JPS6336218Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、水管等の液体内に存在する気泡群を
自動的に排出する水管用自動排気弁に備えられる
球状のフロートのフロートホルダーの改良に関す
るものであり、この水管用自動排気弁は一般に冷
暖房あるいは給湯水配管等に多く用いられる。

一般に、この種の排気弁は、水管内に発生した
気泡をタンク内に捕集し、気泡の捕集によりタン
ク内の水面が降下し、これに従動して下降するフ
ロートによつて弁を開放してタンク内に溜つた気
体を系外に排出するようにしたものであるが、従
来の球状のフロートを有する排気弁は弁を直接フ
ロートの自重によつて開放するものであれ、フロ
ートの昇降を開閉ピン等の梃子作用を介して弁に
伝えて弁を開放するものであれ、球状のフロート
にはその球表面のどこかにフツク等を設けた係止
部分を取着しなければならず、一般にはこの係止
部分にフロートの昇降時の円滑性を与えるため遊
びが付加される様に形成されており、タンク内で
回動浮遊しようとするフロートの不必要な傾斜を
上記係止部分のみで除去することはできなかつ
た。そして、このことが排気弁を確実に作動せし
めないという欠点を持たらしていた。

また、一般に水管用自動排気弁のフロートに
は、下部に芯出し杆を設けフロートの安定を図ろ
うとするものがあつた。しかしながら、球状のフ
ロートに芯出し杆を正確に取り付けることは困難
であり、特に、上記係止部分と芯出し杆を固別に
フロートへ取り付ける場合には、両者の関係を考
慮して正確な位置に取着する必要があり、着想上
においては係止部分と芯出し杆とを球状のフロー
トへ取り付けることは可能ではあつても、実際上
の製造においては正確な取り付けが困難であつ
た。

よつて、本考案は、第１に、同一体積の立体に
おいて平面積が最も小さくて済む球状のフロート
をより良い状態において利用することを目的と
し、球状であるが由に回動浮遊し易いフロートの
動きを規制し、フロートの不必要な傾斜を除去
し、排気弁を確実に作動せしめ得る球状のフロー
トのフロートホルダーの提供を目的とする。

本考案の第２の目的は、フロートホルダへフロ
ートを容易かつ簡便に取り付け得るようにするこ
とにある。特に球状のフロートを上下左右の方向
とは無関係にフロートホルダに嵌入するだけで、
フロート上部の係止部分とフロート下部中心の芯
出し杆との位置関係とが正確に定まる球状のフロ
ートのフロートホルダを提供することにより、簡
便かつ正確なフロートの組み立てを実現せんとす
る。

しかして、本考案は、タンク内の水面の下降に
応じて水管内に存在する気泡群を自動的にタンク
外に排出する水管用自動排気弁のタンク内に備え
られ、上記水面の下降に伴い下降することによ
り、タンク内外を連絡する弁座の排気孔を開放せ
しめる球状のフロートのフロートホルダにおい
て、該フロートホルダが、旋回部分と該旋回部分
の上部に設けられる係止部分と該旋回部分の下部
に設けられる芯出し杆とを備えた一連の線細工バ
ネにて形成され、該旋回部分が、フロートの上半
部を少なくとも約一周する第１部と、該第１部に
連続してフロートの下半部を少なくとも約一周す
る第２部とを有し、上記球状のフロートを該旋回
部分内に嵌脱自在に嵌入して締付挟持し、上記芯
出し杆が該旋回部分の旋回の中心軸にほぼ沿う位
置に位置していることを特徴とする水管用自動排
気弁に備えられる球状のフロートのフロートホル
ダを提供するものである。

以下、図面に基づき一実施例について説明す
る。まず第１図を参照すればタンク１の底部には
水管Ａ内に嵌挿される継手２が一体形成されてお
り、弁本体３は排気孔４を穿つた弁座４ａを上部
に固定し、排気孔４を開閉するため頭部に弁座パ
ツキン４ｂを設けた弁座杆４ｃを常時閉鎖する方
向に押圧するスプリング４ｄの受座となるコイル
バネ座５を介してタンク蓋８と接続している。ま
たコイルバネ座５は中央部に上記弁座杆４ｃを貫
通させており、コイルバネ座５の底部には該弁座
杆４ｃを中心として近傍なる一方の側適宜位置に
小孔５ｂを穿設し、小孔５ｂに対応する反対の側
に空気導通孔６に達するようガイドスリツト５ａ
が形設されている。７は排気接続冠であり、排気
口９を有して弁本体４に冠着されている。尚、上
記構成部分については本願出願人の先願昭和56年
実用新案登録願第22617号の水管用自動排気弁を
用いたが、本願考案における開閉ピン１０は線材
を使用した〓〓なる形状に成形されており、コイ
ルバネ座５の底部に突出している弁座杆４ｃの下
端部を遊貫し、近傍なる適宜位置に穿設された小
孔５ｂに該開閉ピン１０の略Ｌ字形成された一端
を遊嵌して支点とし、同じく近傍なる適宜位置で
小孔５ｂに対して反対の側に垂直に形設されたガ
イドスリツト５ａを貫通して、略Ｊ字形成された
他端を後述するフロートホルダ１２の上部に設け
られたフツク１２ａに係止している。そして、開
閉ピン１０のフツク挿通端１０ａを下に向けたの
で、フツク１２ａの形状にかかわらず簡便に係止
することができるようになる。次に１１はタンク
１内に配備された球状のフロートにして、該フロ
ート１１は線細工バネに成形されたフロートホル
ダ１２に嵌装自在に嵌入して締付挟持されてお
り、本考案実施に際しては上記フロートホルダ１
２を線細工バネのうち第２図に示される如きたる
形コイルバネに形設している。このフロートホル
ダ１２は、上方から下方に係止部分たるフツク１
２ａ、アーム１２ｂ、旋回部分の第１部１２ｄ、
第２部１２ｅ、芯出し杆１２ｃの順に一本の線細
工バネにて形成されている。

旋回部分は、フロート１１をその中に嵌入して
締付挟持するものであり、第１部１２ｄはフロー
ト１１の上半部を少なくとも１周し、第２部１２
ｅは第１部１２ｄに連続してフロート１１の下半
部を少なくとも１周することによりフロート１１
を上下から挟持する。即ち、旋回部分１２ｄ，１
２ｅは上下からフロート１１を挟持できるもので
あれば足り、第２図の如く、略円形の螺旋形に限
定されるものではなく、直線と曲線とを組み合わ
し、平面視略３角形や４角形の形状によりフロー
ト１１の周囲を一周するものであつてもよい。ま
た、旋回部分はフロートの上下半部を夫々約１周
すればフロートの挟着には充分であるが、安全の
ために旋回数をさらに増加することは自由であ
り、第２図に示されるフロートホルダ１２にあつ
ては、第１部１２ｄは約1.5周、第２部１２ｅは
約2.5周している。

フツク１２ａは、中央にて小さく１回転させら
れることにより形成された小穴を有しており、前
記開閉ピン１０の略Ｊ字状をした端部が挿通され
るものである。このフツク１２ａは、係止部分と
して、フロート１１及びフロートホルダ１２を開
閉ピン１０等に係止するものであれば足りる。ま
た、この実施例ではアーム１２ｂを介して旋回部
分の第１部１２ｄ上端に連続しているが、該第１
部１２ｄの上端から直接係止部分を延設してもよ
い。

芯出し杆１２ｃは、旋回部分の第２部１２ｅの
最下部からフロートホルダ１２の中心軸、即ち旋
回部分１２ｄ，１２ｅの旋回の中心を結ぶ線に沿
つて適宜下方に延設されており、この芯出し杆１
２ｃの重み自体により、フロート１１の安定を図
り得るものである。また、芯出し杆１２ｃはタン
ク下部に取着された前記継手２の中央部に配設さ
れたガイド孔１３ａに挿通して継手２内に突出し
た状態に設けられており、フロートホルダ１２を
タンク１の中央部に垂直に保持している。尚、該
ガイド孔１３ａは第３図に示されるゼンマイバネ
１３の中央部を円筒形状に一体巻き形成されたも
のであり、従つて、該ガイド孔１３ａに芯出し杆
１２ｃを挿通するフロートホルダ１２がその上部
にて前記ガイドスリツト５ａを遊嵌している開閉
ピン１０に係止されることによつて、フロート１
１の運動方向が規制され、フロート１１の傾斜や
水平移動が除去されることになる。

斯くしてなる本考案に関する自動排気弁の機能
を説明すると、第１図に示されるように、水管Ａ
内に気泡が発出していない場合はタンク本体１内
には水が充満し、フロート１１が浮力によつて上
昇しているため開閉ピン１０に対して何等力が加
わらず、弁座杆４ｃがスプリング４ｄの押圧力に
よつて排気孔４を閉鎖し、さらにフロートホルダ
１２の底部には芯出し杆１２ｃが形設されている
ことにより、フロート１１は常に水平のバランス
を保持していることになる。

一方この状態から水管Ａ内に気泡群Ｂ〜Ｂが発
生して継手８および芯出し杆１２ｃに沿つてタン
ク本体１内に侵入すると、タンク１内の水位が下
降し、これに応じてフロート１１がバランスよく
水平に矢印ｃに下がるが、フロートホルダ上部の
フツク１２ａが開閉ピン１０の略Ｊ字形状の一端
部に係合しているので、コイルバネ座５に穿設さ
れた小孔５ｂに他端を遊嵌して支点となす該開閉
ピン１０は梃子運動をすることにより、弁座杆４
ｃをスプリング４ｄに抗して引き下げるから、排
気孔４が開放され、タンク上方に溜つた気体はガ
イドスリツト５ａから空気導通孔６を経て、排気
孔４、排気口９から系外へ排出される。斯くの如
く排気がなされるとタンク本体１内の水位が恢復
し、フロート１１が上昇して元の状態に復帰する
から排気孔４もスプリング４ｄの復元力によつて
閉鎖され、１回の排気動作が停止する。以後、水
管内の気泡がタンク内に採集され、タンク内の水
位が下降する毎に上記動作を反復する。尚、フロ
ート１１をフロートホルダ１２に嵌入させるに
は、球状のフロート１１をフロートホルダ１２の
旋回部分の第１部１２ｄと第２部１２ｅとの間に
押し当て、そのまま抉じあける如く押圧すればよ
く、取り出す際にはその逆を行えばよい。

以上、本考案は、球状のフロートを特種な形状
を有する線細工バネ製のフロートホルダにて挟持
するものであるため、球状であるが由に回動浮遊
し易いフロートの動きを規制し、フロートの不必
要な傾斜を除却し、排気弁を確実に作動せしめ得
るものである。

しかも、このフロートホルダは、上部に係止部
分、下部に芯出し杆が一連に形成されているた
め、フロートをフロートホルダに嵌入するだけ
で、係止部分と芯出し杆とを、正確な位置にて、
球状のフロートに附与することができるものであ
る。特に、芯出し杆を正確に球状のフロートの中
芯軸に沿つて設けることは困難であつたが、本考
案にあつては、単にフロートをフロートホルダに
嵌入するだけで芯出し杆を正しく軸芯に沿つて設
けることが簡単に出来る。その結果、フロートは
安定して上下するものであり、上記フロートの回
動を防止した効果と共働してフロートの安定した
上下動を実現するものである。

よつて、本考案はフロートをフロートホルダに
簡便に取り付け得ることはもちろん、簡便な取り
付けと同時にフロートの安定した上下動を実現し
たものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例のフロートと球状の
フロートのフロートホルダを備えた水管用自動排
気弁の略断面図、第２図は第１図におけるフロー
トホルダのダの斜視図、第３図は第１図における
ゼンマイバネ１３の斜視図である。 図面の符号：１……タンク、３……弁本体、４
……排気孔、１１……フロート、１２……フロー
トホルダ、１２ａ……係止部分たるフツク、１２
ｃ……芯出し杆、１２ｄ……旋回部分の第１部、
１２ｅ……旋回部分の第２部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. タンク内の水面の下降に応じて水管内に存在す
   る気泡群を自動的にタンク外に排出する水管用自
   動排気弁のタンク内に備えられ、上記水面の下降
   に伴い下降することにより、タンク内外を連絡す
   る弁座の排気孔を開放せしめる球状のフロートの
   フロートホルダにおいて、該フロートホルダが、
   旋回部分と該旋回部分の上部に設けられる係止部
   分と該旋回部分の下部に設けられる芯出し杆とを
   備えた一連の線細工バネにて形成され、該旋回部
   分が、フロートの上半部を少なくとも約一周する
   第１部と、該第１部に連続してフロートの下半部
   を少なくとも約一周する第２部とを有し、上記球
   状のフロートを該旋回部分内に嵌脱自在に嵌入し
   て締付挟持し、上記芯出し杆が該旋回部分の旋回
   の中心軸にほぼ沿う位置に位置していることを特
   徴とする水管用自動排気弁に備えられる球状のフ
   ロートのフロートホルダ。