JPS6345202B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、バツクルと差込み片とを有する、安
全ベルト用の錠止装置であつて、差込み片の差込
み方向に対して直角にバツクル内を摺動可能な錠
止部材に差込み片の係止面が係止するようになつ
ており、前記錠止部材は、押圧部材を手でばね力
に抗して押し入れることによつて前記の係止位置
から移動せしめられるようになつており、また係
止された差込み片に弾性的に支持されている押出
し部材を備えている形式のものに関する。

上記形式を有する公知の錠止装置（ドイツ連邦
共和国特許出願公開第2649559号明細書）におい
ては、バツクル内に配設された錠止部材用の係止
切欠きが差込み片に備えられており、この場合錠
止部材は手によつて、あるいは差込み片の差込み
の際はその差込み片自体によつて、ばね力に抗し
て係止位置から移動可能であるように配置されて
いる。この場合錠止部材の、差込み片を錠止する
側の面には、該錠止部材の運動方向に平行して延
びる保持面に続いて、錠止部材の自由端部の方へ
延びる傾斜面が設けられており、それによつて差
込み片に開放力が作用すると錠止部材がその係止
位置から前記傾斜面まで持ち上げられ、差込み片
の開口あるいは係止開孔から完全に押し出され
る。しかしこの公知例の場合バツクルが開放され
ている状態において、錠止部材の保持又は係止面
が再び部分的に差込み路内に侵入し、差込み片を
新たに差し込む際にそれを防害するような事態が
起こり得る。

上記形式の公知錠止装置で錠止部材が傾斜面を
備えていないものの場合は、差込み片の差込み運
動が防害される危険性は一層大きい。このような
装置の場合は通常バツクルケーシング内に、ばね
負荷された薄板として構成されている押出し部材
を設け、該押出し部材は錠止位置では差込み片の
端縁に弾性的に支持されておりまた差込み片が押
出された後は前記の単数又は複数の錠止部材を開
放位置に止めて保持する。それ故に前記押出し部
材は組み立て技術上及び製造技術上ハイ．コスト
である複数の部品から成り、更に該各部分はバツ
クル内部の用意された取付けスペースのかなりの
部分を使うものである。

本発明の課題は、冒頭に述べた形式の錠止装置
を改良して、構造上及び組み立て技術上単純かつ
安価でありまた極めてしつかりした構造形式を有
し、更に機能及び操作の安全性が従来の錠止装置
と比べて改善されているものを提供することであ
る。

この課題は本発明によれば、押出し部材がばね
部材によつて構成されており該ばね部材が、差込
み片が引き抜かれた後に錠止部材の摺動路内に移
動して、前記錠止部材を差込み片の差込み路の外
の位置に保つようになつていることによつて解決
された。押出し部材がばね部材として構成されて
おり、それによつて錠止部材用の支持機能が差込
み片用の押出し機能をも兼ねるようになるので、
従来の安全ベルト用錠止装置の場合のような特別
の金属製成形部材が節約され、延いてはこの成形
部材及び類似のもののための特別な案内部材もま
た不要となる。この構成によれば、組み立てが極
めて容易になる以外にも、各部品の数が少なくか
つ簡単なもので済み、バツクルのケーシング内の
取り付けスペースが節約され、延いてはバツクル
の重量が相対的に少なくなりかつその寸法も小さ
くなる。

本発明の有利な実施態様によればばね部材はコ
イルばね又は板ばね又は成形ばねとして形成可能
であり、この場合錠止部材用の支持機能がばねの
自由端部又はばねと結合された付加部あるいは類
似のものによつて引き受けられる。

本発明の特に有利な実施態様は特許請求の範囲
第４項記載の構成による。この構成によれば開放
位置における錠止部材が差込み片用の差込み路の
外に十分安全な間隔を置いて位置し、それによつ
て協動する各部材に寸法誤差のずれがあつても又
はしだいに摩耗が生じても差込み片の差込み運動
には何ら障害が生じない。

特許請求の範囲第５項及至第８項に記載された
実施例による錠止部材は種々の機能を果たし得る
ように、極めて安定性が高くかつ容易に製造可能
な成形部材として構成されている。この場合傾斜
した乗上げ面が、押出し部材であるばね部材用の
センタリング位置を形成し、同時に該ばね部材が
係合して錠止部材を差込み路外部の開放位置に押
し付けて保つための傾斜ストローク面をも形成し
ている。更にこの成形部材は、手動式の押圧部材
あるいは差込み片の錠止面が平らに即ち少ない加
圧で有利に係合できるための傾斜面を有してい
る。

次に図示の実施例につき本発明を説明する。

第１図及至第３図に示された錠止装置において
バツクル１は、互いに間隔をおいて配設されかつ
固定的に相互結合された２つのプレート２及び３
を有する金属製のバツクル保持器から主に成り、
前記プレート２及び３は差込み片５用の差込み路
４を形成している。プラスチツクケーシング６で
取り囲まれた前記バツクル保持器は、当該の安全
ベルト装置が備えられている自動車の床に例えば
引張ロープで結合されており、また金属製の差込
み片５は、自動巻上げ装置に巻きつけられている
ベルトのゆるんだ方の端部に固定されている。バ
ツクル１の、差込み路４に垂直な摺動路７はプレ
ート２及び３内の開孔８及び９とプラスチツクケ
ーシング６の案内付加部１０とから形成されてお
り、この摺動路７内に金属製の錠止部材１１が第
３図の矢印方向に摺動可能に案内されている。第
１図では差込み片５と錠止部材１１はロツク又は
閉鎖位置にあり、この場合錠止部材１１は差込み
片５内の切欠き１２に係合しており、錠止部材の
シヤフト１４の垂直な係止面１３が差込み片５の
切欠き１２の錠止面１５に当接している。押出し
部材を形成するばね部材としてのコイルばね１６
によつて、差込み片５の錠止面１５が錠止部材１
１の前記係止面１３に圧着されており、前記のコ
イルばね１６は一方でバツクル保持器の中央ウエ
ブ１７に支持されておりまた他方では互いに密に
接触している複数のばね端の巻条１８を備えてお
り、該ばね端の巻条１８は差込み片５に支持され
ている。錠止装置を開放するには、適当な取つ手
を有する押圧部材１９（略示されている）が第１
図の矢印方向に押し入れられ、それによつて前記
押圧部材１９の斜面２０が錠止部材１１の同じく
傾斜した摺動面２１に乗り上げ、その結果錠止部
材１１は第１図での位置から上方へ第２図に示さ
れた位置まで押し上げられる。この際押圧部材１
９及び錠止部材１１の前記それぞれの面は重なり
あつて平面的に摺動するので、どこかの個所に高
い表面圧がかかるようなことは避けられている。
こうして錠止部材１１が開放位置方向に比較的僅
かながら摺動せしめられたことによつて、第２図
に示したように差込み片５の錠止面１５の上端
が、やはり斜面として形成されている傾斜面２２
と接触し、その結果ばね部材１６のばね力によつ
て錠止部材１１が第３図に示されている開放位置
まで完全に摺動せしめられる。前述の摺動運動の
間に他方ではばね部材１６のばね端の巻条１８
が、やはり傾斜した乗上げ面２３と接触し該乗上
げ面に沿つて、錠止部材１１全体が差込み片５用
の差込み路４の外にあるような位置（第３図に示
された位置）に来るまで摺動せしめられる。第１
図及至第３図から分るようにばね部材１６は、少
なくともその自由なばね端において差込み路４よ
り張り出しており錠止部材１１を、該錠止部材が
差込み路４から十分安全な間隔を置いて離れ得る
錠止開放位置に保持する。この場合互いに密に接
触しているばね端の巻条１８によつて、ほぼくさ
び形に形成されている錠止部材１１が再び差込み
路４の範囲内に移動して差込み片５の差込み運動
を妨げることがないように防がれている。

第４図及至第７図に示された錠止装置は細部を
除いては第１図及至第３図による錠止装置とほぼ
同じに構成されているので、再度の全体的説明は
割愛する。その主な相違点は、ばね部材として渦
巻き又はコイルばね１６を用いずに例えば第７図
に示されているような成形ばね２４を用いてお
り、該成形ばね２４はその後方のたわめられたば
ね端部でバツクル保持器の中央ウエブ１７に支持
されており、またその他方側には差込み路４の軸
線方向に沿つて曲げられた支持付加部２５を有し
ており、該支持付加部２５が端部に向つてくさび
形に斜めに切られておりかつ錠止位置においては
差込み片５に支持されるようになつている（第４
図）ことである。押圧部材１９を用いて錠止部材
１１が持ち上げられることによつて、前述の構成
においては、錠止部材１１がまず差込み片５によ
つて次に支持付加部２５によつて第６図の開放位
置まで動かされかつそこに保持され、この際支持
付加部２５のくさび形斜面が成形ばね２４と錠止
部材１１との間の接触開始を容易にしている。

第８図及至第１１図には第１図及至第７図の錠
止装置に用いられている錠止部材１１が単独で示
されている。錠止部材１１は成形部材として一体
的にほぼＴ字形に形成されておりかつ既に言及さ
れたブロツク状のシヤフト１４を有しており、図
面では該シヤフト１４の上部の両側に２つの成形
付加部２６が一体的に形成されており、該成形付
加部２６の下側には既に言及した傾斜した摺動面
２１が設けられている。第１図には単に概略的に
示されている押圧部材１９はフオーク状に形成さ
れていると好都合であり、この場合斜面２０を有
するフオークの股部分の両方が前記摺動面２１と
接触するようになる。第８図及至第１１図におけ
る錠止部材のシヤフト１４の下端面には傾斜面２
２が形成されており、該傾斜面２２の面中央部分
には乗上げ面２３があけられている。この乗上げ
面２３は例えば第８図及び第９図が示すようにお
う形の湾曲部分として形成されており、この場合
第１０図が示すように差込み路４に関しての傾斜
面２２の傾斜角ａは乗上げ面２３の傾斜角ｂより
も大きくなつている。前記乗上げ面２３は第１図
及至第３図に示されたばね部材として構成されて
いる押出し部材のためのセンタリングをも行な
う。第１０図には差込み片５が破線で示されてお
りその引抜き方向は矢印で示されている。この場
合傾斜面２２と乗上げ面２３の始まる点と終る点
との間の間隔Ｃが、差込み片５とばね部材とによ
つて錠止部材１１に作用せしめられる開放ストロ
ークの長さに相当するので、押圧部材１９（第１
図）によつては開放工程の開始時に、全開放工程
から前記開放ストロークを引いた残りの分のスト
ロークがもたらされればよい。

第１２図及至第１５図には別の変化実施例によ
る錠止部材２７が示されている。この錠止部材２
７はほぼＣ字形に構成されており、この場合互い
に向い合つた自由な端部２８には傾斜面２９が形
成されており、また自由でない方の結合部分３０
の両側端部には２つの摺動面３１が設けられてい
る。前述の各図に示された実施例と異なつてこの
実施例による錠止部材は図面上で上方へ摺動せし
められるのではなく、フオーク状の押圧部材の傾
斜面が摺動面３１上に乗り上げることによつてむ
しろ第１３図に示した矢印方向で下方に摺動せし
められ、それによつて錠止部材２７の係止面３２
がほぼＴ字形の差込み片の錠止面との接触から外
れるようになつている。その後は前述の実施例と
同様に、差込み片が傾斜面２９上に乗上げること
によつて錠止部材２７が、差込み片用の差込み路
の外に完全に出るまで下方に押され、有利にはや
はりばね部材として構成されている押出し部材に
よつて開放位置に不動に保たれる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の複数の実施例を示すものであつ
て、第１図、第２図、第３図は本発明による安全
ベルト用錠止装置の重要部分をそれぞれ異なる操
作位置で示した略示断面図、第４図、第５図、第
６図は本発明による錠止装置の別の実施例をやは
り異なる操作位置で示した断面図、第７図は第４
図、第５図、第６図による錠止装置の部分図、第
８図、第９図、第１０図、第１１図は第１図、第
２図、第３図、第４図、第５図、第６図、第７図
に示された本発明による錠止装置に用いられてい
る錠止部材をそれぞれ異なる側面から示した斜視
図、第１２図、第１３図、第１４図、第１５図は
本発明による錠止装置に用いられる錠止部材の別
の実施例をやはりそれぞれ異なる側面から示した
斜視図である。 １……バツクル、２，３……プレート、４……
差込み路、５……差込み片、６……プラスチツク
ケーシング、７……摺動路、８，９……開孔、１
０……案内付加部、１１……錠止部材、１２……
切欠き、１３……係止面、１４……シヤフト、１
５……錠止面、１６……コイルばね、１７……中
央ウエブ、１８……ばね端の巻条、１９……押圧
部材、２０……斜面、２１……摺動面、２２……
傾斜面、２３……乗上げ面、２４……成形ばね、
２５……支持付加部、２６……成形付加部、２７
……錠止部材、２８……端部、２９……傾斜面、
３０……結合部分、３１……摺動面、３２……係
止面。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ バツクルと差込み片とを有する、安全ベルト
   用の錠止装置であつて、差込み片の差込み方向に
   対して直角にバツクル内を摺動可能な錠止部材に
   差込み片の係止面が係止するようになつており、
   前記錠止部材が、押圧部材を手でばね力に抗して
   押し入れることによつて前記の係止位置から移動
   せしめられるようになつており、また係止された
   差込み片に弾性的に支持される押出し部材を備え
   ている形式のものにおいて、前記押出し部材がば
   ね部材１６，２４によつて構成されており、該ば
   ね部材１６，２４が、差込み片５が引き抜かれた
   後に錠止部材１１，２７の摺動路７内に移動して
   前記錠止部材を差込み片の差込み路の外の位置に
   保つようになつていることを特徴とする、安全ベ
   ルト用の錠止装置。 ２ コイルばね１６として構成されたばね部材
   の、有利には互いに密に接触せしめられているば
   ね端の巻条１８が、錠止部材１１，２７用の支持
   部材として用いられている、特許請求の範囲第１
   項記載の錠止装置。 ３ ばね部材が成形ばね又は板ばね２４として構
   成されている、特許請求の範囲第１項記載の錠止
   装置。 ４ ばね部材の自由な方のばね端が差込み片５の
   差込み路４より大きくなつており、錠止部材１１
   を前記差込み路から十分安全な間隔を置いた位置
   に保つようになつている、特許請求の範囲第１項
   記載の錠止装置。 ５ 成形部材として構成された錠止部材１１のブ
   ロツク状のシヤフト１４に、有利にはおう形に湾
   曲しており摺動路７内ではその中央に位置する斜
   面である乗上げ面２３が押出し部材との接触のた
   めに設けられている、特許請求の範囲第１項記載
   の錠止装置。 ６ 差込まれた差込み片５の錠止面１５の方に傾
   いている傾斜面２２，２９が、錠止部材のシヤフ
   ト１４の自由な端部に設けられており、前記傾斜
   面には乗上げ面２３があけられている、特許請求
   の範囲第５項記載の錠止装置。 ７ 差込み路４に関しての傾斜面２２の傾斜角ａ
   が乗上げ面２３の傾斜角ｂよりも大きくなつてい
   る、特許請求の範囲第６項記載の錠止装置。 ８ 錠止部材１１，２７が少なくとも１つの傾斜
   した摺動面２１，３１を有しており、該摺動面２
   １，３１に摺動ストロークを与えるための手動式
   の押圧部材１９が支持されている、特許請求の範
   囲第７項記載の錠止装置。 ９ 錠止部材がほぼＣ字形に構成されており、そ
   の互いに向い合つた自由端部には差込み片用の傾
   斜面２９が設けられ、また自由でない方の結合部
   分３０には押圧部材用の摺動面３１が少なくとも
   １つ設けられている、特許請求の範囲第１項記載
   の錠止装置。