JPS6330607B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ガス保守式光ケーブルのガスダム部
に関するものである。

一般に、ガス保守式光ケーブルはテンシヨンメ
ンバとそのまわりに設けられた複数の光フアイバ
心線と外被とから成つており、外被内に保守ガス
封入されている。テンシヨンメンバを有する通常
の通信ケーブルのガスダム部はテンシヨンメンバ
が撚線の形態であるときあるいは単線であつても
ダム樹脂との接着性が悪いときは保守ガスがガス
ダム部内のテンシヨンメンバに沿つて漏れるのを
防止するためテンシヨンメンバの途中を切離しこ
の切離部分をダム樹脂に接着する隔壁付スリーブ
で連結している。一方、光ケーブルのテンシヨン
メンバの途中にこのような隔壁付スリーブを設け
るためには作業上そのまわりの光フアイバ心線に
たるみを持たせる必要がある。しかし、光フアイ
バ心線にこのようなたるみを持たせたままダムを
形成すると、伝送損失が大幅に増加することが判
明した。その原因はダム樹脂を充填する際に樹脂
の流動のために光フアイバ心線に大きい曲げ歪が
加わり、そのまま樹脂が硬化してしまうからと考
えられる。例えば光フアイバ心線の伝送損失は曲
げ直径が30mm以上では0.05dB以下と比較的小さ
いが、曲げ直径が20mm以下と小さくなつて曲げ歪
が大きくなると0.1dB以上に増大する。このよう
な光フアイバ心線の曲げ歪による伝送損失の増大
はマイクロベンド及び心線被覆とダム樹脂との接
着による一体化で生ずる熱的挙動によつて発生す
る伝送損失の増加と相俟つてガスダム部内で光フ
アイバ心線の伝送特性を著しく低下する欠点があ
る。

本発明の目的は、ガスダム部内で光フアイバ心
線に大きい曲げ歪を与えることなく、且つ保守ガ
スがテンシヨンメンバに沿つて漏れることがない
ようにした光ケーブルのガスダム部を提供するこ
とにある。

本発明の実施例を図面を参照してのべると、第
１図Ａ，Ｂは本発明の光ケーブルのガスダム部１
０を形成する状態を示し、ガスダム部１０を形成
すべき光ケーブル１２はテンシヨンメンバ１２Ａ
とそのまわりに撚合された複数の光フアイバ心線
１２Ｂとその上に施された外被１２Ｃとから成つ
ており、この光ケーブル１２はガスダム部１０を
形成すべき部分で外被１２Ｃを剥取つてテンシヨ
ンメンバ１２Ａと光フアイバ心線１２Ｂとを露出
する。

テンシヨンメンバ１２Ａはその中間を切離して
この切離部分はダム樹脂と接着性のある連結部材
１４で連結され、独立気泡を有するポリウレタン
樹脂の如き熱硬化性樹脂であるダム樹脂１６は連
結部材１４を含むテンシヨンメンバ１２Ａと光フ
アイバ心線１２Ｂを埋込むように光ケーブル１２
の両側の外被端部に跨つて充填されてガスダム部
１０が形成される。従つて、例えば光ケーブル１
２の左方部分に封入されている保守ガスはこのダ
ム樹脂１６によつて遮断されて右方部分に達する
ことはないが、特にテンシヨンメンバ１２Ａは途
中で切離されてダム樹脂１６と接着性のある連結
部材１４によつて連結されているので保守ガスは
テンシヨンメンバとダム樹脂との界面に沿つて漏
れることがない。

連結部材１４は、連結されたテンシヨンメンバ
１２Ａの長さを伸長することができる長さ調節手
段１８を有する。図示の実施例では、この長さ調
節手段１８は、隔壁２０ａの両側に雌ねじ２１，
２１′を有するスリーブ２０とこのスリーブの雌
ねじ２１，２１′にそれぞれ蝶入される雄ねじ２
３，２３′を有する中空アダプタ２２，２２′とか
ら成つている。テンシヨンメンバ１２Ａの切離部
分はそれぞれ第２図に示すようにアダプタ２２，
２２′の中空部に挿入されてかしめ着されている。
尚、雌ねじ２１と雄ねじ２３とはそれぞれ雌ねじ
２１′と雄ねじ２３′とに比べて幾分長めに設定さ
れている。再び、第１図に戻つて、テンシヨンメ
ンバの一方の切離部分に接続されたアダプタ２２
の雄ねじ２３には同図Ａに示すようにスリーブ２
０の雌ねじ２１を完全に蝶合させて取付ける。次
いで、同図Ｂに示すように、光フアイバ心線１２
Ｂのたるみがほとんどなくなるように光ケーブル
１２を相互に引離し、スリーブ２０をアダプタ２
２の雄ねじ２３から抜く方向に回しつつその雌ね
じ２１′を他方のアダプタ２２′の雄ねじ２３′に
螺合する。尚、雌ねじ２１及び雄ねじ２３はねじ
２１′，２３′が螺合されても末だ相互にねじ結合
部分が残されている程度の長さに設定する。ダム
樹脂１６はこのようにして光フアイバ心線１２Ｂ
が直線状態でテンシヨンメンバ１２Ａが連結され
た後に充填される（第１図Ｃ参照）。尚、雌ねじ
２１，２１′と雄ねじ２３，２３′とは予め接着剤
を塗布しておくことによつてスリーブ２０とアダ
プタ２４，２４′とを強固に固定することができ
る。

第４図は本発明に用いられる連結部材１４の他
の実施例を示し、この実施例ではアダプタ２２に
回転自在に取付けられた雌ねじ２５とこの雌ねじ
に螺入される雄ねじロツド２６とから成つてお
り、図面では一方のアダプタと雌ねじのみが示さ
れているが、他方のアダプタと雌ねじも同様に構
成される。この実施例では雄ねじロツド２６を一
方のアダプタ側の雌ねじ２５に充分に螺入した後
光フアイバ心線（図示せず）をたるみがなくなる
ようにほぼ直線状態にして雄ねじロツド２６を他
方の雌ねじにも螺入させて連結する。

本発明と従来例とを比較すると、従来のように
光フアイバ心線を湾曲させてダム樹脂を充填した
場合には−20℃以下の低温で伝送損失が１心当り
0.1〜1.3dBと増大したが、本発明のように光フア
イバ心線をたるみのない状態でダム樹脂を充填し
た場合には−20℃以下で伝送損失が0.2dB以下に
抑えることができた。

本発明によれば、上記のように、光フアイバ心
線はほとんどたるみのない状態でダム樹脂内に埋
込まれ大きな曲げ歪を受けることがないので伝送
損失を増加することがなく、またテンシヨンメン
バはダム樹脂と接着性のある連結部材で連結され
ているので保守ガスがテンシヨンメンバに沿つて
漏れることがない。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａ乃至Ｃは本発明に係る光ケーブルのガ
スダム部を形成する順序を示す概略図、第２図及
び第３図は本発明の要部の分解状態と結合状態と
の拡大側面図、第４図は本発明の他の実施例の要
部の一半部の断面図である。 １０……ガスダム部、１２……光ケーブル、１
２Ａ……テンシヨンメンバ、１２Ｂ……光フアイ
バ心線、１２Ｃ……外被、１４……連結部材、１
６……ダム樹脂、１８……長さ調節手段、２０…
…スリーブ、２１，２１′……雌ねじ、２２，２
２′……アダプタ、２３，２３′……雄ねじ、２５
……雌ねじ、２６……雄ねじロツド。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 光ケーブルの一部で外被が剥取られてテシヨ
   ンメンバ及び光フアイバ心線が露出され、前記テ
   ンシヨンメンバと光フアイバ心線を埋込むように
   前記光ケーブルの両側の外被端部に跨つてダム樹
   脂が充填され前記テンシヨンメンバは途中の切離
   部分を連結し前記ダム樹脂と接着する連結部材を
   含み、前記連結部材は前記光フアイバ心線のたる
   みをなくすように前記テンシヨンメンバを伸長さ
   せる長さ調節手段を有することを特徴とする光ケ
   ーブルのガスダム部。 ２ 前記長さ調節手段は雌ねじを有するスリーブ
   と前記スリーブの雌ねじ内に螺入される雄ねじを
   有し前記テンシヨンメンバの切離部分の端部にか
   しめ着されるアダプタとから成つている特許請求
   の範囲第１項に記載の光ケーブルのガスダム部。 ３ 前記長さ調節手段は前記テンシヨンメンバの
   切離部分の端部にかしめ着されるアダプタに回転
   自在に取付けられる雌ねじと前記雌ねじに螺入さ
   れる雄ねじロツドとから成つている特許請求の範
   囲第１項に記載の光ケーブルのガスダム部。