JPS6335422B2 - - Google Patents

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JPS6335422B2
JPS6335422B2 JP55091132A JP9113280A JPS6335422B2 JP S6335422 B2 JPS6335422 B2 JP S6335422B2 JP 55091132 A JP55091132 A JP 55091132A JP 9113280 A JP9113280 A JP 9113280A JP S6335422 B2 JPS6335422 B2 JP S6335422B2
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JP
Japan
Prior art keywords
manufacturing
base material
resin
resin liquid
laminate
Prior art date
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Expired
Application number
JP55091132A
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English (en)
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JPS5715962A (en
Inventor
Masayuki Ooizumi
Masakazu Kamikita
Minoru Itsushiki
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP9113280A priority Critical patent/JPS5715962A/ja
Publication of JPS5715962A publication Critical patent/JPS5715962A/ja
Publication of JPS6335422B2 publication Critical patent/JPS6335422B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、ハロゲン含有不飽和ポリエステル樹
脂液を含浸したシート状基材が重ね合された電気
用難燃積層体及び金属箔張り積層体を連続的に製
造する方法に関するものであり、特に電気的な用
途に用いる積層絶縁板及び印刷回路板に用いる金
属箔張り積層体を目的としたものである。なお本
発明では、表面に金属箔を積層しないで絶縁板と
して使用されることの多い積層板及び、金属箔張
り積層体を共に「積層体」という用語で表現して
いる。 積層体は260℃にも加熱されるハンダ温度に対
するすぐれた耐熱性、すぐれた電気絶縁特性、誘
電特性、パンチング加工性、耐薬品性、金属箔の
剥離強度、及び積層体の表面平滑性、及び加熱時
に悪臭や毒性を有する有害な揮発物を出さないこ
とが要求される。更に印刷工程や加熱工程で煩わ
しい大きなソリを発生しないこと、熱伝導性を害
し品位を損ねる気泡を含有しないこと、各種環境
下でのすぐれた寸法安定性、そして低コストであ
ること等、多数の特性が要求される。 積層体の形状は、たとえば厚さが約0.5〜5mm
程度であり、実用的寸法が通常略1m四方で、表
面が平滑な板状物である。 従来、これらの積層体は樹脂成分を溶剤に溶か
したワニスを基材に含浸し、ついで溶剤を乾燥し
てプレプレグを作り、これを一定サイズに切断
し、これを多層重ね合せバツチ方式で加圧加熱す
る等の方法で製造されていた。この従来方法にお
いては、作業性や工程上の制約からプリプレグは
非粘着性であることが必要であり、この観点から
樹脂成分が制限されるとともに、溶剤を必要と
し、従つて複雑な製造工程を必要とし、生産性に
大きな問題があるのが実情である。 又、従来の金属箔張り積層体は、たとえば、樹
脂成分を溶剤に溶かしたワニスを基材に含浸し、
ついで溶剤を乾燥してプリプレグを作り、これを
一定サイズに切断し、これを多層重ね合せた上へ
更に、予め金属箔に接着剤を塗布しB状態に焼付
けられている接着剤付き金属箔を重ね合せ、つい
で加熱加圧するバツチ方式で製造されていた。こ
れらの製品は、たとえば印刷配線用回路基板とし
て利用されているが、工程が複雑であり、バツチ
生産であるが故に、人手を要し生産性に大きな問
題があるのが実情である。 近年かかる観点から、積層体あるいは金属箔張
り積層体を連続的に製造するいくつかの提案がな
されている(米国特許第3236714号、米国特許第
4012267号、特開昭53−88872号)。しかし、いず
れも次の問題があり、コスト的及び特性的に連続
製造法の利点が生かしきれず、十分に実用化され
ていないのが現状である。即ち a 乾燥工程を必要とする溶剤型の樹脂ワニスを
用いる場合、乾燥後、基材に付着せる樹脂成分
は、通常極めて高粘度の半流動体もしくは固形
となる。かかる樹脂成分が付着した基材の表面
は鏡面でないが故に、基材を多層重ね合せる時
に層間に空隙や気泡が出来る。これら空隙や気
泡を排除するには、重ね合せ時、加熱やかなり
の圧力を必要とし、且つかかる高い圧力を硬化
過程の工程中維持しなければならないという極
めて困難な装置を必要とする。さらに、乾燥工
程には乾燥炉や溶剤回収装置を必要とし、従来
法に対しての利点は減少する。 b 又、硬化反応過程で気体や液体等の反応副生
成物を発生する熱硬化性縮合樹脂を用いると、
たとえ、それが上記のごとき乾燥工程を必要と
しない樹脂液であつても、発生する副生成物に
よる発泡等の悪影響を回避する為には、硬化過
程で加圧を持続しなければならないという同様
の困難さを有する。 c 連続的に搬送する成形体に対し硬化反応過程
の期間、高加圧を維持しなければならないとい
う困難な課題に対して、加熱加圧ロールの対を
多数直列に設置するというような、局部加圧の
羅列という妥協策が容易に構想できる。しかし
ながら本発明者らの実験によれば、このような
方法では、成形体の任意の固定点に対しての加
圧は周期的に大きく変動し、内部の気泡がふく
れあがる等、特性の優れた積層体は得られな
い。さらに樹脂成分が加熱により流動もしくは
半流動状態の未硬化のところで周期的に加圧す
ることは、樹脂成分の不必要な流動を発生せし
め、たとえば表面が波板状となり、望ましい製
品を得ることはほとんど不可能である。そのた
め鉄板のごとき剛性の高い板状物を成形体と加
圧ロール間に連続的に供給し、局部加圧と圧力
変動の問題に対処したが、複雑な装置を必要と
する不利があつた。 基材に含浸し付着した樹脂液の樹脂液含浸基材
に対する重量比率は積層体の品質設計上、重要な
問題である。しかし本発明に於ては後述する如く
積層基材の硬化即ち成形は、圧力が実質的に無圧
の条件で行なわれるため、従来の加圧プレス法の
ごとく、成形時の加圧によつて過剰な樹脂分を排
除する操作は出来ない。又、樹脂液含浸基材積層
体の両面にシート状或いはフイルム状被覆物をラ
ミネートした時点において、基材の硬化する前の
樹脂液量の重量比率が樹脂液含浸基材に対して10
%未満であると、複数枚のシート状基材は硬化時
においても良好に接合せず、そのため硬化後に局
部的な剥離部分を起し、或いは基材がバラバラに
分離してしまうという現象が生ずる。この様な極
端な場合でなくとも、製品は樹脂と基材との複合
積層材料としての効果が不十分で耐熱性や機械的
強度の点で品質的に不満足なものが多かつた。 樹脂液含浸基材に対する樹脂液の重量比率が90
%を越える過剰の場合、積層体を連続的に実質的
に無圧の条件で硬化させる過程で、特に過程の前
半において硬化が十分に進んでいない箇所では、
基材が樹脂液保持能力を十分に有しないと、フイ
ルム状或いはシート状被覆物の両縁から或る程度
の樹脂液の流出を惹起し、樹脂液量の必要な重量
比率を確保することが出来なくなる許りでなく、
流出した樹脂液が硬化炉内部を汚損する不都合が
生じていた。又かかる高い樹脂液比率では、得ら
れた積層体中で基材の偏在が生じて均質なものが
得難い問題がある。更に高い樹脂比率を達成する
ために高多孔質の基材を用いると、かかる基材は
機械的強度が劣るものが多く、本発明の如く連続
製造法においては、長尺基材を連続搬送する過程
で屡々破断する不都合が生じ、たとえ製品が得ら
れても積層体内部は基材による補強効果が十分で
なく、特に機械的強度において不十分なものが多
かつた。 本発明の方法は本質的に乾燥を必要とせず硬化
反応過程で気体や液体等の反応副生成物を殆んど
発生しないハロゲン含有不飽和ポリエステル樹脂
液をシート状基材に含浸し、これ等含浸基材を複
数枚連続的に搬送し、ついで連続的に積層し、さ
らに連続的に且つ実質的に無圧の状態で硬化させ
て積層体を連続的に製造するものである。 更に本発明の方法は、上記樹脂液含浸基材積層
体にフイルム状或いはシート状被覆物をラミネー
トした時点において、好ましくは樹脂液含浸基材
に対する樹脂液の重量比率を10乃至90%の範囲、
更に好ましくは20乃至80%の範囲、特に好ましく
は30乃至70%の範囲に調節する工程を実施するこ
とを特徴とするものである。樹脂液の重量比率を
調節する手段として、以下の方法がある。 a 樹脂液をシート状基材に含浸する際、含浸装
置に於いて予め過剰な液量を供給し、過剰な樹
脂液量を基材表面に付着させて複数枚の基材を
連続的に搬送する過程で、夫々基材の厚みに対
応したスリツト33(第1図)間を通過させ、
このスリツト間隔を調節することによつて、過
剰な樹脂量を掻き落し、付着樹脂液量を適正に
調節した後、積層装置3に送つて基材の積層を
行なう。 b 含浸装置2と積層装置3との間に絞りローラ
34(第4図)を設け、樹脂液を過剰に含浸し
た基材に対し絞りローラ34によつて過剰な樹
脂液を絞り出し、含浸樹脂液量を適正に調節し
た後、積層装置3に送つて基材の積層を行な
う。 c 複数の樹脂液含浸基材を一対のローラ又はロ
ーラとブレードとの組合で構成した積層装置に
よつて積層する場合(第1図、第4図乃至第6
図)、ローラ間隔又はローラとブレードとの間
隔を調節可能となし、積層間隔の調節によつて
樹脂液含浸基材の過剰な樹脂液を排除し、適正
な樹脂液量となしつつ積層する。 d 積層装置3の出口側に一対のローラで構成し
たラミネート装置23(第4図)を設けて、積
層基材の両面へ被覆物をラミネートする際、ラ
ミネート装置23のローラ間隔を調節可能とな
し、間隔調節によつて積層基材の過剰な樹脂液
を排除しつつ被覆物をラミネートする。 e 上記a〜dの方法を組合せることにより、過
剰な樹脂液を数段階に分けて排除し、最終的に
適正な樹脂液量の積層体となす。 f 樹脂液含浸基材を連続的に搬送する過程、該
基材を連続的に積層する過程、積層基材をラミ
ネート装置へ連続的に搬送する過程、積層基材
に被覆物をラミネートする過程の何れかの1又
は複数の過程において、シート状基材の表面又
は積層基材と被覆物とがラミネートされる面
に、樹脂液を供給装置35(第4図)によつて
別途供給し、基材に対する樹脂液の重量比率を
適正に調節する。 g a〜eの方法の1又は複数とfの方法とを組
合せることによつて、積層体に含浸する樹脂液
量を最終的に最適量に調節する。 上記ハロゲン含有不飽和ポリエステル樹脂液
は、室温で液状で、かつ硬化の際、縮合水や炭酸
ガス等の反応副生成物を実質的に発生しないハロ
ゲン含有不飽和ポリエステル樹脂と、硬化の際反
応副生成物を実質的に発生しない、ハロゲンを含
まない硬化性樹脂、たとえばハロゲン非含有不飽
和ポリエステル系樹脂、ビニルエステル系樹脂
(エポキシアクリレート系樹脂)、ジアリルフタレ
ート系樹脂、エポキシ系樹脂等のラジカル重合型
あるいは付加反応型の樹脂の劣位量、好ましくは
40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下と
のブレンド樹脂である。 なお、ハロゲン含有不飽和ポリエステル樹脂
は、通常行なわれている様に硬化を進行させるた
めの材料、即ち架橋のための重合性単量体や硬化
触媒を含んでいる。 本発明の方法は積層体の表面層を良好に仕上げ
るために、雰囲気中の酸素を遮断して良好な硬化
を行なわせるのが望ましいので、積層と同時に又
は積層後に、フイルム状或いはシート状被覆物を
樹脂液含浸積層基材の両面へラミネートする。積
層体表面へラミネートした被覆物は、必要により
樹脂液の硬化後、巻取り等によつて剥離し、剥離
した被覆物は回収し、再使用することによつて、
積層体の製造コストを低下させることが出来て好
ましい。片面或いは両面金属箔張り積層体を製造
する場合、被覆物として剥離を目的としない金属
箔を積層体の片面又は両面にラミネートすること
により、被覆物は積層体の表面被覆によつて硬化
を促進するばかりでなく、製品の構成部分となつ
て非常に合理的である。 本発明は積層体の連続的な製造に際し、使用す
るシート状基材に樹脂液を含浸する前に、製品に
求められている特性、用途、製品の製造条件に応
じてシート状基材に対し適当なプレ含浸工程及び
必要に応じてプレ含浸工程の後に乾燥工程を付加
する方法である。特にセルロース基材に対し、N
−メチロール化合物の溶液をプレ含浸させ、乾燥
して溶媒を除去することにより、吸湿時でも諸特
性の優れた電気用積層板を完成出来る。 本発明の方法は又、シート状基材に樹脂液を含
浸させるに際して、樹脂液を大気圧以下の環境に
さらして減圧処理し、然る後又は減圧下で樹脂液
をシート状基板へ含浸させるものであつて、樹脂
液の含浸時間を短縮し、しかも製品中への気泡の
混入をほぼ完全に排除出来る。 本発明は更に樹脂液を含浸したシート状基板を
加熱して連続的に且つ実質上、無圧の状態で硬化
工程を進めるに際して、積層体をカツターで切断
することが十分に可能且つ積層体の表面にラミネ
ートされている被覆物が障害なく剥離出来る程度
に硬化した初期の硬化状態で、実用寸法に切断
し、切断後も硬化を更に進めることによつて、硬
化に伴う積層体のソリ、残留歪を実用上差しつか
えない程度にまで低下することが出来る方法であ
る。 本発明は、本質的に乾燥を必要とせず硬化反応
過程で気体又は液体等の反応副生成物を殆んど発
生しない樹脂液を使用するから、従来の如く樹脂
ワニスを基板に含浸させる方法と較べて、樹脂ワ
ニスの乾燥装置や溶剤回収装置が不用となり、又
含浸工程から積層工程(多数枚のシート状含浸基
材の重ね合せ工程)間で樹脂液の性状は実質的に
不変である。従つて、たとえば十分に樹脂液を含
浸せしめたシート状基材を重ね合せて、樹脂液同
志が接触する際、樹脂液は低粘度であるから、重
ね合せ時の気泡のまきこみを最少限のレベルに抑
えることができ、かつ重ね合せ工程で特別な加熱
や加圧を施さなくともよい。 更に混入している気泡や硬化時に発生する気体
等が実質的に存在しないから、前記したごとき高
圧力を付加し、それを持続する為の困難かつ非現
実的ともいえる装置を必要とせずして、加熱硬化
でき、特性の優れた製品を安価に製造出来る利点
がある。 本発明が樹脂液をシート状基材へ含浸させ、実
質的に無圧の条件下で硬化させて特性の優れた製
品を連続的に製造することを可能としたのは画期
的なことであつて、硬化時の成形圧による不必要
な製品の歪を排除でき、特に厚み方向における加
熱時の寸法安定性に優れた製品を製造でき、高加
圧するための特別な装置を必要とせず、前記した
ごとき局部加圧の羅列方式は不必要であり、表面
の平滑性に優れた製品を製造できる利点がある。 本発明にいう実質的に無圧とは、人為的な加圧
操作を伴なわないで、通常の大気圧下で行うこと
を意味する。厳密に言えばフイルム状あるいはシ
ート状被覆体をラミネートする場合は、該被覆体
の重量圧を受ける。しかし、かかる重量圧は現実
的には0.01Kg/cm2を越えることはなく、通常は
0.01〜0.001Kg/cm2であり、このような微圧は本
発明において樹脂の流動、流出等の成形条件を損
ねず、無視出来る。 又、本発明においては加熱と加圧を連続的に行
う複雑な装置を必要としないから、硬化の際の加
熱方法や連続的な搬送方法をかなり自由に選択で
きるのである。たとえば、 a たとえば1m間隔に配列したロールを被加熱
物の支持体としてこの片面もしくは両面より熱
風をふきつける。 b フローテイングドライヤーとして良く知られ
ている方法であつて、被加熱物の上下面より加
熱空気のジエツト流を噴きつけ、中空に浮上さ
せつつ搬送する。 c 熱媒や電熱によつて加熱板上を搬送し、伝熱
により加熱する。 d 熱媒や電熱の加熱板又は加熱物の輻射熱によ
つて加熱する。 など、何れも不必要な加圧を排除して加熱硬化せ
しめ、かつ連続的に搬送できる好ましい方法であ
る。 本発明においては、実質的に無圧の条件下で硬
化させるのが最も好ましい実施態様であるが、シ
ート状基材に含浸した樹脂液が過剰流動しない程
度の低加圧であれば実施は可能である。すなわ
ち、樹脂液の過剰流動により、基材に対する樹脂
液量の重量比率が10%未満になつてしまうごとき
加圧は好ましくない。本発明にいう低加圧とは例
えば10Kg/cm2以下、好ましくは5Kg/cm2以下をい
う。 本発明の方法によつて製造された積層体は、従
来のバツチ方式による従来法の製品に比して製品
の厚み精度が優れている。たとえば、0.5mm厚さ
の積層体の場合、従来法を用いると厚みの変動幅
は70〜160μに達するが、一般的に本発明による
ものは、その厚みの変動巾が、せいぜい20〜30μ
以内である。しかも厚み方向の熱膨脹率は、従来
法で製造した積層体の熱膨脹率の40〜60%であ
る。また、製造コストの低下、製造速度の高速
化、設備の簡略化の点で著しく優れている。 本発明は第1図に示す如く、基材供給部1から
連続的に送られるシート状基材6に対し、連続乾
燥装置12、含浸装置2、積層装置3、連続熱硬
化炉4、引出装置13、切断装置5を順次配置
し、連続熱硬化炉4には加圧手段は一切設けず、
積層体7を連続的に製造するものである。 本発明でいうシート状基材6は、従来の積層体
に用いられている基材と同じものが使用出来、例
えばガラス繊維布、ガラス不織布等のガラス繊維
系のもの、クラフト紙、リンター紙等のセルロー
ス系繊維を主体とした紙、石綿布等の無機質繊維
系のシート状又は帯状物を指す。シート状基材と
して紙を用いる場合、含浸性や品質上の観点か
ら、風乾時の密度(かさ比重)が0.3〜0.7g/cm3
であるようなセルロース繊維を主体とした紙たと
えばクラフト紙が好ましい。 シート状基材に対しては、樹脂液を含浸する前
に、製品に求められる特性、用途、製造条件等に
応じて適当なプレ含浸工程及び必要により乾燥工
程が施されるものであつて、予めプレ含浸処理を
経たシート状基材を基材供給部1に収納してもよ
い。或いはプレ含浸装置14及び必要により連続
乾燥装置12を樹脂液の含浸装置2の前段へ直結
し、基材供給部1から送られるシート状基材6に
対しプレ含浸を連続的に行うことが出来る。 連続乾燥装置12は、プレ含浸装置14にて溶
媒を用いた溶液によつてプレ含浸を行う場合に溶
媒除去のため設置されるものである。プレ含浸が
溶媒を用いない液状化合物の含浸又はガス状化合
物の吸着によつて行う場合、必要なければ乾燥装
置12は省いてもよい。 プレ含浸工程には次のような処理があるが、こ
れに限定されるものではなく、基材に要求される
特性、用途によつて変更されることがあるのは勿
論である。 (1) 基材がガラス布基材の場合、シランカツプリ
ング剤により処理するごとく、各種カツプリン
グ剤や界面活性剤による基材の前処理 (2) 重合性各種単量体、樹脂液との共重合性各種
単量体を基材へ含浸 (3) 得られる積層体の物性の改質を目的として各
種熱可塑性樹脂を基材へ含浸 (4) 各種熱硬化性樹脂溶液のプレ含浸 (5) 各種不飽和脂肪酸のプレ含浸 (6) セルロースのアセチル化等、基材表面との反
応性化合物の含浸及び反応 (7) ポツトライフの短い樹脂液を含浸工程で用い
る際の解決策の1つとして、触媒、反応助剤、
硬化剤のみのプレ含浸 (8) 無機充填剤スラリー液の含浸 上記の各種プレ含浸の中、(1)においては、ガラ
ス布基材をビニルアルコキシシランによつて前処
理し、しかる後、含浸工程に於てハロゲン含有不
飽和ポリエステル樹脂液を含浸することによつ
て、プレ含浸しないものに比し曲げ強さが1.5倍
の積層体を連続的に製造できる。(3)においては、
クラフト紙に対して、予めポリエチレングリコー
ルを紙に対して10%付着せしめ、しかる後、含浸
工程において不飽和ポリエステル樹脂液を含浸せ
しめることにより、未処理物に対して耐衝撃性が
2倍に向上する。(7)においては、市販のエポキシ
樹脂硬化用ポリアミド樹脂を、あらかじめ付着量
がエポキシ樹脂に対して30%となる様にガラス布
基材にプレ含浸し、乾燥し、ついで含浸工程に於
て市販のエポキシ樹脂液を含浸することによつ
て、貯蔵タンクや含浸バス内の樹脂液のポツトラ
イフの問題を解消できる。これ等プレ含浸工程で
シート状基材への含浸付着量は最終的には基材に
対し50%以下とするのが望ましく、過剰な量のプ
レ含浸は、次の含浸工程で樹脂液の含浸を損ねる
場合がある。 プレ含浸工程が重要な理由は次のとおりであ
る。 セルロース繊維を主体とした紙に対し、ハロゲ
ン含有不飽和ポリエステル樹脂液を含浸する場
合、得られる紙基材ハロゲン含有不飽和ポリエス
テル樹脂積層板は、常態における諸性能、すなわ
ち電気絶縁性、半田耐熱性、銅箔引きはがし強
度、打抜加工性、機械的強度等は極めて良好であ
るが、吸湿により積層板としての特性が低下する
場合があるという欠点を有していた。これはハロ
ゲン含有不飽和ポリエステル樹脂自身の電気絶縁
性、耐熱性、耐湿性、耐水性は優れているが、紙
基材の主成分であるセルロースとの密着性に乏し
く、吸湿により樹脂とセルロース繊維との界面が
剥離し、それに伴い吸湿量が増大し、ひいては諸
性能の低下を招くためと考えられる。 かかる欠点を改善するための試みとして、本発
明と目的、用途等を異にするのではあるが、紙基
材をメチロールメラミン又はメチロールグアナミ
ンで処理する方法(特公昭38−13781)、紙基材を
ホルムアルデヒドでホルマール化する方法(特公
昭40−29189)、セルロース基材をN−メチロール
アクリルアミドでアクリルアミドメチルエーテル
化し、水洗乾燥後、ジアリルフタレート樹脂に適
用した例(特公昭39−24121)等が知られている。 しかしながら、メチロールメラミン又はメチロ
ールグアナミンで処理する方法及び紙基材をホル
ムアルデヒドでホルマール化する方法では、十分
な効果を得るにはこれら処理剤を多量に使用する
必要があり、その結果、板が固くなり打抜加工性
を低下させる欠点がある。又、特公昭39−24121
のセルロースをアクリルアミドメチルエーテル化
する方法は、メチルエーテル化反応に長時間を要
し、更に水洗工程等の後処理に複雑な工程を経て
アクリルアミドメチルエーテル化セルロースを合
成し、それを基材として積層板を製造せんとする
ものであつて、しかも得られる積層板の打抜加工
性は良好でないという欠点を有する。 本願発明者等は研究を重ねた結果、吸湿による
特性の低下を防止出来る方法を発明したのであ
る。その方法の1つは、ハロゲン含有不飽和ポリ
エステル樹脂に併用される重合性単量体、例えば
ビニル単量体に対し共重合可能な不飽和結合を官
能基として有するN−メチロール化合物(後述)
の溶液を単に含浸し乾燥したセルロースを基材と
してハロゲン含有不飽和ポリエステル樹脂積層板
を製造するものである。これにより、常態のみな
らず吸湿時の諸特性も優れた電気用積層板を完成
した。しかも、この積層板は前記した従来のハロ
ゲン含有不飽和ポリエステル樹脂積層板の諸欠点
は解消出来たのである。 乾燥は前記N−メチロール化合物の溶媒である
水、アルコール等を除去するだけでよく、セルロ
ースとN−メチロール化合物との反応を行わせる
必要はない点が特徴である。 本発明に用いるハロゲン含有不飽和ポリエステ
ル樹脂は常温で液状又は固体のいずれでも良い
が、常温で液状のものが特に好ましい。一般の不
飽和ポリエステル樹脂は分子構造式が、たとえば のようなもので、原料がポリオールとしては、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、ジエ
チレングリコール、1,4−ブタンジオール及び
1,5ペンタンジオール;飽和多塩基酸として無
水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジ
ピン酸、セバシン酸、アゼライン酸;不飽和多塩
基酸として無水マレイン酸、フマル酸等のグリコ
ール類と、これらの架橋用単量体とを混合したも
のである。 本発明のハロゲン含有不飽和ポリエステル樹脂
は、一般の不飽和ポリエステル樹脂とは全く異な
り不飽和ポリエステル分子構造中にハロゲンを含
有するもので、ポリオール成分としてハロゲン化
グリコールなど、酸成分としてハロゲン化酸など
を使用したもののほか、通常の方法で不飽和ポリ
エステルを合成した後、ハロゲンを導入したよう
な反応型の樹脂例えば特公昭46−8993によつて製
造されたハロゲン化ポリエステルも含まれる。 ハロゲン化グリコールとしては2,2−ジブロ
モネオペンチルグリコール、ハロゲン化酸として
はテトラブロムフタール酸、テトラクロルフター
ル酸、クロルエンド酸或はそれらの酸無水物など
がある。 ハロゲン含有不飽和ポリエステル樹脂は、上記
のようなハロゲン含有不飽和ポリエステルと架橋
用単量体との混合物である。架橋用単量体として
は、一般の不飽和ポリエステル樹脂と同様のもの
を使うことが出来る。 本発明には、すでに述べたことから明らかなよ
うに市販されているクロルエンド酸系不飽和ポリ
エステル樹脂、例えばHooker Chemical社製
HETRON、大日本インキ製ポリライトNA−281
や不飽和ポリエステル中の不飽和結合に臭素を導
入した反応型難燃ポリエステル樹脂、例えば日本
ユピカ製FMS−583、FPM−531、FPM−231な
ども好適である。 架橋用単量体として用いられる重合性単量体
は、スチレンが一般的であるが、その他α−メチ
ルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、
ジビニルベンゼン、炭素数1〜10のアルキルアク
リレート、炭素数1〜10のアルキルメタクリレー
ト、フタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリルな
どの単量体も使用することができる。これらの重
合性単量体の使用量は、ハロゲン含有不飽和ポリ
エステル樹脂の20〜50重量%である。なお特に、
共重合性が良好あるいは得られる製品の機械的強
度の補強を目的として、スチレンとジビニベンゼ
ンとの混合物はよい結果をもたらす。 更に硬化触媒として汎用の有機過酸化物、必要
に応じて硬化促進剤が硬化に際して加えられる。
ハロゲン含有不飽和ポリエステル樹脂液を硬化さ
せる場合、通常の不飽和ポリエステルと同様の硬
化触媒(重合開始剤)が配合される。熱硬化型ハ
ロゲン含有不飽和ポリエステル樹脂の場合、有機
過酸化物が一般的であり、以下に述べるものが好
適である。 しかし以下のものを限定されるのではなく、過
酸化物と共に、又は単独で光に感応する硬化触媒
や、放射線に感応する硬化触媒の如く公知の硬化
触媒を使用することが出来るのは勿論である。 ハロゲン含有不飽和ポリエステル樹脂の硬化用
有機過酸化物は多数のものが公知であるが、無圧
成形による新規な電気用積層板の製造に関するも
のであるから、重合開始剤の選択は重要である。
有機過酸化物の分解生成物は、微量であるが製品
の中に残留する。 電気用の積層体や銅張り積層体は、通常その加
工工程で100℃〜260℃程度の各種温度で加熱され
る場合が多く、かかる加工工程で上記分解生成物
が揮発し、場合によつて臭気を発生し、この臭気
は作業環境をそこねて好ましくない。 本発明者の研究によれば、有機過酸化物とし
て、脂肪族系のパーオキサイド類、特に好ましく
は脂肪族系のパーオキシエステル類から選ばれた
ものを、単独もしくは併用して用いた時に、著る
しく臭いの軽減した電気用積層板を製造できた。 脂肪族系のパーオキサイドとは、一般式が次の
ものを言う。 ROOH、RmM(OOH)o、ROOR′、RmM
(OOR′)o、RnMOOMR′n、R(CO2H)o
RSO2OOH、
【式】
【式】
【式】
【式】 RSO2OOSO2R′、R(CO2R′)o
【式】
【式】
【式】RSO2OOR′、
【式】 (但しR、R′、R″、Rは脂肪族炭化水素、M
はメタルあるいはメタロイドである。) 具体的には、たとえばジ−t−ブチルパーオキ
サイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)ヘキサン、アセチルパーオキサ
イド、イソブチリルパーオキサイド、t−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサノエイト等であ
る。 臭いは人の感覚的なもので若干の個人差があ
り、評価方法については十分考慮する必要があ
る。本発明者は、多人数による臭覚試験、ガスク
ロマトグラフによる臭いの成分の分析等を採用し
詳細な解析を行なつた。 脂肪族系のパーオキシエステル類とは一般式が
次のものを言う。 R(CO2R′)o
【式】
【式】
【式】RSO2OOR′ (但しR、R′は脂肪族炭化水素、nはRの構造
によつて決まる1〜4までの整数である。) たとえば、t−ブチルパーオキシアセテート、
t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチ
ルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−
ブチルパーオキシラウレイトなどを言う。 脂肪族系のパーオキサイドあるいはパーオキシ
エステル類が好ましいのは、加温時に発生する揮
発性成分の中に、芳香族系の触媒分解生成物が存
在しないからであると考察される。芳香族系の有
機過酸化物を用いると、芳香族系の分解生成物が
揮発し、臭気の原因となる。樹脂液の硬化に関す
る温度と時間の条件は、採用する有機過酸化物に
よつても変化するが、本発明においては、実質
上、無圧の条件下で成形するが故に、初期の段階
での液状共重合性単量体の気化による発泡を排除
すべく、硬化は100℃以下の温度から開示するの
が好ましく、それ以後は、50〜150℃の温度範囲
が好適である。 電気用の積層体及び銅張り積層体においては、
耐熱性、加熱あるいは吸湿状態での寸法安定性、
打抜き加工特性、積層板と銅箔の接触強度、電気
絶縁特性等、高度な特性が要求される。従つて、
これらの改良を目的として、ハロゲン含有不飽和
ポリエステル樹脂液に、一般の不飽和ポリエステ
ル樹脂、各種の添加剤、混合物、あるいは充填剤
等が配合されることは一向にかまわず、なんら本
発明を制限するものではない。 本発明のプレ含浸に用いるビニル単量体と共重
合可能な不飽和結合を官能基として有するN−メ
チロール化合物とは次のものを含む。 変性アミノトリアジンメチロール化合物。す
なわちグアナミン類あるいはメラミン等のアミ
ノトリアジンのメチロール化合物(あるいはそ
れらのメチロール基の一部あるいは全部をメタ
ノール等の低級アルコールでエーテル化した化
合物を含む)に官能基としてビニル単量体と共
重合可能な不飽和結合を導入した変性アミノト
リアジンメチロール化合物である。例えばアク
リル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸とア
ミノトリアジンのメチロール化合物との部分エ
ステル化合物;あるいはアリルアルコールの如
き不飽和アルコールとアミノトリアジンのメチ
ロール化合物との部分エーテル化合物;あるい
はアクリルアミド、メタクリルアミド等不飽和
カルボンアミドとアミノトリジンのメチロール
化合物との縮合生成物;あるいはグリシジルメ
タクリレートの如き不飽和基を有するエポキシ
化合物とアミノトリアジンのメチロール化合物
との縮合生成物。 一般式 (ただし、R1=H又はCH3、R2=H又はC1-4
のアルキル基) で表わされるアミドメチロール化合物であり、
その内、特にN−メチロールアクリルアミド、
N−メトキシメチロールアクリルアミド、N−
ブトキシメチロールアクリルアミド、N−メチ
ロールメタクリルアミド、N−メトキシメチロ
ールメタクリルアミド、N−ブトキシメチロー
ルメタクリルアミド等が使用上好ましい。これ
らのうちの一種または2種以上の混合物あるい
は2種以上の共縮合物を用いてもさしつかえな
い。 更に、上記()()の外に、上記()
に記した変性化したアミノトリアジンのメチロ
ール化合物の代りに、 下記aとbとの混合物をも包含する。 a ビニル単量体と共重合可能な不飽和結合を
官能基として有しないアミノトリアジンのメ
チロール化合物等のN−メチロール化合物 b N−メチロール化合物に対する変性剤すな
わちa項のN−メチロール化合物と縮合ある
いは付加可能な基とビニル単量体と共重合可
能な不飽和結合を官能基として併せ有する化
合物、例えばアクリル酸、イタコン酸等の不
飽和カルボン酸、あるいはアリルアルコール
の如き不飽和アルコール、あるいはアクリル
アミド、メタクリルアミド等不飽和カルボン
アミド、あるいはグリシジルメタクリレート
の如き不飽和基を有するエポキシ化合物 上記()の混合物溶液でもつて紙基材を含浸
乾燥することも本発明の実施態様の一つであり、
()、()の種類の処理剤で含浸した場合とほ
ぼ同様の効果を発揮することができる。これは処
理紙の乾燥時、あるいはそれに引き続くハロゲン
含有不飽和ポリエステル樹脂の含浸硬化時に、前
記a項に記載のアミノトリアジンのメチロール
化合物と前記b項に記載の変性剤との間で反応
が起きているためと考えられる。 本発明の主たる目的は、ハロゲン含有不飽和ポ
リエステル樹脂と紙基材との密着性を改良し、吸
湿時の諸性能の低下を防ぐことにあり、その効果
を十分に発揮するためには、既述のごとく紙基材
の処理剤として上記()、()に示した如く、
セルロースと結合しうるN−メチロール基とハロ
ゲン含有不飽和ポリエステル樹脂の架橋剤である
重合性ビニル単量体と共重合しうる不飽和結合を
官能基として有する化合物を用いるか、あるいは
()に示した如く、aビニル単量体と共重合可
能な不飽和結合を官能基として有しないN−メチ
ロール化合物と、b不飽和結合を有するN−メチ
ロール化合物に対する変性剤との混合物を用いる
のが好ましい。これらに対し、N−メチロール基
かビニル単量体と共重合可能な不飽和結合のいず
れか一方の官能基しか有さない化合物で処理を行
つた場合には、その効果は十分とはいえない。例
えば、N−メチロール基のみを有するメチロール
メラミンのみで処理を行つた場合、あるいは不飽
和結合のみを有するアクリルアミドで処理した場
合には、得られた積層体の吸湿時の諸性能は十分
なものではなかつた。 本発明において用いる上記()〜()に示
した処理剤の溶液濃度は乾燥後の紙基材に対する
付着量が3〜30重量部、望ましくは6〜20重量部
となるように調整することが望ましく、3重量部
未満の付着量では効果が十分でなく、また30重量
部をこえると積層体にした時、板がもろくなり打
抜加工性を劣下させる。 これらの処理剤の溶液化のための溶媒として
は、水、アルコール類、ケトン類、エステル類等
の溶剤を使用することができる。又セルロースと
上記処理剤のN−メチロール基との間のエーテル
化反応を効率的に進めるために酸性の縮合触媒を
添加したり、含浸処理後の紙のキユアー温度を高
めることは有効である。このような方法によつ
て、それに引続くハロゲン含有不飽和ポリエステ
ル樹脂の含浸硬化反応に先立つて前記セルロース
のエーテル化反応を一部惹起する事も出来るが硬
化に先立つこの反応の特別の効果は認められな
い。 本発明においては、必ずしも紙処理の過程にお
いて上記のエーテル化反応を進める必要はなく、
触媒を添加せず、単に処理剤を紙に付着させるだ
けで十分に吸湿時の諸性能を向上させることがで
きる。逆に、添加する触媒の種類によつては、得
られる積層体の電気絶縁性を低下させたり、板を
固くし打抜加工性を劣下させることがある。 なお、所望により重合禁止剤、重合触媒、界面
活性剤、可塑剤等の添加剤を適宜組合せて、処理
剤浴液に添加して用いることができる。 これらの浴液にクラフト紙、リンター紙など通
常積層体に用いられる紙基材、場合によつては布
基材を浸漬浴、ロールコーターあるいはスプレー
等を用いて含浸した後、乾燥することにより浴媒
を除去して処理基材を得る。ここで言う乾燥は使
用した浴媒を除去する事のみを考慮して行えば良
いのであつて、基材セルロースと処理剤を反応さ
せる必要は全くない。 又、先に記した文献に開示されているメチロー
ルメラミン、メチロールグアナミン等(即ちビニ
ル単量体と共重合可能な不飽和結合を官能基とし
て有しないメチロール化合物のみ)を紙基材にプ
レ含浸した紙基材を用いて、本発明方法によりハ
ロゲン含有不飽和ポリエステル樹脂を使用して積
層体を作成し、その性能を調べたところ、予備処
理をしない場合に比べて吸湿による電気絶縁性や
半田耐熱性の低下が少なく、耐湿性、耐水性の面
では可成りの向上はみられるが、その一方、衝撃
によりクラツチが入り易く、従つて、このものの
打抜加工性は実用に耐え得るものではなかつた。
打抜加工性は、使用するハロゲン含有不飽和ポリ
エステル樹脂の物性の影響も大きいと考えられ、
本発明者は前記の予備処理を行つた紙を用い、市
場にあるハロゲン含有不飽和ポリエステル樹脂を
検討したが、良好な打抜加工性を有し、かつ実用
的なものは皆無であつた。 かかる現状に鑑み、本発明者らが鋭意研究を行
つた結果、官能基としてセルロース系基材の予備
処理に用いるビニル単量体と共重合可能な不飽和
結合を官能基として有しない公知のメチロール化
合物であるメチロールメラミン、メチロールグア
ナミンを用いたとしても、該メチロール化合物に
加えて可撓性を付与する目的で分子内にメチロー
ル基と縮合可能な水酸基、カルボキシル基、アミ
ノ基、アミド基等の基を一個以上有する高級脂肪
族誘導体を混合もしくは縮合せしめることによ
り、得られる積層板は前記の欠点が解決され優れ
た打抜加工性を有し、かつ耐湿性に優れた積層体
が得られることを見出した。以下、詳細に説明す
る。 本発明でいうメチロールメラミン、メチロール
グアナミン(すなわち、ビニル単量体と共重合可
能な不飽和結合を官能基として有しないメチロー
ル化合物である)とは、メラミン又はホルモグア
ナミン、アセトグアナミン、プロビオグアナミ
ン、ベンゾグアナミン、アジポジグアナミン等の
グアナミン類とホルムアルデヒドの初期縮合物あ
るいはそれらのメチロール基の一部又は全部をメ
タノールやブタノールの如き低級アルコールでエ
ーテル化したものなどをいう。 打抜加工性を改良する目的で上記のメチロール
メラミン、メチロールグアナミンと混合もしくは
縮合せしめる高級脂肪族誘導体とは、例えば下記
の如きものである。即ち、カプリル酸、カプリン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸の如きの飽和脂肪酸;オレイン酸、
エルカ酸、リノール酸、エレオステアリン酸、リ
ノレン酸の如き不飽和脂肪酸;及び上記の脂肪酸
類とエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタ
エリスリトール、ソルビトール等多価アルコール
とのエステル類;及び上記の如き脂肪酸からの誘
導体である脂肪族アミド;及びカプリルアルコー
ル、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコー
ル、セチルアルコール、ステアリルアルコール、
オレイルアルコール、リノレイルアルコール等の
飽和あるいは不飽和の高級アルコール及び高級ア
ルコールと多価アルコールとのエーテル類;及び
高級アルコールからの誘導体である脂肪族アミン
などを挙げることができる。又、リシノレイン酸
の如きオキシ脂肪酸とそれからの誘導体も同じ目
的に使用することができる。要するに分子内に水
酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等の
メチロールメラミン、又はメチロールグアナミン
の持つメチロール基と縮合しうる基とメチロール
メラミン又はメチロールグアナミンの凝集力を弱
める働きをする長鎖のアルキル基を併せ有するこ
とが打抜加工性改質剤として一層好ましい条件で
ある。このような条件を満たす高級脂肪族誘導体
の数は極めて多いが、本発明者らがこれまで検討
した結果によれば、炭素数が8以上の時、打抜加
工性改質剤としての効果が顕著となり、炭素数18
で不飽和基1個を有するオレイン酸、オレイルア
ルコール及びそれらの誘導体例えばオレイン酸モ
ノグリセリド、オレイン酸ジグリセリド、オレイ
ン酸アマイド、オレイルアミンを用いた時、得ら
れる積層体の性能がバランスがとれ良好であり、
本発明の好適な実施態様であることも明らかとな
つた。 ところで、かかる改質剤の使用量は、積層体に
使用するハロゲン含有不飽和ポリエステル樹脂の
ガラス転移温度によつて、その最適量は異なる
が、通常メチロールメラミン又はメチロールグア
ナミン100部に対して3部から40部の範囲内にあ
る。その使用方法については、かかる改質剤とメ
チロールメラミン又はメチロールグアナミンとを
溶液や懸濁液の形で混合して用いるか、あるいは
両者を予め縮合させて用いるか、いずれの方法に
よつてもよい。この場合溶剤としては、水、アル
コール類、ケトン類、エステル類等が使用され
る。 又、これらの処理剤系の濃度は、前記したN−
メチロールアクリルアミドの場合と同様に、乾燥
後のセルロース系繊維基材に対する全付着量が3
〜30重量部、好ましくは6〜20重量部となるよう
に調整することが望ましく、3重量部未満の付着
量では効果が十分でなく、30重量部をこえると積
層体にした時、板がもろくなり打抜加工性を劣化
させる。 上記の条件で調整した処理剤の浴液又は懸濁液
にクラフト紙、リンター紙等のセルロース系紙基
材、場合によつては綿、レーヨン等のセルロース
系布基材を浸漬浴、ロールコーターあるいはスプ
レー等を用いて含浸した後、乾燥することにより
浴媒を除去した処理基材を得る。望ましい乾燥温
度は通常70〜150℃であり、乾燥時間は1〜60分
程度である。 なお、用いるハロゲン含有不飽和ポリエステル
樹脂液は前述したもので良い。 以上本発明にかかわる2種の紙のプレ含浸処理
(紙の予備処理)について述べた。 この方法によつて得られる積層体の打抜加工性
は優れているが、すぐれた低温打抜加工性を付与
するためにはハロゲン含有不飽和ポリエステル樹
脂組成物硬化体のガラス転移温度が20〜80℃程度
の樹脂を使用するのが望ましい。 しかし、前述の紙の予備処理の場合に限らず、
本発明においては一般的にガラス転移温度が20〜
80℃程度の時、すぐれた打抜き加工性を有するこ
とを本発明者等は見い出している。 電気用の積層体及び銅張積層体は、実用に際し
通常打抜き加工によつて型取りや孔あけが行なわ
れる場合が多く、従つてすぐれた打抜き加工特性
が要求される。特に近年、電子部品の小型化、回
路の高密度化に伴い、より高度な加工特性が望ま
れているのが現状である。 従来、不飽和ポリエステルを含浸した基材積層
体は、結晶性ポリエステルあるいは常温で固体の
ポリエステルと架橋剤を溶媒を使用して含浸し、
乾燥しプリプレグとしたのち、加熱加圧成形して
積層体が作られてきた。この方法で作られる積層
体はガラス転移温度が高く耐熱性にはすぐれる
が、打抜き加工性とくに通常50〜80℃程度で行わ
れている低温打抜き加工時の加工性に問題があつ
た。 本発明者等は、かかる問題を解決すべく鋭意研
究を行なつた結果、ハロゲン含有不飽和ポリエス
テル樹脂組成物硬化体のガラス転移温度と、かか
る樹脂組成物によつて構成される積層体の最適な
打抜き加工温度との間には、密接な関連があるこ
とが判明した。 積層体の打抜き加工温度は、樹脂組成物硬化体
のガラス転移温度程度乃至該ガラス転移温度から
20℃程度までの温度範囲、特に好ましくはガラス
転移温度から10℃程度の温度領域が好適であるこ
とが見い出された。ハロゲン含有不飽和ポリエス
テル樹脂組成物硬化体のガラス転移温度が20〜80
℃程度、好ましくは30〜70℃程度のハロゲン含有
不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いて積層体を
形成した場合、打抜き加工時の加工温度は該樹脂
組成物硬化体のガラス転移温度程度から20℃程度
までの範囲、特に好ましくは10℃程度の範囲にし
たとき、すぐれた低温打抜き加工性を有すること
を見い出し本発明に到達した。 本発明でいう打抜き加工性は、ASTM−D617
−44の打抜き加工性試験法に従つて行ない、その
採点基準によつて評価した。端面、表面、孔のす
べての評価項目について秀〜可の範囲の評価が得
られた場合に、打抜き加工性は「良好である」と
した。 低温打抜き特性を重視する場合には、ハロゲン
含有不飽和ポリエステル樹脂組成物硬化体のガラ
ス転移温度が20〜80℃程度、好ましくは30〜70℃
程度の不飽和ポリエステル樹脂組成物を使用する
のが好ましい。ガラス転移温度が、約80℃をこえ
たものを用いると、低温打抜きにおいて、端面の
好ましくない欠けまたは虫喰い、端面または孔の
周辺の亀裂あるいは明瞭な隆起、孔壁の極度の欠
け、孔の周辺の著しいふくらみ、または孔の著し
い先細りがおこり易く、20℃未満程度の温度で打
抜き加工すると孔の周辺のふくらみ、あるいは先
細りが著しくなる。後者の場合は、場合により試
験片を冷却する等によつて良好に打抜き加工出来
るけれども現実的ではない。ガラス転移温度が30
〜70℃程度の範囲のハロゲン含有不飽和ポリエス
テル樹脂組成物を使用した場合には、低温打抜き
加工性に特に優れた製品が出来る。 低温打抜き加工タイプの製品の打抜き加工温度
は、通常関連業界において50〜80℃程度の温度が
採用されているが、本発明は約30〜80℃程度の広
い加工温度範囲において良好な打抜きが出来る各
種製品を提供することを可能にする。 低温打抜き特性を重視する時のハロゲン含有不
飽和ポリエステル樹脂は、用いる原料、たとえば
ハロゲン化グリコール及びグリコール類の種類及
びこれらとハロゲン化酸、飽和二塩基酸類、不飽
和二塩基酸類の共重合比率、さらに加橋用モノマ
ーの種類や配合比率によつて硬化樹脂の諸性状が
変化し、従つて製造される積層板の諸性状も変化
する。この目的に用いるハロゲン含有不飽和ポリ
エステル樹脂は、前述したもので良いのである
が、その内で架橋用モノマーと混合して硬化させ
たもののガラス転移温度が20〜80℃程度、好まし
くは30〜70℃程度の範囲に入るような組合せは、
すべて適用可能である。例えば具体的には次のよ
うな組成(モル比)からなるハロゲン含有不飽和
ポリエステル ジエチレングリコール、クロルエンド酸、無水
マレイン酸=3:2:1 1,3−ブタンジオール、クロルエンド酸、無
水マレイン酸=2:1:1 1,4−ブタンジオール、クロルエンド酸、無
水マレイン酸=2:1:1 上記のハロゲン含有不飽和ポリエステル65%と
スチレン35%からなる樹脂液などをあげることが
できる。 上記の樹脂液のうち、ジエチレングリコール:
クロルエンド酸:無水マレイン酸=3:2:1樹
脂を使用した樹脂液硬化体は、ガラス転移温度が
約70℃であるが、この樹脂液硬化体を80℃で低温
打抜き加工評価をした結果、非常に優れた低温打
抜き加工性を示した。 又、架橋用モノマーとしての重合性単量体は、
一般的にスチレンが用いられるが、ビニルトルエ
ン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ジビニ
ルベンゼンなどの置換スチレン類、酢酸ビニル、
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル(例
えばアクリル酸ブチル等)、フタール酸ジアリル、
シアヌル酸トリアリルなどの重合性エステル類あ
るいは、これらとスチレンとの混合物を使用して
もよく、これら重合性単量体を含むハロゲン含有
不飽和ポリエステル樹脂組成物硬化体のガラス転
移温度が20〜80℃程度好ましくは30〜70℃程度の
範囲に入るように配合すればよい。さらに樹脂硬
化体のガラス転移温度を20〜80℃程度、好ましく
は30〜70℃程度の範囲に入るように調整するもう
一つの方法は、ガラス転移温度が高いハロゲン含
有不飽和ポリエステル樹脂を使用する場合、これ
にハロゲン非含有硬化性樹脂として硬さ調整用不
飽和ポリエステル樹脂を混合使用することであ
る。 硬さ調整用不飽和ポリエステル樹脂とは、不飽
和ポリエステルのポリオール成分あるいは酸成分
として、ソフトセグメントとなるようなものを含
む不飽和ポリエステル樹脂であつて、特に限定さ
れるわけではないが、軟質、超軟質樹脂として市
販されているものなど、例えば武田薬品製ポリマ
ール6320F、昭和高分子製リゴラツク70F、三井
東圧製エスターF2240を使うことが出来る。この
硬さ調整用不飽和ポリエステルのブレンド量につ
いては、使用するハロゲン含有ポリエステル樹脂
即ちハロゲンの種類と量及びガラス転移温度及び
使用する硬さ調整用不飽和ポリエステルのガラス
転移温度と得ようとする難燃性のレベル低温打ち
抜き加工性のレベルなどによつて異なるが、一般
的には硬さ調整用ポリエステルが1〜50%、好ま
しくは10〜35%の範囲が望ましい。 さらにゴム、可塑剤、充填剤その他添加物など
を配合することも可能であるが、これらを配合し
て硬化させた樹脂組成物硬化体が本発明の範囲に
入るように調整される必要がある。ゴムとしては
ポリブタジエン及び/又はその共重合体のマレイ
ン化物など、可塑剤としてはアジピン酸あるいは
フタール酸とグリコールからの、市販されている
エステル系可塑剤、エポキシ化大豆油などであ
る。無機物としては、ポリエステル樹脂の充填剤
として使われる炭酸カルシウム、無水珪酸、酸化
チタンなどがあげられる。又さらに添加剤として
添加型難燃剤を添加することが望ましい。市販さ
れている添加型難燃剤、即ち非ハロゲンりん酸エ
ステルや含ハロゲンりん酸エステル、例えばトリ
オクチルホスフエート、トリフエニルホスフエー
ト、トリクレジルホスフエート、オクチルジフエ
ニルホスフエートやトリス(クロロエチル)ホス
フエート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフエ
ート、トリス(クロロプロピル)ホスフエート、
ビス(2,3−ジブロモプロピル)2,3−ジク
ロロプロピルホスフエート、トリス(2,3−ジ
ブロモプロピル)ホスフエート、ビス(クロロプ
ロピル)モノオクチルホスフエート、これらとハ
ロゲン含有添加剤との混合物、例えばハロゲン含
有複合リン酸エステルなどをあげることができ
る。さらにこのほか酸化アンチモン、ジルコニウ
ム化合物、水酸化アルミニウムなどの無機系難燃
剤なども好ましい。 基材としては前述した良く知られたものを用い
ることが出来るが、とくに紙を基材として用いた
ときに望ましい製品を得ることが出来る。 このようにして製造された積層体または銅張り
積層体は約30〜80℃程度の加工温度の時、好まし
い打抜き加工性を示し、本発明によれば、従来の
難燃不飽和ポリエステル基材積層体の欠点を解決
するとともに、従来の難燃フエノール積層体より
も打抜き加工性のすぐれたものも得ることが出来
る。 本発明においてシート状基材へ樹脂液を含浸さ
せる際、従来法のごとく、溶剤との混合物である
いわゆるワニスを含浸する場合に比して、含浸す
る樹脂液の粘度が高い為に十分な配慮が必要であ
る。 含浸装置2には、第4図乃至第6図の如く、樹
脂液を溜めたバス中へ基材6を通過させながら樹
脂液を含浸する方法と、第1図の如く、水平搬送
されるシート状基材1の上面へノズルから樹脂液
を供給するカーテンフロー方式とがある。浸漬
(デイツプ)型の含浸方法は基材内部に気泡を残
しやすいので注意が必要である。カーテンフロー
方式による含浸方法は多数枚のシート状基材に同
時に含浸できるという機械上のメリツトや、気泡
を除きやすい点ですぐれている。しかしこの方法
では、基材の上面より樹脂液でぬれ始め、巨視的
に下面まで含浸が進んだ段階においても、特に基
材が紙の場合は微視的には多数の気泡を含んでい
る。しかし、気泡は徐々に消失し、ほとんどなく
なるまで通常7〜20分を要する。気泡の一部は硬
化の過程で消失するものがあるようだが、通常上
記のごとく気泡が消失する以前に積層され硬化し
た場合は、製品の内部に小さな気泡を含有するこ
ととなる。そのため積層体の熱伝導性を損ね、従
つて、製品上に搭載された電子部品に好ましくな
い過熱をまねいたり、積層体の透明性や品位を損
ねる。勿論含浸性は圧力、粘度、基材と樹脂液の
濡れ性(接触角)、時間等のパラメーターに依存
して異なるが、一般的には上述の様相を呈する。 前記したごとく、通常7〜20分程度の含浸時間
を要するということは、それだけ含浸開始から樹
脂液含浸基材が積層されるまでの間に含浸基材を
個別に搬送する距離を長くする必要性や、あるい
は全体のラインスピード(搬送速度)が低速に制
限されることになる。しかし実用化のためには、
より速い含浸速度の確保が好ましい事はいうまで
もない。 従来法による製品中の気泡は、多分に含浸条件
や硬化の際の加熱、加圧条件と相関があつて、含
浸時間は長い程、含浸基材内部の気泡を減少さ
せ、成形圧は高い程、硬化の際に残存気泡を樹脂
層に溶解させるので、有利であると言われてい
る。しかし、長い含浸時間や高い成形圧は、生産
性は低下し、装置は大形化して不利である。 本発明は樹脂液を減圧処理することによつて、
短い含浸時間で、かつ硬化の際の成形圧が実質的
に無圧であつても、製品中の気泡をほぼ完全に排
除できることを特徴とする。 本方法によれば、同一含浸方法及び同一製造方
法であつて減圧処理をほどこさない他の方法と比
較すると、1/3〜1/10に含浸時間を短縮出来る。 本発明でいう減圧処理とは、樹脂液を大気圧以
下の環境にさらす処理を意味する。従つて、たと
えば硬化用触媒の配合された樹脂液を耐圧容器に
入れ、容器中の空間を減圧する。又は減圧容器中
に樹脂液を随時注入する。又は樹脂含浸基材を一
旦減圧容器中にて処理する等の方法によつて実施
できるが、これに制限するものではない。前2者
の場合、含浸時に大気に接触するが差しつかえな
い。 いつたん減圧処理した液は、容器中で大気に略
30〜60分放置しても効果を損ねない。減圧力条件
は、樹脂液中の溶剤やモノマーの蒸気圧によつて
決定されるが2〜100mmHg程度が良い。処理時間
は処理方法に依つて異なるが、減圧容器中に樹脂
液を滴下する方法では数分程度で十分である。減
圧処理は、易揮発性の大量の溶剤を必要とせず含
浸可能な、かつ硬化反応過程で気体や液体等の反
応副生成物を実質的に発生せず、無圧成形可能な
樹脂液に対して、より効果的である。何故なら、
溶剤による減圧処理条件の制限を受けず、実質的
に無圧成形が可能であるが、この成形条件での気
泡発生の危険を安全に回避でき、硬化の際に加圧
を必要としない。特に、常温で液状であるハロゲ
ン含有不飽和ポリエステル樹脂が、本発明の極め
て好ましい実施態様の一つであり、粘度が0.1〜
30ポイズ程度、好ましくは0.5〜15ポイズ程度の
市販のものはどれでも適応可能である。 ハロゲン含有不飽和ポリエステル樹脂の架橋用
モノマーとしては、スチレンが一般的に使用され
ているが、スチレンの常温における蒸気圧は6mm
Hg程度であり、本発明においてもスチレンを使
用するのが好ましい。樹脂液中のスチレンの占め
る割合は30〜50重量%程度が一般的である。この
場合は、圧力が2〜30mmHg程度の容器に注入す
る方法で十分に目的が達せられる。 第1図の装置は以上述べた減圧処理を含浸用樹
脂液に継続的に行ない、さらに該減圧処理ずみ樹
脂液を、搬送されている多数枚のシート状基材に
連続的に供給するものである。 樹脂液貯蔵部8は、パイプ15によつて円筒状
密閉容器で構成した減圧装置9の上部に接続され
る。該パイプ15は一端を樹脂液貯蔵部8の底部
に開口し、他端は減圧装置9の上部に設けたノズ
ルに連結されており、減圧装置9の負圧により、
樹脂液は貯蔵部8から抽出され、パイプ15を通
じて減圧装置9へ噴出する。減圧装置9のノズル
にコツク16を設けることにより、或は供液ポン
プ(図示せず)を用いて噴出量を制御しても可
い。減圧装置9は側面に脱気口を具え、リークバ
ルブ、コールドトラツプ18を経て油回転型真空
ポンプ19に接続され、減圧装置9の内部は負圧
好ましくは30mmHg以下に減圧される。真空度は
マノメータ20により制御される。減圧装置9の
下部は樹脂液供給ポンプ21を介して含浸装置2
に連結されている。樹脂液貯蔵部8から抽出さ
れ、減圧装置9中へ噴出した樹脂液は、減圧装置
の円筒状密閉容器中を落下する。減圧装置9中で
の落下距離を50〜100cm程度にすれば、通常は減
圧処理は終了する。落下した樹脂液は常に一定量
が容器下部に存在する様にしておくと、減圧処理
済み樹脂液を安定供給出来る。 樹脂液供給ポンプ21の能力に応じて背圧を調
整する必要のある時は、供給ポンプよりも円筒状
密閉容器を上位に位置させ、あるいは、減圧処理
ずみ液をいつたんクツシヨンタンク(図示せず)
に貯蔵しても良い。ついで、供給ポンプ21によ
り樹脂液を含浸装置2に供給するが、含浸バスを
用いる場合、長時間バス内に樹脂液が滞留してし
まう装置は好ましいと言えない。基材に樹脂液を
直接に供給できるカーテンフロー方式が好適であ
る。オーバーフローした樹脂液は樹脂液貯蔵部8
に回収し、再び減圧処理に供する。 樹脂液を含浸した基材は多数枚連続的に搬送さ
れ、続いて、例えばロール対で構成された積層装
置3を用いて重ね合せ、同時に両面に、被覆用フ
イルムあるいは接合すべき金属箔をラミネート
し、実質無圧状態で熱硬化炉4中へ搬送される。
硬化終了後、所定の長さに切断し、積層体7ある
いは金属箔張り積層体を得る。 減圧処理は、セルロース繊維を主成分とした
紙、ガラス布、ガラス繊維不織布、石綿布或は合
成織布、合成繊維不織布など、従来法で使われて
いるものはどれでも適応でき、紙やガラス布は特
に効果的である。 この方式はすぐれた生産性を確保し得る点で驚
くべきことであり、本発明者はかかる事実の理由
に関して十分な解明を行なつていないが、減圧処
理によつて樹脂液中に溶存している空気の溶解量
が減少した結果、処理後、樹脂液の空気の溶解可
能量が増大し、それ故に含浸時に基板にとじこめ
られた空気が、十分な速度で含浸樹脂液中に溶解
でき、硬化終了までの間に内部の気泡が消滅して
しまうものと推察している。減圧処理は、触媒や
改質剤等を樹脂液へ混合する時に巻きこまれた気
泡を除去する効果もあると考えられるが、それは
本発明の主眼ではない。粘稠な樹脂液中の脱泡を
目的として静置せる樹脂液を減圧下に処理するこ
とはよく知られている。 従来行なわれている脱泡のための減圧処理は、
本発明で実施する減圧処理とは同じでないと考え
られる。何故なら、静置して十分に脱泡した4ポ
イズのハロゲン含有不飽和ポリエステル樹脂液を
紙に含浸しても、含浸速度は静置前のものに比し
て同等である。しかるに、本発明で述べた減圧処
理を樹脂液に施し、しかる後に故意にかきまぜ、
気泡を含んだものを含浸すると、含浸紙内部の気
泡が消失する時間は著るしく短縮されることから
推定される。いずれにしても本発明により減圧処
理することによつて、含浸紙内の気泡が消失する
時間は、通常明らかに7分以下、2〜5分とな
る。 本発明の減圧処理方法は、既述したごとく静置
せる樹脂液を減圧下にさらすよりは、むしろ減圧
容器に噴出させる等、処理する樹脂液の表面積を
増大させる方法が好ましい。この方法によれば、
たとえ処理液中に気泡を含み、さらに供給時に気
泡を巻きこんでも、本発明の効果は失なわない。
本発明の方法によつて減圧処理をすれば、溶存し
ている酸素を減少せしめる効果もあつて、ハロゲ
ン含有不飽和ポリエステル樹脂の硬化の際のラジ
カル反応への酸素の影響を排除できる。 室温で液状であるハロゲン含有不飽和ポリエス
テル樹脂の場合、通常の市販品は、0.03〜0.1%
程度の水分を含んでいる。本発明の減圧処理によ
つて、これを0.04%以下、好ましくは0.02%以下
にすることが、水分の気化にもとずく気泡を排除
し、さらに硬化反応を阻害せず、製造上及び製品
性能上好ましい。 複数枚の樹脂液含浸基材は、積層工程におい
て、それぞれが収束し、ロールとブレード状物、
或は2本のロールを用いて積層される。この際、
個々の含浸基材に含浸或は付着していた過剰な樹
脂分は排除できる様に、ロールとブレード状物或
はロール間の間隔を所望の製品厚みに応じて調節
する。 積層と同時に、あるいはその後、別途設置して
あるラミネーターによつて、被覆物がラミネート
されるが、この被覆物の巾方向の寸法が積層され
た樹脂液含浸基材の両端部より出る程度のものが
よい。この様な被覆物を用いると、ラミネートの
際樹脂液含浸基材積層物の端部から過剰な樹脂液
が絞り出される場合があつても、かかる樹脂液を
保持出来て好適である。 本発明はシート状基材を積層し、上下面にフイ
ルム状或はシート状被覆物(以下単に「被覆物」
と略記することがある)をラミネートした後、硬
化工程に於て連続的な加圧が本質的に不必要であ
るというのが好ましい実施態様であるから、極め
て種々の被覆物が目的に応じて選択可能である。
例えば厚みが10〜200μ程度の各種離形紙やセロ
ハン、或はテフロン、ポリエステル等の各種合成
樹脂フイルム、又はアルミニウム、銅、ステンレ
ス、鉄、リン青銅の各種金属箔が使える。 第4図の実施例に示す如く、被覆物10は樹脂
液の硬化後、積層体から剥離し、回収ロール22
に巻き取れば被覆物の再使用が出来、コスト面で
望ましい。この為には被覆物が硬化積層体から容
易に剥離することが好ましく、熱硬化性樹脂と被
覆物とを適切に組合せ、必要であれば離形剤を使
用する。本発明においては、被覆物をエンドレス
なべルト状にして使用すれば、被覆物の剥離、再
使用が連続的に出来て好ましい。この場合、厚さ
1mm程度のシート状物が使用出来、材料はステン
レス、リン青銅、テフロンが好適である。離形剤
は、被覆物をラミネートする以前に、積層体表面
へ接する側の被覆物表面の全面又は両縁部に予め
塗布される。被覆物の全面に離形剤を塗布する
と、製品である積層体に離形剤が移行することが
あり、製品への各種ペーストやレジストの印刷性
能を損ねて好ましくない場合がある。その様な場
合は、離形剤は積層体の両縁部へ塗布することが
好適である。なぜなら積層体が熱硬化炉4を通過
した後、被覆物を剥離してから製品の両縁部を除
去することにより、離形剤が塗布された部位は製
品となることがないので、既述の好ましくない影
響は排除出来る。離形剤はシリコーン系の離形剤
が適当であり、例えばダイフリーMS743(商品
名、ダイキン工業株式会社製)が良い結果を与え
る。 製品の特性の中、平滑性は製品への抵抗ペース
トやレジストの印刷のために重要であり、透明性
は、これら印刷パターンの形や後述するごとき、
印刷回路板の回路パターンを裏面より確認できや
すい点で意味がある。 本発明においては樹脂液含浸基材を必要枚数積
層するが、この時ロールやブレード状物等を用い
て、過剰な樹脂液を排除しつつ、或は重ね合せの
際にまきこまれた気泡を排除しつつ、必要樹脂量
を制御することが望ましい。シート状基材の積層
と同時に(第1図)、或は積層装置の下流側に設
置されている一対のロールで構成したラミネート
装置23(第4図)によつてラミネートされる
が、この時樹脂液含浸基材の積層物に圧縮力が働
く。 一般にこの時点では基材の表面は巨視的、微視
的に平滑でないので、剛性の小さい被覆物を用い
ると、この微視的及び巨視的な凹凸に被覆物が追
従し、かつ本発明においては、無圧の条件下で硬
化させるが故に、製品の表面性が十分でない場合
が起る。 本発明者の研究によれば、E・d3Kg・cm(但し
Eは弾性率Kg/cm2、dは厚さcm)で規定されるフ
イルム状或はシート状物の剛性値が3×10-3Kg・
cm以上である時、実用的に好ましい表面の平滑性
が得られた。さらに剛性値が5×10-1Kg・cm以上
である時、より望ましい結果を得る。かかる被覆
物で両面をカバーし、樹脂液を硬化させることに
よつて、本発明は達成される。 本発明においては基材として、厚みが200〜
300μ、秤量が150g/m2前後のリンター紙やクラ
フト紙が好適である。これらの紙は通常、第2図
に示すごとき微視的な凹凸を有するが、剛性値が
3×10-3Kg・cm未満の被覆物、例えば厚さが35μ
のポリエステルフイルム(曲げ弾性率が28100
Kg/cm2であり、従つて剛性値は1.54×10-3Kg・cm
であつた)を用いると第2図に示すごとく、フイ
ルムが紙の凹凸に追従し、表面の平滑性が良好で
ない製品となる。被覆物の剛性値が3Kg×10-3
Kg・cmを超えると、基材の凹凸に対する追従が軽
減される。例えば剛性値が2.81×10-2Kg・cm、厚
さが100μのポリエステルフイルムを用いた場合
は、第3図に示すごとき、基材の凹凸に対する追
従は軽微となる。より望ましくは、剛性値が5×
10-1Kg・cm以上の被覆物、例えば厚みが100μであ
るアルミニウム箔(曲げ弾性率は0.67×106Kg・
cm2、従つて剛性値が6.7×10-1Kg・cm)、あるいは
厚みが100μのステンレス箔(曲げ弾性率は18600
Kg/cm2、従つて剛性値は1.86Kg・cm)等が本発明
において好適である。 被覆物は単独のフイルム或はシート状物でもよ
く、又、複合化されたフイルム或はシート状物で
もよい。 一般に剛性は温度が上昇すると低下するが、本
発明においては、被覆物の積層体へのカバーは通
常は室温で可能であるから、室温における剛性値
を適応するが、特にプラスチツクフイルムで硬化
温度において著しく剛性値が低下ずるものは好ま
しくない。又、硬化したハロゲン含有不飽和ポリ
エステル樹脂と接着性が大きいものは好ましくな
い。この観点から、セロハン、ポリエステル、ポ
リプロピレン、テフロン、ポリアミドイミドフイ
ルム等が適当である。又、アルミ箔、圧延銅箔、
ステンレス箔は好適である。このように本発明に
おいては被覆物と積層体の間に特別の離形剤や或
は離形紙を用いることなく容易に被覆物の剥離が
可能であり、離形紙の挿入は必ずしも必要でな
い。もし離形の目的でフイルム状物を挿入する場
合は被覆物と接合した複合シート状物であること
が好ましい。被覆物はロール巻き状態から連続的
に送り出し、又剥離後、巻取りながら回収出来る
様に、長尺であることが望ましい。更に被覆物を
エンドレスベルトの形態にすると、連続的な繰り
返し使用が出来る。 このような使用のために、被覆物の剛性値は3
×10-3Kg・cm以上で、かつ可撓性を有するものが
好ましい。剛性が高すぎると可撓性が低下するの
で、3×10-3Kg・cm〜3×10+1Kg・cmの範囲が好
適である。 又第3図から容易に推察出来る如く、製品の表
面性幾何学性状は、被覆物の表面粗さ、幾何学的
な表面性状に影響される。製品の表面状態は特に
電気的用途の積層体に極めて重要な特性の1つで
ある。たとえば、絶縁基板に抵抗ペーストを塗布
して皮膜形のコンポジシヨン炭素抵抗器を製造す
る場合、該絶縁板の表面粗さが大きいと、塗布さ
れた抵抗体に異状な突起やピンホールが発生し、
該突起部やピンホールは使用時のノイズの原因と
なり、また使用寿命を低下させる。好ましい表面
平滑性は、Rmax(表面粗さの最大高さ)が約5
ミクロン以下、より好ましくは約4ミクロン以下
である。他方、Rmaxが著しく小さくなると、該
抵抗ペーストと絶縁基板表面との接着力が低下
し、塗布された抵抗体の剥離が生じる場合があ
る。該抵抗ペーストと絶縁基板との接着性は、化
学的な因子即ち抵抗ペースト及び絶縁基板の相溶
性或は極性と、物理的な因子即ち絶縁基板の表面
粗さが重要な因子であるが、Rmaxが約0.4ミク
ロン以上の場合は塗布された抵抗体と基板との接
着性やペーストの転移性は良好である。 表面平滑性は、JIS−B0601に準拠した。測定
は、触針先端半径2.5ミクロン、測定力0.1gの条
件で触針式表面あらさ測定機によつて実施した。 本発明において上記のような積層体を得るため
には、表面あらさが0.4ミクロン以上約5ミクロ
ン以下であるフイルム状あるいはシート状被覆物
を用いることにより達成できる。 以上基材が紙の場合について述べたが、他の基
材の場合も同等である。たとえばガラス布の場合
は、織り目にもとづく凹凸があるが支障はなく、
本発明が適応できることは自明である。 以上、両面を被覆物でカバーした場合の電気用
積層体について記載したが、前記した被覆物を含
浸基材の積層物の片面に積層し樹脂液の硬化後に
剥離するが、積層物の他面には、被覆物の一種で
あるが剥離することは目的としない張り合せ用金
属箔をラミネートすることにより、あるいは積層
体の両面に張り合せ用金属箔を接合する目的でラ
ミネートすることによつて表面の平滑性に優れた
電気用積層体を製造出来る。 張合せ用金属箔としては、印刷回路板の用途を
目的とした電解銅箔が広く市場に出回つており、
これを用いることが耐蝕性、エツチング性、接着
性等の観点から好ましい。 次に、印刷回路用基板を目的とした電解銅箔、
電解鉄箔、或はアルミニウム箔等を片面もしくは
両面に張り合せた片面金属箔張り積層体及び両面
金属箔張り積層体について述べる。 市販のたとえば1オンス/ft2の電解銅箔を用
いる場合、前述した理由によつて、基材が特に紙
の場合、従来法のプレス成形品に比して、若干銅
箔表面の平滑性が劣る場合があるが、本発明者の
検討によれば、このことは、スクリーン印刷性や
エツチング、その他の特性に何らの悪影響を及ぼ
さない。 たとえば本発明において、前述した方法で直接
に電解銅箔等を接合しても、注意深く実施すれば
実用的なものが製造できる。一層高性能な製品を
得るためには、樹脂含浸基材の積層時、もしくは
積層後、積層体に金属箔を連続的にラミネートす
る際、金属箔と積層体間に継続的に接着剤を供給
することにより、より好ましい金属箔張り積層体
が得られる。 従来行なわれていた加圧を必要とするバツチ生
産方式では、例えば紙基材フエノール樹脂銅張り
板の製造には、フエノール変成ブチルゴム系接着
剤をB状態に焼き付けた接着剤付き電解銅箔が用
いられているが、連続製造方法においては、市販
の接着剤付き金属箔を用いるよりも、第6図の装
置の如く、重ね合された樹脂含浸基材に金属箔1
0をラミネートする構成に於て、積層基材と金属
箔との間へ、接着剤タンク27に貯蔵した適切な
接着剤を接着剤供給装置28によつて連続的に供
給することが生産性及び品質面で好ましいことが
判つた。更に好ましくは、ラミネートの直前に金
属箔へ塗布し、次いで途膜の適切な熱処理を行な
うことである。金属箔と樹脂含浸基材との接着を
効果的に達成するためには、接着剤は、溶剤等の
除去すべき成分を含まず、かつ硬化過程で、不必
要な反応副生成物を発生しない、液状もしくは半
流動体、即ち粘度にして好ましくは5000ポイズ以
下であるような接着剤が好適である。かかる観点
から、たとえば不飽和ポリエステル系接着剤、エ
ポキシ樹脂系接着剤、ポリイソシアネート系接着
剤、もしくはこれらの各種変成接着剤が好適であ
る。 かかる接着剤の導入により、金属箔の接着強度
に優れ、かつハンダ耐熱性や電気絶縁特性に優れ
た金属箔張り積層体を連続的に製造できる。 金属箔と積層体の間への供給方法は、金属箔を
ラミネートする直前で金属箔にコーテイングして
もよく、あるいは積層体表面にコーテイングし、
金属箔をラミネートしてもよく、あるいはラミネ
ート時の接合面に注入してもよい。 しかし、前記の方法では、接着剤の供給方法に
よつては、内部に気泡をまきこんだり、樹脂液の
種類と接着剤のある組合せでは、異常硬化や混合
物の分離が起る場合があつて、歩どまりや品質を
低める場合があつた。 そこで本発明はさらに改良した方法も提案して
いる。それは、金属箔の供給装置11から引き出
された金属箔10をラミネートする直前に、第6
図の如く接着剤コーテイング装置25及び接着剤
熱処理装置6を配置し、金属箔に接着剤を連続的
に塗布し、塗膜を加熱処理する工程を付加したも
のである。接着剤コーテイング装置25は、通常
のロールコーター、ブレードコーター、ワイヤバ
ーコーター、コンマコーター等が使用出来る。 塗膜を熱処理する第1の目的は、溶液系の接着
剤を用いる場合の溶媒の乾燥であつて、本発明に
おいては従来法のごとき溶媒の乾燥後、非粘着性
でなくてもよい。第2の目的は、熱硬化型の接着
剤のプリキユアであつて、ラミネート時のキユア
の程度を適度に制御する。この際キユアを進め過
ぎるのは好ましくなく、一般的に若干の粘着性を
有する程度に制御するのが良い。第3の目的は、
特に、たとえば2液混合型のエポキシ樹脂系接着
剤を用いる時、これの粘度は比較的高く、そのた
め混合時気泡をまきこみ、塗膜に気泡を含有する
場合があるが、これはかかる熱処理によつて除去
できる。 以下、ハロゲン含有不飽和ポリエステル樹脂と
エポキシ系接着剤を用いた紙基材銅張り積層体を
例にとつて説明すると、接着剤としては、ビスフ
エノールA型エポキシ樹脂とポリアミド樹脂から
なる混合物等が好適である。 紙の巻き出しリールから巻き出された紙は含浸
バスで樹脂液と接触し、樹脂含浸紙となり、たと
えば7枚の樹脂含浸紙がロール対で構成した積層
装置3を用いて重ね合わされ、この重ね合された
ものに電解銅箔がラミネートされる。該箔には前
記のごとく接着剤が塗布されている。 エポキシ系接着剤を用いる場合、熱処理は100
〜150℃の温度で2〜7分程度行なうのが良い。
ラミネートの際に常温に冷却されていてもかまわ
ない。熱処理の程度は、指触により若干の粘着性
が残存する程度の熱処理が良い。完全に指触乾燥
を行なうとポリエステル樹脂含浸紙との接着を損
ね、又、あまりに粘着的であると、その後の硬化
の過程での樹脂液と接着剤の混合が大きく、場合
によると接着剤の性能が低下する場合がある。接
着剤の塗膜の厚みは5〜100μ程度でよく、殊に
25〜80μ程度が好適である。 ついで硬化炉4へ搬送される。この際必要に応
じて金属箔を接合した面の対面に、セロハンやポ
リエステルフイルム等のカバーフイルムをラミネ
ートする。カバーフイルムに代えて金属箔を使用
し、両面金属箔積層体を製造することもできる。
硬化条件は、触媒、搬送速度等に適合して選択さ
れねばならないが、たとえば100℃、1時間が良
い。 以上のような方法によつて、銅箔の剥離強度が
1.6〜2.0Kg/cmであるNEMA規格におけるXP(エ
ツクスピー)〜XXXPC(トライエツクスピーシ
ー)程度の銅張り積層体をすぐれた生産性で製造
できる。 以上述べたごとく本発明は、未だ工業的に実用
化されていない金属箔張り積層体の連続製造を可
能とした。 基材に含浸させるハロゲン含有不飽和ポリエス
テル樹脂は、常温で液状のものが好ましいが、そ
れに限定されず、常温で固形であつても加熱によ
り液状となるものであれば、本発明の目的に使用
出来ることは勿論である。 次に本発明の接着効果を一層向上する例を述べ
る。 ハロゲン含有不飽和ポリエステル樹脂を用い、
接着剤としてエポキシ系樹脂を用いる場合、両者
の硬化の速度が適合する観点から、アミン硬化型
のエポキシ樹脂を用いるのが好ましいが、この際
ハロゲン含有不飽和ポリエステル樹脂硬化用触媒
として用いる過酸化物として、パーオキシジカー
ボネート類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロ
パーオキサイド類、あるいはジアシルパーオキサ
イド類等を用いるよりは、パーオキシケタール
類、ジアルキルパーオキサイド類あるいはパーオ
キシエステル類から選ばれた一種あるいは複数種
の過酸化物を用いる事がハンダ耐熱性や電気絶縁
特性及び接着性において特に好ましい結果を得
る。樹脂液に対して0.5〜2.0部程度の配合量が良
い。これの理由については本発明者は十分に解明
していないが、一般にハンダ耐熱性や電気絶縁特
性及び接着性は接着剤硬化物の性状に依存する
が、樹脂含浸基材と接着剤が接触し、硬化が終了
する過程で、過酸化物の接着剤層へ拡散、あるい
は樹脂液と接着剤の混合が発生するものと推察で
き、パーオキシジーカーボネート類やケトンパー
オキサイド類あるいはハイドロパーオキサイド類
あるいはジアシルパーオキサイド類を用いた場
合、これらのものが、エポキシ樹脂の異常硬化を
引きおこすことがあつて、得られる硬化物の性状
が十分ではない場合があるものと考えられる。 従つて好ましい触媒としては、パーオキシケタ
ール類として、例えば1−1−ビス(t−ブチル
パーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキ
サン、1−1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シ
クロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−
ブチルパーオキシ)バレレート;ジアルキルパー
オキサイド類として、例えばジ−t−ブチルパー
オキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3;パーオキシ
エステル類として、例えばt−ブチルパーオキシ
アセテート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘ
キサノエート、t−ブチルパーオキシラウレー
ト、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどであ
る。 エポキシ樹脂としては、ビスフエノールA型の
ものが好適であり、アミン硬化剤としては、脂肪
族アミン、芳香族アミンなど、良く知られている
ものはどれでも適応できる。さらに、ポリアミド
樹脂、末端アミノ基ポリブタジエンニトリルゴム
などもこの種の硬化剤として良い。あるいは、上
記硬化剤の混合物などが良い。 金属箔張り積層体の難燃性を向上させるには金
属箔との接着に用いる接着剤に難燃性接着剤を採
用するのが好ましい。難燃性接着剤としては、例
えばエポキシ系、ゴムフエノール系、ポリビニル
アセタールフエノール系可燃性接着剤を難燃化し
た接着剤であればよく、特に限定されない。難燃
化の方法について例えばエポキシ系接着剤につい
て言えば、その構成成分であるエポキシ樹脂の部
分の一部又は全部をハロゲン含有エポキシ樹脂或
はハロゲン含有モノエポキシ化合物などで置きか
えるか、これにハロゲン化合物、ハロゲン含有リ
ン化合物、三酸化アンチモン、ジルコニウム化合
物、水酸化アルミニウムなどの難燃剤を併用する
ことによつて達成される。さらに詳しくは、テト
ラブロモビスフエノールAのジクリシジルエーテ
ル、2,2−ジブロモ・ネオベンチルグリコー
ル・ジクリシジル、エーテル、ジブロモクレゾー
ルモノグリシジルエーテルとビスフエノールAの
ジクリシジルエーテルをアミン系硬化剤あるいは
酸無水物硬化剤で硬化させることができる。 なお、金属箔を接着する難燃性接着剤層の厚み
は、例えば5〜100μ、好ましくは25〜80μ程度が
採用される。 以上述べたごとき方法を注意深く実施すること
により、性能の優れた金属箔張り積層体を効率良
く製造することが出来るが、さらに、特に樹脂含
浸基材と接着剤とが接触する部分に、ビニル基等
の不飽和二重結合とエポキシ基を併せ有する化合
物、例えばグリシジルメタアクリレート、グリシ
ジルアリルエーテル、部分的にエポキシ化された
大豆油等を介在せしめることにより、ハロゲン含
有不飽和ポリエステル樹脂層とエポキシ樹脂層の
親和性が一層向上し、製造条件の変動によつて生
ずる界面での剥離による不良品の発生を抑制する
のに効果的である。又、銅箔表面へ表面処理剤特
にシランカツプリング剤を適用すると更に良い結
果が得られる。この表面処理剤の塗布は、金属箔
表面に接着剤を塗布する場合はそれに先立つて実
施する。 シランカツプリング剤としては、一般的に無機
物と有機物の接合面に使用されるものはどれでも
適応可能であるが、ユニオンカーバイド製A−
1100、A−187が好適であつた。シランカツプリ
ング剤の0.1−1%アルコール類溶液或は水溶液
を金属箔へ薄く連続して塗布し、しかる後連続的
に乾燥するのが良い。 本発明に於いては、表面処理剤を用いるか否か
に拘らず、金属箔を熱風炉中を通過させて100℃
の熱風で数分間乾燥するのが良い。 基材も同じく含浸工程の直前で熱風又は蒸気加
熱シリンダーによつて、100℃で数分乃至20分間
乾燥する。乾燥によつて付着している水分を除去
し、接着剤や樹脂との接着性を向上した。 製品のソリ、ねじれ等の変形を最小限度にとど
めるため、次の発明に到達した。 一般に硬化型樹脂は、硬化とともに体積が収縮
し、樹脂内部の残留ひずみや、製品のソリやねじ
れの原因となる。又、樹脂の硬化が完結していな
い場合は、製品がその後加熱される環境下におか
れた場合、あらたなソリやねじれを発生する。又
硬化が不完全であると、耐熱性、耐薬品性、機械
的特性を著しく低下させる。 又、樹脂の硬化が完結していない場合は、製品
がその後加熱される環境下におかれた場合、あら
たなソリやねじれを発生するのみならず、硬化が
不完全であると、耐熱性、耐薬品性、機械的特性
との性状を著しく低下させる。本発明者の研究に
よれば、積層体を連続的に製造する際、硬化を完
結させる為には、極めて長大な硬化装置、あるい
は、極めて遅いラインスピードを必要とする問題
がある。 本発明は、積層体の硬化がある程度進行した段
階で切断し、しかる後、定尺寸法に切断したもの
を、多層積み上げ、加熱室に入れて硬化を進行さ
せる事により、切断後多量の積層体の硬化を同時
に進めることができる。従つて、積層体の連続製
造工程で進める硬化は、ギロチンカツターで十分
切断可能で、且つラミネートされている被覆物が
障害なく剥離できる状態までの硬化で十分であ
る。その結果、経済的且つ現実的な硬化装置とラ
インスピードによつて積層体の製造が可能となつ
た。たとえばハロゲン含有不飽和ポリエステル樹
脂を用いる場合、十分な硬化を進める為に通常
100℃で10時間を要するものであつても、切断が
可能となるのは15分程度で十分である。 樹脂層の硬化収縮による残留ひずみは、巾方向
はソリとして解放させることによつて比較的容易
に除去できるが、長尺方向の残留ひずみは長尺体
であるが故に通常除去することが出来ず、従つ
て、製品のタテ、ヨコ方向での残留のひずみに異
方性を生じる。そのため製品がその後加熱環境に
おかれた時のソリの増大やねじれの原因となる。 本発明においては、切断後さらに硬化を進める
ので、その硬化過程で実用上さしつかえない程度
にソリや残留ひずみを等方向にできる。金属箔張
り積層体のソリの大きさは用いる樹脂により異な
り、同一種類の樹脂であつても、組成内容によつ
て変化する。たとえばハロゲン含有不飽和ポリエ
ステル樹脂と紙からなり厚さ35μの銅箔を張つた
厚さ1.6mmの積層体は、JIS−C−6481に定めるソ
リ量が0.5〜30%程度の範囲がある。しかし前記
した連続体を切断した後、なるべくは連続熱硬化
炉の温度より高温で、あるいは実用上製品がさら
される環境と同等の温度で硬化を進め、しかる後
機械的なソリの修正を行なうことにより実質的に
平担とすることができた。この製品は、実用上た
とえば加熱環境下で、製品に発生するソリは著し
く減少することを見い出した。 第5図の装置は、積層体の連続製造に於いて、
切断装置5の下流側へ第2硬化装置29を設置
し、該装置を通過する搬送装置30に積層体7を
載せて150℃、15分間で短時間の硬化を行なわせ、
硬化装置29の出口へ2基のソリ修正装置31
31及びターンテーブル32を配置したものであ
る。長尺積層体7は実用寸法に切断された後、第
2硬化装置29に入り、連続熱硬化炉4の硬化条
件より高温短時間例えば150℃、15分間処理し、
2基のソリ修正装置31 31を通過させる。ソ
リ修正装置に具えた3本の隣接したローラ間に積
層体7は縦横2方向に通過し、ソリは機械的に修
正される。 高い生産性を得るため、被覆物を樹脂液含浸積
層基材の上、下面のみでなく、1乃至数枚を中間
にも挾み込んで積層し、硬化させた後、中間被覆
物を境にして上下に分離することにより多数枚の
積層体を同時に製造することも出来る。 本発明の既述の乾燥時間、含浸時間、硬化時間
は殆んど変化しないから、生産性は飛躍的に向上
するものである。 被覆物は基材を多段に積層する場合のセパレー
ターとしての役割を果すことが解つた。従つて被
覆物の両面に基材を積層し、更に被覆物と基材の
積層を多段に繰り返すことが出来る。 被覆物が金属箔の場合には、成形後に剥離可能
であり、また該金属箔を両側の積層体のいずれか
一方に接着することにより、片面金属箔張り積層
体と両面金属箔張り積層体を同時に得ることもで
きる。この場合必要ならば該金属箔の片面に接着
剤を予め塗布しておく。 実施の一例として、ハロゲン含有不飽和ポリエ
ステル樹脂を含浸した紙基材を積層して、35μ厚
の銅箔張り積層体で厚みが1.6mmのものを製造す
る場合、ハロゲン含有不飽和ポリエステル樹脂が
含浸された紙基材の中間に、例えば予備乾燥され
たセロハンを積層し、その上と下に所定の厚みの
基材を積層して、カバーフイルムとして銅箔を張
り、ラミネートすることによつて同時に2枚の片
面銅箔張りの積層体を製造出来、通常の連続的な
製造法に比較して2倍の生産性を実現できる。 本発明によれば、厚みの異なる種々の品種のも
のを、被覆物を境にして積層し同時に製造できる
ため、品種の切換えによる生産性の低下を防ぎ有
利である。 以上述べたごとく、本発明は連続製造法におけ
る積層体の生産性を飛躍的に向上させうるが、1
段積みで製造する場合に比して、特に硬化時、あ
るいは実用寸法への切断時には、積層体の全体の
厚みが厚いので硬化時の加熱効率、硬化反応熱の
伝熱、放熱等の状況が変化するので配慮が必要で
ある。多段数に応じて、加熱、発熱、伝熱、放熱
をくわしく制御できる加熱炉、たとえば炉内がい
くつかのブロツクに分割され、適切な温度制御が
できる炉を用いる。又、ハロゲン含有不飽和ポリ
エステル樹脂に触媒、硬化剤を用いる場合には、
硬化反応時の発熱を考慮して、外側に位置する含
浸基材の含浸樹脂液に比して、中心部に位置する
基材には触媒等の量を減少させた樹脂液を含浸さ
せるのが望ましい。ギロチンカツターでは切断が
困難な厚みのときには、可動型のスライサーを設
置して切断するのがよい。 次に本発明の製造条件を種々違えて実施した状
況を述べる。各実施例で製造した製品の特性は、
第7表中に、まとめて記載した。 実施例 1(参考例) 製造装置として、第4図に示したものを用い第
3表に示す条件で実施した。 ハロゲン含有不飽和ポリエステル樹脂液とし
て、市販のポリライトNA−281(大日本インキ
製)を使用した。このもの100重量部に対して、
硬化触媒としてクメンハイドロパーオキサイド1
重量部及び硬化助剤として6%ナフテン酸コバル
ト溶液0.2重量部を配合し、ハロゲン含有不飽和
ポリエステル樹脂液組成物を得た。 この樹脂液組成物硬化体の性状は第1表のごと
きであつた。
【表】 シート状基材として、第2表に示すセルロース
繊維を主体とした市販のクラフト紙を用いた。
【表】
【表】
【表】 なお、ポリエステルフイルムは一対のロールか
らなる被覆物剥離装置24によつて剥離し、被覆
物巻き取り装置によつて巻きとつた。 ラミネートローラの間隔調節を行ない、ポリエ
ステルフイルムをラミネートした直後において、
2枚の樹脂液含浸紙基材に対する樹脂液の重量比
率は約55%になるにした。 このようにして最終的に、厚さが0.50mm、外形
寸法が1020mm×1020mmの積層体を連続的に製造し
た。 積層体は40℃の5%カセイソーダ水溶液に30分
浸漬する耐アルカリ性テスト及び煮沸トルエンに
2分間浸漬する耐溶剤性を試験したが、全実施例
を通じて異常なかつた。 実施例 2(参考例) 実施例1において、基材の乾燥装置12として
熱風乾燥装置を運転し、100℃、10分間の条件に
て紙基材を連続的に熱風乾燥装置中を通過させ
た。 他の条件は実施例1と同様である。 実施例 3(参考例) 実施例2において、連続的に搬送する紙基材の
枚数を5枚とし、厚さが1.5mmの積層体を製造し
た。 ラミネートローラの間隔調節を行ない、5枚の
樹脂液含浸紙基材に対する樹脂液の重量比率は約
60%とした。 実施例 4(参考例) 実施例3において、ジエチレングリコール:ク
ロルエンド酸:無水マレイン酸=3:2:1(モ
ル比)になるよう常法によつて合成されたポリエ
ステルに重合性単量体としてスチレンを37重量%
となるように添加した塩素含量23重量%、25℃で
の粘度5ポイズのハロゲン含有不飽和ポリエステ
ル樹脂を使用した。 実施例 5 実施例3において、ハロゲン含有不飽和ポリエ
ステルを次のものに変更した。 重量部 ユピカFPM−231(日本ユピカ製) 80 〃 ポリマール6320F(武田薬品製) 20 〃 SR−500(第一工業製) 10 この樹脂液は25℃での粘度が4.5ポイズ、常温
で液状のハロゲン含有不飽和ポリエステル樹脂で
ある。 なお、この樹脂液から得られる硬化体のガラス
転移温度は約55℃であつた。 実施例 6、7、8 実施例3、4及び5で採用したデイプ方式の含
浸方法をそれぞれ変更し、紙基材上方より樹脂液
を流下させる片面含浸法とした。この結果、製品
中の微視的な気泡は実施例1〜5に較べて殆んど
なくなり、ハンダ耐熱性が一層良好な製品が得ら
れた。なお、製品の試験結果は、それぞれ実施例
3、4及び5の結果と同等であつた。 実施例 9、10及び11 実施例6、7及び8に於いて、樹脂液を予め減
圧処理し、含浸時間を4分に短縮した。減圧処理
は第1図にその1例を示すごとく、内径30cm、高
さ100cmの密閉可能な円筒状容器の上方より、樹
脂液を10/minの割合で内部に噴出させ容器内
の圧力が常に20mmHgとなるように調節した。こ
の減圧処理した樹脂液を該円筒容器の下部よりポ
ンプで抜きとり紙基材の上方へ供給した。 製品中には気泡は殆んど存在せず、製品の特性
は、含浸時間を大巾に短縮したにも拘らず、実施
例3、4及び5の結果と夫々同様であつた。 実施例 12、13及び14 実施例3、4及び5において、硬化用触媒とし
て使用したクメンハイドロパーオキサイドを、脂
肪族系のパーオキシエステル類であるt−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサノエートに変更し
た。 この製品では180℃30分の加熱条件で発生する
臭気は、それぞれ著るしく減少した。なお、硬化
後得られた積層体を切断し、さらに硬化をすすめ
る為に、100℃の熱風炉で10時間熱処理した。こ
の積層体はハンダ耐熱性、寸法安定性、絶縁特性
等の品質の安定したものが得られた。 実施例 15 実施例14で用いたハロゲン含有不飽和ポリエス
テル樹脂組成物(実施例5のハロゲン含有不飽和
ポリエステル樹脂100重量部に対して、実施例14
で示したt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキ
サノエート1重量部及び6%ナフテン酸コバルト
0.2重量部)を用いて、実施例9、10及び11で示
した減圧処理及び含浸方法を施した。含浸時間5
分、硬化温度100℃、硬化時間22.5分となるよう
に基材の搬送速度を3倍とした。その他の製造条
件は、実施例1と同じ。 22.5分の硬化時間の後、切断し、積層体を得た
が、この硬化時間では硬化が不十分で品質的には
十分でなかつた。そこで切断後、さらに充分な硬
化をすすめるために熱風炉中で100゜、10時間、
160℃10分の条件で熱処理する工程を付加するこ
とによつて、特にハンダ耐熱性、加熱収縮率の良
好な品質の製品を得た。 熱風炉を別途設け、切断後に熱処理工程を付加
するだけで、実施例1の装置の生産能率は、一挙
に3倍に向上した。 実施例 16 実施例1の紙基材に、次のごときプレ含浸処理
をほどこした。 長尺な紙をN−メチロールアクリルアミドの8
%メタノール溶液に5分間浸漬し取出した後、約
30分間風乾を行い、更に100℃で20分間加熱乾燥
する工程を連続的に行つて、長尺なN−メチロー
ルアクリルアミド処理紙を得た。この時、N−メ
チロールアクリルアミドの紙への付着量は11.2%
であつた。 上記の長尺な処理紙を巻き物にしたものを5巻
用意し、これ等を連続的に個別に搬送しながら、
その他の条件は実施例15の方法と同様にして、厚
さ1.5mmの積層板を得た。 特性は実施例15に比して、吸湿処理におけるハ
ンダ耐熱性や電気的特性の改良が著るしい。 実施例 17 実施例16は、被覆フイルムが紙基材の凹凸へ追
従して、表面にゆるやかな、うねり状の起伏がみ
られた。実施例16における、この被覆物を厚さ
100μm、いわゆるBA表面仕上げの長尺なステン
レス箔(材質SUS304)に変更して製造した。又
このステンレス箔の表面粗さはRmax=2.5ミク
ロン、剛性値=1.86Kg・cmであつた。 製品は、上記の起伏が消え、表面平滑性の評価
は優となり、表面の外観、各種レジストやペース
トの印刷性や、これらインクの転移性において申
し分のないものであつた。 実施例 18 実施例1で説明した紙基材に次のプレ含浸処理
をほどこした。即ち、オレイン酸モノグリセリド
(理研ビタミン油リケマールOL−100)1.5重量部
を溶解したメタノール50重量部に、メチロールメ
ラミン(日本カーバイド工業ニカレジンS−305)
6重量部を溶解した水50重量部を強く撹拌しなが
ら注ぎ込み懸濁状態の処理液を調整した。この処
理液に上記の長尺な紙を連続的に浸漬し、取出し
た後、120℃で20分加熱乾燥した長尺処理紙基材
をロール状に巻いた。実施例17において、長尺な
処理紙を上記のものに変更して、厚さが1.5mmの
積層体を得た。 製品の特性は第7表に示している。これは実施
例17の製品の特性と略同等であつた。 実施例 19 実施例18は、樹脂液含浸基材の両側にステンレ
ス箔をラミネートし、これを硬化後ハクリして積
層体を製造したものであつたが、積層体の片側
を、市販の1オンス/ft2の電解銅箔(福田金属
箔粉工業製、T−7)に変更し、この電解銅箔を
硬化後剥離せず、反対側のステンレス箔のみを剥
離して銅箔張り積層体を得た。その他の条件は、
実施例18と同等にした。 実施例 20 実施例19の製品は反り量が大きい欠点がある。
そこで第5図の装置の如く、反り直し工程を付加
し、3本のロール間の間隔を調節して修正し、反
り量を大巾に改良した。 実施例 21 実施例19で得た製品の銅箔の接着強度やハンダ
耐熱性の試験結果値を改良する目的で、実施例19
において長尺な電解銅箔をラミネートする前に、
第6図の装置の如く、接着剤をコーテイングする
工程を付加した。 接着剤は、第4表の配合である。銅箔への塗り
厚は60μとした。
【表】 製品の電解銅箔の剥離強度は、JISの基準を良
好に満していた。 実施例 22 実施例21において、第6図の装置によつて、接
着剤を電解銅箔にコーテングした直後、電解銅箔
を熱処理装置中に通し、100℃、5分間熱処理工
程を付加して、片面銅箔板を製造した。ハンダ耐
熱性、電解銅箔の剥離強度の特性は向上した。 実施例 23 実施例22の硬化用触媒を、パーオキシケタール
類である1−1−ビス(t−ブチルパーオキシ)
3,3,5−トリメチルシクロヘキサンに変更し
た。 製品の特性は、吸温時(条件はC−96/55/
95)のハンダ耐熱が10〜18秒に向上した。その他
の特性は実施例22と同等であつた。 実施例 24 実施例23に硬化助剤を添加しない場合を実験し
た。製品の特性は実施例23と同等であつた。 実施例 25 実施例23において、接着剤を電解銅箔上にコー
テイングする前に、シランカツプリング剤
(UCC製A−187)0.5重量%含む水溶液を電解銅
箔の表面へ約10μの厚さに連続的に塗布する工
程、ついで、100℃、2分の条件で乾燥する工程
を付加して片面銅張り板を製造した。 特にハンダ耐熱性と電解銅箔剥離強度が向上し
た。
【表】
【表】 【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施に使用する装置の概略を
示す説明図である。第2図は剛性の低い被覆物を
用いた製品の断面図である。第3図は剛性の高い
被覆物を用いた製品の断面図である。第4図乃至
第6図は本発明の実施に使用する装置の他の例を
示す説明図である。 1……基材供給部、2……含浸装置、3……積
層装置、4……連続加熱炉、6……基材、7……
積層体、10……被覆物、23……ラミネート装
置。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 室温で液状の難燃性の硬化性樹脂液を並行し
    て連続的に供給される複数枚の基材に対し個別に
    連続的に含浸し、該含浸基材を連続的に積層し、
    積層と同時または積層後に積層物の両面にフイル
    ム状もしくはシート状被覆物をラミネートし、そ
    の状態で少なくとも硬化が殆ど終了し切断可能な
    状態になるまで無圧もしくは含浸樹脂液に過剰流
    動を生ぜしめない程度の低圧で連続的に硬化し、
    切断する工程よりなる電気用積層体の連続製造方
    法であつて、前記室温で液状の難燃性硬化樹脂液
    が、硬化の際反応副生成物を実質的に発生しない
    (a)ハロゲン含有不飽和ポリエステル樹脂と、(b)ハ
    ロゲン不含有硬化性樹脂とのブレンド樹脂である
    ことを特徴とする難燃性電気用積層体の連続製造
    方法。 2 前記ハロゲン非含有硬化性樹脂のブレンド量
    が樹脂液全体の1〜50重量%である特許請求の範
    囲第1項記載の製造方法。 3 前記ブレンド量が10〜35重量%である特許請
    求の範囲第2項記載の製造方法。 4 硬化の際の成形圧が実質的に無圧である特許
    請求の範囲第1項記載の製造方法。 5 硬化の際の成形圧が10Kg/cm2以下である特許
    請求の範囲第1項記載の製造方法。 6 フイルム状あるいはシート状被覆物の一方ま
    たは両方が金属箔であり、含浸樹脂液の硬化後、
    一方または両方の被覆物を剥離しないで金属箔張
    り積層体として使用することを特徴とする特許請
    求の範囲第1項記載の製造方法。 7 金属箔が印刷回路用電解銅箔である特許請求
    の範囲第6項記載の製造方法。 8 シート状基材が、セルロース系である特許請
    求の範囲第1項ないし第7項のいずれかに記載の
    製造方法。 9 シート状基材は樹脂液を含浸する前にあらか
    じめプレ含浸液にてプレ含浸し、さらに該プレ含
    浸した基材を必要により乾燥したものである特許
    請求の範囲第1項ないし第8項のいずれかに記載
    の製造方法。 10 シート状基材はセルロース系であり、プレ
    含浸液は重合性単量体と共重合可能な不飽和結合
    を有するN−メチロール化合物を含んだものであ
    る特許請求の範囲第9項記載の製造方法。 11 N−メチロール化合物は変性アミノトリア
    ジンメチロール化合物である特許請求の範囲第1
    0項記載の製造方法。 12 N−メチロール化合物は、 一般式 (ただし、R1はHまたはCH3、R2はHまたは
    C1-4のアルキル基) で表わされる化合物である特許請求の範囲第10
    項記載の製造方法。 13 シート状基材はセルロース系であり、プレ
    含浸液は重合性単量体と共重合可能な不飽和結合
    を有しないN−メチロール化合物と、 a 該N−メチロール化合物と縮合あるいは付加
    反応可能な官能基 b 重合性単量体と共重合可能な不飽和結合を併
    せ有している多官能化合物を含む特許請求の範
    囲第9項記載の製造方法。 14 シート状基材はセルロース系であり、プレ
    含浸液は、下記のAとBの混合物またはAとBの
    縮合生成物である特許請求の範囲第9項記載の製
    造方法。 A メチロールメラミンおよび/またはメチロー
    ルグアナミン B 分子内にメチロール基と結合可能な基を少な
    くとも1個有する高級脂肪族誘導体 15 メチロール基と縮合可能な基は、水酸基、
    カルボキシル基、アミノ基およびアミド基からな
    る群より選ばれる基である特許請求の範囲第14
    項記載の製造方法。 16 高級脂肪族誘導体は、オレイルアルコー
    ル、オレイン酸、オレイン酸モノグリセリド、オ
    レイン酸ジグリセリド、オレイン酸アマイドおよ
    びオレイルアミンからなる群より選ばれた1種ま
    たは2種以上の混合物である特許請求の範囲第1
    4項記載の製造方法。 17 N−メチロール化合物と高級脂肪族誘導体
    の混合物、もしくは縮合生成物のシート状基材へ
    の浸漬、乾燥後の該基材に対する全付着量は3〜
    30重量部である特許請求の範囲第14項記載の製
    造方法。 18 シート状基材は、セルロース系繊維を主成
    分とした紙である特許請求の範囲第8項ないし第
    17項のいずれかに記載の製造方法。 19 硬化用の触媒が、脂肪族系パーオキサイド
    である特許請求の範囲第1項記載の製造方法。 20 脂肪族系パーオキサイドが、脂肪族系パー
    オキシエステルである特許請求の範囲第19項記
    載の製造方法。 21 樹脂液の架橋用に用いる重合性単量体が、
    スチレンおよび/またはスチレン誘導体、または
    これらとジビニルベンゼンとの混合物である特許
    請求の範囲第1項記載の製造方法。 22 シート状基材への含浸は、該基材上方より
    樹脂液を流下させる片面含浸法を使用する特許請
    求の範囲第1項記載の製造方法。 23 フイルム状あるいはシート状被覆物の剛性
    値は、E・d3(Eは曲げ弾性率Kg/cm2、dは厚さ
    cm)で表わすと3×10-3Kg・cm以上である特許請
    求の範囲第1項記載の製造方法。 24 フイルム状あるいはシート状被覆物の表面
    あらさは、Rmaxで表わすとRmaxが約0.4ミクロ
    ン以上約5ミクロン以下である特許請求の範囲第
    1項記載の製造方法。 25 金属箔と樹脂液含浸基材との間に接着剤を
    継続的に供給して金属箔のラミネートが行われる
    特許請求の範囲第6項記載の製造方法。 26 接着剤は金属箔をラミネートする前に金属
    箔表面へ連続的に塗布して供給される特許請求の
    範囲第25項記載の製造方法。 27 接着剤が塗布された金属箔は、ラミネート
    する前に塗膜の加熱処理工程を通る特許請求の範
    囲第26項記載の製造方法。 28 接着剤は、溶剤等の乾燥による除去成分を
    実質的に含有せず、かつ該接着剤の硬化反応過程
    で気体、液体の反応副生成物を実質的に発生しな
    いものであり、該接着剤が樹脂液含浸積層基材に
    接着し一緒に硬化する際、成形圧が実質的に無圧
    である特許請求の範囲第25項記載の製造方法。 29 接着剤層の厚みが5〜100μである特許請
    求の範囲第25項記載の製造方法。 30 接着剤層の厚みが25〜80μである特許請求
    の範囲第25項記載の製造方法。 31 接着剤がアミン硬化型エポキシ系樹脂であ
    つて、さらに基材含浸樹脂液の硬化用触媒とし
    て、パーオキシケタール、パーオキシエステル、
    あるいはジアルキルパーオキサイドの群から選ば
    れた1種あるいは複数種の過酸化物を用いる特許
    請求の範囲第25項ないし第28項のいずれかに
    記載の製造方法。 32 接着剤が難燃性のものである特許請求の範
    囲第25項記載の製造方法。 33 難燃性接着剤が主として難燃性エポキシ樹
    脂とポリアミドアミン硬化剤からなる特許請求の
    範囲第32項記載の製造方法。 34 難燃性接着剤層の厚みが5〜100μである
    特許請求の範囲第32項または第33項記載の製
    造方法。 35 難燃性接着剤層の厚みが25〜80μである特
    許請求の範囲第32項または第33項記載の製造
    方法。 36 樹脂液含浸積層基材と金属箔に塗布した接
    着剤との接合部分付近に、共重合し得る不飽和二
    重結合とエポキシ基を併せ有する化合物を介在さ
    せて硬化させる特許請求の範囲第25項ないし第
    28項のいずれかに記載の製造方法。 37 金属箔は、接着剤を塗布する前に、付着水
    分を連続的に乾燥する工程を通過する特許請求の
    範囲第25項記載の製造方法。 38 金属箔は、乾燥工程の以前に表面処理剤を
    連続的に塗布する工程を通過する特許請求の範囲
    第25項記載の製造方法。 39 表面処理剤がシランカツプリング剤である
    特許請求の範囲第38項記載の製造方法。 40 樹脂液が減圧処理して供給される特許請求
    の範囲第1項記載の製造方法。 41 減圧処理は30mmHg以下に減圧された容器
    中に樹脂液を噴出させ、容器下部に蓄積して行わ
    れる特許請求の範囲第40項記載の製造方法。 42 長尺積層体は、硬化の途中で実用寸法に切
    断され、切断後さらに硬化を進める特許請求の範
    囲第1項記載の製造方法。 43 フイルム状あるいはシート状被覆物は、樹
    脂液含浸積層基材の両面および樹脂液含浸基材の
    中間に挟んだ状態で多段に積層し、硬化させ、切
    断後に中間被覆物を境にして積層体を上下分離
    し、同時に多数枚の積層体を得る特許請求の範囲
    第1項記載の製造方法。 44 被覆物は全面もしくは両縁部に離形剤を連
    続的に塗布する工程を通過する特許請求の範囲第
    1項記載の製造方法。 45 被覆物は積層体の硬化後、連続的に剥離さ
    れ、巻き取つて回収される特許請求の範囲第1項
    記載の製造方法。 46 樹脂液量の重量比率が、樹脂含浸基材に対
    し20ないし80%である特許請求の範囲第1項記載
    の製造方法。 47 樹脂液量の重量比率が、樹脂含浸基材に対
    し30ないし70%である特許請求の範囲第46項記
    載の製造方法。 48 シート状基材が、ガラス系である特許請求
    の範囲第1項ないし第7項のいずれかに記載の製
    造方法。
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