JPS6330965B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は製鋼炉に係り、詳しくは、鉄皮内面に
耐火材をコーテイングして耐火壁を構成し、その
耐火壁の中に吸熱性の高い吸熱頭を埋没させ、そ
の吸熱頭を外部から供給される冷却流体で冷却
し、その冷却流体を気体状にして排出することが
できるようにした冷却手段を備えた製鋼炉に関す
るものである。

〔従来の技術〕

従来、転炉等の製鋼炉においては、鉄皮の内面
にブロツク状の耐火レンガを多数積上げ、これで
もつて耐火壁を形成している。しかし、この耐火
壁は製鋼中高温に曝されて損耗が激しく、その補
修や取り替えには転炉を休止させる必要がある。
加えて、その補修には特殊なレンガ積み装置を用
いたうえ、多大の労力と時間を要する欠点があ
る。

ところで、特開昭54−13016号公報には、炉体
の熱を吸収するため、冷却ボツクスを鉄皮の外か
ら耐火物内に挿入し、その冷却ボツクス内に冷却
流体を供給して熱交換させる装置が記載されてい
る。その冷却ボツクス内には直管状の流入パイプ
が備えられており、その先端は冷却ボツクスの最
内部の壁面近傍まで延び、その先端のオリフイス
から冷却液が供給されるようになつている。そし
て、熱交換率を向上させるために冷却液に回転運
動を与えるなどして、冷却ボツクス全体を冷却
し、その鉄皮側のオリフイスから排出パイプを介
して液体の状態で回収している。

〔発明が解決しようとする問題点〕

炉体の内壁を耐火レンガで形成することは、上
述したように特殊な装置が必要となり、しかも、
長期の休止や多くの労力が要求される問題があ
る。一方、耐火壁に冷却ボツクスを挿入するに
は、鉄皮に開口された孔から耐火壁を削るなどし
て空間を確保しなければならない。上述した冷却
ボツクスを使用して耐火壁の冷却を行う場合、冷
却ボツクスと耐火壁との接触面で熱交換される
が、耐火壁中で最も高温となつている部分は炉内
側であり、冷却ボツクスの全面による吸熱では熱
交換に限界があつて、耐火壁の冷却が十分になさ
れない問題がある。しかも、冷却液を回収する必
要があり、そのため炉から導出する配管や例えば
冷却塔などの処理装置も必要で、耐火壁の冷却装
置もしくは熱交換装置として複雑かつ大型化する
問題がある。

本発明は上述の問題点を解決するためになされ
たもので、耐火壁を積極的に冷却流体で冷却し
て、損耗度が極めて低く補修がほとんど必要とさ
れない半永久的な使用が可能となる耐火壁を実現
し、かつ、その耐火壁の冷却効率が極めて高く、
そのための構造が簡素であると共に、熱交換され
た冷却流体を気体状にして大気へ直接放出するこ
とができる冷却装置を備えた製鋼炉を提供するこ
とを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明の製鋼炉は、先端が閉止された内端面を
有すると共に後端に炉体外部へ開放した開口４ａ
を有する冷却筒４と、その冷却筒４の先端外部に
一体固着された鋳物製の吸熱頭５と、冷却筒４内
にその軸方向へ挿入配置され内部を流過する冷却
流体を冷却筒４の先端内面に噴出させるために開
口部７ａを有した冷却流体供給管７とを備え、そ
の冷却流体供給管７の外周面と冷却筒４の内周面
との間には、熱交換して気体状となつた冷却流体
を冷却筒４の後端部へ導出する気体導出通路８が
形成され、その気体状の冷却流体が冷却筒４の後
端の開口４ａから大気へ放出することができる冷
却手段３を有する。そして、その冷却手段３の冷
却筒４は、その先端部が鉄皮２を貫通するように
多数装着され、吸熱頭５は鉄皮２の内面に突出し
て位置し、かつ、それを埋没するように鉄皮２の
内面に不定形耐火材１３が厚肉コーテイングされ
ている。

〔作用〕

冷却筒４内にその軸方向へ挿入配置された冷却
流体供給管７を流過する冷却流体は、冷却筒４の
先端内面に噴出される。その先端内面には熱伝導
性の高い吸熱頭５が一体固着されており、耐火壁
１４の中でも炉内側に近接して高温となる。その
吸熱頭５から冷却筒４の先端部に伝導された熱
は、噴出された冷却流体によつて吸熱され、耐火
壁１４が冷却される。耐火壁１４は不定形の耐火
材１３がコーテイングされたものであり、吹付ガ
ンなどによつて吸熱頭５を埋没させることも容易
である。しかも、冷却筒４内に供給される冷却流
体で冷却されることにより、その損耗は軽減さ
れ、たとえ損耗して耐火壁１４が部分的に薄くな
つても、熱伝導性の高い吸熱頭５での冷却によつ
てスラグが冷却固化され、自己補修がなされる。

一方、熱交換された冷却流体は気体状となつ
て、冷却流体供給管７の外周面と冷却筒４の内周
面との間に形成された気体導出通路８を通つて、
冷却筒４の後端部へ導出される。その気体は冷却
筒４の後端の開口４ａから直接大気へ放出され、
熱交換後の冷却流体を配管を介して排出すること
が不要となる。

〔発明の効果〕

本発明の製鋼炉によれば、耐火壁から吸熱頭に
伝導された熱が、冷却筒内に供給された冷却流体
で吸熱され、耐火壁の効率よい冷却が実現され
る。しかも、吸熱頭は不定形耐火材のコーテイン
グによつて形成された耐火壁内に埋没しており、
その吸熱頭と耐火壁との密着性も高く維持され、
熱交換率が向上する。また、吸熱頭が炉内側に位
置するので、耐火壁の炉内側が損傷しても、炉内
のスラグが固化して自己補修がなされ、耐火壁の
補修作業などが極めて軽減され、炉の半永久的も
しくは長期の連続稼働が実現される。さらに、熱
交換した冷却流体は吸熱頭に伝導された高温の熱
で気体状となるので、冷却筒から直接大気に放出
され、冷却筒の構造も極めて簡素なものとするこ
とができ、炉に付着する冷却装置の低廉化を図る
ことができる。

加えて、上記の冷却手段を鉄皮に組み込み、そ
の優れた冷却機能と、耐火材のコーテイングを組
み合わせることにより、省耐火物・省力化を実現
することができる。

〔実施例〕

以下、本発明をその実施例に基づいて詳細に説
明する。

第１図および第２図は本発明の製鋼炉の一例で
ある転炉１の全体縦断面図および水平断面図であ
り、鉄皮２の全周囲には第３図のような冷却手段
３が多数装着されている。

冷却手段３は、その先端が閉止された内端面を
有すると共に後端に炉体外部へ開放した開口４ａ
を有する冷却筒４と、その先端外部に一体固着さ
れた鋳物製の吸熱頭５を備え、この冷却筒４には
転炉１外から配管６を介して供給される低温蒸
気、圧縮空気または水等の冷却流体を導入する冷
却流体供給管７が突入されている。

冷却筒４の内部にその軸方向へ挿入配置された
冷却流体供給管７は、内部を流過する冷却流体を
冷却筒４の先端内面に噴出させるための開口部７
ａを有している。上記の冷却筒４には、冷却流体
供給管７の外周面と冷却筒４の内周面との間に、
内端面で熱交換して気体状となつた冷却流体を冷
却筒の後端部へ導出する気体導出通路８が形成さ
れている。すなわち、冷却流体供給管７の先端の
開口部７ａから噴出された冷却流体は気体状とな
つて、冷却筒４との空隙を通つて矢印９のように
流過できるようになつており、冷却筒４の後端の
開口４ａから直接大気へ放出することができる。

このような冷却手段３は多数あつて、各冷却筒
４の先端部を転炉１の鉄皮２に貫通させるように
して装着される。吸熱頭５は鉄皮２の内面に突出
して位置しており、鉄皮２と直接に接触していて
もよいが、図示のように鉄皮２との間にパーマネ
ントレンガ１１を介在させておいてもよい。

冷却筒４はその外側端で固定具１２を介して鉄
皮２に固着される。冷却流体供給管７は図示しな
い転炉１外の冷却流体供給装置からトラニオン部
に設けられたロータリジヨイントを経て転炉１の
外周をとり巻くように付設された配管６に接続さ
れている。

上記の冷却手段３を鉄皮３に多数装着した後、
第１図および第２図に示すように、モルタル等の
不定形耐火材１３をほぼ均等にかつ前記吸熱頭５
を埋没させるごとく吹き付ける。そして、厚肉状
にコーテイング固化させ、耐火壁１４が形成され
る。このコーテイング作業は、転炉を製作する工
程で横倒しにして、炉体の下部にあたる個所にモ
ルタルを流し込んだり、ガンによる吹き付けによ
り行われる。

以上述べたような構成の転炉を用いて精錬する
と、高温に曝される耐火壁１４は、冷却流体供給
管７により供給される水や低温蒸気等の冷却流体
によつて、熱伝導のよい吸熱頭５を介して冷却さ
れ、その損耗度が極めて低くなる。

まず、冷却流体供給管７より導入される低温蒸
気等の冷却流体は、耐火壁１４から伝導して集熱
状態にある吸熱頭５で熱を受ける。熱交換された
冷却流体は高温となつて気体状になり、冷却筒４
内の冷却流体供給管７との間の気体導出通路８か
ら導出される。冷却流体としては低温蒸気、圧縮
空気が好しいが水でもよく、それらが冷却筒４よ
り排出されるときに気体状となつて、後部の開口
４ａから大気中へ放出される。なお、図示しない
が、冷却流体供給管７の途中に適当な弁を介装
し、その開度を変えれば各冷却手段３の冷却能力
の調整が可能であり、ひいては、耐火壁１４の厚
みを部位毎に任意に変えることができる。

上述の吸熱頭５は耐火壁１４内に埋没状態であ
るので、耐火壁１４の冷却性が極めて高く、その
損耗が大幅に軽減されるのは上述の通りである。
また、たとえ、耐火壁１４が部分的に剥離して
も、吸熱頭５が露出するかまたは露出に近い状態
となつたとき、冷却度合が却つて高まり、スラグ
や溶銑が付着固化し、これが耐火壁として機能し
て自己補修がなされる。もちろん、炉口上より作
業員がガンでもつてモルタルを吹き付けるなど、
従来から行われているのと同様の補修を行うこと
もできる。

以上の説明から判るように、製鋼炉の内面を不
定耐火材で厚肉コーテイングし、これを多数の熱
伝導のよい冷却手段で冷却できるようにしたもの
であり、これにより精錬中の耐火壁の損傷を著し
く抑制すると共に、たとえ、焼損があつても炉内
の溶銑やスラグが冷却固化して耐火壁を自己補修
させることができ、結果として、補修作業をほと
んど必要としない半永久的な耐火壁を提供するこ
とができる。

また、耐火壁がほぼ一定の最低所要厚みで維持
できるため、その厚みを公知のものより薄くし、
炉内容積を増大させることができたり、逆に、そ
の分、炉体を小型化することが可能となる。

さらに、炉の連続操業が可能になるため、再レ
ンガ積中は休止する予備炉が不要となり、周辺設
備を含めた設備費の低減が可能となる。

以上の如く、本発明においては耐火材関連の費
用をはじめとしたランニングコストを大幅に低減
すると共に、設備費をも著しく低減することがで
きる効果がある。

加えて、上記した冷却手段を鉄皮に組み込みに
よるその優れた冷却機能と、耐火材のコーテイン
グを組み合わせることにより、省耐火物・省力化
を実現することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は製鋼炉の一例である転炉の縦断面図、
第２図は第１図の−線断面図、第３図は冷却
手段の断面図である。 ２……鉄皮、３……冷却手段、４……冷却筒、
４ａ……開口、５……吸熱頭、７……冷却流体供
給管、７ａ……開口部、１３……不定形耐火材、
１４……耐火壁。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 先端が閉止された内端面を有すると共に後端
   に炉体外部へ開放した開口を有する冷却筒と、そ
   の冷却筒の先端外部に一体固着された鋳物製の吸
   熱頭と、上記冷却筒内にその軸方向へ挿入配置さ
   れ内部を流過する冷却流体を冷却筒の先端内面に
   噴出させるための開口部を有した冷却流体供給管
   とを備え、その冷却流体供給管の外周面と上記冷
   却筒の内周面との間には、熱交換して気体状とな
   つた冷却流体を冷却筒の後端部へ導出する気体導
   出通路が形成され、その気体状の冷却流体が冷却
   筒後端の上記開口から大気へ放出することができ
   る冷却手段が設けられ、 その冷却手段の上記冷却筒は、その先端部が鉄
   皮を貫通するように多数装着され、 上記各吸熱頭は鉄皮の内面に突出して位置し、
   かつ、それを埋没するように鉄皮の内面に不定形
   耐火材が厚肉コーテイングされていることを特徴
   とする製鋼炉。