JPS6336369Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 この考案は弦の張設作業が容易で、取扱い性を
向上させるようにした電気ギターのトレモロユニ
ツト機構に関する。

〔従来技術〕

周知の通り、弦はその張力を弱めると振動周波
数が下がり、逆に張力を増すと高くなるため、電
気ギターにあつてはこの弦の張力を早い周期で繰
り返し変化させることにより、音程を上下させ、
所謂トレモロ効果と称する特殊音響効果を得るよ
うにしている。第１図および第２図に基づいて従
来のトレモロユニツト機構を備えたソリツド型電
気ギターの構成を概略説明すると、１はボデイ本
体、２はネツク本体で、これらに例えば６本から
なる弦３が張設されている。各弦３はその一端が
前記ネツク本体２のヘツド部２Ａに配設された糸
巻４によつて張力調整自在に保持され、他端が前
記ボデイ本体１上に配設されたトレモロユニツト
機構５によつて保持される。

前記トレモロユニツト機構５は、前記ボデイ本
体１上に止めねじ６を回動支点として上下方向に
回動自在に配設されたブリツジベース７、前記ブ
リツジベース７上に各弦３に対応して配設されオ
クターブ調整ねじ８によつてそれぞれ独立して弦
３の張設方向に移動調整される複数個のブリツジ
本体９、前記ブリツジベース７に図中時計方向の
回動習性を付与するバランスばね１０、ブリツジ
ベース７を上下動させるトレモロアーム１１等で
構成されている。前記各弦３の張設に際しては、
前記ブリツジベース７の下面に突設されボデイ本
体１のばね収納室１２に挿入位置されるばね係止
部７ａの挿通孔１３に弦３の一端を下方より挿通
して対応するブリツジ本体９の上面に掛け渡した
後糸巻４に係止し、他端に取付けられたボールエ
ンド部１４を前記ばね係止部７ａの下面にて係止
する。そして、各弦３は糸巻４の回転調整により
所定の音高にチユーニングされる。この場合、所
定の音高に張設された各弦３の張力の総和T₁に
よる反時計方向のモーメントとバランスばね１０
のばね力T₂によるモーメントとはある点でバラ
ンスすることにより、ブリツジベース７を図に示
す如くボデイ本体１から若干浮いた角度位置で保
持しており、この状態でトレモロアーム１１を上
下動させることにより、前述のバランス状態をく
ずして各弦３の張力を変化させ、もつてトレモロ
効果を得るように構成されている。

なお、図中１７はピツクアツプ装置、１８はつ
まみである。

しかるに、かかる従来のトレモロユニツト機構
においては弦３をボデイ本体１の下面側より挿通
孔１３に挿通してブリツジ本体９の上面側に導か
なければならないため、張設作業が煩わしく、取
扱い性に問題があつた。

〔考案の概要〕

この考案は上述したような点に鑑みてなされた
もので、ブリツジベース上に移動調整自在に配設
されるオクターブ調整部材に筒状の弦保持部材を
移動調整自在に配設し、この弦保持部材に弦の一
端を挿通して保持するという極めて簡単な構成に
より弦の張設作業をボデイ本体の上面側のみで簡
単に行え、楽器としての取扱い性を向上させるよ
うにした電気ギターのトレモロユニツト機構を提
供するものである。

以下、この考案を図面に示す実施例に基づいて
詳細に説明する。

〔実施例〕

第３図はこの考案の一実施例を示す断面図、第
４図は平面図である。なお、図中第１図および第
２図と同一構成部材のものに対しては同一符号を
以つて示し、その説明を省略する。これらの図に
おいて、２０は断面形状が略Ｔ字形に形成された
ブリツジベースで、このブリツジベース２０はト
レモロアーム１１を有してボデイ本体１上に配設
され、左右一対のコラム２１ａ，２１ｂに当接さ
れることによりヘツド部２Ａ方向への移動を規制
されている。前記ブリツジベース２０の下面に一
体に垂設された延長部２０ａはボデイ本体１のば
ね収納室１２内に挿入位置され、その下端にバラ
ンスばね１０の一端が係止されて前記ブリツジベ
ース２０に前記コラム２１ａ，２１ｂを回動支点
として第３図時計方向の回動習性を付与してい
る。

前記ブリツジベース２０の上面には複数個、例
えば６個のオクターブ調整部材２２が各弦３に対
応して配設されている。前記各オクターブ調整部
材２２は、それぞれの前端面に形成された長孔２
３を有し、この長孔２３より前記ブリツジベース
２０にねじ込まれる止めねじ２４によつて前記ブ
リツジベース２０に対して弦３の張設方向に移動
調整可能に固定されている。また、前記各オクタ
ーブ調整部材２２の前端部には軸２５を介してロ
ーラ２６が配設されており、このローラ２６に対
応する弦３が上方より圧接されている。一方、前
記各オクターブ調整部材２２の後半部はそれぞれ
筒状に形成され、この筒部２２ａ内に前記弦３の
一端を保持する弦保持部材３６（後述する）が軸
方向、すなわち弦３の張設方向に移動自在に嵌合
されている。前記筒部２２ａの上面には長孔２８
が軸線方向に形成され、下面にはオクターブ調整
ねじ３１がねじ込まれるねじ取付部３０が一体に
突設されている。前記オクターブ調整ねじ３１は
前記ブリツジベース２０の後端に設けられた挿通
孔３２に挿通されてＥリング３３により軸方向の
移動を規制され、その先端部が前記ねじ取付部３
０のねじ孔２９に螺入されている。したがつて、
前記止めねじ２４をあらかじめ緩めておいて前記
オクターブ調整ねじ３１を回転操作すると、前記
オクターブ調整部材２２は前後に移動し、前記ロ
ーラ２６による弦３の支持点、換言すれば弦長を
変化させる。

前記弦保持部材３６は両端開放の筒状に形成さ
れ、その内部に前記弦３が挿通されている。そし
て、弦３の一端に取付けられたボールエンド部１
４は前記弦保持部材３６の後端側開口部に係止さ
れている。前記弦保持部材３６の後端部外周面に
はおねじ３８が形成されており、このおねじ部３
８に張力調整機構としてのナツト３９が螺着され
ている。このナツト３９は前記弦３の張力により
前記筒部２２ａの後端面に常時圧接されている。
また、前記弦保持部材３６の外周面にはビス４０
が前記筒部２２ａの長孔２８よりねじ込まれ、こ
れによつて該弦保持部材３６の回転を防止されて
いる。したがつて、前記ナツト３９を回転操作す
ると、前記弦保持部材３６は前記長孔２８の範囲
で前後移動され、弦３の張力を変化させる。

前記ヘツド部２Ａの上面には各弦３の他端を共
通に保持するヘツドブロツク５０が固定されてお
り、これにより第１図に示した従来の糸巻を取り
除いている。なお、ヘツドブロツク５０は単に各
弦３を保持するだけで、張力調整機能を有さず、
もつぱら前記ナツト３９によつてチユーニングが
なされる。

かくして本実施例によるトレモロユニツト機構
によれば、構造が簡単である上、弦３の張設時に
はボデイ本体１の上面側にてナツト３９および弦
保持部材３６に弦３を挿通するだけでよいので、
ボデイ本体１を裏返したりする必要がなく、張設
作業が簡単である。また、弦３のチユーニング操
作もナツト３９の回転操作により前記弦保持部材
３６を前後移動させればよいので、簡単である。

加えて、弦３の他端をヘツドブロツク５０で保
持すると、糸巻が不要で、部品点数の削減が計
れ、しかも立奏時のウエイトバランスを改善する
ことができる。

第５図および第６図はこの考案をより操作しや
すく発展させた実施例を示す断面図および要部平
面図である。この実施例は張力調整機構６０を一
対の傘歯車６１，６２と操作子６３とで構成した
点が上記実施例と異なり、他の構成は大略同じで
ある。前記一対の傘歯車６１，６２のうち一方の
傘歯車６１は弦保持部材３６のおねじ部３８に螺
着され、他方の傘歯車６２はオクターブ調整部材
２２の後端に延設された張出部６４に配設された
回転自在な軸６５の下端部に嵌合固定され、前記
一方の傘歯車６１と噛合している。この噛合状態
において、前記一方の傘歯車６１は前記オクター
ブ調整部材２２の後面に密接されることにより、
軸方向の移動を規制防止され、前記他方の傘歯車
６２と良好な噛合関係を保持する。そして、前記
軸６５の上端部に取付けられた操作子６３を手で
回転操作し、その回転を軸６５および他方の傘歯
車６２を介して一方の傘歯車６１に伝達すると、
この傘歯車６１と螺合している前記弦保持部材３
６が前後移動して弦３の張力を変化させる。

このような構成においても上記実施例と同様の
効果が得られることは明らかであると同時に操作
ツマミ６３がボデイ本体１に対して直角方向に位
置しているため特に立奏時の操作性に優れてい
る。

〔考案の効果〕

以上説明したようにこの考案に係る電気ギター
のトレモロユニツト機構は、ブリツジベース上に
オクターブ調整部材を弦の張設方向に移動調整自
在に配設し、このオクターブ調整部材に筒状の弦
保持部材を弦の張設方向に移動自在に配設し、こ
の弦保持部材に弦の一端を挿通して保持し、前記
弦保持部材を張力調整機構によつて移動調整する
ように構成したので、張弦作業をボデイ本体の上
面側にて簡単に行え、またチユーニング操作も容
易で、楽器としての取扱い性を向上させることが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のトレモロユニツト機構を備えた
電気ギターの平面図、第２図は従来のトレモロユ
ニツト機構の断面図、第３図および第４図はこの
考案の一実施例を示す断面図および平面図、第５
図および第６図はこの考案の他の実施例を示す断
面図および要部平面図である。 １……ボデイ本体、２Ａ……ヘツド部、３……
弦、１０……バランスばね、２０……ブリツジベ
ース、２２……オクターブ調整部材、２６……ロ
ーラ、３１……オクターブ調整ねじ、３６……弦
保持部材、３……ナツト、６０……張力調整機
構、６１，６２……傘歯車。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ボデイ本体上に上下方向に回動自在に配設され
   たブリツジベースと、このブリツジベース上に各
   弦に対応してそれぞれ配設され弦の張設方向に移
   動調整可能な複数個のオクターブ調整部材と、各
   オクターブ調整部材をそれぞれ別個独立に移動調
   整する複数個のオクターブ調整ねじと、それぞれ
   筒状に形成されて前記各オクターブ調整部材に弦
   の張設方向に移動自在に配設され、各弦の一端を
   挿通保持する複数個の弦保持部材と、各弦保持部
   材をそれぞれ別個独立に移動調整する複数個の張
   力調整機構と、前記ブリツジベースに弦の張力に
   よるモーメントと逆方向の釣合いモーメントを作
   用させるバランスばねとを備えたことを特徴とす
   る電気ギターのトレモロユニツト機構。