JPH078011Y2 - オイルフイルタ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は自動車用エンジンのオイル（潤滑油）を濾過す
るパーシャルフィルタに適したオイルフィルタ装置に関
する。

〈従来の技術〉 自動車用エンジン、殊に大型高速ディーゼルエンジン等
では多量のオイルを必要とするため、第２図に示す如く
ポンプ１により汲上げたオイルパン２内のオイルを比較
的目の粗いメインフィルタ３を通過させて単位時間当り
の濾過量を多くする一方、オイルの清浄度を確保するた
め、前記メインフィルタ３の手前から分岐して比較的目
の細かいパーシャルフィルタ４を通る経路を併設し、オ
イルパン２内のオイルを高度に濾過した上再びオイルパ
ン２へ戻す方式が採用されている。

上記パーシャルフィルタとしては、実開昭57−95213号
公報に開示され、また第３図に示す如きいわゆるセンタ
ボルト式のエレメントが交換できるオイルフィルタが用
いられる。

上記オイルフィルタ10は、濾過材11と上、下のプレート
12、13により構成されたフィルタエレメント14を器体15
にばね16上に載置して収納し、上記器体15底部より上方
へセンタボルト17を前記エレメント14の中心部のシール
部14aに貫通するとともに、センタボルト17の先端ねじ
部17aを、前記器体15を覆うためのカバー18に設けた雌
ねじ部材19にねじ結合せしめたもので、前記センタボル
ト17には装着時前記エレメント14の内側上方に開口20a
する第１出口通路20が形成され、また、前記カバー18に
はセンタボルト17が装着された時前記オイル通路20に通
ずる室21と、一端が絞り22を介して上記室21に連通し他
端がエンジンＥとの装着面18aに達する第２出口通路23
と、該通路23の上方において前記装着面18aと器体15内
を連通する入口通路24とが形成されている。一方、エン
ジンＥ側には前記オイルフィルタ10の装着面18aに対応
する被装着部25が形成され、ここに前記第２出口通路23
及び入口通路24に対応してオイル導出通路26及びオイル
送入通路27が形成されている。なお、第３図の例ではオ
イル導出通路26をねじ孔とし、ここにパイプ28を取付け
たエルボ29をねじ結合し、上記パイプ28はオイルパン２
側に向けている。

オイルフィルタ10は、前記のように組付けた状態で前記
カバー18の装着面18aをエンジンＥの前記被装着部25に
合わせ、ボルト等でエンジンＥに装着せしめ、オイルフ
ィルタ装置を構成する。

この状態でエンジンＥが運転されると、オイルパン２内
のオイルはポンプ１によりストレーナ５を介して汲上げ
られ、前記オイル送入通路27から前記入口通路23を経て
オイルフィルタ10の器体15内に入り、次いでフィルタエ
レメント14の内部に進入しつつ濾過材11により濾過され
る。濾過されたオイルは上方の前記開口20aから第１出
口通路20に入り、カバー18の室21、絞り22を経て第２出
口通路23よりエンジンＥ内のオイル導出通路26に流れ、
これよりエルボ29及びパイプ28を介してオイルパン２へ
戻される。

〈考案が解決しようとする課題〉 ところが前記従来のオイルフィルタ装置のオイルフィル
タ10では、第１出口通路20の開口20aがフィルタエレメ
ント14内上方に設けられているため、エンジンＥの運転
停止時もオイルは器体15内に充満しており、このため低
温時には器体15内のオイルが高粘度となり、この状態で
エンジンＥを始動しても新規なオイルがオイルフィルタ
10内に送入できない。

また、前記エレメント14を交換するため、器体15底部に
設けたドレンコック30を外してオイルを抜く場合、前記
エレメント14内のオイルは該エレメント14を通過しなけ
ればならず、このため器体15内のオイルの排出には長時
間を要していた。この対策として、第４図に示す如く前
記センタボルト17の下方にフィルタエレメント14の内外
を連通するバイパス路31を形成してオイルの排出を早め
ようとするものもあるが、通常濾過時に濾過されたオイ
ルと濾過されていないオイルとの混合が生ずるので、オ
イルの高度な濾過を目的とする前記オイルフィルタ10と
しては好ましくない。

本考案は上記に鑑み案出されたもので、僅かな部品の交
換のみで殊に低温時においてもオイルの高度な濾過を円
滑に行うことができ且つフィルタエレメント交換時のオ
イルの抜去が極めて短時間になし得るオイルフィルタ装
置を提供することを目的とする。

〈課題を解決するための手段〉 上記目的を達成するための本考案オイルフィルタ装置
は、エンジンのオイルパン内オイルを濾過後再びオイル
パンに戻す形式のオイルフィルタにおいて、フィルタエ
レメントを通過後のオイルが貯溜する前記エレメント内
底部付近に入口を有し且つ器体外において前記入口より
下方位置に出口を有するサイフォン式導出通路を設けて
なるものである。

〈作用〉 上記構成の本考案オイルフィルタ装置を装着したエンジ
ンが運転されると、オイルパン内のオイルはポンプによ
り汲上げられ、エンジン内のオイル送入通路から後記入
口通路を経てオイルフィルタの器体内に入り、次いでフ
ィルタエレメントの内部に進入し濾過される。濾過され
たオイルはサイフォン式導出通路を経てエンジン内に送
られ、前記導出通路の出口よりオイルパンへ戻される。

エンジンの運転が停止されるときは、オイルの流入は止
まるが、フィルタエレメント内に貯溜した濾過済のオイ
ルは前記サイフォン式導出通路によってサイフォンの原
理により吸出され、オイルパン内に戻される。フィルタ
エレメント内のオイルの減少に伴い前記エレメント内が
若干負圧となるので、フィルタエレメント外にあるオイ
ルが前記エレメント内部に順次進入しつつ濾過され、前
記サイフォン式導出通路によりオイルパンへ送られる。
このようにして器体内のオイルは濾過された状態で前記
入口以下を残してほとんどオイルパンへ戻される。

エンジンの運転を再開すれば、オイルは前記と同様オイ
ル送入通路から前記入口通路を経てオイルフィルタ内に
入ってこれを充満し、且つフィルタエレメントの内部に
進入しつつ濾過され、濾過されたオイルは前記入口から
前記サイフォン式導出通路を通って出口よりオイルパン
へ戻される。

〈実施例〉 本考案の実施例を第１図により詳細に説明する。尚、第
２図以下により説明した機構、部品と同一のものは同一
記号を付し説明を省略する。

本考案のオイルフィルタ装置40は、エンジンＥのオイル
パン２内のオイルを濾過後再びオイルパン２に戻す形式
のオイルフィルタ41における、フィルタエレメント14を
通過後のオイルが貯溜する前記エレメント14内の底部付
近に入口42を有し且つ器体15外において前記入口42より
下方位置に出口43を有するサイフォン式導出通路44を設
けてなるものである。

前記オイルフィルタ41は、基本的には第３図、第４図に
示すオイルフィルタ10と変わず、下記の点のみ異なる。

即ちセンタボルト45には、その上端から下端付近まで、
センタボルト45の装着時にフィルタエレメント14の内側
における底部付近に開口する入口42を有する第１出口通
路46が設けられている。

また、エンジンＥ側のオイル導出通路26に取付けられた
エルボ29より下方に伸びるパイプ47は、サイフォン式導
出通路44の出口43となるよう、その下端を前記第１出口
通路46の入口42より下方位置まで延長している。

前記サイフォン式導出通路44は、前記第１出口通路46、
室21、絞り22をもつ第２出口通路23、オイル導出通路2
6、エルボ29及びパイプ47により構成される。

前記構成の本考案オイルフィルタ装置を装着したエンジ
ンＥが運転されると、前記同様オイルパン２内のオイル
はポンプ１によりストレーナ５を介して汲上げられ、前
記オイル送入通路27から前記入口通路23を経てオイルフ
ィルタ41の器体15内に入り、次いでフィルタエレメント
14の内部に進入しつつ濾過材11により濾過される。濾過
されたオイルは前記入口42から第１出口通路46に入り、
カバー18の室21、絞り22を経て第２出口23よりエンジン
Ｅ内のオイル導出通路26に流れ、これよりエルボ29及び
パイプ47を介して出口43よりオイルパン２へ戻される。

エンジンＥの運転が停止されるときは、オイル送入通路
27から入口通路24を経て器体15内流入するオイルは止ま
るが、フィルタエレメント14内に貯溜した濾過済のオイ
ルは前記サイフォン式導出通路44によってサイフォンの
原理により吸出され、オイルパン２内に戻される。フィ
ルタエレメント14内のオイルの減少に伴い前記エレメン
ト14内が若干負圧となるので、フィルタエレメント14外
にあるオイルが濾過材11を通って前記エレメント14内部
に順次進入し、前記サイフォン式導出通路44によりオイ
ルパン２へ送られる。このようにして器体15内のオイル
は濾過された状態で前記入口42以下を残してほとんどオ
イルパン２へ戻される。

従って前記ドレンコックを設けなくてもフィルタエレメ
ント14の交換時にセンタボルト45を緩めたとき、漏出す
るわずか残ったオイルを処理すればよく、オイル抜き作
業が極めて短時間に終了する。

エンジンＥの運転を再開すれば、前記と同様オイル送入
通路27から前記入口通路23を経てオイルフィルタ41の器
体15内に入ってこれを充満し且つフィルタエレメント14
の内部に進入して濾過材11により濾過される。濾過され
たオイルは前記入口42から前記サイフォン式導出通路44
を通って出口43よりオイルパン２へ戻される。尚、この
際器体15内とエンジンＥのクランクケース又はオイルパ
ン２に通じる脱気通路（図示せず）を設ければ、前記器
体15内へのオイルの送入、及び器体15内からのオイルの
導出がより円滑に行える。

〈考案の効果〉 本考案オイルフィルタ装置は、エンジンのオイルパン内
オイルを濾過後再びオイルパンに戻す形式のオイルフィ
ルタにおいて、フィルタエレメントを通過後のオイルが
貯溜する前記エレメント内底部付近に入口を有し且つ器
体外における前記入口より下方位置に出口を有するサイ
フォン式導出通路を設けてなるので、オイルフィルタ自
体については深い第１出口通路をもつセンタボルトに交
換するだけでなく、また、エンジン側も前記パイプを延
長するなどの僅かな改造で済むので安価であり、また、
オイルフィルタ内オイルはエンジンの運転終了時自動的
に抜かれ運転再開時に再び充満されるので、低温時にお
いても濾過が支障なく行われ、オイルの清浄度が高度に
保たれるとともに、フィルタエレメントの交換時には僅
かに残ったオイルを抜去するだけでよいから短時間で済
み、またオイルの無駄が少ないという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案オイルフィルタ装置の一部を断面で表し
た正面図、第２図は本考案が適用されるエンジンにおけ
るオイル濾過方式の略図、第３図は従来のオイルフィル
タ装置の第１図に対応する図、第４図は従来のオイルフ
ィルタ装置の他の例を示す部分的断面図である。 1;ポンプ、2;オイルパン、5;ストレーナ、14;フィルタ
エレメント、15;器体、18;カバー、18a;装着面、21;
室、22;絞り、23;第２出口通路、24;入口通路、25;被装
着部、26;オイル導出通路、27;オイル送入通路、28;パ
イプ、29;エルボ、40;オイルフィルタ装置、41;オイル
フィルタ、42;入口、43;出口、44;サイフォン式導出通
路、45;センタボルト、46;第１出口通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジンのオイルパン内オイルを濾過後再
   びオイルパンに戻す形式のオイルフィルタにおいて、フ
   ィルタエレメントを通過後のオイルが貯溜する前記エレ
   メント内底部付近に入口を有し且つ器体外における前記
   入口より下方位置に出口を有するサイフォン式導出通路
   を設けてなるオイルフィルタ装置。