JPS634648Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は車両用回転シートに関するものであ
る。

車両内に設置した前向きのシートを後向きに回
転するために、従来種々の構成のものが案出され
ており、たとえば実公昭51−31453号公報、特開
昭56−95728号公報に示すようなものがある。

しかし一般に自動車などのシートは、車室内に
ぎりぎりの形状に作られているので、シートをそ
の位置で回転しようとしても、車体側壁などに当
つてそのままでは回転できないものが多い。また
回転軸を設けてそのまわりに回転するように形成
すると、安定した回転操作を得るためと乗員が着
座したときの底突きを避けるために、必然的に機
構の高さが大きくなり、重量が増加するようにな
る。

本考案はこのような不具合を解消した回転シー
トを得るために案出したものであつて、シートク
ツシヨンをその下方に対向して設けたベースの円
形開口部に沿つて回転自由に形成し、ベースの四
隅部に枢支したリンクによつてベースとシートク
ツシヨンとを持ち上げて車室内方に移動可能に
し、この移動操作をシートバツクレストの前傾操
作に連動して行うように構成したものである。

次に本考案の詳細を図面に示す実施例について
説明する。

シート１はシートクツシヨン２とシートバツク
レスト３からなり、シートバツクレスト３はその
下縁部に設けた回動装置４により前傾操作ができ
るようになつている。

シートクツシヨン２の下方にベース５が対向し
て設けてあり、ベース５の中央部に円形開口部６
がくりぬいてある。またシートクツシヨン２の底
部周縁にクツシヨンフレーム８が埋設してあり、
クツシヨンフレーム８には４個の爪１０，１１，
１２，１３が突出して固着してある。各爪は互に
等間隔に位置していて、それぞれに押え板１４が
止着してある。この各爪と押え板１４は、スライ
ダ１６を介してベース５の円形開口部６の縁部を
挾持して、係合するようになつている。そして各
爪を円形開口部６の縁部に沿つて円周方向に移動
し、シートクツシヨン２をベース５に対して後向
きに回転するようになつている。

シート１の前後方向の位置を調整するために、
アウタレールとロアレールとを組み合せてなる左
右１対のスライドレール１８が設けてある。

ベース５は第６図に示すように、リンク２０に
よつてスライドレール１８に連結してある。すな
わちベース５の四隅部に設けた取付ピン２１に、
等大の４個のリンク２０をそれぞれ枢支し、各リ
ンク２０の他端は、スライドレール１８の前後端
部４箇所に設けた取付ピン２２に枢支してある。
従つてリンク２０をＦ方向に回動すればストツパ
２９に当つて２０′の位置になり、ベース５はス
ライドレール１８に近接している状態から上昇し
て、車室内方向すなわち車室中央部に位置するコ
ンソールボツクス２４に近寄る方向に移動するよ
うになる。

そして第６図，第７図に示すように、シートク
ツシヨン２の底部の四隅部すなわちクツシヨンフ
レーム８の四隅部にブラケツト２６がそれぞれ固
設してあり、ブラケツト２６とこれに止着してあ
るカバー２７との間にシートの前後方向に摺動可
能のスライド板２８が嵌挿してある。

スライド板２８はシートバツクレスト３の前傾
操作に連動して摺動するようになつていて、第７
図に示すように、シートバツクレスト３の下縁部
に固設した金具３０にロツド３１を介して金具３
２が連結してあり、金具３２に後部のスライド板
２８が結合してある。そして金具３２にロツド３
３を介して前部のスライド板２８が連結してあ
る。前部のスライド板２８は、シート前縁に位置
するクツシヨンフレーム８の側に張設したバネ３
５によつて、前方のＧ方向に引張り付勢されてい
る。

さらに第６図，第７図に示すように、スライド
レール１８の前後端部４箇所にロツクピン３７が
止着してあり、これにクツシヨンラバー３８が嵌
着してある。ベース５がスライドレール１８に近
接している状態で、ブラケツト２６はクツシヨン
ラバー３８に当接し、ロツクピン３７はスライド
板２８に設けてある係合孔４０に係止するように
なつている。この係合孔４０は前後方向の長孔に
なつていて、幅広部と幅狭部とを有している。シ
ートクツシヨン２を前向き方向にして、ベース５
を第６図の実線図示のようにスライドレール１８
に近接する状態にするとき、ブラケツト２６はク
ツシヨンラバー３８に当接する。そして第７図の
実線図示のようにシートバツクレスト３を着座で
きるように立ててあるとき、金具３０、ロツド３
１、金具３２、ロツド３３の連動と、バネ３５の
付勢とにより、前後のスライド板２８はＧ方向に
引張られ、ロツクピン３７はスライド板２８に設
けた係合孔４０の幅狭部に係止する。スライド板
２８とロツクピン３７は４個所に設けてあるか
ら、シートクツシヨン２はスライドレール１８上
に安定した状態で保持される。

次にシートバツクレスト３を、第７図の鎖線図
示３′のように前傾状態にするとき、金具３０、
ロツド３１、金具３２、ロツド３３の連動によ
り、前後のスライド板２８はバネ３５の付勢に抗
してＧ方向とは反対の後部方向に引張られ、ロツ
クピン３７に対してスライド板２８に設けた係合
孔４０の幅広部が位置するようになり、スライド
板２８がロツクピン３７から外れる。こうしてシ
ートクツシヨン２とスライドレール１８との係止
が解かれるから、第６図の鎖線図示のようにリン
ク２０をＦ方向に回動し、シートクツシヨン２と
ベース５を持ち上げて車室中央部のコンソールボ
ツクス２４側に移動する。

シートクツシヨン２とベース５をこのように移
動してから、シートクツシヨン２をベース５の円
形開口部６の縁部に沿つて後向きに回転する。こ
の回転操作はシートクツシヨン２が移動している
から、車体側壁などに当ることなく行われる。

この回転操作後、シートバツクレスト３を第７
図の実線図示のように立てると、金具、ロツド類
の連動とバネ３５の付勢により、前後のスライド
板２８は前記のようにＧ方向に引張られ、ロツク
ピン３７はスライド板２８に設けた係合孔４０の
幅狭部に係止する。スライド板２８とロツクピン
３７はシートの対称位置の４個所に設けてあるか
ら、それぞれ見合つたものに互に係合し、安定し
た状態の後向きのシートが得られる。なおシート
を後向きから前向きに戻すには前記と逆に操作を
すればよい。

本考案は前述のように、限られた車室内でシー
トを前向きから後向きにまたこの逆に回転できる
ように構成してあり、自動車のフロントシートに
限らず３列シートの中央シートにも適用できるも
のである。そしてシート幅を小さくしないでよい
から乗員の居住性を損うことがない。またシート
クツシヨンの固定と回転するための解放とをシー
トバツクレストの前傾操作に連動して行うから、
回転作業がきわめて容易になる。さらにシートク
ツシヨンの下方にあるベースに円形開口部をくり
ぬいて形成してあるから、着座時の底突きがなく
機構の高さが大きくならない。そしてロツクピン
を四隅部に配してあるので、衝突時などにシート
荷重を円滑に車体側に伝えることができ、機構の
簡素化、軽量化を図ることができる。なお回転機
構がスライドレールの上に設けてあるので、前向
き時のみならず後向き時に前後位置の調整を行う
ことができ、たとえばステアリングホイール等と
の当りを回避することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
シートクツシヨンの底部の要部斜視図、第２図は
スライドレールの上に設けたベースの要部斜視
図、第３図はシートクツシヨンの底部の説明図、
第４図は第３図Ａ−Ａ線の要部断面図、第５図は
第３図Ｂ−Ｂ線の要部断面図、第６図は第３図Ｃ
−Ｃ線の要部断面図、第７図は第３図Ｄ−Ｄ線の
要部断面図である。 ２……シートクツシヨン、３……シートバツク
レスト、５……ベース、６……円形開口部、１
０，１１，１２，１３……爪、１８……スライド
レール、２０……リンク、２８……スライド板、
３７……ロツクピン、４０……係合孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートクツシヨンの下方にベースを対向して設
   け、該ベースの中央部に設けた円形開口部の縁部
   に、該シートクツシヨンの底部に配設した数個の
   爪を係合して該シートクツシヨンを後向きに回転
   自由にし、該ベースの四隅部に等大のリンクをそ
   れぞれ枢支するとともに、該各リンクの他端をシ
   ート前後位置調整のスライドレールの前後端部に
   枢支し、さらに該シートクツシヨンの底部の四隅
   部にシートバツクレストの前傾操作に連動して摺
   動するスライド板を設け、該スライド板に、該前
   傾操作時に該スライドレールの前後端部に固設し
   たロツクピンから外れる係合孔を設けたことを特
   徴とする車両用回転シート。