JPS6346272B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、回転斜板式圧縮機において、スラ
ストベアリング、ラジアルベアリング等へ潤滑油
を供給する装置に関し、簡易型のオイルポンプを
構成するようにしたものである。

回転斜板式圧縮機は、主に冷媒ガスを圧縮する
ために用いられ、駆動軸に固装された斜板の回転
によりピストンがシリンダボア内を往復動し、吸
入、吐出弁と協働して圧縮作用がなされるように
構成されている。このような回転斜板式圧縮機に
おける潤滑油供給装置は、従来その一つとして歯
車ポンプを用いたものがある。この歯車ポンプは
例えばトロコイド型で、駆動軸の軸端に固装され
た内歯車とシリンダヘツドに固装された外歯車と
が噛み合い、駆動軸の回転に伴なつて駆動され、
シリンダブロツク下部に溜められている潤滑油を
吸上げるようにしたもので、十分な潤滑油を必要
な箇所へ安定して供給できる利点がある。

しかしながら、歯車ポンプは比較的高価格であ
り、駆動するために大きな動力を必要とし、内歯
車を駆動軸に、外歯車をシリンダヘツドに固装し
た後、両者を噛合せねばならないので、装着時の
煩わしさがあるし、さらに歯車どうしの噛み合い
から金属粉が潤滑油中に混入する恐れがある等の
欠点があつた。

そこで、この発明においては、上記の欠点を解
消するため、冷媒ガスを圧縮する圧縮室の圧力変
化を利用して簡易なオイルポンプを構成すること
に着目して創作されたもので、圧縮室と連通する
給油ポンプ室に主油溜室から潤滑油を吸上げ、こ
れを軸挿入孔に形成の給油孔に通じる副油溜室に
押上げるようにして、歯車ポンプ式の利点をその
まま維持しつつコストダウンすることができる潤
滑油供給装置を提供しようとするものである。

以下、この発明の実施例を図面により説明す
る。

第１図乃至第３図において、この発明の一実施
例が示され、一対のシリンダブロツク１ａ，１ｂ
の中心には軸挿入孔２が形成され、この軸挿入孔
２に駆動軸３が挿入されている。この駆動軸３
は、その一端が外部へ突出されて、駆動源からの
駆動力が伝達されるようになされていると共に、
シリンダブロツク１ａ，１ｂのほぼ中央で斜板４
が傾斜して固装されており、この斜板４と共に斜
板４のボス部４ａの両側に設けられたスラストベ
アリング５ａ，５ｂ、及び軸挿入孔２の両端に設
けられたラジアルベアリング６ａ，６ｂにより回
転自在に支持されている。

複動形のピストン７は、その中央部分が斜板４
の周縁をまたぐようにえぐられて形成され、ボー
ル８ａ，８ｂとシユー９ａ，９ｂを介して斜板４
の周縁部を挾み付け、シリンダブロツク１ａ，１
ｂに形成された３個のシリンダボア１０ａ，１０
ｂ，１０ｃのそれぞれに嵌挿されており、斜板４
の回転に伴なつてシリンダボア１０ａ，１０ｂ，
１０ｃ内を往復動する。

シリンダブロツク１ａ，１ｂの両側には、バル
ブプレート１１ａ，１１ｂを挾んでフロント及び
リアシリンダヘツド１２ａ，１２ｂが固装されて
いる。それぞれのシリンダヘツド１２ａ，１２ｂ
は、隔壁１３ａ，１３ｂが形成されてバルブプレ
ート１１ａ，１１ｂとの間に低圧室１４ａ，１４
ｂと高圧室１５ａ，１５ｂとが構成されている。
フロント側の低圧室１４ａには、メカニカルシー
ル１６が配され、駆動軸３とフロントシリンダヘ
ツド１２ａとの間をシールしている。また、フロ
ント側の低圧室１４ｂ、高圧室１５ａは、それぞ
れ冷媒通路１７ａ，１７ｂを介して連通されてい
る。

バルブプレート１１ａ，１１ｂには、シリンダ
ボア１０ａ，１０ｂ，１０ｃに対応して、吸入孔
１８ａ，１８ｂ，１８ｃと吐出孔１９ａ，１９
ｂ，１９ｃが形成され、吸入孔１８ａ，１８ｂ，
１８ｃは、ピストン７の両側のシリンダボア１０
ａ，１０ｂ，１０ｃ内に設けられた圧縮室２０
ａ，２０ｂと前記した低圧室１４ａ，１４ｂとを
連通し、シリンダブロツク１ａ，１ｂとバルブプ
レート１１ａ，１１ｂ間に挾まれたガスケツト２
１ａ，２１ｂに形成されたリード形の吸入弁２２
ａ，２２ｂ，２２ｃにより閉じられている。この
吸入弁２２ａ，２２ｂ，２２ｃは、冷媒ガスを圧
縮室２０ａ，２０ｂに吸入する吸入行程時に開か
れる。一方、吐出孔１９ａ，１９ｂ，１９ｃは、
圧縮室２０ａ，２０ｂと高圧室１５ａ，１５ｂと
を連通し、バルブプレート１１ａ，１１ｂに取付
けられた吐出弁２３ａ，２３ｂ，２３ｃにより閉
じられている。この吐出弁２３ａ，２３ｂ，２３
ｃは、冷媒ガスが高圧室１５ａ，１５ｂに吐出す
る吐出行程時に開かれる。

潤滑油供給装置２４は、この実施例においては
リア側に設けられ、概略、圧縮室２０ｂと連通す
る給油ポンプ室２５の圧力変化により、主油溜室
２６に溜められている潤滑油を吸上げ、副油溜室
２７へ押上げる簡易型のオイルポンプとして構成
されている。

即ち、給油ポンプ室２５は、シリンダブロツク
３ｂとガスケツト２１ｂに囲まれて密閉され、例
えば上方が片寄つて狭くなつた形状をなし、シリ
ンダブロツク３ｂの側面に形成された溝２８とガ
スケツト２１ｂとに囲まれて構成の連絡通路２９
を介して、該給油ポンプ室２５の上部と最も近い
圧縮室２０ｂとが連通されている。したがつて、
この給油ポンプ室２５は、圧縮室２０ｂの容積変
化に伴なつて圧力が変化する。

主油溜室２６は、斜板４が配された斜板室３０
の下方で、シリンダブロツク１ａ，１ｂとガスケ
ツト２１ａ，２１ｂとに囲まれて構成され、斜板
室３０のブローバイガスから分離された潤滑油が
溜められている。この主油溜室２６と前記給油ポ
ンプ室２５とは、バルブプレート１１ｂに形成さ
れた溝３１とガスケツト２１ｂとに囲まれて構成
された第１の給油通路３２を介して連通され、該
給油通路３２の給油ポンプ室２５側の出口がガス
ケツト２１ｂに形成された吸入側の給油用弁３３
で閉じられている。この給油用弁３３はリード形
で、給油ポンプ室２５が負圧になると開かれるよ
うに形成されている。

副油溜室２７は、駆動軸３の軸端壁、ラジアル
ベアリング６ｂ及びガスケツト２１ｂに囲まれて
構成され、駆動軸３の軸心に形成された給油孔３
４に通じている。この給油孔３４は、他端側がメ
カニカルシール１６付近に開口していると共に、
小孔を介してスラストベアリング５ａ，５ｂ及び
フロント側のラジアルベアリング６ａに開口して
いる。上記副油溜室２７と給油ポンプ室２５と
は、バルブプレート１１ｂに形成された溝３５と
ガスケツト２１ｂとに囲まれて構成された第２の
給油通路３６を介して連通され、該給油通路３６
の副油溜室２７側の出口がガスケツト２１ｂに形
成された吐出側の給油用弁３７で閉じられてい
る。この給油用弁３７はリード形で、給油ポンプ
室２５が正圧になると開かれるように形成されて
いる。

上記の構成において、駆動軸３が回転すると、
ピストン７がシリンダボア１０ａ，１０ｂ，１０
ｃ内を往復動し、吸入弁２２ａ，２２ｂ，２２ｃ
と吐出弁２３ａ，２３ｂ，２３ｃと協働して圧縮
室２０ａ，２０ｂ内に冷媒ガスが吸入され、圧縮
され、圧縮室２０ａ，２０ｂから吐出される。

圧縮室２０ｂが吸入行程に入いると、第４図に
示すように、給油ポンプ室２５が負圧になるの
で、該給油ポンプ室２５側の給油用弁３３が開か
れて、主油溜室２６に溜められている潤滑油が第
１の給油通路３２を介して給油ポンプ室２５に吸
上げられる。

次に圧縮室２０ｂが吐出行程に入いると、第５
図に示すように、給油ポンプ室２５が正圧になる
ので、給油ポンプ室２５側の給油用弁３３が閉じ
られると共に、副油溜室２７側の給油用弁３７が
開かれて、給油ポンプ室２５の潤滑油が副油溜室
２７に押上げられる。

そして、この副油溜室２７に一時溜められた潤
滑油がリア側のラジアルベアリング６ｂの潤滑を
行なうと共に、駆動軸３の給油孔３４を介して、
スラストベアリング５ａ，５ｂ、フロント側のラ
ジアルベアリング６ａ、さらにメカニカルシール
１６に供給されるのである。

第６図、第７図において、この発明の他の実施
例が示され、前記実施例と比較して、副油溜室２
７と吐出側の給油用弁３７の形成位置が異なり、
副油溜室２７は、リアシリンダヘツド１２ｂにお
いて、該リアシリンダヘツド１２ｂに形成された
隔壁３８で低圧室１４ｂと仕切られて形成されて
いる。また、吐出側の給油用弁３７は、第２の給
油通路３６の入口側に設けられ、バルブプレート
１１ｂ側に開くように形成されている。この実施
例においても、前記実施例と同様に、図中矢印の
ごとく給油ポンプ室２５の圧力変化によつて給油
用弁３３，３７が開閉してポンプ作用を行ない、
主油溜室２６の潤滑油を副油溜室２７側に供給す
る。尚、上記実施例と同一部分については同一番
号を図面に示して説明省略する。

尚、この発明は上記２つの実施例に限定される
ものではなく、図面に示すことは省略するが、例
えば次のような他の実施例が含まれるものであ
る。

まず第１に、上記２つの実施例においては、潤
滑油供給装置２４がリア側にのみ設けられている
が、フロント側又はフロント及びリア側の双方に
同様の構成により設けることができる。この場合
におけるフロント側の副油溜室は駆動軸３の周囲
に設けられる。

第２に、上記２つの実施例においては、第１及
び第２の給油通路３２，３６をバルブプレート１
１ｂとガスケツト２１ｂにより構成しているが、
この第１及び第２の給油通路３２，３６は、給油
ポンプ室２５と主油溜室２６又は副油溜室２７と
を連通するための通路であるから、シリンダブロ
ツク１ｂに孔として形成したり、シリンダブロツ
ク１ｂとガスケツト２１ｂとにより構成したり、
さらにシリンダヘツド１２ｂを用いて構成する等
によつても良い。

第３に、上記２つの実施例においては、給油用
弁３３，３７がガスケツト２１ｂに形成されてい
るが、この給油用弁３３，３７は、給油ポンプ２
５の圧力変化に呼応して第１又は第２の給油通路
３２，３６を開閉するものであれば良いので、他
に独立して設けることができる。

以上述べたように、この発明によれば、回転斜
板式圧縮機の潤滑油供給装置において、圧縮室の
圧力変化を取出すと共に、弁機構を用いて簡易型
のオイルポンプを構成するようにしたので、安価
な装置とすることができ、しかも十分な潤滑油を
安定して供給することができる。また、弁機構に
よるものであるから、それ程大きな動力を必要と
しないと共に、金属粉の発生がないので潤滑油中
に金属粉が混入する恐れが全くない。さらに給油
用弁をガスケツトに形成し、第１及び第２の給油
用通路をバルブプレートに形成された溝とガスケ
ツトで囲んで構成することにより、製造が極めて
容易になる等の効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第５図はこの発明の一実施例を示
し、第１図は回転斜板式圧縮機の断面図、第２図
第１図のＡ−Ａ線断面図、第３図はリア側のシリ
ンダブロツク、バルブプレート及びガスケツトを
示す斜視図、第４図は給油ポンプ室に潤滑油が吸
入される状態を示す要部拡大の断面図、第５図は
給油ポンプ室から潤滑油が吐出される状態を示す
断面図であり、第６図、第７図はこの発明の他の
実施例を示し、第６図は回転斜板式圧縮機の断面
図、第７図は要部拡大の断面図である。 １ａ，１ｂ……シリンダブロツク、３……駆動
軸、１１ａ，１１ｂ……バルブプレート、２０
ａ，２０ｂ……圧縮室、２１ａ，２１ｂ……ガス
ケツト、２４……潤滑油供給装置、２５……給油
ポンプ室、２６……主油溜室、２７……副油溜
室、２９……連絡通路、３１……溝、３２……第
１の給油通路、３３……吸入側の給油用弁、３４
……給油孔、３５……溝、３６……第２の給油通
路、３７……吐出側の給油用弁。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ シリンダブロツクに形成の複数のシリンダボ
   ア内にピストンが嵌挿されると共に、該シリンダ
   ボアの端に設けられたバルブプレートとで圧縮室
   を構成し、前記ピストンは駆動軸に対し斜めに取
   付けられた斜板と係合し、該斜板の回動にてピス
   トンが往復動されて圧縮室内の容積変化を与える
   ようにした回転斜板式圧縮機において、 前記シリンダブロツクに前記圧縮室と連絡通路
   を介して連通する給油ポンプ室を設けると共に、
   前記駆動軸の端を一構成部分とする副油溜室を設
   け、前記給油ポンプ室とシリンダブロツクの下部
   に設けられている主油溜室とを第１の給油通路を
   介して、また、前記給油ポンプ室と前記副油溜室
   とを第２の給油通路を介してそれぞれ連通し、さ
   らにこの第１及び第２の給油通路に前記給油ポン
   プ室の圧力変化に呼応して開閉する給油用弁をそ
   れぞれ設けて成ることを特徴とする回転斜板式圧
   縮機の潤滑油供給装置。 ２ 給油用弁はバルブプレートとシリンダブロツ
   クとに挾まれたガスケツトに形成されたことを特
   徴とする特許請求の範囲第１項記載の回転斜板式
   圧縮機の潤滑油供給装置。 ３ 第１及び第２の給油通路は、バルブプレート
   に形成された溝と、バルブプレートとシリンダブ
   ロツクとの間に挾まれたガスケツトとに囲まれて
   構成されたことを特徴とする特許請求の範囲第１
   項又は第２項記載の回転斜板式圧縮機の潤滑油供
   給装置。