JPS6332459Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 この考案は、高温下における密封技術に係るガ
スケツトに関する。

〔考案の技術的背景〕

従来、例えば内燃機関のシリンダヘツドガスケ
ツトにおいては、通常、金網あるいはフツク付金
属板にアスベストまたはゴム混和物を被覆したガ
スケツト用シート又はアスベストとゴム混和物シ
ート等の柔軟材シートを所定の形状に打抜いて成
る構成のものがほとんどであつた。

〔背景技術の問題点〕

しかるに、特に高負荷機関のシリンダヘツドガ
スケツトにおいては、機関の作動中、例えば燃焼
室等は高温となり、その周辺に位置するウオータ
ジヤケツト通路等の低温部とでは著しい温度差を
生じる。この温度差から接合面に熱歪みが現れシ
ール部の面圧に部分的差異が発生するが、前記シ
ート状のガスケツトが平面的構造であると共に高
温部の熱によつて弾性が低下し、これら接合面の
歪みを吸収できず、面圧の低下した部分からのガ
スの吹き抜け又は冷却水、油の漏れ等を生じる
等、シール効果が減退する欠点を有していた。

また、例えばシリンダヘツドをシリンダブロツ
クに螺着するボルトの位置がボアに対して著しく
不均等な場合にも、接合面の面圧に部分的差異が
生じ、シール効果が低下する等の致命的欠陥を有
するものであつた。従つて、これらのシール効果
の減退に対し、ボルトの締付けを強めることによ
り、ガスケツト全体の面圧を高めてシール効果の
維持に努めたが、これはヘツド等に緊締による機
械的歪みを生じ、前記柔軟材シートに許容される
押圧力以上の圧力を与えることになると共に燃焼
室等の高温部位にあつてはその熱によつて、ガス
ケツトにいわゆる部分的へたりを生ずる等シール
効果を維持することが極めて困難であつた。

さらに、ゴム混和物のガスケツトは再生利用が
できないだけでなく、廃棄処分が困難であるた
め、公害の問題も兼ね備えるものである等諸欠陥
を有しており、熱によるガスケツトのへたり等を
防止して常時面圧を一定に保持しシール効果を維
持できるガスケツトが要望されていた。

〔考案の目的〕

この考案は、上述した難点に鑑み、その欠点を
一掃するためになされたもので、接合部の高温部
位におけるガスケツトの弾性の低下を防止し、高
温になつても充分なシール圧を維持してシール効
果の安定を図ることを目的とする。

〔考案の構成〕

この目的を達成するためにこの考案は、弾性金
属板にビードを形成した基板によりシールを果す
金属ガスケツトにおいて、高温部位をシールする
高温シール部を低温部位をシールする低温シール
部よりも熱軟化性の小なる金属材料により構成し
たことを特徴とする。この構成によれば、高温部
位のシール部は熱を得ても軟化しにくいで、弾性
が低下することがなく、初期のシール圧を維持し
得る。

〔考案の実施例〕

次にこの考案に係るガスケツトの一実施例を図
面についてさらに詳しく説明する。第１図はガス
ケツトの一部平面図、第２図は第１図をＡ−Ａ線
で切断した拡大断面図である。

基板１はSK.SUS等の硬質かつ弾性金属薄板を
接合面と同一か又は類似する形状に打ち抜いたも
のであり、シール面を囲繞する如く形成されかつ
必要面圧に応じた高さを有する一条（もしくは数
条）の凹凸ビード２を設けて両方向に弾性付勢す
るごとく構成されている。また、前記基板１の両
面には、この基板１と同質か又は基板１より軟質
の金属板からなる副板３を装着している。この副
板３は、燃焼室等の高温部位をシールする高温シ
ール部３ａとウオータジヤケツト通路等の低温部
位をシールする低温シール部３ｂとから構成され
ている。そして、その材質は、例えば高温シール
部３ａは鉄又は銅からなる比較的融点の高い材質
で構成し、一方低温シール部３ｂは前記高温シー
ル部３ａの材質より融点の低いアルミ等の材質で
構成されている。また、前記副板３は、その板厚
を構造に応じて変化をもたらすように構成してお
り、例えば、前記凹凸ビード２だけでは絶対面圧
を一定圧力に維持し得ないような場合、前記絶対
面圧を高くするため、高温シール部３ａの板厚を
低温シール部３ｂの板厚よりわずかに厚くするよ
うに構成している。さらに、前記副板３の低温シ
ール部３ｂはその高温シール部３ａと反対側の端
部同士が互いに係着結合した状態にある。

以上のように構成されたガスケツトを、例え
ば、シリンダブロツクおよびシリンダヘツド間に
介装してボルトで強く螺着すると、基板１に設け
た凹凸ビード２は副板３の内面を滑つて変形しな
がら展延し、両内面方向に潜在押圧力を有して密
着される。従つて、副板３の両外面は、シリンダ
ブロツクおよびシリンダヘツドにそれぞれ強力に
押圧されると同時に、接合面全域にわたつて均一
な押圧力に依り完全密閉されるものである。ま
た、特に副板３をやや軟性金属にて構成した場
合、接合面の粗さを吸収し、極めて密封効果が向
上する。

また、前記シリンダブロツクとシリンダヘツド
との接合面に僅かな歪みが生じても、基板１の凹
凸ビード２の弾性効果により、面圧が減退するこ
となく、一定に保持されると共に、前記凹凸ビー
ド２がシール面周囲を囲繞して成るため、副板３
が接合面に連続して押圧され、確実なシール効果
が保証されるのである。

そして前記した如く副板３の材質は、高温シー
ル部３ａを低温シール部３ｂよりも融点の高い材
質で構成しているので、高温シール部３ａは高温
部位の熱を得ても軟化しにくい。そのため、凹凸
ビード２の高温シール部３ａへの喰い込みによる
弾性復元量の低下を防止して常時一定の面圧を保
証することができ、従来のように面圧の低下した
部分から、ガスが吹き抜けたり、又は、冷却水、
油の漏れが生じたりすることくなく、シール効果
の安定性を得ることができる。また、副板３の板
厚を上述したように構造に応じて変化をもたらす
構造としたことにより、同様に一定面圧の保持が
可能となり、安定したシール効果を得ることがで
きる。

なお、上述した実施例の構成においては、基板
１の両面に副板３を設けているが、ガスケツトの
形状によつてはこれを片面だけに設けたものが考
えられる。

また、上述した実施例では副板３において高温
シール部３ａをＵ字型とし、低温シール部３ｂを
Ｊ字型としてそれぞれ別個に形成しているが、第
３図で示すように一体となしてもよい。

さらに、副板３の高温シール部３ａは比較的硬
い材質により形成されていることから、例えば、
接合面が粗い場合は、この高温シール部３ａと接
合面とがうまくなじまず両者間に隙間が生じると
いう不具合が生じることがある。そこで、このよ
うな場合は、第４図で示すように前記副板３の外
面にこの副板３の高温シール部３ａの材質より軟
らかい副板４を配置すれば、この副板４が前記接
合面とうまくなじんで前記接合面の粗さを吸収し
て両者は密着状態となるので、前記不具合を確実
に解消できることになる。なお、この副板４は副
板３の低温シール部３ｂと一体に形成された構造
となつている。あるいは、高温シール部３ａの表
面に軟らかい材質の部材を塗着、塗布等適宜の手
段で表面処理を施すことにより、前記接合面とな
じませ隙間が生じるのを防止することもできる。

また、この実施例では副板３の高温シール部３
ａの材質を低温シール部３ｂの材質より融点の高
い材質としたが、基板１の材質を高温部位と低温
部位とで相違させることにより、ビード２の弾性
低下を防止して同様の効果を得ることができる。

〔考案の効果〕

以上に説明したように本考案に係るガスケツト
は、高温部位をシールする高温シール部を低温部
位をシールする低温シール部よりも熱軟化性の小
なる金属材料で構成したことにより、高温部位に
おける熱が高温シール部に伝わつても軟化による
弾性低下のおそれがない。従つて弾性金属板のビ
ードの弾性低下や副板への喰い込みによる弾性復
元量の低下が防止され、高温になつても充分なシ
ール圧を維持して極めて良好なシール効果を発揮
することができ、従来のように面圧の低下した部
分から、ガスが吹き抜けたり、又は、冷却水、油
等の漏れが生じたりすることはなく、よつてシー
ル効果の安定性を得ることができる。

加えて、本考案のガスケツトは全構成部品が金
属からなり、熱伝導率の良好な特徴を有するだけ
でなく、廃品の再利用が可能である等、本考案実
施後の実用的効果は極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るガスケツトの一実施例を
示す一部平面図、第２図は第１図をＡ−Ａ線で切
断した拡大断面図、第３図および第４図は本考案
に係るガスケツトのそれぞれ他の実施例を示す拡
大断面図である。 図において、１は基板、２は凹凸ビード、３は
副板、３ａは副板の高温シール部、３ｂは副板の
低温シール部、４は副板である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 弾性金属板にビードを形成した基板によりシー
   ルを果す金属ガスケツトにおいて、高温部位をシ
   ールする高温シール部を低温部位をシールする低
   温シール部よりも熱軟化性の小なる金属材料によ
   り構成したことを特徴とするガスケツト。