JPS6340646Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は内燃機関のコネクテイングロツド、特
に繊維強化プラスチツクから形成されたコネクテ
イングロツドに関する。

一般に内燃機関においては、ピストンの上下運
動を回転運動としてクランク軸に伝達するために
コネクテイングロツドが用いられている。このコ
ネクテイングロツドは、従来、耐熱性、耐久性、
生産性等の面から金属材料で形成されており、そ
のため重量が増大して機関の振動及び騒音の原因
となつていた。

そこで、コネクテイングロツドの素材として軽
量で比較的強度の強い繊維強化プラスチツク
（FRP）が注目され、この繊維強化プラスチツク
から形成されたコネクテイングロツドが提案され
ている（例えば実開昭55−26108号公報参照）。か
かるコネクテイングロツドは繊維強化プラスチツ
クから形成されたコネクテイングロツド本体を具
備し、このコネクテイングロツド本体はロツド本
体部とロツド本体部に結合されたキヤツプ部から
構成されている。ところが上記コネクテイングロ
ツドにおいては、ロツド本体部とキヤツプ部とが
従来と同様にボルトとナツトによつて結合される
ように構成すると、特にロツド本体部に形成され
たボルト用の貫通孔付近に応力集中が起こつて内
燃機関の高回転時においてこの部分が破損すると
いう問題が発生する。

そこで、上述した問題を解決するために種々の
改良されたコネクテイングロツドが提案されてい
る。上述したコネクテイングロツドとしては、例
えば実開昭55−84310号及び実開昭55−147527号
の明細書及び図面に開示されているものを挙げる
ことができ、かかるコネクテイングロツドにおい
ては、ロツド本体部とキヤツプ部とが繊維強化プ
ラスチツクで成型されたリング状の止め具又は接
着剤によつて結合されている。

ところが、上記コネクテイングロツドでは、上
述した如く結合されている故に、強度の面で信頼
性に欠けるという問題がある。

本考案は上記事実に鑑みてなされたものであつ
て、その目的は、コネクテイングロツド本体の強
度を低下させることなくロツド本体部とキヤツプ
部とを確実に結合することができる改良された内
燃機関のコネクテイングロツドを提供することで
ある。

本考案によれば、繊維強化プラスチツクから形
成されたロツド本体部及びキヤツプ部を備えた内
燃機関のコネクテイングロツドにおいて、 該ロツド本体部の一端部には所定の角度をもつ
て両側に延びる拡張端部が形成され、一方該キヤ
ツプ部は貫通孔が夫々形成された第１のキヤツプ
部材及び第２のキヤツプ部材を含み、該拡張端部
を夫々該貫通孔に挿入して該第１のキヤツプ部材
及び該第２のキヤツプ部材を相互に連結すること
によつて、該キヤツプ部が該ロツド本体部に結合
される、ことを特徴とするコネクテイングロツド
が提供される。

以下、本考案に従つて構成されたコネクテイン
グロツドの一具体例について説明する。

本考案に従つて構成されたコネクテイングロツ
ドの断面図を示す第１図において、コネクテイン
グロツドは、繊維強化プラスチツク〔例えば炭素
繊維強化プラスチツク（CFRP）、ガラス繊維強
化プラスチツク（GFRP）〕から形成されたコネ
クテイングロツド本体２を具備し、コネクテイン
グロツド本体２はロツド本体部４とキヤツプ部６
から構成されている。ロツド本体部４は、具体例
においてロツド本体部材７から構成されており、
ロツド本体部材７の一端部には互いに所定の角度
をもつて両側に延びている断面が矩形状の拡張端
部８ａ及び８ｂが形成され、またその他端部には
ピストンピン孔１０が形成されている。このロツ
ド本体部材７の拡張端部８ａ及び８ｂは、更に詳
しく説明すると、第２図に図示する如くロツド本
体部材７の軸線１２に対して所定の角度θ（所定
の角度θは実質上45度であるのが好ましい）をも
つて両側に延びている。ロツド本体部材７の一端
面（更に詳しくは、上記拡張端部８ａ及び８ｂ間
の部分の端面）には、更に、半円形状の凹所１４
が形成されている。この凹所１４は、後に言及す
る如く、クランク軸孔１８の一部として作用す
る。

一方キヤツプ部６は、第１のキヤツプ部材２０
ａと第２のキヤツプ部材２０ｂとを含んでいる。
この第１のキヤツプ部材２０ａと第２のキヤツプ
部材２０ｂの一端部には夫々上記拡張端部８ａ及
び８ｂの断面形状に対応した矩形状の貫通孔２２
ａ及び２２ｂが形成され、またこれらの他端部に
は夫々円形状の貫通孔２４ａ及び２４ｂが形成さ
れている。この第１のキヤツプ部材２０ａ及び第
２のキヤツプ部材２０ｂは以下の如くしてロツド
本体部材７に結合されている。即ち、第１のキヤ
ツプ部材２０ａ及び第２のキヤツプ部材２０ｂ
は、ロツド本体部材７の拡張端部８ａ及び８ｂを
夫々矩形状の貫通孔２２ａ及び２２ｂに挿入した
後更に円形状の貫通孔２４ａ及び２４ｂを通して
ボルト２６とナツト２８を螺合せしめて両者を連
結することによつてロツド本体部材７の一端部に
結合されている。

上記コネクテイングロツド本体２においては、
更に、ロツド本体部材７の凹所１４に対向する第
１のキヤツプ部材２０ａと第２のキヤツプ部材２
０ｂの端面に、繊維強化プラスチツク（例えば炭
素繊維強化プラスチツク）から形成された半円弧
状のシート部材３０が装着されている。このシー
ト部材３０は、第１図から容易に理解される如
く、上記凹部１４と協働してクランク軸孔１８を
形成している。

尚、第１図における細い実線は、繊維強化プラ
スチツクにおける繊維を簡略的に示したものであ
り、その繊維の大部分は上記細い実線の方向に配
列されている。従つて、ロツド本体部材７の繊維
は、その中間部においてはその軸線１２に実質上
平行に配列され、その拡張端部においてはその軸
線１２に対して実質上45度の角度の方向、即ち拡
張端部８ａ及び８ｂの伸張方向に実質上平行に配
列されている。またシート部材３０の繊維は、シ
ート部材３０の形状に沿つて（即ち同心円状）に
配列されている。

上記コネクテイングロツド本体２の一端部はク
ランク軸孔１８にクランク軸（図示せず）が装着
されることによつてクランク軸に回動自在に連結
され、またその他端部はピストンピン孔１０にピ
ストンピン（図示せず）が圧入されることによつ
てピストンピンを介してピストンピン（図示せ
ず）に回動自在に連結される。

上述した通りの構成を有するコネクテイングロ
ツドにおいては、上述した記載から容易に理解さ
れる如くロツド本体部材７にキヤツプ部６を結合
するためのボルト用の貫通孔が形成されていない
ことにより、従来この貫通孔付近に起こつていた
応力集中を除去することができ、これによつて特
にロツド本体部材７の破損を防止することができ
る。

また、第１のキヤツプ部材２０ａと第２のキヤ
ツプ部材２０ｂはロツド本体部材７の拡張端部８
ａ及び８ｂの各々を夫々貫通孔２２ａ及び２２ｂ
内に位置付けた後互いに連結することによつてロ
ツド本体部材７に結合されている故に、この第１
のキヤツプ部材２０ａと第２のキヤツプ部材２０
ｂを確実にロツド本体部材７に結合することがで
きる。

更にまた、ロツド本体部材７の拡張端部８ａ及
び８ｂの繊維の大部分が所定の角度をもつて延び
ている方向、即ち拡張端部８ａ及び８ｂの伸張方
向に実質上平行に配列されている故に、この拡張
端部８ａ及び８ｂに作用する力の方向が上記繊維
の配列方向となり、これによつて拡張端部８ａ及
び８ｂにおける強度上の不均一を解消することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に従つて構成されたコネクテ
イングロツドを図示する断面図。第２図は、第１
図に図示するコネクテイングロツドの一端部を示
す分解正面図。 ２……コネクテイングロツド本体、４……ロツ
ド本体部、６……キヤツプ部、７……ロツド本体
部材、８ａ及び８ｂ……拡張端部、２０ａ……第
１のキヤツプ部材、２０ｂ……第２のキヤツプ部
材、２２ａ及び２２ｂ……貫通孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 繊維強化プラスチツクから形成されたロツド
   本体部及びキヤツプ部を備えた内燃機関のコネ
   クテイングロツドにおいて、 該ロツド本体部の一端部には所定の角度をも
   つて両側に延びる拡張端部が形成され、一方該
   キヤツプ部は貫通孔が夫々形成された第１のキ
   ヤツプ部材及び第２のキヤツプ部材を含み、該
   拡張端部を夫々該貫通孔に挿入して該第１のキ
   ヤツプ部材及び該第２のキヤツプ部材を相互に
   連結することによつて、該キヤツプが該ロツド
   本体部に結合される、ことを特徴とするコネク
   テイングロツド。 ２ 該ロツド本体部の該拡張端部においては、繊
   維の大部分は該拡張端部の伸張方向に実質上平
   行に配列されている実用新案登録請求の範囲第
   １項記載のコネクテイングロツド。