JPS6340685Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はピンまたはピンとローラよりなる円弧
歯形を有する内歯歯車に円弧歯形或いはトロコイ
ド形歯形等を有する外歯歯車を噛合させてなる遊
星歯車機構における前記ピン等の円弧歯形の支持
装置に関する。

（従来技術） ピンまたはピンとローラ（以下、ピンと総称す
る）よりなる円弧歯形を有する内歯歯車にトロコ
イド系の歯形等を有する外歯歯車を噛合させて遊
星歯車機構を形成した回転変換機構は、例えば
「サイクロ減速機」（登録商標）として公知であ
る。

（発明が解決しようとする課題） この公知の内歯歯車では、ピンの全体を内歯歯
車本体内周面に接して設けたり、或いはピンの両
端を支持し、ピンと内歯歯車内周面との間に間隙
を有するように配設している。前者においては、
ピンに剛性を持たせるという点では有効である
が、その反面、弾力性がなく、加工誤差等を変形
によつて吸収することが困難であるため、高精度
の加工が要求された。又、後者においては、前者
とは逆に、外少の加工誤差等は弾性変形で吸収で
吸収きるので、加工が比較的容易である反面、剛
性を持たせるためにピン径を大きくしなければな
らないと共に、このピンに複数枚の外歯歯車を噛
合させた場合、後述の第４図に示す如く、ピンの
撓み量が長さ方向で異なるため、内歯歯車の円弧
歯形としてのピンと外歯歯車とが幅方向全長に亙
り正確に噛合しなくなり、幅の偏摩耗の原因とな
つたり、又ピンの曲げ応力が大きくなつて負荷能
力が低下する等の欠点を生じていた。

（課題を解決するための手段） 本考案は上記に鑑みてなされたものであつて、
１本のピンまたは１本のピンとローラとよりなる
円弧歯形と、該円弧歯形を支持する１個の輪状体
を有する内歯歯車本体とからなる内歯歯車と、該
内歯歯車に噛み合う２枚以上の外歯歯車と、の組
み合わせによりなる遊星歯車機構において、前記
内歯歯車本体内周面に前記外歯歯車と同数の溝を
形成すると共に、この溝の幅を前記外歯歯車の幅
よりも大とし、かつ外歯歯車を内歯歯車の円弧歯
形に噛合させたとき外歯歯車の幅方向両端と前記
溝の幅方向両端との間に等長の間隙を有するよう
に配設したことにより、ピンが外歯歯車に噛合し
た時、該ピンに加工誤差等を吸収する一定の撓み
を許容すると共に、この撓み変形を外歯歯車に対
して均等としてピンと外歯歯車との片当たり或い
は偏摩耗を防止したものである。

（実施例） 以下、図によつて説明する。

第１，２図は本考案が適用される遊星歯車機構
の一例を示す減速機の断面図である。

第１，２図を参照して、入力軸１の回転は２個
の偏心体２，３を回転させる。この偏心体２，３
の回転は外歯歯車４，５に伝達されるが、該外歯
歯車４，５には内ピン穴７が穿孔されており、該
内ピン穴７には後述する出力軸１１に装着した内
ピン６が嵌入されている。また、この外歯歯車
４，５の外周には例えばトロコイド系歯形等の歯
８が形成されており、該外歯歯車４，５はピン１
０からなる円弧歯形と１個の輪状体からなる内歯
歯車本体９とによつて構成される内歯歯車と噛み
合つている。外歯歯車４，５の自転は拘束されて
おり、内ピン６の回りに内ピン穴７が内接して揺
動回転する。

この揺動回転によつて外歯歯車４，５は１回の
揺動回転（偏心体２，３の１回転）によつて、外
歯歯車４，５は円周方向に内歯歯車の１歯形（１
ピン）だけ回転され、（外ピン１０の本数が外歯
歯車４，５の歯数よりも１本多い場合）この回転
が内ピン６を介して減速回転として出力軸１１か
ら取り出される。

前述のように、このような遊星歯車機構におい
て、従来内歯歯車の円弧歯形としてのピン１０
（これを内ピン６に対して外ピンということが多
い）の取り付けは、内歯歯車本体９に間隙なく接
して取り付ける。（第３図）或いは、内歯歯車本
体にピン１０の両端のみを支持し、ピン１０と内
歯歯車本体９との間に間隙（溝）を設ける（第４
図）等の方法がとられていたが、前者（第３図）
においてピン１０を内歯歯車本体９に接して設け
ているため、ピン１０に外歯歯車４，５が噛合し
て図のＰの如き力が作用しても撓むことはなく、
小径とすることが可能であるが、このために逆に
加工誤差等も吸収できず、高精度の加工が必要で
あると共に潤滑にも注意を払わなければならなか
つた。

又、後者（第４図）においては、ピン１０と内
歯歯車本体９との間に間隙を有するため、ピン１
０は梁構造となり、撓むことが可能であり、多少
の加工誤差を吸収できると同時に、前記間隙が潤
滑溝として機能し、潤滑油が十分に行き渡り、潤
滑面での心配もない。しかし、この場合でも、複
数枚の外歯歯車４，５を使用するときには外歯歯
車４，５は円周方向の荷重バランスを考慮して２
枚の場合には180゜、３枚の場合には120゜、位相を
ずらして装着されるのが一般であるので、ピン１
０には偏荷重Ｐが作用し、撓み量が一方に大きく
偏つたものとなり、左右の撓み角がθ₁＜θ₂となつ
てしまう。このため、ピン１０と外歯歯車４，５
との接触が均等にならず、偏摩耗が生ずることに
なる。

上記従来公知の遊星歯車機構の欠点を改善する
ものとして、提案された本考案の構成を以下に説
明する。

本考案は、第５図に示す要部断面図から明らか
なとおり、１本のピン１０と１個の輪状体からな
る内歯歯車本体９との間に外歯歯車４，５の枚数
と同数の円周溝１２₁，１２₂を設け、この円周溝
１２₁，１２₂の幅Ｈを外歯歯車８₁，８₂の歯幅ｈ
大きくし、ピン１０を挟んで外歯歯車８₁，８₂の
両端から円周溝１２₁，１２₂までの長さが等長の
間隙Ｇを有するように外歯歯車８₁，８₂を配設し
ている。従つて、本考案によると、外歯歯車８₁，
８₂がピン１０に噛合したとき、その撓み変形が
均等になる。すなわち、第５図に示す如く、左右
の撓み角θが等しく、かつ溝幅Ｈ（又は歯幅ｈ）
の中央点で最大の撓みとなり、かつ中央点を挾ん
で左右対称となるような変形となる。

以上の説明において、外歯歯車の枚数は２枚あ
るいは３枚に限らず任意に採用されるものであ
り、ｎ枚採用したときは360゜／ｎの位相で配置さ
れ、円周溝もｎ条設けられるものとなる。

（発明の効果） 以上の本考案による効果は次のとおりである。

ピンと外歯歯車の片当りによる偏摩耗が防止さ
れる。

ピンに偏荷重が作用し負荷能力が低下すること
がない。

円周溝により潤滑が行なわれて耐久性の向上、
騒音の低下が得られる。

ピンの弾性変形により多少の製造誤差は吸収で
きるので製造が容易になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案が適用される遊星歯車機構の一
例を示す減速機の断面図、第２図は第１図のＡ−
Ａ断面図、第３図は従来例を示す断面図、第４図
は他の従来例を示す断面図、第５図は本考案の一
実施例を示す要部断面図である。 ４，５……外歯歯車、８₁，８₂……外歯歯車、
９……内歯歯車本体、１０……ピン、１２₁，１
２₂……円周溝、Ｈ……円周溝の幅、ｈ……外歯
歯車の幅、Ｇ……間隙。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １本のピンまたは１本のピンとローラとよりな
   る円弧歯形と、該円弧歯形を支持する１個の輪状
   体を有する内歯歯車本体とからなる内歯歯車と、
   該内歯歯車に噛み合う２枚以上の外歯歯車と、の
   組み合わせによりなる遊星歯車機構において、 前記内歯歯車本体内周面に前記外歯歯車と同数
   の溝を形成すると共に、この溝の幅を前記外歯歯
   車の幅よりも大とし、かつ外歯歯車を内歯歯車の
   円弧歯形に噛合させたとき外歯歯車の幅方向両端
   と前記溝の幅方向両端との間に等長の間隙を有す
   るように配設したことを特徴とする遊星歯車機構
   における円弧歯形の支持装置。