JPS6337027B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、エレベータの乗場またはかご内の
犯罪を防止するためのエレベータの防犯運転装置
に関するものである。

建物内におけるエレベータは窃盗、性犯罪等の
悪質な犯罪が発生し易い場所である。これはエレ
ベータがそのかごの扉や側壁にガラス窓が設けら
れており、かご内が外部から目視できるようにな
つていても、エレベータホールに人がおらず、周
囲が壁に面している場合は必然的に監視の機会の
少ない空間であるとともに、１つのエレベータ群
の共用戸数が多い場合はエレベータはかくれた空
間になつているために起る。

従来、これらの犯罪からエレベータの乗客を救
出するために、乗客が大声を発したことを、音声
認識により異常発生音として認識したり、かご内
の乗客が急速に動いたこと等を検出するとエレベ
ータの防犯運転を行うようにする種々の提案がさ
れている。しかしながら、これらの自動検出装置
は、乗客が何気なく騒いだ動作を過剰認識する可
能性が高く、普通の乗客を犯人と誤認したり、ち
よつとした騒ぎを犯罪と誤認することがあり、乗
客に思わぬ被害を与えることがある。

このようなエレベータの防犯自動検出装置の欠
点を踏まえ、かご内犯罪または犯人を検出する手
段として要求されるのは、その時の状況から犯罪
の発生か否か、普通の乗客が犯人かを正しく判断
し、必要に応じて防犯運転に切り換えることを被
害者または他の乗客の手に委ね、加えて上記動作
が迅速かつ正確に行えることである。

このような問題点を解決するものとして本発明
者は実願昭57―103508号（実開昭59―8973号）を
提案した。これはかご内に設けた防犯運転指令手
段により、客が一人であることを検出し、かつ防
犯運転指令を発することによりかごの扉の開閉操
作をできるようにしたものであるが、これでもま
だ、犯人がかご内に乗り込む機会や乗客をかご内
に引込む機会が大であるという問題点があつた。

この発明は、上述の点にかんがみてなされたも
ので、上記の不具合を改良し、乗場およびかご内
に防犯運転指令装置を設け、上記防犯運転指令装
置が所定の条件のときのみ上記かごの扉の開閉動
作を行い、犯人の乗り込む機会を極めて少なくす
ると共に容易に乗客がかご内から脱出できるよう
にしたエレベータの防犯運転装置を提供すること
を目的とする。以下図面にもとづいてこの発明を
説明する。

図面はこの発明の一実施例を示すエレベータの
防犯運転装置の回路図である。図中、（＋），（−）
は直流電源、１はかご内に設けられた戸開ボタ
ン、２ａはかご扉が全閉すると付勢し、一定時限
経過すると復帰する時限リレーの常閉接点、３ａ
〜３ｃは付勢されるとかごに起動指令を発する起
動指令リレー（図示せず）の常開接点、３ｄは同
じく常閉接点、４はかご扉開閉指令リレー、４
ａ，４ｂは前記かご扉開閉指令リレー４の常開接
点、４ｃ，４ｄは同じくかご扉開閉指令リレー４
の常閉接点、５ａはかご扉が全開したことを検出
すると消勢する戸開完了検出リレー（図示せず）
の常開接点、６ａはかごが目的階付近の戸開き可
能域に接近したことを検出すると付勢する戸開可
能検出リレー（図示せず）の常開接点、７は付勢
されるとかご扉開閉装置を開方向に駆動指令を発
する戸開リレー、７ａ，７ｂは前記戸開リレー７
の常閉接点、８は付勢されるとかご扉開閉装置を
閉方向に駆動指令を発する戸閉リレー、８ａは前
記戸閉リレー８の常閉接点、９はかご内に設けら
れた防犯運転指令ボタン、１０は前記防犯運転指
令ボタン９により付勢されるかご内防犯運転指令
リレー、１０ａ〜１０ｃは前記かご内防犯運転指
令リレー１０の常開接点、１０ｄは同じく前記か
ご内防犯運転指令リレー１０の常閉接点、１１は
乗場に設けられた乗場防犯運転指令リレー、１２
は前記乗場防犯運転指令ボタン１１により付勢さ
れる乗場防犯運転指令リレー、１２ａ，１２ｂは
前記乗場防犯運転指令リレー１２の常開接点、１
２ｃは同じく前記乗場防犯運転指令リレー１２の
常閉接点である。

次に、上記実施例の動作について説明する。通
常、かごの扉はかごが乗場に到着し扉が全開する
と時限リレーが付勢し、一定時限カウントを開始
すると同時に戸開完了検出リレーの常開接点５ａ
が開放し、電源（＋）―常開接点５ａ―常開接点
６ａ―常閉接点４ｃ―常閉接点８ａ―戸開リレー
７―電源（−）の回路が開放して戸開リレー７が
消勢する。

この間に乗客がかご内に乗り込み、かご内の行
先ボタンを登録し、時限リレーの時限が一定時限
経過すると、その常閉接点２ａは閉成する。従つ
て、既に戸開リレー７の常閉接点７ａ，７ｂは閉
成しているため、電源（＋）―戸開ボタン１―常
閉接点７ｂ―常閉接点２ａ―常閉接点１２ｃ―か
ご扉開閉指令リレー４―電源（−）の回路が閉成
し、かご扉開閉指令リレー４が付勢する。このか
ご扉開閉指令リレー４の付勢により、その常開接
点４ａ，４ｂが閉成し、電源（＋）―常開接点４
ｂ―常閉接点７ａ―戸閉リレー８―電源（−）の
回路が閉成して戸閉リレー８が付勢する。この戸
閉リレー８の付勢によりかご扉が閉り始めるが、
この時かご内の乗客がかご内に設けられた戸開ボ
タン１を押すと、電源（＋）―戸開ボタン１―常
閉接点７ｂ―常閉接点２ａ―常閉接点１２ｃ―か
ご扉開閉指令リレー４―電源（−）の回路が開放
し、かご扉開閉指令リレー４が消勢する。このか
ご扉開閉指令リレー４の消勢により電源（＋）―
常開接点４ｂ―常閉接点７ａ―戸閉リレー８―電
源（−）の回路が開放し、戸閉リレー８が消勢す
るとともに電源（＋）―常開接点５ａ―常開接点
６ａ―常閉接点４ｃ―常閉接点８ａ―戸開リレー
７―電源（−）の回路が閉成し、戸開リレー７が
付勢して再びかご扉が開き始める。

一方、戸開ボタン１が押されずに扉が全閉する
とかごに起動指令が発せられ、起動指令リレーの
常開接点３ａ〜３ｃが閉成して、電源（＋）―常
開接点３ａ―常開接点４ａ―常開接点３ｂ―かご
扉開閉指令リレー４―電源（−）または電源
（＋）―常開接点３ａ―常開接点４ａ―常閉接点
１２ｃ―かご扉開閉指令リレー４―電源（−）の
回路により、かご扉開閉指令リレー４は自己保持
し、戸閉リレー８の付勢を保持することによりか
ごが走行中かご扉の戸閉状態を維持する。

次に、乗場に設けられた乗場防犯運転指令ボタ
ン１１を乗場の待客が押すと、電源（＋）―乗場
防犯運転指令ボタン１１―乗場防犯運転指令リレ
ー１２―電源（−）の回路が閉成し、乗場防犯運
転指令リレー１２が付勢する。この乗場防犯運転
指令リレー１２の付勢によりその常開接点１２
ａ，１２ｂが閉成し、電源（＋）―常閉接点１０
ｄ―常開接点１２ａ―乗場防犯運転指令リレー１
２の回路により乗場防犯運転指令リレー１２を自
己保持する。

かごが乗場防犯運転指令ボタン１１の設けられ
た乗場付近の戸開き可能域に接近し、戸開可能検
出リレーの常開接点６ａが閉成すると電源（＋）
―常開接点５ａ―常開接点６ａ―常閉接点４ｃ―
常閉接点８ａ―戸開リレー７―電源（−）の回路
が閉成し、戸開リレー７が付勢する。この戸開リ
レー７の付勢によりその常閉接点７ａ，７ｂは開
放し、また、このとき起動指令リレーは既に消勢
しており、この起動指令リレーの常開接点３ａ〜
３ｃも開放する。従つて、走行中自己保持してい
たかご扉開閉指令リレー４は、電源（＋）―戸開
ボタン１―常閉接点７ｂ―常閉接点２ａ―常閉接
点１２ｃ―かご扉開閉指令リレー４―電源（−）
および電源（＋）―常開接点３ａ―常開接点４ａ
―常閉接点３ｂ―かご扉開閉指令リレー４―電源
（−）の回路が開放し、かご扉開閉指令リレー４
は消勢して戸開きを開始する。

かご扉が全開すると、戸開完了検出リレーの常
開接点５ａが開放し、電源（＋）―常開接点５ａ
―常開接点６ａ―常閉接点４ｃ―常閉接点８ａ―
戸開リレー７―電源（−）の回路が開放して戸開
リレー７が消勢する。

乗場の待客がかご内に乗り込み、かご内に設け
られたかご内の防犯運転指令ボタン９を押すと、
電源（＋）―防犯運転指令ボタン９―常開接点１
２ｂ―かご内防犯運転指令リレー１０―電源
（−）の回路が閉成し、かご内防犯運転指令リレ
ー１０が付勢して、このかご内防犯運転リレー１
０の常開接点１０ａ〜１０ｃが閉成し、常閉接点
１０ｄが開放する。このとき、乗場防犯運転指令
リレー１２が付勢していなければ、当然のことな
がらかご内防犯運転指令リレー１０は付勢できな
い。かご内防犯運転指令リレー１０の付勢によ
り、エレベータの防犯運転管理回路（図示せず）
に指令を発すると共に、電源（＋）―常開接点１
０ｂ―かご扉開閉指令リレー４―電源（−）の回
路によりかご扉開閉指令リレー４を付勢し、電源
（＋）―常開接点４ｂ―常閉接点７ａ―戸閉リレ
ー８―電源（−）の回路が閉成して戸閉リレー８
が付勢する。従つて、防犯運転指令ボタン９を押
すと直ちにかご扉が閉り始め、後続の他の乗客
（加害者）の乗り込む機会を極力少なくすること
ができる。

このとき、防犯運転指令ボタン９から手を放す
と、電源（＋）―防犯運転指令ボタン９―常開接
点１２ｂ―かご内防犯運転指令リレー１０―電源
（−）の回路が開放しかご内防犯運転指令リレー
１０が消勢する。かご内防犯運転指令リレー１０
が消勢すると、電源（＋）、常開接点１０ｂ―か
ご扉開閉指令リレー４―電源（−）の回路が開放
し、かご扉開閉指令リレー４が消勢する。かご扉
開閉指令リレー４が消勢すると、電源（＋）―常
開接点４ｂ―常閉接点７ａ―戸閉リレー８―電源
（−）の回路が開放して戸閉リレー８が消勢する
とともに、電源（＋）―常開接点５ａ―常開接点
６ａ―常閉接点４ｃ―常閉接点８ａ―戸開リレー
７―電源（−）の回路が閉じて戸開リレー７が付
勢し再びかご扉が開き始める。従つて、後続の他
の乗客（加害者）が万一かご内に乗り込んでも防
犯運転指令ボタン９から手を放せば容易に乗場へ
脱出することができる。

また、かご内防犯運転指令リレー１０の付勢に
より、乗場防犯運転指令リレー１２の自己保持回
路は電源（＋）―常閉接点１０ｄ―常開接点１２
ａ―乗場防犯運転指令リレー１２―電源（−）の
回路が開放するが、起動指令リレーの常閉接点３
ｄが閉成しているため、電源（＋）―常閉接点４
ｄ―常閉接点３ｄ―常開接点１２ａ―乗場防犯運
転指令リレー１２―電源（−）の回路により、乗
場防犯運転指令リレー１２は付勢し続ける。

一方、かご内の乗客が防犯運転指令ボタン９を
押さなければ、乗場防犯運転指令リレー１２の常
閉接点１２ｃおよび起動指令リレーの常開接点３
ｂは開放しており、電源（＋）―戸開ボタン１―
常閉接点７ｂ―常閉接点２ａ―常閉接点１２ｃ―
かご扉開閉指令リレー４―電源（−）または電源
（＋）―常開接点３ａ―常開接点４ａ―常開接点
３ｂ―かご扉開閉指令リレー４―電源（−）の回
路は開放し、電源（＋）―常開接点１０ｂ―かご
扉開閉指令リレー４―電源（−）の回路によりか
ご扉開閉指令リレー４が、電源（＋）―常開接点
３ｃ―常開接点１０ａ―かご内防犯運転指令リレ
ー１０―電源（−）の回路によりかご内防犯運転
指令リレー１０が各々のかごが目的階まで走行し
停止するまで自己保持する。

また、同じく起動指令リレーの常閉接点３ｄが
開放し、電源（＋）―常閉接点１０ｄ―常開接点
１２ａ―乗場防犯運転指令リレー１２―電源
（−）または電源（＋）―常閉接点４ｄ―常閉接
点３ｄ―常開接点１２ａ―乗場防犯運転指令リレ
ー１２―電源（−）の自己保持回路が開放し、乗
場防犯運転指令リレー１２は消勢する。

なお、この実施例では乗場またはかご内の防犯
運転指令装置の操作に、特定の防犯運転指令ボタ
ン９，１１を設置し、この防犯運転指令ボタン
９，１１の操作により、かご扉の開閉動作を行う
ようにしたが、特定の防犯運転指令ボタン９，１
１を設けず、乗場またはかご内に既に設置された
ボタンまたは自動検出装置を使用して上記動作を
させることも容易に実施できる。

また、防犯運転指令装置が動作すると、かご内
乗客が１人であることを判断し、かご扉の開閉動
作を行うとともに、途中の階の乗場呼びに応答せ
ず、目的階まで直行させる等の防犯運転指令を発
することを併せて行うようにすることも容易に実
施できる。

また、上記防犯運転を指令する機能および扉開
閉機能を特定の１個のボタンによらず、複数のボ
タンからなるものとしても同様な効果が得られる
ことは明白である。

さらに、上記実施例では、乗場の待客が乗場防
犯運転指令ボタン１１を押した後、かご内防犯運
転指令ボタン９を押さなければ戸開き状態のまま
待機させるようにしたが、一定時限後、或いは自
動的もしくは、強制的に乗場防犯運転指令を解除
し、通常の戸開閉動作に復帰させることも容易に
実施できる。

このように構成することにより、上記実施例
は、乗場とかご内乗客が１人であることを判断
し、防犯運転指令を発するとともに、かご扉の開
閉動作を自由にできるようにし、上記かご扉の開
閉操作に専念できると同時に後続の他の乗客の乗
り込む機会を少なくし、他の乗客が乗り込んでも
容易に脱出できる。

また、乗場またはかご内のいずれか一方の防犯
運転指令リレーのみ動作した場合は、戸開状態を
保持するかまたは、通常の戸開閉動作とする等、
乗場での防犯効果を高めることはもとより、防犯
運転の乱用によるエレベータの運転効率の低下を
防ぐこともできる。

以上説明したように、この発明に係るエレベー
タ防犯運転装置は、かご内と乗場に防犯運転指令
装置を設け、乗場の防犯運転指令装置が動作した
ことを第１の条件とし、かご内の防犯運転指令装
置が動作したことを第２の条件として、この第１
および第２の条件が成立したときかごの扉を閉め
て防犯運転を行うようにしたので、防犯効果を高
めると共に、防犯運転の乱用によるエレベータの
運転効率の低下を防ぐことができるという極めて
優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の一実施例を示すエレベータ防
犯運転装置の一実施例を示す回路図である。 図中、１は戸開ボタン、２ａは時限リレーの常
閉接点、３ａ〜３ｄは起動指令リレーの接点、４
はかご扉開閉指令リレー、５ａは戸開完了検出リ
レーの常開接点、６ａは戸開可能検出リレーの常
開接点、７は戸開リレー、８は戸閉リレー、９は
かご内防犯運転指令ボタン、１０はかご内防犯運
転指令リレー、１１は乗場防犯運転指令ボタン、
１２は乗場防犯運転指令リレーである。なお、図
中の同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ かご内に防犯運転指令装置を設け、前記防犯
   運転指令装置が動作したとき前記かごの扉を閉め
   動作しないとき扉を開けるようにしたエレベータ
   の防犯運転装置において、乗場にも防犯運転指令
   装置を設け、この乗場の防犯運転指令装置が動作
   したことを第１の条件とし、前記かご内の防犯運
   転指令装置が動作したことを第２の条件として、
   前記第１および第２の条件が成立したとき前記か
   ごの扉を閉めて防犯運転を行う手段を設けたこと
   を特徴とするエレベータの防犯運転装置。 ２ 第１の条件が成立し、その後に前記第２の条
   件が成立しなければかごの戸開き状態を保持する
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載のエ
   レベータの防犯運転装置。 ３ 第２の条件が成立し、その後に第１の条件が
   成立しなければかごの戸開き状態を保持すること
   を特徴とする特許請求の範囲第１項記載のエレベ
   ータの防犯運転装置。