JPS6339409Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 一般にダイヤフラム式気化器を備えた内燃機関
においては、正常位置での使用の他傾斜、横転、
倒立状態での使用が可能であるが、気化器の絞弁
開度が低開度の運転時に前記状態で使用した場
合、例えば第３図ニで示されるように気化器を倒
立させた状態では、絞弁案内筒側の吸気路壁付近
で絞弁直後の空間部は気流が作用しない死角位置
が形成されるので、絞弁より機関側の吸気路に噴
出された燃料の粒子が充分に拡散されずにその一
部が吸気路の最低部位に溜り、油滴となつた状態
で機関に供給され、機関の回転が突然変動を発生
させる原因となつている。

このため従来では、前記欠点を解決するため
に、絞弁後方の吸気路内周囲に360度の範囲内で
焼結合金、合成樹脂等の多孔質材料を設置した構
成が提案されているが、このような構成では気化
器の傾料、横転、倒立状態以外の正立状態の場合
であつても、燃料噴口から吸気路内に噴出した燃
料の一部が常時（絞弁の低開度〜高開度の機関運
転時）前記多孔質材料に吸収され、その量は僅か
な時間で飽和状態になり易すく、飽和状態に至る
までは機関の回転変動を防止する効果を発揮する
が、一旦、飽和状態に達すると頭初の目的を達成
できない弊害を備えるものである。

本考案は、ここにおいて鑑みなされたもので、
気化器が傾斜、横転、倒立状態にある絞弁低開度
の機関運転の場合に形成される油滴燃料のみを吸
引し、気化器が正立状態では機関に供給される燃
料を吸着しないようにすることにより、油滴吸着
部材が機関の通常の使用状態における吸気路の燃
料を吸着することによつて飽和状態となるを解消
し、絞弁低開度の気化器が傾斜、横転、倒立状態
にある機関運転時に油滴状の燃料が供給されて回
転変動の発生を防止することを目的とするもので
ある。

上記目的を達成するためになされた本考案の構
成は、吸気路の上部に設けられる案内筒内に絞弁
を摺動可能に収容し、該絞弁を吸気路内へ進退さ
せることにより吸気路の開口面積を調節すると共
に、前記絞弁下側の吸気路壁に燃料噴口を開口
し、この燃料噴口へ向けるための燃料圧をダイヤ
フラムにて一定に調節するように構成したダイヤ
フラム式気化器において、絞弁下流の吸気路上に
該吸気路のエンジン側端部から環状の溝を形成
し、この環状の溝に、前記燃料噴口側以外の奥部
に切り欠部を設けた中空のブツシユを挿入し、さ
らに前記溝の奥壁と切り欠部との間に多孔質部材
を嵌合したものである。

以下、図面に基づいてその一実施例を説明す
る。１は気化器本体、２は吸気路、３は燃料噴
口、４は吸気路２の開口面積を調整する円筒型の
絞弁、４ａは吸気路２の上側に設けられ前記絞弁
４を摺動可能に収容する案内筒、５は絞弁４に装
着された針弁で燃料噴口３及び燃料通路６内を移
動し、絞弁４の移動に伴なつて燃料噴口３からの
燃料噴出量をコントロールするものである。７は
燃料室で前記燃料通路６に連通する一方、入口弁
８を介して燃料入口通路９に連通しており、燃料
室７を構成するダイヤフラム１０に関連して作動
するように設けられたレバー１１に入口弁８を連
動し燃料入口通路９を開閉するようになつてい
る。

本考案はここにおいて、絞弁４の後方で、燃料
噴口３側の吸気路壁２ａを除く案内筒４ａ側の吸
気路壁２ｂに油滴状の燃料を吸着する多孔質部材
Ａを設置するもので、その実施例を説明すると、
絞弁４下流の吸気路２上に該吸気路２のエンジン
側端部から環状の溝１３を形成し、この環状の溝
１３に、前記燃料噴口３側以外の奥部に切り欠部
１５を設けた中空のブツシユ１４を挿入し、さら
に前記溝１３の奥壁と切り欠部１５との間に多孔
質部材Ａを嵌合したことを特徴とする。

このように構成した本考案の作用効果を説明す
れば、絞弁４が低開度にある気化器の傾斜、横
転、倒立状態での機関運転に、気流速が遅く、絞
弁４直後の吸気路２内で発生する燃料の油滴を過
剰燃料吸着用の多孔質部材Ａに吸着するので、油
滴が前記運転時に供給されることがないから、不
用意に機関の回転変動を発生させることを防止で
き、又、機関の運転状況に併せて前記部材Ａに吸
着された油滴状の燃料は、吸気路２の負圧の強さ
に応じて気化した状態で僅かずつ継続して放出さ
れて機関に供給されるから、機関の回転変動を生
ずることがない。

気化器が正常位置にある機関低速回転時には絞
弁４より後方の混合気流速は、機関高速時に比較
して遅く燃料噴口３より噴出した燃料は下方向に
燃料粒子が集つた状態の混合気流となり主として
絞弁全閉側の吸気路壁（吸気路底壁面）に沿つた
状態で機関に供給されるが、絞弁４の全閉側の吸
気路壁２ａ（吸気路底壁面）に過剰燃料を吸着す
る部材が設置されていないので、前記機関低速回
転時に必要以上の燃料を吸着することがなく、気
化器の傾斜、横転、倒立時以外の使用状態におい
て前記部材が吸着燃料で飽和する現象を解消する
ことができた。更に、前記部材Ａの設置個所が絞
弁４より後方で燃料噴口３より遠くなる程、燃料
噴口３から噴出した燃料は吸気路２の全周方向に
拡散され吸気路周壁部に設置された部材Ａとの接
触面積が拡大するため、前記部材Ａを設置する位
置は可及的に燃料噴口３に近い程、効果的であ
る。

以上、本考案によれば、気化器及び機関を傾
斜、横転、倒立状態で使用する場合のあるチエン
ソー、刈払機等の機関で前記状態における気化器
絞弁底開度の機関運転時に発生し易い機関の回転
変動を解消し、併せて前記欠点を解消するための
従来の構成による弊害を取除くことができ、且、
この種内燃機関の安定性能を向上することが出来
得た。

また、本考案によれば多孔質部材の吸気路への
部分的な取り付けが簡単にでき、組付けが容易と
なる。

また、本考案は気化器とエンジンの吸入口を結
ぶ図示しない混合気通路上に設けることも可能で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す縦断面図、第
２図は第１図に示される本考案気化器の倒立状態
を示す縦断面図、第３図イ，ロ，ハ，ニは気化器
の正立、傾斜、横転、倒立の各状態を示す説明
図、第４図は本考案の多孔質部材とブツシユの斜
視図、第５図は第１図の−線断面図である。 １……気化器本体、２……吸気路、３……燃料
噴口、４……絞弁、Ａ……多孔質部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 吸気路の上部に設けられる案内筒内に絞弁を摺
   動可能に収容し、該絞弁を吸気路内へ進退させる
   ことにより吸気路の開口面積を調節すると共に、
   前記絞弁下側の吸気路壁に燃料噴口を開口し、こ
   の燃料噴口へ向けるための燃料圧をダイヤフラム
   にて一定に調節するように構成したダイヤフラム
   式気化器において、絞弁下流の吸気路上に該吸気
   路のエンジン側端部から環状の溝を形成し、この
   環状の溝に、前記燃料噴口側以外の奥部に切り欠
   部を設けた中空のブツシユを挿入し、さらに前記
   溝の奥壁と切り欠部との間に多孔質部材を嵌合し
   たことを特徴とするダイヤフラム式気化器。