JPS6339364Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はエンジンの潤滑装置、特に着脱自在な
フイルターカートリツジが取付面が下方を向くよ
うに取付けられるエンジンの潤滑装置に関する。

（従来技術） 一般に、エンジンの潤滑装置は、オイルパンに
溜められている潤滑オイルをオイルポンプによつ
て吸入し、オイルギヤラリーを介してエンジンの
各摺動部や回転部等に圧送する構成であるが、こ
の種の潤滑装置においては、潤滑オイル中に含ま
れている金属摩耗粉やカーボン粒等の異物を除去
するために、オイル通路の途中にオイルフイルタ
ーが備えられる。

然して、このオイルフイルターとしては、オイ
ルポンプにより吐出された潤滑オイルの全量を通
過させるフルフローフイルターが一般に使用され
るが、デイーゼルエンジンのようにオイル中に細
かいカーボン粒が含まれ易いエンジンの場合に
は、これを除去すべくフルフローフイルターの目
を細かくすると油圧が著しく低下するので、フル
フローフイルターとは別に目の細かいバイパスフ
イルターを設け、オイルポンプから吐出されたオ
イルの一部を該バイパスフイルターを通過させて
オイルパンに戻すように構成される。その場合
に、バイパスフイルターを通過するオイル量を制
御してエンジン側に供給されるオイル量を確保す
るため、該バイパスフイルターの二次側にオリフ
イスが設けられる。

一方、近年においては、オイルフイルターとし
てカートリツジ式のものが多く用いられる。これ
は、フイルターエレメントを内蔵したカートリツ
ジをエンジンに設けられた取付部材に取付けたも
ので、上記エレメントが目詰りした時或いは定期
的に容易に交換できるようにしたものであるが、
エンジン周辺のレイアウト上、このフイルターカ
ートリツジが取付面が下方を向くように取付けら
れることがあり、その場合、次のような不具合が
生じる。

つまり、エンジンを停止させた状態でフイルタ
ーカートリツジを取外す場合、該カートリツジの
取付面が下向きであると内部に残留しているオイ
ルが流出することになるので、エンジン停止後、
カートリツジ内のオイルがオイルパンに完全に戻
るのを待つて該カートリツジを取外さなければな
らないのであるが、一般にオイルフイルターの上
流側にはオイルパンが存在するため、上流側へオ
イルを戻そうとした場合、このオイルポンプが抵
抗となつて戻りが悪くなり、また上記の如きバイ
パスフイルターの場合には、二次側、即ち下流側
にオリフイスが設けられるので、下流側へのオイ
ルの戻りも悪く、そのためエンジン停止後、長時
間を経過しなければ該カートリツジを取外すこと
ができないのである。なお、着脱自在なフイルタ
ーカートリツジをその取付面を下向きにして取付
けるオイルフイルターに関しては、例えば実開昭
55−4339号公報に開示されたものがある。これ
は、取付部材に形成されたオイル流入孔（上記公
報では入口油路）とカートリツジ（上記公報では
殻体）内の一次側空間とをエンジン作動時には連
通させ、停止時には遮断するカツトオフバルブが
設けられた倒立型オイルフイルターにおいてカー
トリツジ内とオイル流入孔とを連通する連通路に
エンジン作動時には閉じ、停止時には開くオイル
ドレンバルブを備えたものである。これによる
と、エンジンの停止時には上記オイルドレンバル
ブが開弁されることにより、カートリツジ内に残
留している潤滑オイルがオイル流入孔から流出さ
れることになる。しかし、このオイル流入孔の上
流側には上記のようにオイルポンプが存在するの
で、上記オイルドレンバルブが開いてもカートリ
ツジ内のオイルが速かに戻されることにはなら
ず、従来同様にエンジンの停止後、長時間を経過
しなければカートリツジを取外すことができない
のである。

（考案の目的） 本考案は、従来における上記のような問題に対
処するもので、特にエンジンの各潤滑部をバイパ
スするバイパス通路上に、フイルターカートリツ
ジが取付面を下向きにして取付けられるオイルフ
イルターが備えられたエンジンの潤滑装置におい
て、エンジンが停止された時に上記カートリツジ
内に残留する潤滑オイルを速かにオイルパンに戻
すようにして、エンジンの停止直後であつても潤
滑オイルを外部に流出させることなく、該カート
リツジを取外せるようにすることを目的とする。

（考案の構成） 本考案に係るエンジンの潤滑装置は上記目的達
成のため、次のように構成したことを特徴とす
る。

即ち、潤滑オイルのメイン通路より分岐し、エ
ンジンの各潤滑部をバイパスしてオイルパンに戻
るバイパス通路が設けられ、該バイパス通路上に
フイルターエレメントを内蔵したフイルターカー
トリツジと、上記バイパス通路を通過してオイル
パンに戻るオイル量を制限するオイル量制限手段
とが設けられ、且つ上記フイルターカートリツジ
が、バイパス通路からの潤滑オイルの流入孔及び
オイルパンへの流出孔が形成された取付部材に、
潤滑オイルの流入口及び流出口を有する取付面が
下方を向くように着脱自在に取付けられるエンジ
ンの潤滑装置において、上記フイルターカートリ
ツジの内部空間をオイルパンに連通させるドレン
通路と、該ドレン通路をエンジンの作動時には閉
じ、エンジンの停止時には開くバルブ手段とを設
ける。このバルブ手段は、例えば潤滑オイルの油
圧により開閉されるが、エンジンの停止時に開い
てフイルターカートリツジ内に溜まつている潤滑
オイルをドレン通路を経て速かにオイルパンに戻
すように作用する。従つて、上流側にオイルポン
プが存在し、下流側にオリフイス等のオイル量制
限手段が設けられていても、エンジン停止時にフ
イルターカートリツジ内の潤滑オイルがオイルパ
ンに直ちに戻されることになる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

先ず、第１図により本考案を適用したエンジン
の潤滑系統、特にデイーゼルエンジンの潤滑系統
について説明すると、該系統にはオイルパン１に
貯留された潤滑オイルを吸入してメイン通路２に
吐出するオイルポンプ３が備えられていると共
に、このメイン通路２は潤滑オイル中の異物を除
去する比較的目の粗いフルフローフイルター４を
経てエンジンの各潤滑部５に導かれている。ここ
で、該メイン通路２におけるオイルポンプ３の吐
出側からは該通路２内における油圧の過上昇を防
止するリリーフ弁６が備えられたリリーフ通路７
が分岐され、また該メイン通路２には上記フルフ
ローフイルター４をバイパスするバイパス通路８
が設けられ、該バイパス通路８上に目詰り等によ
りフルフローフイルター４の通過性が悪化した際
に開弁されるバイパス弁９が設けられている。

また、メイン通路２におけるフルフローフイル
ター４の下流側からはエンジンの各潤滑部５をバ
イパスしてオイルパン１に戻るバイパス通路１０
が分岐されていると共に、このバイパス通路１０
上には上記フルフローフイルター４で除去されな
かつたカーボン粒等の小さな異物を除去するため
の目の細かいバイパスフイルター１１が設置さ
れ、且つバイパス通路１０ないしバイパスフイル
ター１１を通過してオイルパン１に戻るオイル量
を制限して上記メイン通路２により各潤滑部５に
供給されるオイル量を確保するため、該バイパス
通路１０におけるバイパスフイルター１１の下流
側にはオリフイス１２が設けられている。

然して、このバイパス通路１０には、上記バイ
パスフイルター１１の上流部１０ａから分岐され
たドレン通路１３が設けられ、該ドレン通路１３
上にエンジンの作動時には該通路１３を閉じ、停
止時には開くドレンバルブ１４が設けられてい
る。

次に、第２，３図により上記バイパスフイルタ
ー１１、オリフイス１２及びドレンバルブ１４等
の具体的構成を説明すると、バイパスフイルター
１１は、エンジンのシリンダブロツク１５の側面
に固設された取付部材１６と、該部材１６に着脱
自在に取付けられたフイルターカートリツジ１７
とによつて構成されている。また、該カートリツ
ジ１７は、下面が開口した殻体１８と、該殻体１
８の下面に固着され且つオイル流入口１９ａを有
すると共に中央にオイル流出口を兼ねるネジ穴１
９ｂが形成された底蓋１９と、該底蓋１９と殻体
１８とによつて形成される空間内に収納されたフ
イルターエレメント２０とによつて構成され、上
記ネジ穴１９ｂが取付部材１６の上面中央に形成
された筒状突出部１６ａに螺合されることによ
り、該取付部材１６に着脱自在に取付けられてい
る。

一方、取付部材１６には、該部材１６の側面か
ら上面に設けられた油溜まり部１６ｂに通じるオ
イル流入孔１６ｃと、上面中央における上記筒状
突出部１６ａから該部材１６の下面に通じるオイ
ル流出孔１６ｄとが形成されている。そして、オ
イル流入孔１６ｃがパイプ取付部材２１及び通孔
２２ａを有するボルト２２を介して第１図に示す
バイパス通路１０の上流部１０ａに接続され、ま
たオイル流出孔１６ｄは管継手２３を介してバイ
パス通路１０の下流部１０ｂに接続されている。
更に、上記油溜まり部１６ｂからオイル流出孔１
６ｄの下流部に通じるドレン孔１６ｅが設けら
れ、これが第１図に示すドレン通路１３を構成し
ている。

然して、この取付部材１６には、第１図に示す
ドレンバルブ１４に相当するものとして、上記オ
イル流出孔１６ｄに交差するバルブ２４が備えら
れている。このバルブ２４には小径のオリフイス
２４ａ（第１図に示すオリフイス１２）と大径の
第１，第２ドレン孔２４ｂ，２４ｃとが形成され
ていると共に、該バルブ２４の一端部には取付部
材１６に螺着されたバネ受け部材２５との間に圧
縮バネ２６が装着されており、また他端部は上記
オイル流入孔１６ｃ内に突入されて、該孔１６ｃ
内の油圧を受けるようになつている。そして、第
２図に示すように、この油圧によつてバルブ２４
が上記圧縮バネ２６に抗して移動された時に上記
オリフイス２４ａがオイル流出孔１６ｄを連通さ
せると共に、ドレン孔１６ｅが遮断され、また油
圧が低下した時には第３図に示すように、該バル
ブ２４が圧縮バネ２６によつて移動されて、第
１，第２ドレン孔２４ｂ，２４ｃがオイル流出孔
１６ｄ及びドレン孔１６ｅを夫々連通させるよう
になつている。

上記の構成によれば、エンジンの運転時には第
１図に示すオイルポンプ３が作動することによ
り、オイルパン１から潤滑オイルが吸入されてメ
イン通路２に吐出されると共に、該オイルはフル
フローフイルター４を通過することにより異物を
除去された上でその大部分がエンジンの各潤滑部
５に供給され、所定の潤滑作用を行つた後オイル
パン１に戻されるのであるが、一部の潤滑オイル
はバイパス通路１０に流入される。そして、該バ
イパス通路１０に流入された潤滑オイルは、第２
図に示すバイパスフイルター１１における取付部
材１６のオイル流入孔１６ｃに至り、自らの油圧
によりバルブ２４を圧縮バネ２６に抗して移動さ
せて該流入孔１６ｃを開通させると共に、油溜ま
り部１６ｂからフイルターカートリツジ１７の底
蓋１９に設けられたオイル流入口１９ａを通過し
てフイルターカートリツジ１７内の一次側空間１
７ａに流入する。更に、この潤滑オイルはフイル
ターエレメント２０を通過してカーボン等の小さ
な異物を除去された後、二次側空間１７ｂに至
り、オイル流出孔１６ｄに流出されるが、この
時、上記バルブ２４が第２図に示すように潤滑オ
イルの圧力で圧縮バネ２６側に押圧されているの
で、潤滑オイルはバルブ２４におけるオリフイス
２４ａ，１２を通つてバイパス通路１０の下流側
１０ｂからオイルパン１に戻されることになる。
従つて、このバイパス通路１０ないしバイパスフ
イルター１１を通過する潤滑オイルは少量に制限
されることになり、これによりメイン通路２によ
つてエンジンの各潤滑部５に供給されるオイル量
が確保されることになる。尚、この場合は、ドレ
ン孔１６ｅがバルブ２４によつて閉鎖されている
ので、潤滑オイルがオイル流入孔１６ｃから油溜
まり部１６ｂを経て直接オイル流出孔１６ｄに至
ることはない。

然して、エンジンが停止されるとオイルポンプ
３も停止され、これに伴つて取付部材１６におけ
るオイル流入孔１６ｃの油圧が低下するため、上
記バルブ２４は圧縮バネ２６によつて第３図に示
すように移動し、オイル流入孔１６ｃを遮断する
と共に、該バルブ２４の第１、第２ドレン孔２４
ｂ，２４ｃによつてオイル流出孔１６ｄ及びドレ
ン孔１６ｅを開通させることになる。その結果、
フイルターカートリツジ１７の一次側空間１７ａ
及び二次側空間１７ｂに溜まつている潤滑オイル
は、ドレン孔１６ｅ及びオイル流出孔１６ｄによ
つて速かに流出され、バイパス通路１０の下流側
１０ｂを経てオイルパン１に直ちに戻されること
になる。これにより、フイルターカートリツジ１
７の交換等に際して、該カートリツジ１７をエン
ジンの停止直後に取外しても、該カートリツジ１
７内には潤滑オイルが残留していないので、オイ
ルが外部に流出することがなくなる。

（考案の効果） 以上のように本考案によれば、エンジンの各潤
滑部をバイパスするバイパス通路が設けられ、該
通路上に、フイルターカートリツジが取付面を下
向きにして取付部材に着脱自在に取付けられるオ
イルフイルターと、該バイパス通路を通過してオ
イルパンに戻るオイル量を制限するオイル量制限
手段とが設けられたエンジンの潤滑装置におい
て、上記フイルターカートリツジの内部空間とオ
イルパンとを連通するドレン通路と、該ドレン通
路をエンジン作動時には閉じ、エンジン停止時に
は開くバルブ手段とを設けたので、エンジンが停
止するとフイルターカートリツジ内に残留してい
る潤滑オイルはドレン通路を経て速かにオイルパ
ンに戻されることになる。これにより、エンジン
の停止直後であつても潤滑オイルを外部に流出さ
せることなくフイルターカートリツジの交換が行
えることになる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
本実施例に係るエンジンの潤滑系統図、第２図は
バイパスフイルターの要部破断正面図、第３図は
一作用状態を示す要部拡大断面図である。 １……オイルパン、４，１１……オイルフイル
ター、１２，２４ａ……オイル量制限手段（オリ
フイス）、１３，１６ｅ……ドレン通路（ドレン
孔）、１４，２４……バルブ手段（バルブ）、１６
……取付部材、１７……フイルターカートリツ
ジ、１９……取付面（底蓋）、１６ｃ……オイル
流入孔、１６ｄ……オイル流出孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 潤滑オイルのメイン通路より分岐し、エンジン
   の各潤滑部をバイパスしてオイルパンに戻るバイ
   パス通路が設けられ、該バイパス通路上にフイル
   ターエレメントを内蔵したフイルターカートリツ
   ジと、上記バイパス通路を通過してオイルパンに
   戻るオイル量を制限するオイル量制限手段とが設
   けられていると共に、上記フイルターカートリツ
   ジは、バイパス通路からの潤滑オイルの流入孔及
   びオイルパンへの流出孔が形成された取付部材
   に、潤滑オイルの流入口及び流出口を有する取付
   面が下方を向くように着脱自在に取付けられ、且
   つ上記フイルターカートリツジの内部空間をオイ
   ルパンに連通させるドレン通路が設けられ、該ド
   レン通路をエンジン作動時に閉じ且つエンジン停
   止時に開通させるバルブ手段が備えられているこ
   とを特徴とするエンジンの潤滑装置。