JPS623575Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、歯車変速機の歯打ち音防止装置に
関するものである。

一般に、歯車変速機においては、ギヤのバツク
ラツシユによる騒音が問題となつている。普通、
この騒音はエンジンが高速回転している時はエン
ジンの回転速度変動（トルク変動）が小さくギヤ
のバツクラツシユによる騒音はあまり問題になら
ない。しかしながら、エンジンが無負荷のアイド
リング状態では、回転角速度変動が最も大きく、
ギヤのバツクラツシユによる騒音が問題となる。
この問題を解消するものとして従来は、シヤフト
に形成された溝とこの溝に係合するようにスプリ
ングによつて付勢されたボールとによつてニユー
トラル時シフトフオークを付勢するようにしたも
の（実開昭54−15652号公報）があるが、このも
のは構造が複雑であり、組付性、位置精度の面で
不具合を有するものであつた。また、特公昭50−
20214号公報では、シンクロメツシユ装置のハブ
スリーブを変速歯車に摩擦接触させるために、シ
フトロツドを介してシフトフオークを押圧するよ
うにしたものが提案されているが、シフトロツド
とシフトフオークとが固定されているため、付勢
手段として弾性力の高いものが要求され、シフト
操作力が重くなるという問題がある。

この考案は、上記従来の問題点に鑑みてなされ
たもので、シフトフオークのみをスプリングによ
つてシフト方向に直接付勢することにより、ニユ
ートラル時、スプリングにより、シフトフオーク
と結合したシンクロメツシユ装置のクラツチスリ
ーブを介してシンクロナイザリングをギヤのコー
ン部に押圧接触させてギヤに軽いブレーキをかけ
るようにし、歯打ち音の発生を防止し得るように
したものである。

以下、この考案の実施例を添付図面について詳
細に説明する。

第１図に示すように、歯車変速機は、メインシ
ヤフト１にベアリング２，２を介してギヤ３を嵌
合し、該ギヤ３側方のメインシヤフト１にクラツ
チハブ４をスプライン結合すると共に、該クラツ
チハブ４にクラツチスリーブ６をシンクロナイザ
キー７で結合して、クラツチスリーブ６のシフト
方向移動で、シンクロナイザキー７によりシンク
ロナイザリング８を押し、ギヤ３のコーン部９に
押圧するようになつている。

上記メインシヤフト１と平行にミツシヨンケー
ス側の部材１０で支持されるシフトロツド１１，
１２を配置し、例えば左方向が１速、右方向が２
速のシフトロツド１１にシフトフオーク１３の嵌
合孔１４を嵌合させると共に、嵌合孔１５を、例
えば左方向が３速、右方向が４速のシフトロツド
１２に嵌合させて、該シフトフオーク１３の係合
部１３ａを上記クラツチスリーブ６の係合溝６ａ
に係合させる。

上記両シヤフト１１，１２のシフトフオーク１
３の嵌合部分には、相対向する半球状の凹溝１１
ａ，１２ａがそれぞれ形成され、該凹溝１１ａ，
１２ａ内にローラ１６が嵌合されている。

両シヤフト１１，１２の凹溝１１ａ，１２ａが
一致しているニユートラル時には、ローラ16と凹
溝１１ａ，１２ａとの間に遊び隙間ｔがある。

そこで、壁部材１０とシフトフオーク１３との
間にスプリング１７を縮装して、該スプリング１
７の付勢力でシフトフオーク１３をシフト方向に
付勢して、凹溝１１ａ，１２ａとローラ１６との
遊び隙間ｔをなくし、クラツチスリーブ６を介し
てシンクロナイザリング８をギヤ３のコーン部９
に押圧接触させることによりギヤ３に軽いブレー
キをかけるようになる。

シフト時、例えば第２図に示すシフトロツド１
１の右方向（２速）シフト時、あるいは第３図に
示すシフトロツド１２の右方向（４速）シフト時
等には、ローラ１６が凹溝１１ｂにきつちりと嵌
合して遊び隙間ｔがなくなるので、スプリング１
７の影響を受けることがなく、変速操作はスムー
ズに行なえる。

上記実施例は、シフトロツド１１または１２の
作動時には少なくとも動かない非動部材として、
シフトロツド１２または１１を設定したものであ
るが、第４図に示すように、非動部材として、ミ
ツシヨンケース側の壁部材１０に半球状の凹溝１
０ａを形成して、これとシフトロツド１１の凹溝
１１ａとの間にローラ１６を嵌合する構成として
もよい。

以上の説明からも明らかなように、この考案
は、ニユートラル時、スプリングで、シフトフオ
ーク、クラツチスリーブを介してシンクロナイザ
リングをギヤのコーン部に押圧接触させるように
したものであるから、ギヤに軽いブレーキ力が作
用して歯打ち音の発生が防止できるようになる。

また、スプリングを設けるだけでよいから構造
はきわめて簡単である上、クラツチのスプライン
部分の遊び隙間による騒音の発生も防止できるよ
うになる。さらに、従来のようにスプリングでシ
フトフオークをシフトロツドとともに付勢する必
要がないので、付勢力が弱くてよく、シフト操作
力が重くならない。

【図面の簡単な説明】

第１図は歯打ち音防止装置を備えたニユートラ
ル時の歯車変速機の断面図、第２図及び第３図は
それぞれシフト時の歯車変速機の断面図、第４図
は他の例を示すニユートラル時の歯車変速機の断
面図である。 １……メインシヤフト、３……ギヤ、４……ク
ラツチハブ、６……クラツチスリーブ、７……シ
ンクロナイザキー、８……シンクロナイザリン
グ、９……コーン部、１１，１２……シフトロツ
ド、１０ａ，１１ａ，１２ａ……凹溝、１３……
シフトフオーク、１６……ローラ、１７……スプ
リング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シフトフオークが軸方向に所定量相対移動可能
   にその基部がシフトロツドに取付けられ、該シフ
   トロツドのシフトフオーク取付部分に、半球状の
   凹溝が形成され、上記シフトロツド作動時には少
   なくとも動かない非動部材に、半球状の凹溝が形
   成されると共に、上記両凹溝間におけるシフトフ
   オークの基部にシフトフオークと交差する方向に
   挿入孔が形成され、該挿入孔にはローラが嵌合さ
   れる一方、上記シフトフオークは直接スプリング
   によつてシフト方向に付勢され、ニユートラル
   時、上記スプリングにより、シフトフオークと係
   合したシンクロメツシユ装置のクラツチスリーブ
   を介してシンクロナイザリングをギアのコーン部
   に押圧接触させることを特徴とする歯車変速機の
   歯打ち音防止装置。