JPS6335804B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は前方２気筒後方１気筒の側面Ｖ型エン
ジンを搭載する自動二輪車の排気装置の改良に関
する。

一般に前後に傾斜したシリンダを備える側面Ｖ
型エンジンに於て、前後の各シリンダより後方へ
延設する排気装置の等価管長を等しくなし、各シ
リンダの性能バランスをとることによりエンジン
効率を最良にすることは重要である。

しかしながら、単に等価管長を等しくしたので
は後方シリンダからの排気装置の後端は前方シリ
ンダのそれより後方へ突出し、デザイン上、或い
は小型化を図る上からも好ましくない。他方、ま
た、車体取廻しの際に手で握つて用いるシートグ
リツプ等と比較的高温の排気装置とは相互に接近
していると取り廻し性が低下するため離して配設
しなければならないが、自動二輪車は車幅が狭
く、レイアウトが制限されるため斯かる点を全て
同時に満足させることは容易でない。

本発明は斯かる点を効果的に解決すべく特に前
方２気筒後方１気筒の側面Ｖ型エンジンに適用
し、排気装置を合理的に配設することにより前後
の各シリンダからの排気装置の後端を略揃え、し
かも等価管長を各々等しくなし、エンジンの性能
向上を図るとともに、取り廻し性、且つデザイン
等商品性向上を同時に図り得る自動二輪車の排気
装置の提供を目的とする。

本発明は斯かる目的を達するため前方２気筒後
方１気筒の側面Ｖ型エンジンを搭載した自動二輪
車の排気装置に適用し、例えばプログレシブリン
ク機構にて支持された筒型後輪緩衝器を車幅方向
中央に備え、後方のシリンダから後方へ延出した
排気管が前記後輪緩衝器をシートグリツプ配設側
から他方側へ巻回すべく湾曲され後方へ延設され
ていることにより、前方のシリンダから後方へ延
出する排気装置と各後端を揃え、しかも、排気装
置の実質的等価管長を相等しく更に無理なくシー
トグリツプと排気装置とを離して配設できるよう
にしたことを主たる特徴としている。

以下には本発明を更に具体化した好適な実施例
を挙げ図面を参照して詳細に説明する。

第１図は本発明に係る排気装置を装備する自動
二輪車の概要を示す平面図、第２図は同側面図、
第３図は車体フレームの平面図、第４図は同側面
図、第７図は排気装置のレイアウトを示す平面
図、第８図は第２図中鎖線円Ａ部の抽出分解斜視
図を表している。

先ず、本発明を明確にするため第１図及び第２
図を参照して自動二輪車の概略構成について説明
する。符号１で示された自動二輪車は車体フレー
ム２を有し、この車体フレーム２は第３図及び第
４図に示されるように前部にヘツドチユーブ３を
配設し、このチユーブ３の後上部から後方に延出
されたメインパイプ４ａ，４ｂ、この後部を湾曲
させ前方へ延出したダウンチユーブロア５，５、
この先端を上方へ折曲延設し前記ヘツドチユーブ
３下部に結合するダウンチユーブ６，６、ダウン
チユーブ６，６中間部とメインパイプ４ａ，４ｂ
中間部を連結するサブチユーブ７，７、メインパ
イプ４ａ，４ｂの中間部から後方へ延設したアツ
パパイプ８ａ，８ｂを備え、また、左側のアツパ
パイプ８ａの後部と左側のメインパイプ４ａの後
部湾曲部は直線状のサブパイプ９にて連結すると
ともに、右側のアツパパイプ８ｂの後部と右側の
メインパイプ４ｂの後部湾曲部は中間部を上側が
山となるようやや折曲させたサブパイプ１０にて
連結する。なお、当該サブパイプ１０の右側のア
ツパパイプ８ｂへの結合位置は左側のアツパパイ
プ８ａへのサブパイプ１１の結合位置より若干前
寄りであり、この結果サブパイプ１０はサブパイ
プ９に対し第４図の如く側方からみた場合全体的
に上方に位置し両者間にＳの隙間が存在する。ま
た、右側のサブパイプ１０の中間部と右側のアツ
パパイプ８ａ中間部はサブチユーブ１２にて連結
する。このように左右一対のサブパイプ９及び１
０は左右非対称で構成され、この理由は後述する
ように右側のサブパイプ１０の下方に後方のシリ
ンダからの排気装置を配設するためである。

なお、各左右のパイプ間にはクロスメンバ１
３，１４，１５，１６を、又クロスプレート１
７，１８，１９，２０を各所要位置に架設すると
ともに、左側のアツパパイプ８ａの後側部にはコ
字形状のグリツプ２１を固設してある。

そして、第１図及び第２図に戻り、当該車体フ
レーム２前部のヘツドチユーブ３にはフロントフ
オーク２２がトツプ及びボトム両ブリツジ２３及
び２４を介して枢着され、このフロントフオーク
２２は下部で前輪２５を支持し、上部にハンドル
２６が取付けられる。

他方、メインパイプ４ａ，４ｂの後部湾曲部に
は後方へ延出したリヤフオーク２７を枢着し、こ
の後端で後輪２８を支持するとともに、このリヤ
フオーク２７の前部はプログレシブリンク機構２
９を介して後輪緩衝器３０の下端を支持し、ま
た、後輪緩衝器３０の上端は前記クロスメンバ１
６の中間部に設けたブラケツト３１にて支持さ
れ、結局リヤフオーク２７はこれと車体フレーム
間に介装したプログレシブリンク方式後輪緩衝装
置３２にて支持されることになる。なお、後輪緩
衝器３０は筒型で車幅方向中央に１個配設され
る。

また、メインパイプ４ａ，４ｂ上には燃料タン
ク３３を、又アツパパイプ８ａ，８ｂ上にはシー
ト３４を各付設してある。

他方、第２図の如くダウンチユーブロア５，５
上には前方２気筒後方１気筒の側面Ｖ型エンジン
３５を搭載する。このエンジン３５は前方に左右
一対のシリンダ３６及び３７を、後方で当該シリ
ンダ３６及び３７の中間位置には１個のシリンダ
３８を備える。

次に、本発明に係る排気装置について説明す
る。

エンジン３５に於て、先ず、前方の左右一対の
シリンダ３６及び３７は略前方水平に近い角度で
傾斜しており、各シリンダ３６及び３７の下周側
部から左右一対の排気装置３９及び４０を後方へ
延設する。具体的には各シリンダに連通結合した
前排気管３９ａ，４０ａを下方へ延出しつつ後方
へ湾曲させ、エンジン３５の下面に沿わせ、この
前排気管３９ａ，４０ａの後部に一体に連通する
チヤンバ３９ｂ，４０ｂを後輪２８の両側部中間
付近にそれぞれ位置させ、更にチヤンバ３９ｂ，
４０ｂの後端に一体に連通する消音器３９ｃ，４
０ｃを配設し、この消音器３９ｃ，４０ｃ後端は
車体フレーム２後端と略揃う程度に配設する。

他方、後方のシリンダ３８は前方のシリンダ３
６，３７に対し略垂直に近い角度で後方へ傾斜し
ており、この後周側部から排気装置４１を後方へ
延設する。シリンダ３８は車幅方向中央に位置す
るためシリンダ３８に連通結合する前排気管４１
ａを後方略水平になす。シリンダ３８後方には前
記後輪緩衝器３０が存在するため前排気管４１ａ
は当該後輪緩衝器３０の前記シートグリツプ２１
配設側、即ち実施例では左側より他方側、即ち右
側へ巻回すべく湾曲させて後方へ至らせる。第７
図から明らかな如く平面方向からみた場合に前排
気管４１ａは後輪緩衝器３０を迂回するようにな
す。第１図の如く湾曲した前排気管４１ａの後端
は車体の右側部に至るが、車体フレーム２の右側
のサブパイプ１０は左側のそれよりも比較的高い
位置に設けられるため前排気管４１ａの後端に一
体に連通結合するチヤンバ４１ｂを第２図の如く
サブパイプ１０の下方に配設し、このサブパイプ
１０に沿つて後上方へ至らせ、更にチヤンバ４１
ｂの後端に消音器４１ｃを連通結合する。

なお、第８図には第２図中鎖線円Ａ部の抽出分
解斜視図、即ち、当該排気装置４１のチヤンバ４
１ｂの車体フレーム２側への取付構造を示す。先
ず左側のアツパパイプ８ｂの下部に下方へ膨出し
たガセツト５６を溶着等し、このガセツト５６の
下面に一対のブラケツト片５７，５７を有するブ
ラケツト５８を溶着等するとともに、他方チヤン
バ４１ｂの上部には上部に軸受５９ａを有する支
持部材５９を溶着等する。そして、この軸受５９
ａに、カラー６０を挿入したラバー６１を挿入す
るとともに当該軸受５９ａを前記一対のブラケツ
ト片５７，５７間に介装し、外側のブラケツト片
５７側からボルト６２を挿入し、前記カラー６０
内を通して他方（内側）のブラケツト片５７に予
め溶着等したナツト６３に締着する。

よつて、後方のシリンダ３８に設けた排気装置
４１の前排気管４１ａはプログレシブリンク機構
２９にて支持された後輪緩衝器３０の配設スペー
スを利用し、それを巻回すべく湾曲させて後方へ
延設したため前述した前方の２つのシリンダに設
けた排気装置３９及び４０と等価管長を略等しく
しつつ前端から後端までの側面視距離を短くでき
るため各排気装置３９，４０、及び４１の後端を
略揃えることができる。前排気管４１ａを前記後
輪緩衝器３０の前記シートグリツプ２１配設側か
ら他方側へ湾曲させて後方へ延出させたため、排
気装置４１の前排気管４１ａの後方に連続する部
分は、シートグリツプ２１配設側と反対方向に配
設されるため、取廻しに際してシートグリツプ２
１の使用勝手が良く、また夫々取付高さ位置を自
由に設定できる。

なお、第７図は斯かる各排気装置３９，４０，
４１の平面方向からみたレイアウトを明確に示し
ている。

次に、第５図及び第６図を参照してシリンダへ
の排気装置、即ち前排気管の取付方法の一例につ
いて説明する。第５図は前排気管の斜視図、第６
図は取付た状態を示す同断面図である。

前排気管４２はパイプ部材を所要形状に折曲等
して形成し、その前端、即ちエンジンシリンダ４
３への結合側から上下にボルトの挿入孔４４及び
４５を穿設したリング状のパイプジヨイント４６
を遊挿する。パイプジヨイント４６の内径は前排
気管４２の外径より大となし間にフランジ部材４
７のフランジ部４７ａが介在すべく形成する。一
方、フランジ部材４７は上記フランジ部４７ａと
このフランジ部と内径は同一で外径が大きいワツ
シヤ部４７ｂにて一体形成され、フランジ部材４
７は前排気管４２の前端にワツシヤ部４７ｂをシ
リンダ４３側にして嵌入し前排気管４２の前端は
所定長だけフランジ部材４７より突出させるとと
もに、このフランジ部材４７のフランジ部４７ａ
の端部４７ｃを溶着等して前排気管に固定してお
く。

他方、シリンダ４３側は排気路４８の開口側に
前記前排気管の前端が嵌入する凹所４９を形成
し、更にこの開口側にリング状ガスケツトを嵌入
する凹所５０を形成する。また、凹所５０の上下
には前記パイプジヨイント４６に設けた挿入孔４
４及び４５に対応する位置にボルト５１及び５２
を植設する。

よつて、前排気管４２をシリンダ４３に取付け
るには前記凹所５０にリング状ガスケツト５３を
嵌入し、更に前排気管４２の前端を凹所４９に嵌
入する。そして、パイプジヨイント４６の挿入孔
４４及び４５をボルト５１及び５２に夫々嵌め入
れ、外方よりナツト５４及び５５にて締付けるこ
とにより簡単、且つ確実に取付けを行うことがで
きる。

なお、実施例に於て細部の形状等要旨を逸脱し
ない任意の変更実施は本発明に許容される。

以上の説明から明らかなように、本発明に係る
自動二輪車の排気装置によれば、特に、前方２気
筒後方１気筒の側面Ｖ型エンジンと、該Ｖ型エン
ジンの後方且つ車幅方向中央に設けられる筒型後
輪緩衝器と、前記Ｖ型エンジンの後方且つ車幅方
向一方側に配設されるシートグリツプとを備える
自動二輪車の排気装置において、前記Ｖ型エンジ
ンの後方のシリンダから後方へ延出した前排気管
が前記後輪緩衝器をシートグリツプ配設側から他
方側へ巻回すべく湾曲され後方へ延設されている
ため前方のエンジンシリンダからの排気装置と等
価管長を略等しくしエンジン性能を最良に維持し
つつ外観デザイン向上及び小型化が図れる他、シ
ートグリツプと排気装置後部とを車幅方向反対側
に配設できるようにし、以つて無理なく両者を離
して設けるとともにその配設高さ位置の自由度を
確保できる自動二輪車の排気装置として提供でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る排気装置を装備する自動
二輪車の概要を示す平面図、第２図は同側面図、
第３図は車体フレームの平面図、第４図は同側面
図、第５図は前排気管の取付方法の一例を説明す
るための前排気管の斜視図、第６図は取付けた状
態を示す同断面図、第７図は排気装置のレイアウ
トを示す平面図、第８図は第２図中鎖線円Ａ部の
抽出分解斜視図である。 尚図面中、３０は筒型後輪緩衝器、３５は側面
Ｖ型エンジン、３８は後方のシリンダ、４１は排
気装置、４１ａは前排気管である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 前方２気筒後方１気筒の側面Ｖ型エンジン
   と、該Ｖ型エンジンの後方且つ車幅方向中央に設
   けられる筒型後輪緩衝器と、前記Ｖ型エンジンの
   後方且つ車幅方向一方側に配設されるシートグリ
   ツプとを備える自動二輪車の排気装置において、 前記Ｖ型エンジンの後方のシリンダから後方へ
   延出した前排気管が、前記後輪緩衝器のシートグ
   リツプ配設側から他方側へ巻回すべく湾曲して後
   方へ延設されたことを特徴とする自動二輪車の排
   気装置。