JPS6339060Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、洗面器、湯桶等の浅型容器を成形す
るのに適した射出成形金型に関する。

浅型容器を成形するための射出成形金型は、雌
型と雄型とを有している。この射出成形金型で
は、雌型と雄型とを接合して型締めし、これら型
間に形成されたキヤビテイに溶融樹脂を射出充填
することにより容器を成形し、成形終了後に型開
きして成形品を取り出すようになつている。

ところで、上記型開き時に成形品が雌型または
雄型に付いて離れないことがあり、従来では成形
品を確実に離型させるために種々の工夫がなされ
ている。従来の離型手段にはたとえば次のような
ものがある。すなわち、雌型および雄型にエアー
弁またはエアースリツトを設け、型開き時にこれ
ら雄型および雌型から加圧空気を成形品に吹き付
けることにより、成形品を確実に離型できるよう
になつている。しかしながら、この方式では、雌
型および雄型の双方から加圧空気を吹き付けるた
め、容器の外面および内面に空気吹き付け跡が残
る。雌型による容器外面の吹き付け跡は問題にな
らないが、雄型による容器内面の吹き付け跡は、
容器を使用する際に汚れが溜まりやすい等の問題
がある。

また、従来の他の離型手段として次のようなも
のもある。すなわち、キヤビテイの周縁部に設け
たストリツパープレートにより成形品を雄型から
離脱させ、雌型のエアー弁またはエアースリツト
からの加圧空気の吹き付けにより成形品を雌型か
ら離脱させる方式である。この方式では、容器の
内面に空気の吹き付け跡が形成されないため、上
述の問題は解決されるが、新たに次の問題が生じ
る。すなわち、ストリツパープレートを設置した
キヤビテイの周縁部での雌型と雄型との接合が難
しくなり、成形品の周縁部にバリができてしま
い、バリを除去するための後加工が必要となる。
また、樹脂のキヤビテイ内への充填不良をきたし
た場合、キヤビテイの縁部まで樹脂が達しないた
め、不完全な形状の成形品をストリツパープレー
トによつて雄型から離脱させることができない。
そこで、この成形品を焼いたりして除去しなけれ
ばならず、除去作業に手間がかかるとともに金型
を傷付けるおそれがある。

本考案は上述した従来の欠点を解消することを
目的とするものであり、その要旨は、雌型と雄型
との間に形成されるキヤビテイに溶融樹脂を射出
充填して容器を成形する射出成形金型において、
雌型にシヤフトを貫通させ、型締め時にはシヤフ
トの先端面をキヤビテイの内面と面一にし、型開
き時にはシヤフトを雌型に対して相対的に後退さ
せて負圧の空間を形成することにより成形品を雌
型側に吸着するとともに雌型から離し、さらにエ
アー供給路から上記空間に加圧空気を供給するこ
とにより成形品を雌型から離脱させるようにした
ことを特徴とする射出成形金型にある。

以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明
する。図中１は雌型を示し、２は雄型を示す。第
１図に示す型締め時において、これら雌型１と雄
型２との間に容器形状のキヤビテイ３が形成され
るようになつている。

雌型１は、支持台４に接離方向の移動が可能な
状態で支持されている。すなわち、支持台４には
複数のガイドピン５が固定されており、このガイ
ドピン５が雌型１に形成された孔６にブツシユ７
を介して挿入されることにより、雌型１の支持が
なされている、なお、ガイドピン５は型締め時に
おいて雄型２に形成された孔８にもブツシユ９を
介して挿入されるようになつている。雌型１の孔
６は支持台４側の端部が拡径されており、この拡
径部６ａにはコイルスプリング１０が収納されて
いる。コイルスプリング１０は雌型１を支持台４
から離す方向に付勢するようになつている。雌型
１にはボルト形状のストツパー１１がねじ付けさ
れており、このストツパー１１の拡径された頭部
１１ａが支持台４の凹部１２の底部に係止される
ことにより、上記コイルスプリング１０による雌
型１の移動が規制されている。

支持台４の中央には、雌型１方向へ突出するス
プールブツシユ１３が固定されている。スプール
ブツシユ１３には、支持台４の中央に形成された
孔１４に対向する凹部１５と、樹脂溜まり部１６
と、小径のゲート１７が互いに連続して形成され
ている。支持台４の孔１４およびスプールブツシ
ユ１３の凹部１５には、射出機のノズル１８が挿
入されている。他方、雌型１の中央には上記スプ
ールブツシユ１３の外形状と等しい孔１９が形成
されている。スプールブツシユ１３は型締め時に
この孔１９に合致し、その先端面がキヤビテイ３
の内面と面一になつている。

支持台４には、本考案の特徴部をなすシヤフト
２０が固定されている。シヤフト２０は、その外
形状と等しい雌型１の孔２１に挿入されている。
シヤフト２０の先端部はやや径が小さくなつてお
り、この小径部２０ａに対応して孔２１の端部も
小径になつている。シヤフト２０の先端面は、第
１図に示す型締め時にキヤビテイ３の内面と面一
になつている。孔２１にはエアー供給路２２が連
通されている。

図中２５，２６は、スプールブツシユ１１と孔
１７との間、シヤフト２０と孔２１との間をそれ
ぞれ気密に保持するためのＯリングである。

上記構成において、まず図示しない移動機構に
より、雄型２が支持台４方向へ移動され、これに
より第１図に示すように雄型２と雌型１とが接合
されるとともに、雌型１と支持台４とが接合され
る。この型締め状態において、溶融樹脂が射出機
のノズル１８から樹脂溜まり部１６、ゲート１７
を介してキヤビテイ３内へ射出充填され、この樹
脂がキヤビテイ３内で冷却固化することにより、
成形品Ａが得られる。

成形完了後に、雄型２が上記とは反対方向に移
動される。すると、雌型１がコイルスプリング１
０の弾性力により雄型２に追随して支持台４から
離れる。この結果、第２図に示すようにシヤフト
２０が雌型１に対して相対的に後退し、このシヤ
フト２０の先端部と成形品Ａとの間に負圧の空間
３０が形成される。

そして、さらに雄型２が移動すると、ストツパ
ー１１の規制により雌型１の移動が停止し、雄型
２のみが移動し続ける。この結果、第３図に示す
ように雄型２が雌型１から離れて型開きがなされ
る。この際、成形品Ａは上記空間３０の負圧によ
り雌型１側に吸着され、雄型２から離れる。な
お、空間３０の負圧力は、シヤフト２０の後退に
より生じるものであるが、さらに真空ポンプによ
りエアー供給路２２から吸引を行ない空間３０の
負圧力を高めるようにしてもよい。エアー供給路
２２の端部はシヤフト２０の外周面によつて塞が
れているが、シヤフト２０の外周面と孔２１の内
周面との間のわずかな隙間を介して吸引作用を行
なうことができる。また、この実施例の場合は、
スプールブツシユ１３が雌型１に対して後退する
ことにより負圧の空間３１が形成され、この負圧
によつても成形品Ａを吸着することができる。

上記の型開きの後、エアー供給路２２からシヤ
フト２０の外周面と孔２１の内周面との間の隙間
を介して、空間３０に加圧空気が供給される。こ
の空気圧により、成形品Ａが雌型１から離脱され
る。

なお、本考案は上記実施例に制約されず種々の
態様が可能である。たとえば、スプールブツシユ
１３は雌型１側に固定してもよい、また、スプー
ルブツシユ１３を用いずに、雌型１に直接凹部１
５、樹脂溜まり部１６、ゲート１７を形成しても
よい。

また、上記実施例では雄型２の後退にコイルス
プリング１０の弾性力により雌型１を雄型２に追
随させるようにしたが、コイルスプリング１０の
代わりにパーテイングロツクを用いてもよい。パ
ーテイングロツクは雌型１と雄型２とを接合状態
でロツクするものであり、ある程度の力が加わつ
た時にロツクが外れるようになつている。この構
成では、雄型２の後退時に雌型１がパーテイング
ロツクにより雄型２に追随して支持台４から離
れ、所定距離後退に雌型１の移動がストツパー１
１により規制されると、雌型１と雄型２との間に
大きな型開き力が働き、パーテイングロツクが外
れて型開き時がなされる。

以上説明したように、本考案は型開き時に雌型
に対して相対的にシヤフトを後退させることによ
り負圧の空間を形成し、この負圧を利用して成形
品を雌型に吸着するとともに雄型から離し、次い
で上記空間に加圧空気を供給して成形品を雌型か
ら離脱させるものである。したがつて、雄型側か
ら加圧空気を与えずに成形品の離型がなされるの
で、成形品の内面に吹き付け跡が残らず、使用時
にこの吹き付け跡に汚れが溜まる等の不都合を解
消できる。また、成形品を雄型から離脱させるた
めのストリツパープレートも不要であり、このス
トリツパープレート設置に伴なう不都合も解消で
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例をなす射出成形金型
の型締め状態を示す断面図、第２図は型開き途中
の状態を示す断面図、第３図は型開き終了後の状
態を示す断面図である。 １……雌型、２……雄型、３……キヤビテイ、
２０……シヤフト、２２……エアー供給路、３０
……空間。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 雌型と雄型との間に形成されるキヤビテイに溶
   融樹脂を射出充填して容器を成形する射出成形金
   型において、雌型にシヤフトを貫通させ、型締め
   時にはシヤフトの先端面をキヤビテイの内面と面
   一にし、型開き時にはシヤフトを雌型に対して相
   対的に後退させて負圧の空間を形成することによ
   り成形品を雌型側に吸着するとともに雄型から離
   し、さらにエアー供給路から上記空間に加圧空気
   を供給することにより成形品を雌型から離脱させ
   るようにしたことを特徴とする射出成形金型。