駆動機構のフイルタ洗浄装置。 ２ 洗浄装置本体３がフイルタ部可視用透明体を
   具備する実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   装置。 ３ 洗浄装置本体３が分解洗浄用水槽１の少なく
   とも長手方向へ移動自在に該水槽１の一端部に
   取付けられ、該本体３が前記長手方向へ進退さ
   れる駆動装置７を該本体３に連結した実用新案
   登録請求の範囲第１項又は第２項記載の装置。 ４ CRDのアウターフイルタ８の周面に平行に
   近接し得るように洗浄装置本体３にアウターフ
   イルタ洗浄ノズル９を取付けた実用新案登録請
   求の範囲第１項又は第２項あるいは第３項記載
   の装置。