JPS6344583Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はトランスミツシヨンのギヤスリーブ
構造に関する。

従来、たとえばシンクロメツシユ式トランスミ
ツシヨンとしては、第１図に示すように、メーン
シヤフト１にブツシユ２およびニードルベアリン
グ３を介して変速ギヤ４を回転自在に嵌合する一
方、クラツチハブ５をメーンシヤフト１のスプラ
イン部６にスプライン結合して、クラツチハブ５
の一端面とブツシユ２を当接させると共に、クラ
ツチハブ５の他端面を、メーンシヤフトに取り付
けたスナツプリング７に当接させて、クラツチハ
ブ５を軸方向に移動させないようにしたものが提
案されている（実開昭54−182757号）。

ところが、上記構造のトランスミツシヨンにお
いては、スナツプリング７でクラツチハブ５およ
び変速ギヤ４を軸方向に支持しているため、変速
ギヤ４をたとえばヘリカルギヤとした場合等に生
じる大きなスラストがクラツチハブ５を介してス
ナツプリング７にかかると、上記スナツプリング
７が大きなスラストに耐えることができないとい
う欠点がある。

そこで、大きなスラストに耐えうるトランスミ
ツシヨンとしては、第２図に示すように、メーン
シヤフト１のスプライン部６にクラツチハブ５を
スプライン結合する一方、上記クラツチハブ５の
両側において、メーンシヤフト１に変速ギヤ４，
８を、上記クラツチハブ５に端面を当接させたブ
ツシユ２ａ，２ｂおよびベアリング３，３を介し
て回転自在に嵌め込み、上記ブツシユ２ａ，２ｂ
により変速ギヤ４，８の大きなスラストを受けさ
せるようにしたものが提案されている（実開昭54
−182778号）。

ところが、上記トランスミツシヨンにおいて
は、クラツチハブ５とブツシユ２ａ，２ｂとを別
体構造としているため、メーンシヤフト１とブツ
シユ２ａ，２ｂとにスチールボール９，９を係合
させて、ブツシユ２ａ，２ｂを回り止めする必要
があり、この回り止め機構のため構造が複雑、高
価になるという欠点がある。

この考案は上記事情に鑑み、トランスミツシヨ
ンの軸上に配設したクラツチハブと、上記軸を回
転可能に軸支するベアリングとの間に変速ギヤを
配置し、上記クラツチハブの基部を上記ベアリン
グインナに当接するように軸方向に延長してギヤ
スリーブを形成し、このギヤスリーブを上記軸に
スプライン結合すると共に、上記ギヤスリーブに
上記変速ギヤをクラツチハブの側方で回転自在に
嵌合することにより、変速ギヤからクラツチハブ
に伝えられるスラストを、ギヤスリーブに受けさ
せて、大きなスラストに耐えることができ、しか
も、ギヤスリーブに対する回り止め機構を省略で
きるトランスミツシヨンのギヤスリーブ構造を提
供することを目的としている。

以下、この考案を図示の実施例により詳細に説
明する。

第３図において、１１は軸の一例としてのメー
ンシヤフトで、このメーンシヤフト１１の大径部
１１ａにはヘリカルギヤからなる第１変速ギヤ１
２を回動自在に嵌合している。上記メーンシヤフ
ト１１の中径部１１ｂには、クラツチハブ１３を
嵌め込んでいる。上記クラツチハブ１３は一端を
延長してギヤスリーブ１４を一体に形成し、この
ギヤスリーブ１４の内周に形成したスプライン溝
１４ａを、メーンシヤフト１１に形成したスプラ
イン部１１ｃにスプライン嵌合している。上記ク
ラツチハブ１３およびギヤスリーブ１４は焼結合
金により一体に形成している。上記ギヤスリーブ
１４の外周には、ヘリカルギヤからなる第２変速
ギヤ１５を回動自在に嵌合している。また、上記
ギヤスリーブ１４の端面１４ｃおよび第２変速ギ
ヤ１５の端面には、メーンシヤフト１１の小径部
に嵌合した円錐ころ軸受１６の内レース１６ａの
一端を当接させると共に、上記円錐ころ軸受１６
の内レース１６ａの他端に、メーンシヤフト１１
に螺合したナツト１７を当接させて、円錐ころ軸
受１６を固定している。

一方、クラツチハブ１３の外周には、クラツチ
ハブスリーブ２１を軸方向に摺動自在にスプライ
ン嵌合すると共に、上記クラツチハブ１３の外周
に軸方向に設けたキー溝１３ａに、円弧状キース
プリング２２，２２によりクラツチハブスリーブ
２１側に付勢されるシンクロナイザキー２３を嵌
合している。また、第１、第２変速ギヤ１２，１
５のコーン部１２ａ，１５ａに、そのコーン部１
２ａ，１５ａに対応した円錐面を有する各シンク
ロナイザリング２５，２６を遊嵌すると共に、こ
のシンクロナイザリング２５，２６の端部に夫々
設けたキー溝に、シンクロナイザキー２３の端部
を夫々嵌合している。

上記構成のトランスミツシヨンにおいて、い
ま、クラツチハブスリーブ２１を図示しないシフ
トフオークによりシンクロナイザキー２３と共に
軸方向（たとえば第１図中右方）に移動させ、シ
ンクロナイザキー２３でシンクロナイザリング２
５を第１変速ギヤ１２のコーン部１２ａに押し付
け、さらに、クラツチハブスリーブ２１をシンク
ロナイザキー２３との係合から離脱するまで第３
図中右方に移動させて、クラツチハブスリーブ２
１のスプライン内歯２１ａとシンクロナイザリン
グ２５のスプライン外歯２５ａとを当接させて、
シンクロナイザリング２５を第１変速ギヤ１２の
コーン部１２ａに押し付けて、第１変速ギヤ１２
とクラツチハブスリーブ２１を同期させた後に、
上記クラツチハブスリーブ２１をシンクロナイザ
リング２５を介して第１変速ギヤ２５のスプライ
ン外歯１２ｃに円滑にスプライン嵌合させて、第
１変速ギヤ１２と、クラツチハブ１３およびメー
ンシヤフト１１とを連結した状態にあるとする。

このとき、第１変速ギヤ１２がヘリカルギヤで
あるため生じる大きなスラスト（第３図中矢印Ｘ
で示す。）は、一体に形成されているクラツチハ
ブ１３およびギヤスリーブ１４により、ギヤスリ
ーブ１４の端面１４ｃを介して円錐ころ軸受１６
に伝えられる。このため、この構造は大きなスラ
ストに耐えることができる。

また、上記ギヤスリーブ１４とクラツチハブ１
３を一体に形成し、ギヤスリーブ１４をメーンシ
ヤフトにスプライン結合しているので、ギヤスリ
ーブ１４に対する回り止め機構を省略することが
できる。

なお、クラツチハブスリーブ２１と第１または
第２変速ギヤ１２，１５とが噛合していない状態
でも、上記と同様に、ギヤスリーブ１４の端面１
４ｃを円錐ころ軸受１６に当接させて大きなスラ
ストを受けることができる。

上記実施例では、クラツチハブ１３の一端を延
長してギヤスリーブ１４を形成したが、クラツチ
ハブの両端を夫々延長して、両側にギヤスリーブ
を形成してもよい。

以上の説明で明らかな如く、この考案のトラン
スミツシヨンのギヤスリーブ構造は、軸上に配設
したクラツチハブの基部をベアリングインナに当
接するように軸方向に延長してギヤスリーブを形
成し、このギヤスリーブを上記軸にスプライン結
合すると共に、上記ギヤスリーブに変速ギヤを回
転自在に嵌合し、クラツチハブに伝えられるスラ
ストをギヤスリーブを介して他に伝えるようにし
ているので、大きなスラストに耐えることがで
き、しかもギヤスリーブに対する回り止めを従来
のスプライン嵌合を利用して省略することがで
き、全体構造を簡単、安価にすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１、第２図は夫々従来のトランスミツシヨン
のギヤスリーブ構造の断面図、第３図はこの考案
の一実施例の断面図である。 １１…軸、１２，１５…変速ギヤ、１３…クラ
ツチハブ、１４…ギヤスリーブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. トランスミツシヨンの軸上に配設されたクラツ
   チハブと、上記軸を回転可能に軸支するベアリン
   グとの間に変速ギヤが配置され、上記クラツチハ
   ブの基部を上記ベアリングインナに当接するよう
   に軸方向に延長してギヤスリーブを形成し、上記
   クラツチハブの側方で上記ギヤスリーブに上記変
   速ギヤを回転自在に嵌合し、上記ギヤスリーブを
   上記軸にスプライン結合したことを特徴とするト
   ランスミツシヨンのギヤスリーブ構造。