JPS6336854Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、車両用バンパに係り、特に、車両衝
突時における衝撃エネルギを有効に吸収する衝撃
吸収体を備えてなる車両用バンパの改良に関す
る。

従来この種の車両用バンパとしてフロントバン
パを例に挙げて説明すると、バンパＢは、例え
ば、第１図及び第２図に示すように、車体の前面
に配設された矩形断面構造のバンパ強度部材１
と、このバンパ強度部材１の外側面である前面に
配設された発泡ウレタン等の衝撃吸収体２と、こ
の衝撃吸収体２を覆うようにバンパ強度部材１の
上下壁１ａ，１ｂに取付けられ且つ衝撃吸収体２
の変形に追従して変形し得るバンパ表皮３とから
成る。このタイプにおいて、上記バンパ表皮３は
衝撃吸収体２の外表面に密接して設けられてお
り、車両前面衝突時にはバンパ表皮３が衝突物に
接触した瞬間から衝撃吸収体２の圧縮変形が始ま
り、その圧縮変形によつて衝突に伴う衝撃エネル
ギが吸収されるようになつている。尚、第２図
中、４は衝撃吸収体２前面の中央長手方向に沿つ
て凹設された切込凹部であつて、衝撃吸収体２の
変形スペースとして働くものであり、又、符号５
乃至７は、バンパ表皮３をバンパ強度部材１に固
定保持するためのボルト、ナツト及びリテーナで
ある（例えば実開昭54−174149号公報参照）。

然しながら、このような従来の車両用バンパに
あつては、車両衝突時にはバンパ表皮３の後退量
に伴つて必ず衝撃吸収体２が圧縮変形する構造に
なつていたので、バンパ表皮３の後退量が小さい
軽衝突時においても比較的大きな反力が発生して
しまう。このため、低速走行時において誤つて車
両が歩行者に衝突してしまつたとしても、歩行者
には比較的大きな力が作用してしまうことにな
り、その分、歩行者が不必要に重傷を負う懸念を
含んでいた。

本考案は以上の観点に立つて為されたものであ
つて、その目的とするところは、車両軽衝突時に
おいて生ずるバンパからの反力を小さくし、もつ
て歩行車に対する安全性を向上させるようにした
車両用バンパを提供することにある。

そして本考案の要旨とするところは、衝撃吸収
体のバンパ前面側の表面に凹凸を形成して表皮の
形状保持用角部を構成すると共に、衝撃吸収体の
外側面とバンパ表皮との間に部分的に空隙を設
け、この空隙部分においてバンパ表皮のみ変形可
能としてなる車両用バンパにある。

以下、添付図面に示す実施例に基づいて本考案
を詳細に説明する。

第３図乃至第５図に示す実施例においてはフロ
ントバンパが示されており、このバンパＢの基本
的構成は、車体の前面に配設されたバンパ強度部
材１と、このバンパ強度部材１の前面に配設され
た衝撃吸収体２と、この衝撃吸収体２を覆うよう
にバンパ強度部材１の上下壁１ａ，１ｂに取付け
られ且つ衝撃吸収体２の変形に追従して変形し得
るバンパ表皮３とから成る。

この実施例において、上記衝撃吸収体２前面の
中央長手方向には切込凹部４が形成されると共
に、衝撃吸収体２前面上下部には長手方向に沿つ
て適当間隔毎に且つ上下対称的に表皮の形状保持
用角部として保持リブ１０が突設されている。一
方、上記バンパ表皮３は、断面コ字形状を有して
おり、このバンパ表皮３の前面は前記保持リブ１
０に当接するように配設されている。そして、衝
撃吸収体２の保持リブ１０のない前面部分とバン
パ表皮３との間には保持リブ１０の突出寸法に応
じた空隙１１が部分的に形成されている。

従つて、この実施例に係る車両用バンパによれ
ば、上記バンパ表皮３は、第３図及び第５図に示
すように、上記保持リブ１０によつてその形状を
保持しており、しかもバンパ表皮３の前面は保持
リブ１０を除く略全域に亘つて衝撃吸収体２の前
面から離間配置されている。このため、車両軽衝
突時には、第４図に示すように、バンパ表皮３が
空隙１１部分において後退することになる。この
とき、バンパ表皮３は後退に伴う弾性力によつて
上下方向に張り出して変形するのみで、衝撃吸収
体２が圧縮変形することはない。この結果、バン
パＢ部分にはバンパ表皮３の後退量に伴う反力が
生ずるのみで、衝撃吸収体２の圧縮変形に伴う反
力は生じないことになる。それ故、車両軽衝突時
において、バンパ表皮３の後退量ｘに対する発生
反力Ｆは、第６図ｂに示すように、従来タイプ
（第６図ａ参照）に比べて極めて小さいものにな
り、車両が歩行者に衝突したとしても、歩行者が
重傷を負うという懸念はほとんどない。

又、車両重衝突時には、バンパ表皮３は空隙１
１部分を超えて後退することから、その分、衝撃
吸収体２が圧縮変形することになり、この衝撃吸
収体２の変形量に応じて大きな衝撃エネルギは有
効に吸収され、本来のバンパとしての機能は充分
に確保される。

次に、第７図に示す第二実施例について説明す
る。

この実施例に係るバンパＢは、第一実施例と異
なり、略矩形断面状の衝撃吸収体２の前面に上下
方向に延びる表皮の形状保持用角部としての保持
リブ１０を長手方向に適当間隔毎に設け、この衝
撃吸収体２の前面とバンパ表皮３との間に空隙１
１を部分的に形成したものである。このため、こ
の実施例においても、上記第一実施例と同様な作
用、効果を奏する。

又、上記各実施例では、フロントバンパについ
て本考案を適用したものを示しているが、リヤバ
ンパについて本考案を適用できることは勿論であ
る。

以上説明してきたように、本考案に係る車両用
バンパによれば、衝撃吸収体のバンパ前面側の表
面に凹凸を形成して表皮の形状保持用角部を構成
すると共に、衝撃吸収体の外側面とバンパ表皮と
の間に部分的に空隙を設けて、この空隙部分にお
いてバンパ表皮のみを変形可能としたので、車両
軽衝突時においては、衝撃吸収体を変形させるこ
となく、バンパ表皮のみを変形させることがで
き、その分、バンパからの反力を小さくすること
ができる。このため、車両軽衝突時において車両
が歩行者に衝突したとしても、歩行者が不必要に
重傷を負う懸念はなく、その分、歩行者に対する
安全性を向上させることができる。

また本考案によれば、表皮の形状保持用の角部
を設けるようにしたから、表皮の形状を保ち易い
ためバンパ表皮をより薄く構成することができ、
上述したバンパの表皮の反力をより小さくするこ
とができるという効果を奏する。更に、衝撃吸収
体の前面側の表面に凹凸を設けてバンパ表皮との
間に空隙を設けたので、バンパ表皮の内側に形状
保持用の部材を設ける必要がなく、バンパ表皮の
構造が簡単となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は自動車を斜め前方から見た斜視図、第
２図は従来の車両用バンパの一例を示す第１図中
−線断面図、第３図は本考案に係る車両用バ
ンパの第一実施例を示す一部切欠要部斜視図、第
４図及び第５図は第３図中−線及び−線
断面図、第６図ａは従来の車両用バンパの特性を
示すグラフ、第６図ｂは本考案の車両用バンパの
特性を示すグラフ、第７図は本考案に係る車両用
バンパの第二実施例を示す一部切欠要部斜視図で
ある。 Ｂ……バンパ、１……バンパ強度部材、２……
衝撃吸収体、３……バンパ表皮、１１……空隙。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 車体の前面若しくは後面に配設されたバンパ強
   度部材と、このバンパ強度部材の外側面に配設さ
   れたゴム又は樹脂製の衝撃吸収体と、この衝撃吸
   収体を覆うようにバンパ強度部材に取付けられ且
   つ衝撃吸収体の変形に追従して変形し得るゴム又
   は樹脂製のバンパ表皮とを備えてなる車両用バン
   パにおいて、 衝撃吸収体のバンパ前面側の表面に凹凸を形成
   して表皮の形状保持用角部を構成すると共に、衝
   撃吸収体の外側面とバンパ表皮との間に部分的に
   空隙を設け、この空隙部分においてバンパ表皮の
   みを変形可能としたことを特徴とする車両用バン
   パ。