JPS6338469Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、たとえばビデオの記録・再生に使
用して好適なカセツトテープに関するものであ
る。

従来技術 第１図および第２図はこの種のカセツトテープ
の要部である磁気テープを巻回駆動するハブ部の
断面図および斜視図であり、１は磁気テープ２を
巻回駆動するプラスチツク製のハブ本体であり、
その一方の面側（下面側）には、その中央部に磁
気記録・再生機の駆動軸（図示せず）が嵌合する
嵌合穴３と、その外周側に磁気テープの巻回胴４
と、さらにリールハブのフランジ部となる一方
（下側）のフランジ５とが一体に成形され、さら
に、他方の面側（上面側）には、その中央部にピ
ボツト部６と後述するリールハブのフランジ部と
なる他方（上側）のフランジの固定用ボス７が一
体に成形されている。そして、中央部に上記ピボ
ツト部６とフランジの固定用ボス７が嵌入される
孔が形成された他方（上側）のフランジ８を図に
示すようにハブ本体１の他方の面側に組込んでハ
ブを完成し、、このハブをカセツトケース内に
（図示せず）組込み、カセツトケース内の中央部
から延設した金属製の押ばね板９の先端部を上記
ピボツト部６に押圧接触させている。

このようなカセツトテープの駆動に際しては、
磁気記録・再生機の駆動軸を上記ハブに形成した
嵌合穴３に嵌合してハブを矢印Ａで示すようにや
や上方に移動させると、ハブの下面はカセツトケ
ースの下内面との接触から離れ、一方、ハブの上
面に形成したピボツト部６と押ばね板９のみが押
圧接触して、ハブがカセツトケースの内面に接触
することなく回転自在に保持されることになる。

ところが、このような従来のカセツトテープに
組込まれるハブは、上記のように、ピボツト部６
もハブ本体１と同じ材質のプラスチツクで一体成
形されている。このピボツト部６の材質としては
摩擦係数の小さいポリアセタール樹脂などが望ま
しいが、それは高価であるため、ピボツト部６と
ハブ本体１とをこのような高価なプラスチツク材
料で一体成形して作ると、カセツトテープ全体の
価格も高くなる問題がある。

そこで、このような問題を解決した従来側とし
て、第３図によつてその相違点のみについて説明
すると、これはピボツト部６のみを摩擦係数の小
さいポリアセタール樹脂などで別体に作り、これ
を、ハブ本体１の上面中央部に形成した嵌合凹部
１０に嵌合させるようにしている。

この従来例においては、高価なポリアセタール
樹脂などの材料は少なくてよいが、しかし、ピボ
ツト部６が部品として増え、また、このピボツト
部６を組込む工程も必要となり、これらの経費に
より、上記のような高価なポリアセタール樹脂な
どの材料費の低減効果が相殺されてしまう問題が
ある。

この考案の目的 この考案は、上記従来例のような問題点、すな
わち、ピボツト部に適した摩擦係数の小さなポリ
アセタール樹脂（高価）などでハブ本体と一体に
ピボツト部を成形すれば、材料費が高くなり、ま
た、他の従来例のように、摩擦係数の小さいポリ
アセタール樹脂でピボツト部を別に作り、これを
ハブ本体に組込めば、材料費は安くなるが、ピボ
ツト部が別部品として増えるとともに、その取付
精度を出すことが難しく、その製作および組立工
程などの経費がかかり、上記材料費の低減効果が
相殺される、といつた問題を解決することを目的
とするものである。

問題を解決するための手段 この考案は、磁気テープを巻回するプラスチツ
ク製のハブ本体の片面側にこのフランジの材質よ
り摩擦係数の小さな材料によりピボツト部を二重
成形法により一体成形するとともに、その下面に
突起を設けたフランジを、ハブ本体の片面側に固
定し、かつ、上記ピボツト部をカセツトケースの
内面から延設した押ばね板の先端部で押圧接触さ
せこの押圧接触点を中心としてハブを回転自在と
したカセツトテープを提供することによつて、上
記従来例のような問題を解決するようにしたもの
である。

実施例 この考案の実施例を第４図以下に示す図面に従
つて前記従来例と同一部には同一符号を付けて説
明する。この考案が従来例と相違する点は、第４
図Ａ，Ｂに示すようにハブ本体１の片面側（図に
おいて上面側）に組込まれるプラスチツク製のフ
ランジ８の中央部の外面（第４図Ｂにおいて上
面）にこのフランジの材質より摩擦係数の小さな
ポリアセタール樹脂のようなプラスチツク材料に
よりピボツト部６′を後述するようなプラスチツ
クの二重成形法により一体成形した点である。な
お、この第４図において、６a′はアンダーカツト
部で、６b′は回り止め部であり、これらによつて
ピボツト部６′はフランジ８の中央部に確実に固
定されている。６c′は後述するような作用をする
ピボツト部の下面に形成した凹部、８ａはハブ本
体１の上面に形成したフランジの固定用ボス７が
嵌入する孔、８ｂは後述するような作用をするフ
ランジの下面に形成した小突起である。

第５図はこのようなフランジ８を、ハブ本体１
に組込むまでストツカー１１に積重ねて保存した
状態を示すもので、上記小突起８ｂが隣接するフ
ランジ８に当接しスペーサの働をするとともに、
ピボツト部６′の下面に凹部６c′を形成している
ので、ピボツト部６′の先端（上端）が隣接する
ピボツト部６′の下面に接触することなく、フラ
ンジ８を等間隔で平行に安定に積重ねておくこと
ができるので、フランジの磁気テープと接触する
面やピボツト部の先端に傷を付けることもなく、
また、ストツカーよりハブの組立程位置にフラン
ジを供給する場合にも安定性と信頼性が保たれ
る。

第６図および第７図は、上記のように、フラン
ジ８の中央部にフランジのプラスチツク材料と異
なる、すなわち、フランジのプラスチツクより摩
擦係数の小さなポリアセタール樹脂のようなプラ
スチツク材料によつてピボツト部６′を二重成形
法によつて一体成形する実施例を示すものであ
る。

この第６図において、１２はフランジを成形す
るための第１の固定金型、１３はこの第１の固定
金型に接合してフランジ成形用のキヤビテイを形
成するための可動金型、１４はこの可動金型の中
央部に進退可能に設けたピボツト部を成形するた
めの可動コア、１５は可動金型１３に設けた成形
品を可動金型１３から押し出して取り出すための
突出ピンである。

上記のような第１の固定金型１２と可動金型１
３とを第６図に示すように接合して形成されたフ
ランジを成形するためのキヤビテイ１６に、金型
のゲート（または２次スプールゲート）１２ａを
連結してプラスチツク材料を注入すると、フラン
ジ８が成形される。なお、１７はスピアシステム
のボデイ部であり、その中にヒーターが挿入され
ている。

次に、この成形されたフランジ８が取付いたま
まの可動金型１３を第１の固定金型１２から離し
て、第７図に示すように第２の固定金型１８に接
合する。この第２の固定金型１８にはフランジの
上面（外面）と合致する型１８ａが形成されてい
るほかに、ピボツト部の上面（外面）と合致する
型１８ｂが形成されている。そして、可動金型１
３に設けた可動コア１４を矢印Ｂ方向に少し後退
させると、ピボツト部を成形するためのキヤビテ
イ１９が形成され、このキヤビテイ１９に、この
金型の２次スプール２０を連結して、摩擦係数の
小さなポリアセタール樹脂などのプラスチツク材
料を注入すると、ピボツト部６′がフランジ８の
中央部に確実に固定されて成形される。

その後、可動金型１３を第２の固定金型１８か
ら離し、突出ピン１５を前進させて、完成したフ
ランジ８を可動金型１３から取り出す。

なお、フランジ８とピボツト部６′の成形順序
を上記とは逆にすることも可能であるが、ピボツ
ト部６′のアンダーカツトの形状は上記とは異な
る形状にする必要がある。その場合、ピボツト部
の型１８ｂが金型的にアンダーカツトになるため
６a′部がアンダーカツトになる。

第８図は、上記のように成形したフランジ８を
ハブ本体１の上面側に組込んでハブを形成し、こ
のハブを、カセツトケース内（図示せず）に収納
し、カセツトケースの内面中央部から延設した押
ばね板９の先端部を上記ピボツト６′の先端に押
圧接触させた状態を示すものである。

効 果 この考案は、以上説明したように、磁気テープ
２を巻回するプラスチツク製のハブ本体１の片面
側にこのフランジ８の材質より摩擦係数の小さな
材料によりピボツト部６′を二重成形法により一
体成形するとともに、その下面に突起８ｂを設け
たフランジ８を、ハブ本体１の片面側に固定し、
かつ、上記ピボツト部６′をカセツトケースの内
面から延設した押ばね板９の先端部で押圧接触さ
せこの押圧接触点を中心としてハブを回転自在と
したカセツトテープを提供したので、すなわち、
フランジ８の部分は比較的に安価ないわゆる
ABS樹脂、AS樹脂、PS樹脂などのプラスチツク
材料により、また、金属製の押ばね板の先端部に
押圧接触するピボツト部は摩擦係数の小さいポリ
アセタール樹脂などのプラスチツク材料（これは
一般的に高価）によつて一体成形しているので、
部品点数の増加はなく、また、ピボツト部は、取
付精度を考慮せずとも一定の位置精度を維持する
ことができ、しかもこのように成形したフランジ
をハブ本体に組込む工数は従来と変らない。

そして、ハブ本体およびハブ本体の片面側に固
定されるフランジ部は安価なプラスチツク材料に
よつて成形するとともに、その下面に突起を設け
たものであるから、このフランジを保存する場合
等に際し、等間隔で平行に安定に積重ねておくこ
とができるので、フランジの磁気テープと接触す
る面等を傷めることはなく、かつ、ハブの組立工
程位置にフランジを供給する場合にも安定性と信
頼性を保つことができ、また、材料の少ないピボ
ツト部のみ高価となるが摩擦係数の小さいプラス
チツク材料によつて成形することができるので、
性能がよく、安価なカセツトテープを提供するこ
とができる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は従来のカセツトテープの
要部である磁気テープを巻回駆動するハブ部の断
面図および斜視図、第３図は他の従来例のハブ部
の断面図、第４図のＡはこの考案のカセツトテー
プに使用するハブを構成するハブ本体の片面側に
組込まれるフランジの底面図で、ＢはそのＡ−Ａ
線における断面図、第５図はそのフランジをスト
ツカーに積重ねて保存した状態を示す図、第６図
および第７図はフランジおよびその中央部にピボ
ツト部をそれぞれ異なるプラスチツク材料で二重
成形法によつて一体成形する実施例を示す図、第
８図はそのフランジをハブ本体の片面側に組込ん
で作られたこの考案のカセツトテープの要部であ
る磁気テープを巻回駆動するハブ部の断面図であ
る。 １……ハブ本体、２……磁気テープ、３……駆
動軸が嵌合する嵌合穴、４……磁気テープの巻回
胴、５……一方のフランジ、６′……ピボツト部、
７……フランジの固定用ボス、８……他方のフラ
ンジ、９……押ばね板、１１……ストツカー、１
２……第１の固定金型、１３……可動金型、１４
……可動コア、１５……突出ピン、１６……フラ
ンジを成形するためのキヤビテイ、１７……スピ
アシステムのボデイ部、１８……第２の固定金
型、１９……ピボツト部を成形するためのキヤビ
テイ、２０……２次スプール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 磁気テープを巻回するプラスチツク製のハブ本
   体の片面側にこのフランジの材質より摩擦係数の
   小さな材料によりピボツト部を二重成形法により
   一体成形するとともに、その下面に突起を設けた
   フランジを、ハブ本体の片面側に固定し、かつ、
   上記ピボツト部をカセツトケースの内面から延設
   した押ばね板の先端部で押圧接触させこの押圧接
   触点を中心としてハブを回転自在としたカセツト
   テープ。