JPS6329681Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 折り返えし部をソツクス主体と一連に、編い目
なしに編成したソツクスは公知であるが、この種
のソツクスはダブルシリンダー編機で折り返えし
部をソツクス主体と同じ編組織たとえば畦編組織
を以て筒状に編成したものであるため、折り返え
し部は主体の延長にすぎないという見方が強く、
折り返えし部を特別に形成したという感じを着用
者には勿論、側の者にも与えることがない。ま
た、シングルシリンダー編機で折り返えし部をゴ
ム糸挿入編とし、折り返えし部正面をウエール方
向に切断して前開きにした場合には、たとえ縁
かゞりしても挿入したゴム糸の端を固定すること
ができないため、ゴム糸が簡単に抜けてしまう。
更には、前開き折り返えし部の裏面方向にのみ上
記ゴム糸の収縮力が働くため、折り返えし部を表
に折り返えしたときには編み始め端が裏目方向に
丸まつて折り返えしの長さがつまり、折り返えし
部を折り返えさないまゝにしておけば同じく編み
始め端が表目方向に丸まつて折り返えし部の長さ
がつまるというように、当該部に挿入したゴム糸
が折り返えし部の外観までも損ねる結果になつて
いた。このように、従来の折り返えし付きのソツ
クスは商品価値に乏しく市場性がないことから、
別に作つた飾り生地や模様編地またはレース地な
どの折り返えし片を、ソツクス主体に縫いつけた
ものが折り返えし付きソツクスとして出回つてい
る。しかし、折り返えし片自体が伸びにくかつた
り、縫着部分が固くなつて足首部の伸縮性が損な
われるという不都合がある上、従来品のように別
製の折り返えし片を縫いつけたものは、縫いつけ
作業のために手数がかゝり、量産ができないとい
う不都合が生じ、また、縫製のとき、オーバーロ
ツクミシンのメスによつて折り返えし片と足首部
位が各々５ミリ程切り落されるという無駄が出る
など、不経済な面もあり、生産コストを引き下げ
ることができなかつた。

本考案は履口に折り返えし部や折り返えし片を
有する従来のソツクスが上記のような欠点を有す
る点に鑑み、折り返えし部とソツクス主体とが一
連のソツクスの見栄えをよくすると共に、当該ソ
ツクスの編み始め端がまるまるのを防止し、あわ
せて、足首部の伸縮性を損なわないようにし、か
つ量産を可能にすることを目的として考案した履
口に前開き折り返えし部を有するソツクスに係る
もので、以下に本考案を図面に示す実施例に基い
て説明する。

第１図は折り返えし部１を折り返えして示した
ソツクスの側面図、第２図は同折り返えし部の正
面図、第３図は折り返えし部を上方に伸ばしたと
きの履口部の正面図、第４図は第２図〇印部分の
組織の１例を拡大して示した裏組織図を示したも
ので、この実施例ではタツク編目を鹿の子状に配
列することによつて、裏面（第４図において表
面）に籠目状模様〔綾柄（綾模様）、鹿の子模様〕
を形成した折り返えし部１としているが、同折り
返えし部１を編成するに当り、先づ当該折り返え
し部１の端縁すなわち編み始めの第１コースC₁
においては、折り返えし部正面の１〜数ウエール
たとえば７ウエール（７目）を除いて全ウエール
を平編組織を以て編成し、第４図において同コー
スを構成する平編目の奇数番ウエールまたは偶数
番ウエールのニードルループN₁の裏に浮かせた
弾性糸（ゴム糸、ポリウレタン弾性糸、その他の
弾性糸）Ｇを、シンカーループS₁の裏からくぐら
せて相隣れるウエールのニードルループN₂の表
に浮かせ、つづいてそのシンカーループS₂の表か
ら裏にくぐらせて奇数番ウエールまたは偶数番ウ
エールのニードルループN₁の裏に浮かせること
を繰り返えすと共に、同弾性糸Ｇを折り返えし部
１の正面で左方向または右方向に折り返えして、
さきに、弾性糸ＧをニードルループN₁の裏に浮
かせた奇数番ウエールまたは偶数番ウエールで
は、当該弾性糸ＧをシンカーループS₁の裏から表
にくぐらせて同ウエールのニードルループN₁の
表に浮かせ、ニードルループN₂の表に浮かせた
偶数番ウエールまたは奇数番ウエールでは弾性糸
ＧをシンカーループS₂の表から裏にくぐらせてニ
ードルループN₂の裏に浮かせ、再び折り返えし
部の正面において右方向または左方向に折り返え
させて、以下弾性糸Ｇの往復挿入を当該コース
C₁内で、反復し、実施例では２往復４コース、
弾性糸Ｇが挿入されている。

以上編み始め第１コースC₁であるが、つゞい
て編成される折り返えし部本体１は地組織をタツ
ク編とし、それに上記弾性糸Ｇを挿入することに
よつて行なう。

すなわち、１ウエールごとに奇数番コースと偶
数番コースとで１目ずつ交互にずらせ、地編糸２
が裏面に斜めに籠目状模様を呈するように走るタ
ツク編を以て地組織を形成し、弾性糸Ｇはそのタ
ツク編目の前後に全ニードルループN₁，N₂の裏
面に浮かせるようにして挿入する。その結果、折
り返えし部本体１の組織を裏面からみると、籠目
状模様を呈する地編糸２……の間に２本の弾性糸
Ｇが第１，２図、第４図に示す様に規則的にのぞ
いている。

また、上記地組織（タツク編）は１コースごと
に１と目ないし２目ずつ増やし編を行なつて、第
４図右下角部を斜めに形成するかまたは丸味をつ
けると共に、ニードルシリンダー２回転ずつの往
復回転によつて折り返えし部正面にかヾり縫い目
のない縁部３をもつ前開き４を形成する。なおこ
の縁部３は第４図に示すように縁編み５をあわせ
行なつて形成しても、縁編み５なしで形成しても
よく、いずれの場合においても上記の往復編成に
よつて折り返えし部１を編成する編糸２，Ｇを左
方向と右方向に左右交互に対称的に折り返えさせ
る。

折り返えし部１につづいて足首部（履口部）６
を連続編成するが、この実施例では弾性糸Ｇを無
地組織に挿入することにより、足首部６を連続編
成し、折り返えし部１と足首部６の境目に縫い目
をつくらない。なお折り返えし部１を編成する場
合の弾性糸Ｇの供給量は足首部６を編成する場合
の通常の弾性糸供給量より多くして、一方では折
り返えし部１の横方向の伸びにゆとりをもたせ、
他方では、足首部６が足首に密着するようにす
る。

以上、本考案を実施例に基いて説明したが、本
考案は足部および足首部を構成する編目の外観が
表面と裏面では異るソツクスの足首部に前開き折
り返えし部を縫い目なしに連設し、当該折り返え
し部においては、編み始めの第１コースC₁の平
編目の奇数番ウエールまたは偶数番ウエールのニ
ードルループN₁の裏に浮かせた弾性糸Ｇを、シ
ンカーループS₁の裏から表にくぐらせて相隣れる
ウエールのニードルループN₂の表に浮かせ、
つゞいてそのシンカーループS₂の表から裏にくぐ
らせて奇数番ウエールまたは偶数番ウエールのニ
ードルループN₁の裏に浮かせることを繰り返え
すと共に、同弾性糸Ｇを折り返えし部の正面で左
方向または右方向に折り返えして、さきに、弾性
糸ＧをニードルループN₁の裏に浮かせた奇数番
ウエールまたは偶数番ウエールでは、当該弾性糸
ＧをシンカーループS₁の裏から表にくぐらせて同
ウエールのニードルループN₁の表に浮かせ、ニ
ードルループN₂の表に浮かせた偶数番ウエール
または奇数番ウエールでは弾性糸Ｇをシンカール
ープS₂の表から裏にくぐらせてニードルループ
N₂の裏に浮かせ、再び折り返えし部の正面にお
いて、右方向または左方向に折り返えさせて、以
下弾性糸Ｇの往復挿入を当該コース内で反復し、
上記第１コースにつづく折り返えし部本体におい
ては、当該部を編成する地編糸を以て、１ウエー
ルごとに奇数番コースと偶数番コースとで１目ず
つ交互にずらせたタツク編を行なつて、地編糸が
裏組織に斜めに走る籠目状模様に形成すると共
に、上記弾性糸Ｇをタツク編目の前後に全ニード
ルループの裏面に浮かせて挿通し、更に、該地編
地と弾性糸を１コース編成ごとに左方向または右
方向に折り返えして、縁かがりのない前開きとし
た履口に前開き折り返えし部を有するものである
から、編み始め第１コースC₁において表裏同じ
ように浮く弾性糸Ｇによつて、従来の弾性糸挿入
前開き折り返えし部のように、当該折り返えし部
の編み始めが丸まつてしまうことが全くなく、ま
た、前開き縁部から弾性糸Ｇが抜けるようなこと
も絶対にない。従つて従来のように別製の折り返
えし片を履口部に縫いつける手数が省けると同時
に、履口部の伸縮性が損なわれることがない。し
かも、１条の前開き部４を生地を切り開かずに、
折り返えし部１を編成する編糸２，Ｇを左方向と
右方向に左右交互に対称的に折り返えさせる往復
回転たとえばシリンダー２回転ずつの往復回転で
編成するようにしたから、切り込み部の縁をかが
り縫いした場合に比べると、見栄えがすこぶる佳
良で、折り返えし部１とソツクス主体Ｓとを縫い
目なしに連設した折り返えしつきソツクスの市場
性を著しく高めることができる上、折り返えし部
１を変化組織を以て編成することにより別製のレ
ース織その他の生地で折り返えし片を構成したも
のに優るとも劣らない優美なソツクスを提供でき
るという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１実施例を示す側面図、第２
図は同実施例の足首部の正面図、第３図は折り返
えし部を上方に伸ばしたときの正面図、第４図は
第２図〇印部位の組織の１例を示す拡大組織図で
ある。 図面中、符号１……折り返えし部、２……地編
糸、Ｇ……ゴム糸、３……縁部、４……前開き
部、６……足首部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 足部および足首部を構成する編目の外観が表面
   と裏面では異るソツクスの足首部に、前開き折り
   返えし部を縫い目なしに連設し、当該折り返えし
   部においては、編み始めの第１コースC₁の平編
   目の奇数番ウエールまたは偶数番ウエールのニー
   ドルループN₁の裏に浮かせた弾性糸Ｇを、シン
   カーループS₁の裏から表にくぐらせて相隣れるウ
   エールのニードルループN₂の表に浮かせ、つづ
   いてそのシンカーループS₂の表から裏にくぐらせ
   て奇数番ウエールまたは偶数番ウエールのニード
   ルループN₁の裏に浮かせることを繰り返えすと
   共に、同弾性糸Ｇを折り返えし部の正面で左方向
   または右方向に折り返えして、さきに、弾性糸Ｇ
   をニードルループN₁の裏に浮かせた奇数番ウエ
   ールまたは偶数番ウエールでは、当該弾性糸Ｇを
   シンカーループS₁の裏から表にくぐらせて同ウエ
   ールのニードルループN₁の表に浮かせ、ニード
   ルループN₂の表に浮かせた偶数番ウエールまた
   は奇数番ウエールでは弾性糸Ｇをシンカーループ
   S₂の表から裏にくぐらせてニードルループN₂の
   裏に浮かせ、再び折り返えし部の正面において、
   右方向または左方向に折り返えさせて、以下弾性
   糸Ｇの往復挿入を当該コース内で反復し、上記第
   １コースにつづく折り返えし部本体においては、
   当該部を編成する地編糸を以て、１ウエールごと
   に奇数番コースと偶数番コースとで１目ずつ交互
   にずらせたタツク編を行なつて、地編糸が裏組織
   に斜めに走る籠目状模様に形成すると共に、上記
   弾性糸Ｇをタツク編目の前後に全ニードルループ
   の裏面に浮かせて挿通し、更に、該地編糸と弾性
   糸Ｇを１コース編成ごとに左方向または右方向に
   折り返えして、縁かがりのない前開きとした履口
   に前開き折り返えし部を有するソツクス。