JPS63297342A - 合成油脂ならびにこれを含有する脂肪乳剤輸液および経腸栄養剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 （ａｌ産業上の利用分野 本発明はトリグリセリドの２の位置に特定の高度不飽和
脂肪酸を持ち、１．３位に中鎖脂肪酸を持つ合成油脂な
らびにその代謝上の特異性を利用した脂肪乳剤輸液およ
び経腸栄養剤に係る。

伽）従来の技術 天然油脂は、大豆油、ナタネ油、サフラワー油などに代
表される植物系油脂と、牛脂、魚油のような動物系油脂
とがあり、前者は必須脂肪酸であるリノール酸を多く含
み、後者は短鎖及びＣ２゜以上の高度不飽和脂肪酸（エ
イコサペンタエン酸（ＥＰＡ）、　　ドコサヘキサエン
酸（Ｄ　ＨＡ）など）を含むなどの特色をもっている。

特にリノール酸が血清コレステロールの低下効果を持つ
こと、ＥＰＡ、ＤＭＡが血小板凝集抑制作用や血清コレ
ステロール低下作用を有し、脳血栓の予防効果を持つこ
となどから、これらの長鎖高度不飽和脂肪酸の摂取が健
康の維持に重要であることが叫ばれている。そのため、
サフラワー油や魚油精製品が各種食品に使用されるケー
スがふえているが、これらの脂肪酸を多く含む油脂の代
謝性はあまり良いとは言えない。特に病人や老人のよう
に代謝機能が衰えた人々にとっては問題はさらに大きく
なる。

ところで脂肪乳剤輸液は、一般に高カロリーを短時間に
投与できるとともに体蛋白質の分解を抑制し、窒素バラ
ンスを改善する目的で使用されている。しかしながら、
従来、同輸液の原料として使用されてきた油脂は大豆油
やサフラワー油などであり、これらは上記のように代謝
速度が遅いため、１日あたりの輸液による全投与カロリ
ーの１０％程度しか脂肪乳剤輸液を使用することはでき
なかった。

また、脂肪乳剤の使用は、肝脂肪の蓄積という副作用が
出ることが多い。よって肝障害を持つ患者に対する投与
は、これまで無理であると考えられていた。

一方、このような長鎖脂肪酸トリグリセリド（ＬＣＴ）
に対して、炭素数が８〜１２という短い脂肪酸のみで構
成された油脂、すなわち中鎖脂肪酸トリグリセリド（Ｍ
ＣＴ）が非常に吸収も早く、代謝もされ易いことが知ら
れており、流動食の脂質源などとして利用されている。

しかし、ＭＣＴは血管壁障害、肝脂肪蓄積、多量摂取時
の血中ケトン体濃度の上昇などの副作用を生じることも
多かった。

このようにエネルギー源としてＭＣＴを多用することは
困難なため、ＭＣＴとＬＣＴを併用することが勧められ
ていた。

併用法の代表としては、単にＭＣＴとＬＣＴを適度な配
合比で混合し、これを脂肪乳剤輸液の原料油脂として利
用した商品が国内外で実用化されている。

また、最近、Ｂｌａｃｋｂｕｒｎら（Ｍｅｔａｂｏｌｉ
ｓｍ。

Ｖｏ１３３．９１０１９８４）は、同一分子内に中鎖脂
肪酸と長鎖高度不飽和脂肪酸がランダムに存在する新し
いタイプの合成油脂（Ｒ３Ｌ）を開発し、やはり脂肪乳
剤輸液用油脂として用いた場合に、単なるＭＣＴまたは
ＬＣＴの場合とくらべて、中間的な代謝速度を示し、脂
肪乳剤輸液用油脂として優れていることを示した。

しかしながら、これらの油脂にも次のような欠点が認め
られる。

即ち、まず、ＭＣＴ／ＬＣＴ混合油脂は、ＭＣＴ単独の
場合にみられる前記の問題点は多少軽減され、全投与カ
ロリーのｌθ％程度を脂肪乳剤で置換する場合には、Ｍ
ＣＴのみの場合よりも血管壁障害、ケト−シスの改善、
窒素バランスの改善において優れた治療効果を示した。

しかしながら、これも投与量を１０％以上に高めるとＭ
ＣＴの副作用が見られるようになる。

次にＲ３Ｌは、ＭＣＴ脂肪乳剤の大きな欠点である「大
量投与時のケト−シス症状」を軽減する効果が期待され
ている。しかし、Ｒ３Ｌそのものは、トリグリセリドの
グリセロールと脂肪酸がランダムにエステル結合してい
るため、製品ロットにより常に同一構造の油脂が得られ
るとは限らないという問題がある。このことは生体内で
の代謝機構に対して必ずしも好ましい状態とはいえない
。

同様の状況は経腸栄養剤の油脂についても認められる。

即ち、術前、術後の患者等のように急速にエネルギーを
与える必要のある場合に、高カロリーの経腸栄養剤が用
いられており、カロリー源として油脂を利用することが
望ましい。しかしながら、ＬＣＴは吸収が悪く、また、
一般にエネルギー変損効率が高いとされているＭＣＴは
、大量投与を行うとその急速な吸収および代謝に伴う下
痢の発生や必須脂肪酸の欠乏を生じるという欠点がある
。

そこで、前述のようにＭＣＴとＬＣＴを混合したものが
使用されているケースもあり、比較的代謝性も良いこと
が知られているが、大量投与時にはやはり下痢、ケト−
シスなどの症状がでる。

（Ｃ１発明が解決しようとする問題点 本発明の目的は、従って従来の製品にみられる欠点や、
なお、不十分な効果を改善し、代謝性の極めて優れた油
脂およびこの油脂を用いた脂肪乳剤輸液などを提供する
ことにある。

＋ｄ１問題点を解決するための手段 即ち、本発明はトリグリセリドの２位の脂肪酸が２重結
合を２個以上持つＣｔＳ以上の長鎖高度不飽和脂肪酸で
あり、１．３位の脂肪酸がＣ１〜１□の中鎖脂肪酸であ
ることを特徴とする合成油脂、ならびにこの油脂を用い
た脂肪乳剤輸液および経腸栄養剤である。

上記の合成油脂の２位の脂肪酸としては、リノール酸、
リノレン酸、ＥＰＡ、アラキドン酸、ＤＨＡなどが好ま
しい。

１．３位の脂肪酸としては、Ｃ１〜、２であれば、特に
不飽和結合数を限定するものではなく、目的とする油脂
の症状、生理効果などにより、各種のものを用いること
ができる。

本発明の油脂を製造するためには、１．３位と２位の位
置特異性を必要とする関係から、１，３位特異性を有す
るリパーゼによるエステル交換法を用いることが好まし
い。即ち、上記の目的にかなったＣ１８１以上の長鎖高
度不飽和脂肪酸のみから成るトリグリセリド（例えば、
合成したトリリノール酸グリセリド）や、リノール酸含
量の高いサフラワー油、エイコサペンタエン酸などを含
む魚肝油など１モルに対し、０８〜．ｔの中鎖脂肪酸ま
たはそのエステル５〜８モルを加え、１．３位特異性を
有するリパーゼでエステル交換を行う。エステル交換修
了後、遊離した脂肪酸、脂肪酸エステル、グリセリン、
目的物以外のトリグリセリドなどをアルカリ洗浄、水蒸
気蒸留、高分子膜処理、イオン交換樹脂処理、カラムク
ロマトグラフィーなどの方法で除去することにより、目
的とする油脂が得られる。

１．３位特異性を有するリパーゼとしては、Ｌ　Ｉ　Ｐ
ＯＺＹＭＥ　（ＮＯＶＯ社製）、タリパーゼ（田辺製薬
側型）、リパーゼ（生化学工業側型）、リパーゼＤ１リ
パーゼＦ−ＡＰ、リパーゼＭ−ＡＰ。

リパーゼＡＰ、リパーゼＲ（以上天野製薬■製）などの
市販品を用いることができる。

なお、本発明の油脂は、上記のようにリパーゼを用いず
、合成法によって得ることもできる。

本発明の油脂は脂肪乳剤輸液、経腸栄養剤の油脂成分と
してとくに好適であり、その他、座薬の基剤などの油脂
成分としても有用である。

さらに本発明の油脂は、常温で通常液体であるため、ド
レッシング、マヨネーズに使ったり、流動状の治療用食
品の油脂成分として利用できる。

また、水産、畜産用飼料に添加する油脂としても本発明
の油脂は使用できる。即ち、哺乳類や魚類は、一般的に
幼少期における消化、吸収、代謝能力が弱く、適正な油
脂の投与を行わないと下痢などの障害がでることがある
。従って、このような場合にも、本発明の油脂を用いる
と効果的である。

本発明における脂肪乳剤輸液の製造法については特にこ
れを限定するものではな（、通常の方法が利用できる。

即ち、使用する原料油脂１０部（重量。以下同様）に対
し、０．５〜２．０部の卵黄レシチンをはじめとする乳
化剤を添加し、これを２．５部のグリセリンと８０〜８
５部の蒸留水の混液とともに乳化する。脂肪乳剤輸液中
に占める油脂含量は、通常ｌＯ％（重量。以下同様）前
後になるように調整する。

乳化方法としては、第１次乳化を簡単なホモミキサーで
行い、微細乳化を高圧ホモジナイザーで行う、高圧ホモ
ジナイザーは圧力１００〜２５０ｋｇ　／　ｃ＋Ｊで数
回の乳化を行い、最終的に乳化粒子径が０．２μ前後に
なるように調整する。

本脂肪乳剤輸液の用途は、肝障害を持つ患者に対する栄
養カロリー補給が中心であるが、特にそのような障害が
なくても、外科的疾患や術後の回復期には、代謝機能が
非常に悪くなっているケースが多く、その場合にも本輸
液の用途の対象になる。

経腸栄養剤の製造方法は次の通りである。即ち使用する
油脂は、本発明における合成油脂と他の動植物油脂など
を、目的に従って配合できる。

蛋白質としては、消化し易く、栄養価の高いものが使用
される０例えば卵蛋白質、乳蛋白質、大豆蛋白質、魚肉
蛋白質およびこれらの酵素分解物が使用される。また、
各種アミノ酸、ペプチドを栄養学的に有効な量、および
割合に配合されたものが用いられる。この使用量は栄養
成分の１０〜５０％程度である。

糖質としてはでん粉、デキストリンおよびその加水分解
物、またブドウ糖、フラクトースなどの単￥ＩＮ類、マ
ルトース、乳糖などの二１２類、その使用量は栄養成分
の４０〜８０％程度である。

微量成分であるミネラル・ビタミン類は上記配合原料か
ら由来するものも多く、必要に応じて適宜添加される。

また、さらに安定剤、殺菌剤、保存剤等の添加が行なえ
る。

経腸栄養剤の製剤化は、上記配合原料のうち、水溶性の
部分を適当量の水に分散溶解し、これに油脂を乳化状態
になるよう添加する。また、必要ならば、得られた乳化
物をスプレードライヤーなどで乾燥し、粉末化すること
もできる。

（ｅ）実施例 実施例１ サフラワー油脂肪酸を原料として尿素付加法で９９％純
度にまで高めたリノール酸を使い、常法によりトリリノ
ール酸グリセリドを合成した。この合成グリセリド１モ
ルに対し、６モルの０１゜脂肪酸（カプリン酸）を添加
し、３０℃にまで加熱する０次にこの混合物に以下のよ
うな２種のエステル交換反応を行わしめる。

０１．３位特異性リパーゼ（ＮＯＶＯ社製Ｌ　Ｉ　ＰＯ
ＺＹＭＥ）を上記混合物１００部に対して１０部添加す
る０反応は弱い攪拌条件下で６０℃、５時間行った。

０１．３位特異性のないリパーゼ（名糖産業■リパーゼ
ＯＦ）を上記混合物１００部に対して１０部添加する０
反応は４０℃で５時間行った。

反応終了後、酵素類を濾過で除き、常法によりアルカリ
水洗して遊離脂肪酸を除去した。

このようにして得られるエステル交換油脂■には、目的
とする１、３位がカプリン酸、２位がリノール酸のトリ
グリセリド（１０Ｌ　１０）以外にｌ０ＬＬ、ＬＬＬ、
１０１０１０など数多（の油脂が含まれており、これら
と１０　Ｌ　１０を次のような操作で分離する。即ち、
まずエタノールやアセ１ンのような極性溶媒とヘキサン
などの非極性溶媒に対する溶解性の差を利用してｉｏ　
Ｌ　ｉｏ、ｌ０ＬＬなどをＬＬＬ。

１０１０１０などと分別する。次に主として１０　Ｌ　
１０と１０ＬＬの混合物をエタノール・アセトン混合溶
剤を用いたＯＤＳカラムクロマトグラフィーにかけ、純
度９０％以上の１０　Ｌ　１０を得た。

■によるもの（Ｓ　Ｌ）とのによるもの（Ｒ３Ｌ）の脂
肪酸組成は表−１のとおりであった。

表−Ｉ　　ＳＬ、Ｒ３Ｌの脂肪酸分布の比較（モル％） 実施例２ 実施例１で調製した■ＳＬ、■Ｒ５Ｌおよび０Ｍ　ＣＴ
　（Ｃ＋ｏのみからなるトリグリセリド）、■大豆油（
ＬＣＴ）　、■ＭＣＴ／ＬＣＴ＝２　：　１重量部合油
の５種類の油脂について、常法により１０％油分の脂肪
乳剤輸液を調製した。輸液の原料配合は表−２の通り。

表−２脂肪乳剤輸液の配合 上表配合物をホモミキサーで軽（乳化した後、高圧ホモ
ジナイザー（２００〜２５０ｋｇ／ｃｊ）で乳化粒子径
が０．２μ程度になるように均質化して、脂肪乳剤輸液
を得た。

これらの安定性を調べるため、表−３のような混合比の
Ｔ　Ｐ　Ｎ　（Ｔｏｔａｌ　Ｐａｒｅｎｔｅｒａｌ　Ｎ
ｕｔｒｉｔｉｏｎ）溶液を作り油味径の変化を調べた。

結果を表−４に示す。

表−３ 表−４脂肪乳剤の安定性試験（地球直径変化）（単位：
ｎｍ） いずれの油脂も脂肪乳剤としての安定性に問題なく十分
使用できるものであった。

実施例３ 実施例２の輸液（５種類）を使って、ラットに対する連
続投与試験を行った。

７週令のＳＤラットを２４時時間量させ、その後連続投
与装置を埋め込む手術を行った。手術後２日間の投与量
は、最終投与量（３５０Ｋｃａｌ／　ｋｇ／ｄａｙ）の
１／１０及び１／２とし、その後は３５０　Ｋｃａｌ　
／　ｋｇ　／　ｄａｙで５日間飼育した。結果は次の通
り。

（１８体重変化は５グループで特に有意差は見られなか
った。

（２）窒素バランスは、■、■、０群で■、■よりもプ
ラスになる傾向が認められた（表−５）。

（３）血清分析値（−船主化学的分析）は、全群におい
て有意差が認められなかった。

（４）肝臓の脂質含量（蛋白質１ｇあたり）は、■、０
群で、■、■、■群よりも明らかに低くなる傾向が認め
られた（表−６）。

表−５窒素バランス値の変化 （単位：　ｍｇＮ／１００ｇ体重） 表−６肝臓脂質含量 （単位：ｇ／肝臓中蛋白質ｇ） これらのデータより、■、０群は他のものとくらべて、
肝脂質蓄積が少ないという脂肪乳剤としては大きなメリ
ットのあることが確認された。

実施例４ 実施例３の■、■群に使用した脂肪乳剤を総カロリー投
与量の３０％（実施例３では１０％）にまで高めて同様
の実験を行ったところ、体重変化は■については特に問
題は認められなかったが、■は激しいケト−シス症状を
示し、体重増加が著しく阻害された。

実施例５ 実施例３の■〜■の油脂を使い、表−７のような原料配
合で、経腸栄養剤の試作を行った。

表−７経腸栄養剤配合 上記の配合１０部を２０部の水に乳化懸濁させ、高圧ホ
モジナイザー（１５０ｋｇ／ｃｄ）で、乳化処理を行い
、経腸栄養剤とした。本剤は、加熱殺菌処理をしておけ
ば、長時間安定な性状を保つことが確認された。

次に、この乳化物を常法に従い、スプレードライヤーで
乾燥し、粉末化した。

この粉末を体重約２００ｇのラットに、３４０Ｋｃａｌ
／１００ｇ体重／ｄａｙとなるように７日間飼育した。

結果は表−８および表−９の通り。

表−８飼育結果 表−９肝脂肪の蓄積 結果的に■は同じ摂取量でも下痢しに＜＜、代謝性も良
いことが示された。

（ｆ）発明の効果 本発明の油脂を用いた脂肪乳剤輸液は、全投与カロリー
量の１０〜３０％をこの脂肪乳剤で置換しても、ケト−
シス、血管壁障害、肝脂肪蓄積などの副作用が出に（（
、窒素バランスもよい。そのため、肝障害をもつ患者に
投与することができる。

また、経腸栄養剤の場合は、下痢、必須脂肪酸の欠乏な
どの副作用が抑えられる。

そして、いずれの場合も従来のＭＣＴに近い消化吸収性
および代謝性を維持しており、さらに、リノール酸をは
じめとする必須脂肪酸や、ＥＰＡのような薬理作用のあ
る長鎖脂肪酸の供給も効率良く行なえる。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. （１）トリグリセリドの２位の脂肪酸が２重結合を２個
   以上持つＣ＿１＿８以上の長鎖高度不飽和脂肪酸であり
   、１、３位の脂肪酸がＣ＿８〜Ｃ＿１＿２であることを
   特徴とする合成油脂。
2. （２）トリグリセリドの２位の脂肪酸がリノール酸また
   は／およびリノレン酸である特許請求の範囲第１項記載
   の油脂。
3. （３）トリグリセリドの２位の脂肪酸がアラキドン酸、
   エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸の１種また
   は２種以上の混合物である特許請求の範囲第１項記載の
   油脂。
4. （４）トリグリセリドの２位の脂肪酸が２重結合を２個
   以上持つＣ＿１＿８以上の長鎖高度不飽和脂肪酸であり
   、１、３位の脂肪酸がＣ＿８〜Ｃ＿１＿２であることを
   特徴とする合成油脂を含有する脂肪乳剤輸液。
5. （５）肝障害を持つ患者用である特許請求の範囲第４項
   記載の脂肪乳剤輸液。
6. （６）トリグリセリドをの２位の脂肪酸が２重結合を２
   個以上持つＣ＿１＿８以上の長鎖高度不飽和脂肪酸であ
   り、１、３位の脂肪酸がＣ＿８〜Ｃ＿１＿２であること
   を特徴とする合成油脂を含有する経腸栄養剤。