JPS6338322Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はエンジンの吸、排気弁のバルブステム
シール装置の改良に関するものである。

従来のバルブステムシール装置は第１図に示す
如く、エンジンのシリンダヘツド１に一体に形成
されたバルブガイド２の上端突出部２ａの外周部
にその上方より先端にシールリツプ３ａを有する
バルブステムシール３の金属製円筒部３ｂを嵌合
して取付けるようになつていた。

尚、４は吸又は排気弁で、そのバルブステム４
ａがバルブガイド２内に上下動自在に嵌合されて
おり、その上端にはロツカアーム５と一体に装置
されたアジヤストスクリユ６が当接していて、バ
ルブスプリング７に抗してバルブステム４ａを下
方に押して弁４を開くようになつている。

また、８はシリンダヘツド１の内部に形成され
た吸又は排気ポートである。

上述のように構成されたバルブステムシール装
置においては、バルブガイド２の上端突出部２ａ
の外周部にバルブステムシール３の嵌合部を機械
加工することが困難を伴い且つその精度を出すこ
とも極めて難しいという不具合があつた。

また、シール３の取付け、取外し作業も難しい
という欠点があつた。

更に、バルブスプリング７の内径は、バルブス
テムシール３の外径よりかなり大きく、しかも上
部はスプリングリテーナに固定されているが、下
部は固定されていないためにこの下部が偏心しや
すい。そこでこれを規制するためにスプリング用
のガイドないしは座金を別に設けなければならな
いという問題があつた。

また、別の公知例である特公昭56−24767号公
報の第３図には、シリンダヘツドの上面にバルブ
ステムガイドの延長部である円筒状突出部を形成
し、この突出部の端部近傍の内面にバルブステム
孔と同心的にバルブステムシール嵌合部を拡開し
て形成し、この嵌合部内に多孔質材料と弾性材料
からなるシール部材を嵌合させたものが提案され
ている。

この公知技術は前記円筒状突出部の外面を円筒
状に切削すると共に、前記シール部材を保持する
環状保持器を前記円筒状突出部の外周に嵌合し、
その一部をリング状にカシメて固定したものであ
つて円筒状突出部の外面を機械加工する必要があ
る。

ところで、バルブステム孔と同心的な孔の拡開
作業は、ドリルによる孔明けないしはボーリング
のように簡単に行うことができる。しかし円筒状
突出部の外面をバルブステム孔と同心的に切削す
る際には、工作機械のチヤツク部に取付けられた
シリンダヘツドを回転させながら行なわなければ
ならず、しかも、この切削の際には近接して配列
された他のバルブステム孔の延長部である円筒状
の突出部を避けながら行う必要があり、その作業
は極めて煩雑であり、その加工精度も高いものが
得られないという問題がある。

更に、シール部材は多孔質材料からなる環状部
材の一部に、弾性材料を接着したり、底部に弾性
座金を設ける等、構造が複雑で極めて高い製作精
度が要求されるという問題がある。

本考案は以上のような公知技術の問題点を解消
するために考案されたものであつて、その要旨
は、シリンダヘツドの上面に突出して形成された
バルブガイドの端部近傍の内側に、バルブステム
孔と同心的にバルブステムシール嵌合部を拡開し
て形成し、円筒部と該円筒部の上端より外方に拡
開された上板部を介して二重筒状に形成された外
筒部からなるバルブステムシールの、前記内筒部
を前記嵌合部内に圧入し、前記内筒部の上部で弾
性材料からなるシールリツプを支持すると共に、
前記外筒部の外面をバルブスプリングガイドとし
たバルブステムシール装置である。

つまり本考案は、シリンダヘツドの上面に突出
させて形成したバルブガイドのバルブステムシー
ル嵌合部に、バルブステムシールの内筒部を圧入
し、前記内筒部を圧入したとき、外筒部が前記バ
ルブガイドの外周を覆うように形成されており、
かつ前記外筒部の外周面にバルブスプリングを嵌
合させて取付けるようにしたものである。

前記外筒部は、前記内筒部の上端部に設けた上
板部を介して内筒部と接続されており、外筒部の
内径はバルブガイドの突出部の外径よりも大きく
する。この外筒部の大きさはバルブステムシール
の取付け、取外しが容易でかつ、ガイドされるバ
ルブスプリングの大きさを考慮して決められるも
のである。

次に本考案の一実施例を第２図に基づいて説明
する。

２０はエンジンのシリンダヘツド１０と一体に
形成されたバルブガイドで、その上端突出部２０
ａの内側に吸、排気弁４０のバルブステム孔２０
ｂと同心的にバルブステムシール嵌合部２０ｃが
形成されている。

３０はバルブステムシールで、その金属製円筒
部３１は内筒部３１ａとそれと上板部３１ｂを介
して一体に形成された外筒部３１ｃから成り、そ
の上板部３１ｂの中央部にシールリツプ３２が設
けられている。

そして前記内筒部３１ａはバルブステムシール
嵌合部２０ｃ内に嵌合されると共に、シールリツ
プ３２によりバルブステム４０ａをシールするよ
うになつている。

また、前記バルブスプリング７０は外筒部３１
ｃの外周面に沿つて配設されると共に、下部スプ
リングシート８０上に載置される。

本考案の上記実施例におけるバルブステムシー
ル装置は上述のように構成されているので、次の
ような効果がある。

バルブステムシール嵌合部２０ｃはバルブステ
ム孔２０ｂと同心段付加工（中グリ）により、バ
ルブステムシール嵌合部２０ｃの切削拡開加工が
容易となる上、突出部２０ａの外周面の機械加工
を省略することができる。

また外筒部３１ｃの外面はバルブスプリング７
０を取付けるときのガイドとしたので、バルブス
プリング７０の取付けが容易になり、しかも取付
後は外筒部３１ｃによつてバルブスプリング７０
の下端が偏心することがなく、スプリングの安定
した作動が可能である。

更に、バルブステムシール３０の外筒部３１ｃ
をバルブガイド２０の上端突出部２０ａの外径よ
りも大きく形成し、シールの下端の一部をシリン
ダヘツド１０上に載せるようにしたので、バルブ
ステムシール３０の取付け、取付外し作業が容易
である。

以上のように本考案によれば、シリンダヘツド
部のバルブステムシール嵌合部の機械加工が簡単
で、シール部を構成するバルブステムシールの取
付け及び取付外し作業が容易である上、バルブス
プリングの取付けが容易で安定したスプリングの
作動ができるバルブステムシール装置を提供する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す縦断面図、第２図は本考
案の実施例におけるバルブステムシール装置の要
部を示す縦断面図である。 １０……シリンダヘツド、２０……バルブガイ
ド、２０ａ……上端突出部、２０ｃ……嵌合部、
３０……バルブステムシール、３１……円筒部、
３２……シールリツプ、４０ａ……バルブステ
ム、７０……バルブスプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダヘツドの上面に突出して形成されたバ
   ルブガイドの端部近傍の内側に、バルブステム孔
   と同心的にバルブステムシール嵌合部を拡開して
   形成し、円筒部と該円筒部の上端より外方に拡開
   された上板部を介して二重筒状に形成された外筒
   部からなるバルブステムシールの、前記円筒部を
   前記嵌合部内に圧入し、前記円筒部の上部で弾性
   材料からなるシールリツプを支持すると共に、前
   記外筒部の外面をバルブスプリングガイドとした
   バルブステムシール装置。