JPS63284108A - 海藻健康育成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、海藻健康育成物に係り、特に海藻類に栄養を
与えて成長を促進させるとともに病気を防ぐことのでき
る海藻健康育成物に関する。

〔従来技術とその問題点〕

本発明の海藻健康育成物を投与する対象となる海藻類の
性質を、その一種である海苔について説明する。

海苔は養殖され、食用に供されている。

この海苔の養殖は、一般に、海苔網に海苔の胞子を植え
付ける種付けから始まり、芽長が１０〜１５ａｍの幼芽
になるまでの育苗段階と、幼芽から摘採可能な成芽にな
るまでの育成段階とを経て、成芽を摘採することにより
一番芽の養殖が終了する。その俵に、摘採後の成芽が伸
びて再び摘採することにより二番芽の養殖が終了する。

以後、この成芽の成長と摘採とが繰返えされる。

このようにして養殖された海苔の原藻から乾海苔を生産
するものであるが、良質の乾海苔を得るには良質な海苔
の原藻を育てる必要がある。

この良質な海苔の原藻として備えなければならない条件
としては、第１に総色素量が多くて色が濃いこと、第２
に肉質が軟質であること、第３に呈味成分が十分である
ことが挙げられる。

更に、良質な乾海苔として備えなければならない条件と
しては前記条件の他に、光沢に優れていることが挙げら
れる。

そして、良質な海苔の原藻を育てるには、養殖期間の中
でも初期の育苗段階で健全な幼芽を育てることが肝要で
あるとされている。

しかしながら、今日では海苔の養殖漁場の貧栄養化に伴
なって、海苔の原藻および乾海苔の品質が低下する傾向
にある。

これは海苔の原藻の成長率が悪（なったり、病気になっ
たりすることが原因と考えられる。海苔の原藻がかかる
病気としては、２種類に大別され、その一方はあかぐさ
れ病、壷状菌病、緑斑病等の寄生性微生物による病気で
あり、他方はしろぐされ病、疑似しろぐされ病、芽いた
み症、ちりめん症等の生理障害による病気である。

そのため、従来から各種の対策が行なわれているが、そ
れぞれ後述するような問題点があった。

例えば、育苗段階から育成段階において、海苔網糸、幼
芽、成分に付着する珪藻類等を取除くために酸処理を施
している。すなわち、クエン酸、リンゴ酸、リン酸等を
用いて、溶液をｐＨ１，５〜５．０の範囲の適正ｐＨに
設定し、その溶液中に海苔網をどぶ付けしたり、その溶
液を海苔網に噴霧していた。

しかしながら、この酸処理は珪藻類や青さ等の除去には
有効であるが、海苔の病気を防止することはできなかっ
た。

また、前記酸処理と併用もしくは単独で施肥を行なって
いる。すなわち、海苔の原藻が必要とする栄養素を成分
中に含有した栄養剤を幼芽や成分に投与している。この
栄養剤が含有する栄養素としては、窒素、リン、カリウ
ム、海苔の葉体の光合成促進物質である微吊金屈、各種
ビタミン、アミノ酸類等が挙げられる。

しかしながら、海苔の幼芽や成分が前記栄養素を摂取す
るには、少なくとも３０〜６０分もの間前記栄養剤と接
触している必要があるのに対し、施肥作業の都合上、今
日では最高１０分以内しか施肥処理を施すことができな
い。なぎなら、施肥作業は海中に展張されている海苔網
を締結部をｔよどいて船上に上げ、船上にて栄養剤が添
加されている溶液中に浸漬させ、その後海苔網を海中に
再設置するものであり、非常に手間を要する作業である
から、多数の海苔網に対して限られた時間内に施肥を行
なうには、浸漬時間を短縮するほかない。従って、従来
の栄養剤を用いた施肥処理では十分な効果を得ることが
できず、換言すれば、速効性の栄養剤が無かった。

〔発明の目的〕

本発明はこれらの点に鑑みてさなれたものであり、栄養
成分として海藻類によって速効的に吸収され、かつ前記
海藻類が病気にかかるのを確実に防止することのできる
海藻健康育成物を提供することを目的とする。

〔発明の概要〕

本発明の海藻健康育成物は、ユリ科植物からの抽出成分
を有することを特徴とする。

〔発明の実施例〕

本発明は本発明者らの鋭意研究の結果、ユリ科植物から
の抽出成分が海苔等の海藻類の健全な生育を促がすのに
極めて有効であることを究明することによって為された
ものである。

ユリ科植物としては、にんにく、玉ねぎ、ねぎ、にら等
がある。

これらのユリ科植物からの抽出成分としては、アリイン
、アリシン、ジアリルジサルファイド、ジアリルトリサ
ルファイド、プロビルアリルジサルファイド、アルギニ
ン、フィチン、システィン、チオ乳酸やこれらの配糖体
のスコルチニン等があり、本明細ｍではこれらを抽出成
分と総称する。

これらの抽出成分は海苔の葉体に速効的に吸収され、そ
の葉体成長を促進させる。また、にんにく等をすり潰し
゛た時に得られるアリシンや、アリシンを熱分解して得
られるジアリルジＶルファイドは、海苔の病気発生を有
効に防止できるものであった。更に、配糖体である「ス
コルチニン」は海苔の原藻を著しく成長促進させるもの
であった。

また、本発明の海藻健康育成物は、前記ユリ科の植物か
らの抽出成分が通常は液体状にして得られるので、その
抽出成分を適当な溶液に添加して液体状としたり、抽出
成分中の水分を蒸発させて粉末状としたり、粉末を固め
て錠剤状としたりして用いるとよい。

次に、本発明の海藻健康育成物の作用効果を従来例と比
較した実験に基づいて説明する。

先ず、海苔の養殖の育苗段階に適用した場合における幼
芽の成長日数と色調について説明する。

（１）　育苗段階における幼芽の成長日数の実験実験方
法 海苔の胞子を海苔網に種付けした後、長さが１０〜１５
Ｊｌｌｌの幼芽が成長するまでの成長日数を、未処理の
場合、本発明の海藻健ｍ育成物によって処理した場合お
よび従来の栄養剤によって処理した場合の３種類につい
て、Ａ、Ｂ、Ｃの区域においてそれぞれ測定した。

なお、本発明の＊ａｉｉｅｓｔ育成物としては生にんに
くをミンチ加工して微細なものとして得られた抽出成分
（以下、にんにくエキスという）を用いており、海水中
に含有させた容積割合を３％、１％、０．５％の３種類
の液状物を用いた。また、従来の栄養剤としては、アミ
ノ酸、各種ビタミン、窒素、リン、カリウムの混合物を
用いた。そして、本発明物および従来の栄養剤とも、種
付けした後５日目および１００日目２度に渡って、海苔
網を干出した時にそれぞれ液状物を噴霧処理した。

実験結果 それぞれの場合の幼芽の成長日数は表１の通りとなった
。

表　　１ （２）　育苗段階における幼芽の色調 実験方法 未処理の場合、本発明に係るにんにくエキスを３％含有
させて処理した場合、このにんにくと栄養剤とを一緒に
処理した場合、栄養剤のみにより処理した場合の４種類
について、幼芽の色調を０区、Ｅ区について観察した。

ただし、他の条件は記（１）項の場合と前同様である。

実験結果 それぞれの場合の幼芽の色調は、色調において低級品の
海苔として分類される赤目をＸ印、普通の海苔として分
類される普通目を０印、高級品の海苔として分類される
黒目をＯ印として表わすと、表２に示す通りとなった。

表　　２ 以上の実験より、にんにくエキスは幼芽の成長促進効果
があり、しかも海苔網へのにんにくエキスの処理が噴霧
処理という極めて短時間であるにもかかわらず十分な成
長促進効果があり、栄養成分が速効的に海苔に吸収され
ていることが認められる。また、にんにくエキスと栄養
剤との混合物は幼芽の色調を黒くさせる効果を有するこ
とが認められる。

次に、成分を摘採した後に、本発明の海藻健東育成物を
適用した場合について説明する。

実験方法 Ａ区および８区において、それぞれ大きさが５尺Ｘ１０
間の海苔網を冷凍出庫後１度摘採し、その摘採後の海苔
網を下記の４種類の供試物中に１０分Ｆｌｔ！！漬し、
再び海中に張設し、１反の海苔網から摘採した海苔の原
藻により乾海苔を８００枚程度生産することができるよ
うな葉体になるまで成分を養殖し、その後、成分を摘採
し、ミンチ加工を施し、抄製、脱水、乾燥を順に行って
乾海苔を生産する。そして、成分が乾海苔８００枚程度
に相当するまで成長する養殖日数と、得られた乾海苔の
色調、光沢等を計数して観察する。

各供試物の成分は次の通りである。

第１供試物は扶桑化学工業株式会社製の酸処理剤（Ｗク
リーン１００）を海水により１００倍に希釈してｐＨ２
，１に調整したもの。

第２供試物は第１供試物に３％のにんにくエキスを添加
してｐＨ２，１に調整したもの。

第３供試物は第２供試物に従来のアミノ酸・ビタミン類
等の栄養剤を添加したもの。

第４供試物は第１供試物に前記栄養剤を添加し□　　　
たもの。

１凰ｌＩ それぞれの場合の養殖日数および須賀式色ｉ１で計測し
た９２海苔の色調を表わすＬ値、ａ値および光沢は第３
表の通りである。

なお、Ｌ値とは乾海苔の色の濃さ、出来栄えを判断する
尺度となり値が小さい程品質が高い。ａ値とは、値いが
小さい程黒目であることを表わす。

そして、光沢は値が大きい程良好であることを表わす。

表　　３ 以上の実験により、乾海苔の色調については、第１およ
び第４供試物のように酸処理剤のみおよび酸処理剤に栄
養剤を添加したものを用いた従来の処理方法より、本発
明に係るにんにくエキスをこれらに添加した第２および
第３供試物を用いて処理した方が、はるかに優れている
ことが認められる。特に、第３供試物が最も有効である
。

また、摘採後の成分の成長率については、本発明に係る
にんにくエキスを添加した第２および第３供試物が従来
例に比べてはるかに成長率が高いことが認められる。

また、摘採後の海苔の葉体を観察すると、従来の第１お
よび第４供試物を用いた場合には、寄生性微生物による
あかぐされ病と、生理障害によるしろぐされ病とが発生
していたのに対し、本発明に係るにんにくエキスを添加
した第２および第３供翼物を用いた場合には如何なる病
気も発生しなかった。

更に、本発明に係るにんにくエキスを添加した第２ｔ３
よび第３供試物を用いた場合には、成分を何回摘採して
も海苔の原藻の柔かさ、色、光沢等の葉質が変化せず、
同一の海苔網を用いて多数回の摘採を行なうことができ
、生産性が著しく向上する。これに対し、従来の処理方
法によれば摘採の回数が多くなるに従って、海苔の葉質
が劣化して行くものであった。

〔発明の効果〕

このように本発明の？＃藻健康育成物は、ユリ科植物か
らの抽出成分をもって海苔等のＦＦ４藻類に栄養促進お
よび防病処理を施すものであるから、栄養成分として海
苔等に速効的に吸収され、これにより処理作業が従来に
比べて極めて簡単となるとともに迅速処理を行なうこと
ができ、海苔等は健康を保持したまま高い成長率で成長
し、その収穫率も大きく向上されることとなり、品質劣
化の原因となる病気も発生することがなくなり、常に高
品質の海苔等を得ることができる等の効果を奏する。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. ユリ科植物からの抽出成分を有することを特徴とする海
   藻健康育成物。