JPS6331632B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は各階に複数の住戸を有し、かつ中廊
下および階段からなる共用通路を有する多層階の
集合住宅に関する。

〔従来技術〕

我国に於いて建設される中高層集合住宅の大半
は片廊下式である。しかし片廊下式は片廊下に面
する居室の採光、通風、眺望が阻害され、プライ
バシーが侵害される等の欠点を持つている。階段
で各階２、３戸の住宅に直接出入りできる階段式
ならびに中廊下式では前記のような欠点を有しな
いが、階段および必要により設けるエレベーター
の一住戸当たりの経済的負担が増大することや、
中廊下式では大部分の住戸が両面採光を得られな
い欠点を持つている。

〔発明の目的〕

したがつて、この発明の目的は、各住戸の部屋
が同一階にあつて、しかも建物正面の主要採光面
とその背面の採光面の両面が外気に接していて、
住戸の正面と背面の両面において採光、通風が可
能であり、かつ各住戸のプライバシーが侵害され
ず、大部分の各住戸から二方向避難が可能であり
しかも経済的効率の高い多層階集合住宅を提供す
ることにある。

〔発明の構成〕

この発明は、各階層に横に配置され、かつ外部
に面する建物の正面と背面の両面に、採光、通風
可能な開口部を設けうる室空間を同一階層におい
て夫々有する複数の住戸を少なくとも上下の階層
に配置し、建物の梁間の中間位置に桁行方向の共
用通路を設け、この共用通路を上階の階層の住戸
に出入りするための中廊下と下階の階層の住戸に
出入りするための中廊下を階段により結ぶことに
より構成し、このような共用通路を連結しながら
適宜上下、左右に組み合わせ、各住戸の正面と背
面にあつてそれぞれが面する建物の正面或いは背
面に対し採光及び通風可能な開口部を設けうる室
空間を結ぶ住戸内通路を、上階の中廊下の下方お
よび下階の中廊下の上方に平面でみて共用通路と
交差する形で配置して構成されていることを特徴
とする多層階集合住宅である。

〔実施例〕

この発明による多層階集合住宅は、各階層に横
に配置され、外部に面する建物の正面と背面、例
えば南面と北面の両面に採光及び通風可能な開口
部を設けうる室空間を有する複数の住戸を少なく
とも上下に配置してある。

第１図および第２図に示す上下二つの階層の二
戸の住戸において、下階の第１の住戸Ａに至る中
廊下と直上の上階の第２の住戸Ｂに至る中廊下を
結ぶ階段により構成される共用通路１が、建物の
梁間の中間に桁行方向すなわち建物の長手方向に
延びる空間２（第５図参照）に設けられている。

共用通路１は、階段３と、その階段３の下端に
接続されかつ下階の住戸Ａの入口が位置する階に
設けられた中廊下３ａと、階段３の上端に接続さ
れかつ上階の住戸Ｂの入口が位置する階に設けら
れた中廊下３ｂとからなる。そして中廊下３ｂは
階段３と次の階に至る階段３′においては踊場と
もなる。中廊下３ａ，３ｂに面する壁体４には、
それぞれ、下階の住戸Ａおよび上階の住戸Ｂのた
めの出入口が形成されている。

空間２は、下階の住戸Ａ、上階の住戸Ｂの建物
の桁行方向に配置された一対の壁体４およびその
壁体４に直交して接続された壁体５とにより区画
されている。また各住戸Ａ，Ｂのそれぞれには梁
間方向に戸境壁６が設けられる。

これにより、住戸Ａ，Ｂはそれぞれ、同一階に
おいて平面が形、または形を呈している。す
なわち建物の正面と背面にある室空間を結ぶ住戸
内通路Ｃを上階の中廊下３ｂの下方および下階の
中廊下３ａの上方に平面でみて共用通路と交差す
る形状に配置してある。したがつて下階および上
階の住戸Ａ，Ｂのそれぞれは建物の正面および背
面が開口部が外気に接し、かつ直接採光が可能と
なる。

下階の住戸Ａ、上階の住戸Ｂおよび共用通路１
は、集合住宅の一つの単位ａを構成し、これと同
様の複数の単位が上下方向に連続して配置されて
いる。また図示した実施例において単位ａに隣接
する単位ｂは単位ａと同様の構成であり（第３図
参照）、単位ｂが単位ａより一階層高い位置にあ
つて、単位ａの上階の住戸Ｂと単位ｂの下階の住
戸とが隣接し、単位ａの共用通路１と単位ｂの共
用通路１とが相互に連通している。単位ｂの共用
通路１は、単位ａの共用通路１と同様に、階段３
とその階段３に接続する下階の中廊下および上階
の中廊下とで構成することができる。

前記階層の各住戸から共用通路を経て地上に至
る交通のために、直通階段７またはエレベーター
８が配置される。図示した実施例では、単位ａの
下階の住戸Ａが位置する階にその下階の住戸に隣
接してホール９が設けられている。このホール９
は建物の梁間方向に細長く、その一端側および他
端側に、それぞれ、直通階段７、エレベーター８
が設けられている。直通階段７は、第４図に示す
ように、ホール９が設置された階とその上階およ
び下階に設けられた踊場１０とに接続されてい
る。

このようにして構成されたこの発明に係る集合
住宅においては、図示したように左右対称に配置
できる。また桁行方向の異なる位置に配置したエ
レベータホール９，９間を共用通路１，１で連結
することができる。次に、この発明の第二の実施
例を第６〜第１０図に示す。この実施例が前記第
一の実施例と異なるところは、直通階段７および
エレベーター８ーが、共用通路１の配置される空
間に設けられている。

〔発明の効果〕

この発明では、建物の梁間の中間の位置に桁行
方向の共用通路を設け、その共用通路を上階と下
階で出入りする中廊下とそれら中廊下を結ぶ階段
で構成し、共用通路の下方または上方に住戸内通
路を設けたので各住戸が同一階において正面と背
面の両面で直接外部に面して、住戸の正面と背面
からの両面採光ならびに正面側および背面側に向
けての眺望が可能であり、片廊下式のように外側
に通路がないのでプライバシーが侵害されない。

また、この発明では、中廊下式と同様に共用通
路の両側の壁には住戸への出入口と住戸内通路の
開口が設けられるだけであるから、その両側の壁
を耐力壁に構成することができる。したがつて構
造計画に有効な耐震壁として取り入れることがで
き、経済性を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はそれぞれ、この発明に係
る集合住宅の第一実施例の下階および上階の平面
図、第３図、第４図および第５図はそれぞれ、第
２図の線−、線−および線−に沿つ
て得た部分縦断面図、第６図および第７図はそれ
ぞれ、直通階段とエレベーターの設置位置が異な
る第二の実施例の第１図および第２図と同様な平
面図で、第８図、第９図および第１０図はそれぞ
れ、第７図の線−、線−および線−
に沿つて切断した部分縦断面図である。 Ａ，Ｂ……住戸、Ｃ……住戸内通路、１……共
用通路、２……空間、３……階段、３ａ，３ｂ…
…中廊下、４，５……壁体、６……戸境壁、７…
…直通階段、８……エレベーター、９……ホー
ル、１０……踊場。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 各階層に横に配置され、かつ外部に面する正
   面と背面の両面に、採光可能な開口部を設けうる
   室空間を同一階層において有する複数の住戸を少
   なくとも上下の階層に配置し、建物の梁間の中間
   に桁行方向の共用通路を設け、この共用通路を上
   階の階層の住戸に出入りするための中廊下と下階
   の階層の住戸に出入りするための中廊下を階段で
   結ぶことにより構成し、上下各住戸の正面と背面
   の両面にそれぞれ採光可能な開口部を設けうる正
   面と背面の室空間を結ぶ住戸内通路を、上階の中
   廊下の下方および下階の中廊下の上方に平面で見
   て共用通路と交差する形状に配置して構成されて
   いることを特徴とする多層階集合住宅。